魄ノ第七章 『縁』
九年の区切りのタイミングで、今世の任務を終えた僕は、次は本来僕の魂のやりたいことをやるフェーズだと知った。しかし、やりたいことは自分で選ぶことは出来ない。新しい課題は用意されていた。
妹が例の会に喧嘩を売ったとばっちりで、僕はその会を辞めることになった。
もともと、仕事休みが平日なのでその会の行事ごとに全く参加していなかったので、僕的にはどちらでも良かったのだが、やはり自称宗教ではないと本人達が言い張ってもそこはやはりそれ系のモノ。妹が喧嘩を売ったが、彼女はゼロ霊感なので警告と思われるものは全てこちらに来た。
さすがに手に負えず、縁を切るために鎌倉の東慶寺に詣ることにした。
その後の展開といえば、笑ってしまうくらいだ。
その会だけでなく、恋人とも、仕事とも別れた。それどころでなく、転職で生まれ育った地も離れ、母や妹、家族とも離れた。
面白いことに、手離すと、手離し空いたところに、新しいものがどんどん流れ込んでくる。
仕事で別の地に移り住んで来て、また新しいことに遭遇した。
死んだ先もまだ生きている。その向こうの人間関係がこの世にも繋がっていく。
それでも、この佐久良である人生は一度きりだ。有限の中で何を果たすのか。それはまだ日々発見の連続で、あとしばらくしたら、また僕は全然別のことを語り始めるかもしれない。
壊れた伝言ゲームはどこまで行っても壊れたままだ。本当のことを知る人に出会えるまでは。
けれど、本当のことを探せるのは他人じゃない。
僕が、これを書く意味はたいしてない。ただ、読んで欲しい人は居る。いわゆる『霊感』があるような気がしている人。どうして、自分に『霊感』があるのだろうと悩む人。自分は何者だろうと彷徨う人。特別な自分でありたいと望む人。
霊が見えるからと言って、他人の役に立つ必要は無い。お祓いが出来る人は、魂もそういう職業の人なのだ。ヒーリングが出来る人は魂もそういう職業の人なのだ。助けを求められても、職業が違えばそれは出来ないように、他人の型に合わせる必要はない。他人と同じ自分は存在しない。生きているということだけで、唯一で特別だ。
こういう僕のようなタイプの霊感者が存在する。そのことが。
他人と同じ自分を探さず、自分を見つけられる一助になれば幸いだ。
家守 佐久良水都 @hisbra246911
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