第75話 アストリア王国奪還
チャールズはルシファーが送り込んで来る刺客を、無駄な動きをする事無く、一刀で切り捨てていった。
「閣下、侵入を許してしまい申し訳ありません」
「いや、体が鈍るからちょうど良いよ。それに、人族の護衛騎士が魔族を防ぐのは難しいだろうから、しょうがないよね」
「それでは、対魔族用の護衛騎士を増やしましょう」
「うん、それでもいいですね」
クーシー族の中から、適任であるとされた腹違いの妹が5人配属された。
彼女らは5つ子で、ユウナの子供である。
見た目は完全に人間だが、白銀の髪色をしていて、丸い大きな目が特徴的だ。
彼女らは、神獣の菜穂子の元で、ユウナと一緒に行動していた。
彼女らが護衛騎士になると、城に侵入出来る魔族は全く居なくなった。
宮廷貴族達は、神獣の菜穂子には一目置いていたので、いつも菜穂子と一緒に居てユウリの子供でもある彼女達が公爵の側に控えていても、不満を言う事は出来なかった。
〇 ▼ 〇
その日、アストリア王国の都アンディーヌの王宮では、魔族が酒池肉林の宴会を夜通し続けていた。
玉座のある謁見の間は多いに乱れ、酒や肴が散らばっている。
魔族の男女が酔い潰れてフロアに雑魚寝していた。
四大魔族のベリトも玉座の肘掛にもたれ
グゥオンッ! グゥオンッ! グワワワワァァァンッ!
ドッカァアアアアアンッ! ドッカァアアアアアンッ!
「ウルサイノ~……」
ベリトも魔族達も一瞬目を醒ましても、又すぐに寝入ってしまう。
グゥオンッ! グゥオンッ! グワワワワァァァンッ!
ドッカァアアアアアンッ! ドッカァアアアアアンッ!
「何じゃぁぁぁっ、うるさいぞぉぉぉっ!」
ドッゴォオオオオオンッ!
ガラガラガラガラァァァ……!
ベリトの座ってる玉座の後ろの壁が壊れ、巨大な緑色のドラゴンが飛び込んできた。
ベリトは玉座ごと前に
「プギュゥゥゥッ!」
ドッゴォオオオオオンッ!
バキバキバキバキィィィ……!
今度は正面のドアが砕け、双頭の巨人が突進してきた。
中央に敷かれていた赤い絨毯の上で雑魚寝していた魔族達が、勢いよく蹴散らかされてしまう。
「ウギャァァァッ! ヒッギュゥゥゥッ!」
「ァツツツツ……貴様ら何者だぁぁ!?」
ベリトが叫んだ。
「申し送れました。僕はファフニール、ユウリのマブダチだよ!」
「オラは、オゥログ=ハァイだぁ。オラもユウリのマブダチだぁ!」
「はぁあ? お前達はどちらかと言えばこちら側だろぅがぁ?」
「何族でも、マブダチが最優先だよ。お前は僕のマブダチに悪さしてるのだから懲らしめてあげる!」
「んだぁ、んだぁ。悪い子は居ねえがぁ!」
そこへ、ユウリ達が雪崩れ込んで来た。
モチヅキ親衛隊長が号令する。
「シャルロッテ様、【サンクチュアリ】を展開してください。他の全員は、光属性魔法で魔族を各個撃破せよ!」
「「「はい」」」
「謁見の間に【サンクチュアリ】を展開!」
キュッウィイイイイインッ!
虹色の空間が広がって部屋全体を包み込むと、無数の光る剣が上空に出現する。
「アワワワワッ! ヤバイ、ヤバイッ!」
ベリトは慌てて這いずりながら逃げようとするが、虹色の壁を越える事が出来なかった。
ザァアアアアアアアアアアッ!
魔族1体に1本づつの光の聖剣が刺さり、ベリトには7本の聖剣が刺さった。
「ウギャァアアアアアッ!」
モチヅキ親衛隊長が叫ぶ。
「魔族の体が砂の様に粉々に成るまで、魔法を叩き込めーっ!」
「「「はい」」」
ピカピカピカピカッ、バリバリバリバリッ、ドドドドドゥオオオオオンッ!
シャルロッテの【サンクチュアリ】は消えてしまったが、魔族達が次々に倒されていく。
が、しかし……ベリトの側で空間が避け、手が伸び出てベリトの両肩を掴み、引きずり逃げようとした。
バリバリバリバリッ!
「ベリト! 四大魔族がこんな所で滅んでどうする!」
「ル…ルシファー……様」
その手をユウリが『ガシッ!』っと掴んだ。
「行かせないよっ。 神よ御力を!【祝福強化】」
シュィイイイイインッ!
ユウリは強化された腕力で、ルシファーを裂け目から引きずり出す。
そして、ルシファーとベリトを抱いて離さないまま叫んだ。
「みんな! ありったけの魔力で光属性魔法を打ち込むんだ! 魔道具も全部使えっ!」
ユウリ自身もミョルニルを取り出し、【雷嵐】サンダーストームを抱き捕まえてるルシファーとベリトに打ち込んだ。
「ルシファーを駆逐する迄、ミョルニル発動!」
ピカピカピカピカッ、バリバリバリバリッ、ドドドドドゥオオオオオンッ!
魔法が
そしてユウリも……。
その床にはナイフで削ったのか、文字が残されていた。
『いつか、どこかで、また会えるさ』
◇ ◆ ◇
長い間お読み下さり有難う御座いました。
異世界生活研修所~その後の世界で暮らします~ まきノ助 @mayu49nancy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます