1494.質疑篇:箱書きがうまく作れない
過去のご質問などを精査しながらお答えしているため、応募期間が多少前後しますのでご了承くださいませ。
本日はご質問が一件ございました。
予定をずらして明日3月18日木曜日の連載終了となります。
これが最後になりそうですので、明日12時までにご質問・お問い合わせをいただければ幸いです。
今回は「箱書き」が使いこなせません、というご質問です。
それまで「我流」や「感性」で書いてきた方には、「箱書き」が捉えづらいのかもしれませんね。
「箱」と「場面」と「投稿回」がイコールでない点を明確にしました。
箱書きがうまく作れない
私の執筆法において「箱書き」では
ご質問では「一投稿で三千字程度を目安にしたいのですが。その中で場面が三回変わることもあれば、二話連続でひとつの戦闘シーンを描くこともあります。だから『箱書き』をうまく操れません。」
ということでした。
箱書きは場面を限ったもの
まず「箱書き」の「箱」ですが、一
ですので、どうしても一
千字程度の短い
毎日同じペースで読めるから、連載小説は中毒性を持つのです。
反対に盛大に盛り上がらなければならないラスボスとの決戦が三千字で終わってしまったら。肩透かしを食ったように感じませんか。
「最も盛り上がる場面がたった三千字で終わりなの?!」と思わせてはならないのです。
だからひとつの場面を一投稿回で描く必要はありません。
ひとつの「箱」を複数回で共有してもよいのです。
アニメ『DRAGON BALL Z』のように、バトルが十週にわたって繰り広げられても「箱」はひとつだけ。バトルを最大限に魅せるため、複数回にわかれてもよいのです。
「箱」はあくまでも「
だから一投稿回で複数の「箱」を詰め込んだり、逆にひとつの「箱」を複数回連続で共有してもよいのです。
箱の基準はあくまで場面
「箱」は小説で「
そこは「いつ」「どこで」「誰と誰が」いるのか。天候や状況などもできれば書くのです。誰かの決めゼリフやカッコいい動作なども書いておくとイメージが膨らみます。
そうやって「
「箱書き」で詰まる方のほとんどが、「箱」の機能を正確に把握できていません。
でもこれはあなたが悪いわけではないのです。
これまでの執筆で「箱」を創った経験がなければ、どうしても「我流」のクセが抜けません。
「
詰まる方のほとんどは、
「箱」イコール「
とイメージしてしまいます。
しかし「投稿回」はまったくの別物です。
「箱」の正しい認識は、
「箱」イコール「!
だけであって、「投稿回」とはイコールでつながっていません。
だから「一投稿回」に複数の「箱」を詰め込んだり、逆にひとつの「箱」を「複数投稿回」に分けてもかまわないのです。
ただ、これだと分量の見積もりができません。
そこで、あえてイコールでつながっていないものの、「箱」の数×「一投稿回の文字数」で総文字数の「概算」を把握します。
ですがこれはあくまでも「概算」にすぎません。
より本格的に「投稿回数」を把握したいのなら、「箱書き」を「プロット」化した最初の段階「ト書き」ドラフトの文字数を比較します。
実は「ト書き」ドラフトが最も正確に分量を見積もれるのです。
だから「概算」で総文字数を把握しても、「ト書き」ドラフトを書き終えた際、「箱」ごとの分量がどうしてもいびつになります。
そして「ト書き」ドラフトから先は、基本的に同じ文字数比率で長くなったり短くなったりしていくのです。
「ト書き」ドラフトを書き終えるまで、この「箱」が短い
それでも総文字数の「概算」がわからないかぎり、「箱」の追加や差し替えや取り外しが有効なのかが見えてきません。
だから「箱書き」ではあくまでも「概算」の総文字数を把握するために「箱」イコール「
慣れてくると、「
だから「概算」と「ト書き」ドラフトの見積もりはあくまで「別物」に捉えてください。
「箱」は一投稿回に複数あってもよいし、複数投稿回でひとつの「箱」を共有してもよいのです。
これまで「我流」や「感性」で書いてきた方には、最初から「計算しながら」書くのは難しいでしょう。
ですが「計算しながら」書けるようにならないとプロにはけっしてなれません。
プロは皆、先々の展開を「計算しながら」書いています。たとえ「小説賞・新人賞」が獲れてプロデビューしたら、担当編集さんと二人三脚で連載を続けなければなりません。その際担当編集さんを納得させるだけの「計算」がなければ、せっかく書いた一投稿ぶんも即ボツを喰らいます。
始めのうちは考えがまわるのですが、そのうちどうすればよいのかわからなくなってお手上げです。もはや連載を続けていられなくなります。
プロ生活を長くしたいのなら、絶対に「我流」「感性」だけで小説を書かないようにしてください。
最初は「箱書き」なんてまだるっこしいと思っていても、物語を視覚化するメリットはあなたの想像をはるかに超えます。
プロを目指すならぜひ「箱書き」を使いこなしてください。
いざプロになってから取り入れても、その頃はすでに手遅れとなっている可能性もあります。
アマチュアのうちから「箱書き」をきちんと経ていれば、プロはまさにアマチュアの延長上にあるのです。
和風ファンタジーの可能性
私は基本的に「書きたい物語を最大限に活かせる世界観を構築するべき」と説いています。
そのほうが無駄のない「世界観」の設定が可能になるからです。
最初から「中世ヨーロッパ風の剣と魔法のファンタジー」ありきで物語を書いているかぎり、凡百な発想しか生まれません。
同様に最初から「和風ファンタジー」で行こう、と考えるのも世界観の設定に無駄が多くなります。
それは本当に「和風ファンタジー」でなければ表現できないのですか。
そう問われて、書き手はもちろん「和風ファンタジー」でなければダメなんですと答えるでしょう。
でも出来あがった物語は、別に「和風ファンタジー」でなくてもよさそうな話だった。なんて茶飯事です。
そもそも「和風ファンタジー」はニッチでありながらも一部の熱狂的なファンで支えられている、西欧に負けない魅力があります。
たとえばマンガの大和和紀氏『はいからさんが通る』やゲームのSEGA・広井王子氏『サクラ大戦』など、「和風ファンタジー」の名作は多くの受け手を魅了してきました。
「和風ファンタジー」は「中世ヨーロッパ風の剣と魔法のファンタジー」いわゆる「ナーロッパ」に負けないだけのジャンルなのです。ただ『小説家になろう』だと「ハイファンタジー」にまとめられてしまうため、「ナーロッパ」に埋没してしまうだけ。潜在能力は、私たちが日本人である以上「和風ファンタジー」に分があります。
そもそも半村良氏『戦国自衛隊』が書かれてから、タイムスリップものとして「和風ファンタジー」は描かれてきました。また江戸時代後期に滝沢馬琴氏『南総里見八犬伝』が書かれ、1983年に角川書店から実写映画化されたのです。
また近年では同人ゲームの上海アリス幻樂団『東方Project』が和風ファンタジーの雄として現在にわたって高い人気を誇ります。
集英社『週刊少年ジャンプ』においても、岸本斉史氏『NARUTO−ナルト−』や久保帯人氏『BLEACH』は海外で高い評価を得ています。古くは桐山光侍氏『NINKU−忍空−』や武井宏之氏『シャーマンキング』なども「和風ファンタジー」でした。
そして冨樫義博氏『幽☆遊☆白書』もコエンマが出てきたり和服の死神ぼたんが出てきたりと「和風ファンタジー」だったと解釈できます。
いずれも海外の人気がひじょうに高いのです。
日本人が「ナーロッパ」に沸くように、海外ファンは日本の「クール・ジャパン」コンテンツ、中でも「和風ファンタジー」をひじょうに高く評価してくれます。
現在日本の興行収入一位となった吾峠呼世晴氏『鬼滅の刃』も「和風ファンタジー」ですよね。
これからはマンガやアニメも海外を見据えたマルチメディア戦略に則って展開していきます。そのとき「ナーロッパ」と「和風ファンタジー」のどちらに分があるか。
『ジャンプ』マンガはその答えを指し示してくれているのではないでしょうか。
「和風ファンタジー」はじゅうぶん「ナーロッパ」と渡り合えます。
いえ、将来は「和風ファンタジー」だけが生き残るようになるかもしれません。
「クール・ジャパン」戦略が続くかぎり「和風ファンタジー」の需要は膨大なのですから。
最後に
今回は「箱書きがうまく作れない」にお答え致しました。
本日寄せられたご意見だったので、取り急ぎまとめてみました。
「箱書き」で創る「箱」はあくまでも「
ですが「
本来想定していた最終話は明日3月18日木曜日に投稿し、それをもって連載終了の流れとなります。
本日のようにご質問・ご意見・お問い合わせを、「明日3月18日12時」ギリギリまでお受けします。
じきに連載が終了しますので、迷っていたらとりあえずお気軽にお尋ねくださいませ。メッセージでもコメントでも感想でも。手段は問いません。
これだけは聞いておきたかった。そういう部分がありましたら、遠慮なくお寄せくださいね。
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