1493.質疑篇:書き手に必要な性質
過去のご質問などを精査しながらお答えしているため、応募期間が多少前後しますのでご了承くださいませ。
本日はご質問がございませんでした。
予定どおり明日3月17日水曜日の連載終了となります。
これが最後になりそうですので、明日15時までにご質問・お問い合わせをいただければ幸いです。
今回は「書き手に求められる性質はありますか」についてです。
書き手に必要な性質。実はそれほど多くありません。
これだけ押さえておけば、誰もが人気の出る書き手になれます。
書き手に必要な性質
「小説賞・新人賞」を獲るには、なにが必要ですか。
この問いは根源的なものであり、誰もが知りたがっているでしょう。
一言で表すならば「準備を余念なくする」です。
己の信念に従う
物語を考えるとき、他人がどれだけ「これを書くと閲覧数が増えるし、紙の書籍化もできるんだ」と吹聴しても、諸手を挙げて従ってはなりません。
それは他人が敷いたレールを走るだけであり、あなたの本当の能力がなにひとつ発揮されないからです。
だから仮に他人の成功法で「小説賞・新人賞」が獲れて紙の書籍化を約束されても、己の実力がないので続きは書けない。担当編集さんからの直しを自力では解決できない。
そうなってから初めて後悔するでしょう。
「もっと自分で考えて応募するべきだった」と。
ジョージ・マクドナルド氏は「人は他人の魂や肉体を持てない。同様に他人の考えは持てない」と喝破しました。
どんな物語が今ウケているのかだけで応募作を書いているかぎり、他人に頼っているのと同じです。
「小説賞・新人賞」を獲って紙の書籍で成功するには、つねに己の信念に従いましょう。
自分が書きたいと思った作品を応募するのです。
今小説投稿サイトでウケている作品、他人の成功法に従って書いても、それはあなたの実力ではありません。
そんな後追い姿勢では、仮に紙の書籍化されても後が続かないのです。他人の成功法はあなたの信念ではない。他人の成功体験をなぞっているだけでは、テレビアニメ化され原作小説が十巻で百万部売れる書き手にはなれないのです。
どんな作品を書きたいのか。どんな物語に「テーマ」を仮託したいのか。
すべてはあなた自身の信念に従うところから始めましょう。
「小説賞・新人賞」では募集告知があると、過去の受賞作を研究して似たような物語を作り上げる書き手が多いものです。
ときとして応募作の大半が後追いだった、なんて笑い話が繰り広げられます。
過去の受賞作をいくら研究しようと、それは過去の受賞者の劣化コピーを作っているにすぎないのです。
物語は「我が道を行く」で作らないとオリジナリティーをアピールできません。
過去の受賞作を研究して、それをことごとく排除した。なにひとつ似ていない物語にこそ、次の受賞チャンスがあるのです。
せっかく研究するのなら、受賞のおぼつかない過去の受賞作の後追いではなく、過去の受賞作とはまったく毛色の異なる物語を探してください。
もちろん過去の受賞作の後追いは、出版社も一定の需要を見据えやすく、優秀作や佳作に残して紙の書籍化を目指します。しかし代わり映えしない物語がそれほど売れるわけもなく、それこそ初版の数千部も売れたらよいほうです。
しかし過去に類を見ない物語は、一発でも最高の「逆転サヨナラ満塁ホームラン」のようなもの。それこそ十巻で三百万部も見込める「将来のドル箱」となる書き手を発掘したも同然です。
大胆に挑戦する勇気を持つ
あなたの信念に従いたくても、もしかしたら誰からも評価されないのでは、と臆病になり不安がる書き手が多いかもしれません。
とくにその小説投稿サイトで人気のある作品から可能なかぎり離れた作品を考え出したら。それを書いて「小説賞・新人賞」へ応募しても小説投稿サイトで人気がない物語なのだから、誰にも読んでもらえないかもしれない。誰からも評価されないかもしれない。
そういう恐怖や不安にさいなまれるのです。
しかし「小説賞・新人賞」で大賞を射止めたいなら、恐怖や不安など無理やりにでもねじ伏せ、大胆に攻め続けなければなりません。
あなたが狙うべきなのは「逆転サヨナラ満塁ホームラン」だけ。
地道にスクイズを打って、まずは一点返せたらよいな、では駄目なのです。
とにかく「小説賞・新人賞」へは大胆な決断が求められます。
誰からも評価されないかも、と臆病や恐怖や不安など考えるなといわれるほど意識してしまいますよね。だから考えるなとは言いません。
不安定なそれらの上に立って、大胆な策が打てるかどうか。これまでの受賞作、少なくとも直近の受賞作とはかけ離れた物語でオリジナリティーを発揮して、いかに選考で目立てるか。それだけを考えてください。
「逆転サヨナラ満塁ホームラン」を狙って打てる人は少ないでしょう。しかし、こと「小説賞・新人賞」においては、既存テンプレートを外すだけでよいのです。
「異世界転生」が流行っているから、応募作も「異世界転生」にしよう。
それで大賞が獲れるかどうかは、その年の競合次第です。もし十人中三作しか「異世界転生」を書かなかったら、もしかすると受賞するかもしれない。もし十人中九人も「異世界転生」を書いていたら、選考さんもあきらめて「異世界転生」を受賞させるかもしれない。逆にたった一作「異世界転生」でない物語が大賞を射止めるかもしれない。
賞レースではなにが起こるかわかりません。
私としては「既存テンプレートを外す」方法を是とします。
それはストーリーメーカーぶりを端的に表しているからです。
他人と同じ物語しか書けないのであれば、物語の泉も枯れています。「既存テンプレートを外す」だけで「この書き手はさまざまな物語が書ける」と評価が高まるのです。
もし出版社レーベルが「将来のドル箱」を探しているのなら、大賞に輝くのは間違いなく「既存テンプレートを外す」書き手です。
せっかく「小説賞・新人賞」という目立てるところに応募できるのです。
他の書き手同様のテンプレートで目立てますか。十人中九人が同じテンプレートであれば、目立つのは「既存テンプレートを外し」た作品に決まっているのです。
だから「小説賞・新人賞」は大胆に攻め続けてください。
裏で過去の受賞作を研究し、そのパターンをことごとく排除するのです。
計画や下準備は慎重である必要があります。
でも実行に移すときは大胆であるべきです。
それが「紙の書籍」化を呼び寄せます。自らをして「将来のドル箱」たりうる器と証明したいのなら「既存テンプレート」は絶対に避けましょう。
反響によって柔軟に修正する
長編小説の「小説賞・新人賞」ではなかなかやる機会はないのですが、連載小説を書いていると起こる問題があります。
主人公よりも「対になる存在」や脇役のほうが人気を博すのです。
この対処法には三つあります。
ひとつは当初の計画通りに進めて、主人公以外に人気を博した人物の扱いも変えない。
もうひとつは主人公を目立たせて読み手の人気を主人公に取り戻す。
最後は主人公をその人気を博した人物に変更して、より面白くなりそうな展開へと舵を切る。
いずれかです。
私は「企画書」「あらすじ」「箱書き」「プロット」の順に下準備をしますが、連載小説でキャラ人気が出た試しがありません。それだけ主人公が目立つ物語にしてあるからです。
しかし多くの連載の書き手は、主人公より目立ち人気が出る人物の存在に頭を悩ませます。そのまま放置して進めるか、主人公をテコ入れするか、いっそ主人公を変更するか。そこまでしなくても、人気のあるキャラクターの重要度を増す方法もあります。
連載小説を書いているときは、面白くなりそう、と感じたらすぐに軌道修正できるか即座に計算してください。
それにより読み手が満足する連載小説に生まれ変われますよ。
最後に
今回は「書き手に必要な性質」にお答え致しました。
「小説賞・新人賞」へ応募したければ、誰も書かないような物語で勝負するべきです。
「凡百とは違う」と示せば、受賞確率もそれだけ高まります。
一度自分の書きたいものを決めたら、大胆に邁進してください。走り出したら止まらない「暴走特急」のような果敢さを忘れないようにしましょう。
そして連載小説を執筆中に他キャラに人気が出たら、柔軟に対応するのです。
ただし、それで確実に物語を面白くしなければなりませんよ。
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