1492.質疑篇:連載しながら長編小説賞を狙いたい

 過去のご質問などを精査しながらお答えしているため、応募期間が多少前後しますのでご了承くださいませ。


 本日はご質問がございませんでした。

 昨日の予定どおり3月17日水曜日の連載終了となります。

 まだまだご質問を承りますので、気兼ねなくご質問・お問い合わせをいただければ幸いです。


 今日は「長編小説が書けるようになったので、今度は連載しながら小説賞・新人賞を狙いたい」というご質問についてです。

 まずはペースを掴んでください。





連載しながら長編小説賞を狙いたい


 本コラムでは「小説賞・新人賞」に応募するためのノウハウをお伝え致しました。

 現在は小説投稿サイトで連載している作品でも応募できるものが多いですね。

 今回は連載しながら長編小説賞を狙いたい場合のノウハウです。




まず一本書いて一話を何時間で書けるか知る

 最初から「連載しながら長編小説賞を狙う」のはやめましょう。

 やりたいのなら、まずは通常の手順で一本完成させてください。そうして一話を何時間で書けるのか知るべきです。

 たとえば「箱書き」までは確定させて、一話の「プロット」から「執筆」「推敲」までに何時間かかるのか。

 これを知らないと、毎日連載できるだけの余裕があるのかないのかわかりません。

 「毎日連載して長編小説賞を狙えたら」

 その目標はよいのですが、まずは身の丈を知りましょう。

 たとえば「プロット」から書き始めたら四時間かかるような方だと、下準備は「プロット」の終了まで含めるべきです。

 毎回、一話二時間以内で書けるようにならないと毎日連載はかなり厳しい。

 だから「プロット」からで四時間かかるようなら、毎日「執筆」「推敲」だけ考えれば済むように下準備を整えるのです。

 「毎回の連載に何時間使えるのか」を知り、「一話で推敲までのどの過程からならその時間内に収まるのか」を見つけ出しましょう。

 「プロット」「執筆」「推敲」の三つを一日三千字から五千字で二時間以内に書けるようなら、読み手のリクエストにも応えやすい。

 なのでこれを目指しながらも、まずは今の時点で何時間かかっているのか把握してください。




流れに任せず下準備を丁寧に

 連載しながら長編小説を書けばよいのなら、その場の思いつきで作品を書いてもよいはず——ではありません。

 連載しながら長編小説賞を狙いたいのなら、まず「長編小説賞の文字数制限」を必ずチェックしてください。

 もし「十二万字以内」と定められているのなら。いくら連載が好評でも文字数制限内に収まる作品とするべきです。

 あまりにも興が乗りすぎて、文字数制限をオーバーしてしまったら。

 これまで連載してきた意味がなくなってしまいます。

 真っ先に知っておきたいのは「文字数制限」です。


 ではそれだけでよいのかといえば違います。

 「連載一回あたり何千字で書けるのか」

 これを知らなければなりません。

 一枚の「箱書き」を何千字、何万字に膨らませられるかを把握するのです。

 もし一枚の「箱書き」で一万二千字超書けるのなら。四分割して一話三千字か、三分割して一話四千字と設定するのがベストです。

 しかし「箱」はシーンに対応しているので、基本的に一枚の「箱書き」で書けるのはピッタリ一話ぶんがほとんどのはず。つまり一話三千字から五千字です。

 これなら何枚の「箱」を用意すれば募集要項を満たせるかの目安がわかります。

 間をとって一話四千字で書けるのなら、三十シーン(三十話)の「箱書き」を用意すれば済むのです。

 しかし最初から四千字書ける方は少ないので、だいたい一話三千字にすれば、四十シーン(四十話)の「箱書き」を用意しておきましょう。

 これは絶対ではなく、書き手によっては一話二千字から二千五百字がサクサク書けて性に合っている方もいらっしゃいます。


 また「読み手からのリクエスト」に応えるかどうかも連載前に決めておいてください。

 もし「リクエストに応えつつ長編小説賞を目指す」のであれば、募集要項の最低限の分量ぶんだけ準備します。

 そして募集要項の最大限までを「リクエストに応えられる文字数」として余らせておくのです。

 こうすれば「連載しながら長編小説賞を狙っ」ても、小説投稿サイトの読み手からリクエストで寄り道や書き増しもできます。




思い切って始めてみる

 事前にペースをつかんでおり、これだけ事前準備を整えていれば、あとは思い切って連載を始めてみましょう。

 実際に執筆を進めなければ、いつまで経っても自分のペースがつかめません。

 連載していけば、どこかで足を引っ張られるかもしれません。

 ですが、どの段階、なにが原因で足を引っ張られるかも、実際に連載しなければわからないのです。

 そのためにあらかじめ「起承転結」の「承」まで書き溜めてあると、書けなかったときの「保険」となります。

 つまりすでに半分の執筆は完了していて、あとは読み手との呼吸で連載を進めていけばよいのです。

 しかも最低限の分量はすでに確保してあるので、あとは最大限に達しないよう気をつけながら進行できます。

 このあたりの入りと抜きのテクニックも、実際に連載しながら執筆してみなければ身につきません。

 「連載しながら長編小説賞を狙う」手順も体得できるので、迷いがあっても始めてみましょう。

 ですが最初から毎日連載でなくてかまいません。毎週連載でも週二回連載でもよいのです。空いた時間を有効に活用して連載を開始してください。




連載ペースは必ず守る

 一度決めた連載ペースは、必ず守ってください。

 なので、初めての「連載しながら」であれば毎週連載か週二回連載にしておくと、ペースはかなり楽になります。

 しかし毎日連載と比べて閲覧数が伸びにくいので、モチベーションが保てなくなるかもしれません。

 反響はなくても連載ペースを守っているとさまざまな経験ができます。

 プロデビューしてからも必要になる「強い意志」と「継続力」です。

 一度決めたペースなのだから「絶対に守る」と「強い意志」が身につき、それを何十日も「継続する力」も手に入ります。

 また読み手のリクエストをどう取り込んで、当初の青写真よりも面白い物語にするか。構想を振り返って組み立て直す「構成力」も鍛えられます。

 これらは仮想で行なっても鍛えられません。あくまでも実戦でしか培われない能力なのです。

 「連載しながら長編小説賞を狙う」のは、プロデビュー後の雑誌連載でも原稿を落とさなくなる利点もあります。

 だから一度決めた連載ペースは必ず守りましょう。

 まずは余裕を持ったペースに設定してください。





最後に

 今回は「連載しながら長編小説賞を狙いたい」にお答え致しました。

 毎日書ける分量を把握してください。

 もしひとシーンを三千字で書けないのなら、連載回数を増やして対応するのです。

 できればひとシーンを三千字で書けたら、三十六話を目安にすれば最大十二万字までに収まりますよ。

 あとは連載を始める勇気と大胆さを持ちましょう。

 なに、始めてしまえばどうとでもなりますよ。

 失敗しても、次の成功への糧になったと解釈すればよいのです。

 プロになりたい方や、小説を多くの人に読んでもらいたい方は、「連載しながら長編小説賞を狙って」みましょう。



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