1471.端緒篇:宣伝をせんでどうするのか

 つまらないダジャレのサブタイトルです。

 でも苦労して書いた長編小説なのに、ほとんど読んでもらえないのでは、骨折り損のくたびれ儲け。満足感すら覚えません。

 せっかくの力作なら、多くの方にアピールしなくてどうしますか。





宣伝をせんでどうするのか


 あなたが二カ月、三カ月かけて書いた長編小説はどれだけの方に読んでもらえるのでしょうか。

 気にかけなくてもPVがぐんぐん伸びていく方もいますが、それは大ヒット作を手がけた書き手の新作だけです。

 どうしても読まれたいのなら「宣伝」する以外ありません。




宣伝はプロの扉を開く

 「宣伝」が多くの読み手を集めて閲覧数や評価を上げます。結果としてランキングへ押し上げる効果があるのです。

 とくに「小説賞・新人賞」の一次選考を読み手に委ねている『カクヨム』では「宣伝」の重要性が顕著に表れます。

 ではどのように「宣伝」すればよいのでしょうか。




小説投稿サイト内で宣伝する

 小説投稿サイトでは「宣伝」するのが難しいですよね。

 それこそ大人気作の書き手なら新作は放っておいても読み手が集まりますし、積極的に評価もしてくれるのでランキングに載りやすい。これでは強い者がより強くなるばかり。今から小説投稿サイトで書き手デビューしてもランキングにはまず載れない。とくに老舗の『小説家になろう』では顕著です。

 強者がより人気を集める小説投稿サイトのランキング至上主義は、どうにかしないとそのサイトがどんどん書き手の固定化を招いて廃れていきます。

 では強者でない書き手はどうすれば新作を読まれるようになるのでしょうか。


 誰かが「レビュー」を書いてくれれば、そのレビューが掲載されている間は「宣伝」が機能してくれます。

 しかしレビューは次々と書かれますから、そのうち新規レビューに押されて掲載が終了していくのです。これでは「宣伝」として心もとない。

 まさかマルチアカウントして自分の小説を自作自演でレビューするなどという姑息な手を使っている方はいらっしゃらないと思います。見かけたら運営さんに通報してくださいね。

 長編小説のレビューは、連載開始から数回のうちに書いてもらうのがいちばん「宣伝」効果が高いのです。連載終了してからレビューを書かれても、物語がそれ以上続かないのは確定しているので「あとで読めばいいや」となって、結果読まれずに終わってしまいます。

 長編小説であれば、連載が始まった頃にどれだけ「レビュー」が集まるかで人気化するかわかるのです。

 しかし誰かに「レビューを書いてください」とお願いするのも違いますよね。レビューは読み手の自由意志で行なわれるべきです。




番外編という入り口を作る

 ではレビューに頼らず「宣伝」する方法はないのか。

 実はあるのです。

 「番外編」ってなぜ存在するかわかりますか。

 本筋である長編小説をテコ入れするために、その入り口となる短編小説を書く。しかも長編小説では触れていない物語が展開されます。

 ということは「番外編」は長編小説の読み手へのサービスです。長編小説を読んでいるから「番外編」は楽しく読めます。

 それなら長編小説に「番外編」を続けて書いたほうが読まれるのではないか。そう思いますよね。

 実際に長編小説の連載中に「番外編」を差し挟むと、物語が冗長になる可能性があります。本筋にはあまり関係しない「番外編」は、読み手によっては「水増し」に映るのです。

 長編小説の本筋に絡まないのであれば、「番外編」は長編小説から切り離して投稿してください。


 「番外編」を本編の長編小説から切り離して、短編小説として投稿すると、享受できるメリットが大きいのです。

 まず本編の長編小説の読み手にサービスできます。主人公やヒロインの違った一面や、「対になる存在」のほのぼのとした日常といった小さな物語は、本編がより深く楽しめるブースターとして機能するのです。

 次に本編の長編小説を知らなかった読み手に「こんなキャラクターが活躍する長編小説を連載しています」とアピールできます。つまり「宣伝」として機能するのです。

 長編小説を連載しつつ「番外編」を執筆する余裕はないかもしれません。しかし五千字程度の短編小説を一、二時間くらいででっち上げる能力がないと、そもそもプロになってから苦労しますよ。

 連載しながらなので、毎回「番外編」を書くのは効率がきわめて悪い。

 そこで土日など書き手も読み手も時間があるときに「番外編」を掲載できれば、効率が上がります。

 たとえば長編小説は月曜から金曜までの毎日連載とし、土日に一本の「番外編」を短編小説で掲載する。

 このくらいならやってできなくはないと思いませんか。

 某公営テレビ放送局の朝ドラも、土曜放送ぶんが月曜から金曜までの総集編となりましたよね。

 テレビでそれが許されるのなら、小説だって許されるべきです。

 先ほども述べましたが、「宣伝」は連載がそれほど進んでいないときにするのが効果的です。

 だからこそ「番外編」は土日に一本書くくらいがちょうどよいのです。

 物語が加速度をつけたところで「番外編」は終了しましょう。そこからは中途参加しても楽しめなくなる場合が多い。

 どのあたりを「加速度がつく」と判断するか。だいたい「起承転結」の「転」に入ったら「加速度がついた」と判断してください。

 つまり「番外編」は「起承」までにするのが効果的です。


 木にたとえると「起」は根っこになります。「番外編」は養分です。物語の立ち上がりである「起」でどれだけ養分を吸ったかで根っこと幹の太さが変わってきます。

 「承」は幹です。「番外編」で幹にも養分を通せばどんどん太くてたくましくなります。

 「転」は枝、「結」は葉です。幹を通ってきた養分はすでに幹を育てていて、枝葉まではまわりません。枝葉は光合成によって有機物である炭素を取り込む器官です。だから「転結」では養分「番外編」は邪魔になるだけ。


 このように「番外編」には本編である長編小説の読み手を楽しませる効果があります。

 もうひとつの効果も期待できます。本編を読んでいない方を取り込む「入り口」の役目を果たすのです。


 本編がすでに五回、十回と連載をしていると、ご新規さんが読むのをためらってしまいます。

 しかし「番外編」は独立した短編小説なので、いつ読んでも楽しめるのです。

 これにより「番外編」を楽しんで読んでくれた方に本編の長編小説をオススメできます。まさに長編小説への「入り口」です。

 小説投稿サイト内で、書き手が独力でできる「宣伝」として最も有効に機能するのが「番外編」なのです。




小説投稿サイト外で宣伝する

 どんなに小説投稿サイト内でレビューが書かれたり番外編を書いたりしても、それは小説投稿サイトという「内輪」でしか機能しません。

 その外へと「宣伝」すれば、世界中があなたの作品を読みにくる可能性もあります。

 日本語という壁がありますので日本国民だけをターゲットとしても、インターネットが使えるのは数千万人はいるのです。小説投稿サイトで最もアカウント数が多いのは『小説家になろう』の約二百万です。桁がひとつ違いますよね。

 そうなのです。いくら小説投稿サイト内で巧みに「宣伝」できても、小説投稿サイト外でアピールする「宣伝力」がないと読み手は期待するほど増えないのです。

 本コラムは現在「予約投稿」で掲載しているので、TwitterなどのSNSで宣伝するのが困難になっています。だからか、ご新規さんがなかなか集まらないという残念な状況にあるのです。この回からは、もう一度Twitterでアピールしていこうかと考えております。

 小説投稿サイト内だけを考えていた方は、ぜひ外にも目を向けましょう。

 「井の中の蛙大海を知らず」とならないように、ぜひ大海へ進出するのです。

 井の中だけで「宣伝」してもたかが知れています。潜在的な読み手は小説投稿サイトの外にいるのですから。

 ぜひSNSをフル活用して、外から読み手を連れてきましょう。





最後に

 今回は「宣伝をせんでどうするのか」について述べました。

 「宣伝をせんでん」というくだらないダジャレから思いつきました。

 とは言いながらも、「宣伝」はやはり重要です。

 書き手は小説をうまく書ければそれでよいわけではありません。よい小説でも「宣伝」が不足しているとほとんど読まれずに埋もれてしまうのです。

 小説投稿サイトは、読み手を唸らせる作品を書くだけでは駄目で、いかに「宣伝」して集客するかを競う場でもあります。

 その最たるものはランキングですが、ランキング以外でも「アピール」のしどころはあるのです。

 まずは「番外編」から始めてみませんか。



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