1439.端緒篇:テーマで命題を活かせる小説賞・新人賞へ
今回は「テーマ」についてです。
しかしただ「テーマ」といわれて設定できる方は少ない。
「小説賞・新人賞」の「お題」がテーマとなりやすいですね。
だから「テーマ」を持って執筆したいなら「小説賞・新人賞」へ応募するつもりで書きましょう。
テーマで命題を活かせる小説賞・新人賞へ
小説投稿サイトや紙の雑誌が企画する「小説賞・新人賞」には、たいてい「お題」が設定されています。
「夏」「卒業」「高校野球」などの季節イベント、「児童向け」「小学校読書感想文向け」「サラリーマン向け」などの読み手層、「ラブコメ」「青春」などのジャンル。などが「お題」として出されます。
これらの「お題」とあなたの「命題」は不可分です。
命題で無理なく書けるお題に挑む
「命題」は、あなたが無理なく書ける物語を示してくれます。
水泳部出身なら「水泳」が、文学部出身なら「文学」が「命題」に加わるのです。
「文学」が命題であれば、ライトノベルで独壇場の「異世界ファンタジー」が「お題」の「小説賞・新人賞」には応募しないほうがよいでしょう。
書きたくてしょうがない「命題」(文学)とかけ離れているため、どうしても「お題」(異世界ファンタジー)を活かした物語がパッとひらめかないからです。
命題は「純愛」でお題が「異世界ファンタジー」なら、異世界で「純愛」物語なら書けます。すでにジャンルとして確立している「異世界恋愛」ですね。単にお題に片足をかけているのです、書けなくはありません。
そうです。「お題」は「テーマ」になりやすいのです。
「命題」を踏まえて書いた小説で、あなたが読み手に伝えたい「テーマ」はなんでしょうか。
「恋愛」ものが「命題」なら、「博愛こそ真の恋愛と強弁」なのか「夫や妻に隠れて浮気するとバレてたいへんな惨事を招く」なのか「純愛でひとりの異性に尽くす」なのか。
「お題」からつなげて、読み手へ伝えたい「テーマ」を絞り込むのです。
私の命題のひとつである「兵法」から「戦争での生き死に」をテーマに据えてみる。これなら「命題」で表現できる「テーマ」となります。
「兵法」の命題があるので、古今東西の戦争を「兵法」の視点から分析していました。たとえばフランク・ミラー氏原作&ザック・スナイダー氏監督『
「推理」も私の命題のひとつです。中学三年生最後の期末試験。理科のテストが九十問○×クイズと化していました。しかし頭がよい生徒ほど「あやふやな問題で○」としたら、「きっと全問×に見せかけて落とし穴を掘ってあるに違いない」と思ったようです。しかし私は理科教師の性格と過去の出題傾向から冷静に「推理」して「全問×に違いない」と導き出しました。以下の「推理」です。
1.普通に解いたら○が13問ありました。私は理科で100点を獲ったこともありますが、最も多かったのが85点前後です。
2.○と解答した13問のうち、自信のなかった10問を×にしました。もし最初の答えで満点だったとしても、この変更で90点は獲れるわけです。
3.残り3問をどうするか考えた結果、どうせ最低でも90点は獲れているのだから、理科教師の性格を考えて「全問×の可能性が高い」と判断しました。
この理科教師は「迷路」や「数独」などをテストに出題するくらいの変わり者です。
4.頭の良い生徒ほど1問でも○が付くと「全問×はない」と思い込みました。
結果として、二学年に跨ったこのテストで満点を獲ったのは私ただ一人。私の「推理」が理科教師の思惑の上を行ったわけですね。
このあたりの心理的な駆け引きは「兵法」も加味されています。ただ単に「推理」しただけでは「全問×かもしれない」と思いながらも踏み切れません。私の日頃の実力が80点台以上で、今回のテストも○が13問あった。ここを「推理」して「全問×かもしれない」と導いて、「兵法」の観点から「勝てる選択」に踏み切った結果掴んだ栄誉だったわけです。
「命題」を熟知している者のみが「全問×はある」と真実に到達できました。
頭がよいだけでは自分を過信しがちです。つねにいくつか失敗しているからこそ「自分の実力を冷静に捉えられ」ます。
小説の「テーマ」も「命題」を活かさなければ成果を挙げられません。
私にとっての「剣と魔法のファンタジー」は「命題」の「中世ヨーロッパのような」「兵法」「出世物語」に若干「推理」を混ぜたものです。
私の「剣と魔法のファンタジー」の世界観は、他の人の「剣と魔法のファンタジー」の世界観とは若干異なります。私は「
「テーマ」に「命題」を活かすのが、あなただから書ける唯一無二の物語にするコツといえます。
テーマのない作品は不安だらけ
小説投稿サイトで連載小説を掲載する場合、「テーマ」を決めないで書く方が多いように見受けられます。しかしそれはメニューのないフランス料理店のようなものです。「シェフのおまかせ」で出される料理は確かにおいしいのかもしれません。ですがいったい値段はいかほどか。会計のときまで注文した人にはわからないのです。
それくらいなら明朗会計の回転寿司のほうが安心して食べられるから好き、という方が出てきても不思議はありません。
この「明朗会計の回転寿司」が「テーマのはっきりした小説」なのです。
「テーマ」がまったくわからない「フランス料理店」と、「テーマ」のはっきりした「回転寿司」。どちらの店が繁盛するのでしょうか。自明ですよね。
「価格がわからないフランス料理店」のような小説を好む方もいるでしょう。しかしそれは一部の裕福な人のみです。大多数の食費を抑えようとする人は、予算オーバーになったら生活できませんから絶対に「フランス料理店」では食べません。
「テーマ」のない作品は読んでいて不安を覚えます。「この物語はいったいどんな物語なんだろうか」と疑心暗鬼で読み続けられる人は数少ない。よほど時間が有り余っている読み手なら「この先どんな物語になるかわからない」から、「テーマ」がわかるまで継続して読んでくれます。しかし世の中そんな時間が裕福な方はごく少数です。多くの読み手は少ない時間をやりくりして小説を読んでいます。
得体のしれない「テーマ」のない作品を読んで不安がるのを楽しめる人などかなり奇特です。通常は読みたい「テーマ」でないとわかった段階で読みさして別の小説に移ってしまいます。
だからこそ小説投稿サイトでの連載だろうとも「テーマ」をしっかりと持たなければならないのです。
「小説賞・新人賞」のときだけ「テーマ」を決めて書こうとしても、経験値がないのですから選考さんを納得させるだけの物語にはなりません。
最後に
今回は「テーマで命題を活かせる小説賞・新人賞へ」について述べました。
「テーマ」を決めて書いた経験が豊富だから、「小説賞・新人賞」の応募作も上等な作品で挑めるのです。
そして「テーマ」をあなたなりに表現するためには「命題」の力を借りるのが手っ取り早くて確実です。
自身の「命題」を知らず「テーマ」に挑んでも、どう書けばよいのかわからない。
「命題」を知っていても「テーマ」を設定しなければ、伝えたいものがないのです。
まして「命題」を知らず「テーマ」も設定しなければ、どうやって大賞を得ようというのでしょうか。(このあたりは『孫子』の言い回しですね)。
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