1367.物語篇:物語111.寮・アパート・シェア

 親元から独立する際、いきなり一戸建てを買える人はほとんどいません。

 まずは安価やアパートや社員寮などに入って貯金を始めますよね。

 また学生でもスポーツ推薦ならたいていが他県出身なので寮生活になります。





物語111.寮・アパート・シェア


 親元から離れて寮暮らしする学生や社会人もいるでしょう。

 自宅から通学するには距離があるとか、職場の近くに住んでもらって有事の際に駆けつけられるようにしておきたいとか。なにかと理由はあるはずです。

 またアパートのような小さな共同体での人間物語もあるでしょう。

 最近は高層マンションが増えたので、隣近所との付き合いも昔ながらのアパートのようにはいかないかもしれませんね。




寮の人間関係

 寮に入る状況となれば、なにがしかの理由があって寮生活させたほうがよい、と判断された可能性が高いですね。

 たとえば学園都市で、学生生徒は学園都市内の寮へ入らなければならないとか。

 鎌池和馬氏『とある魔術の禁書目録』、スピンオフの鎌池和馬氏&冬川基氏『とある科学の超電磁砲』は能力者を学園都市へ集めるために、至るところに寮が作られていますよね。

 御坂美琴が白井黒子と同室で暮らしている常盤台中学の寮には寮監がいます。まぁ昔ふうに言うなら「寮母」さんですね。『とある魔術の禁書目録』ではおそらく二回しか登場していません。常盤台中学の寮はそういう制度なんだとわからせるための出演なのでしょうね。二回しか登場しない人が重要人物、というのもなさそうですし。

 スピンオフの『とある科学の超電磁砲』の寮監は、レベル4の瞬間移動者である白井黒子の首根っこをあっさりと捕まえ、レベル5第三位の御坂美琴すら身動ぎできないほどの威圧感を誇っています。これだけ強い寮監なら物語への出演回数も増えるはずです。

 寮監との関係だけでなく、「御坂美琴と白井黒子が同室」のように寮の相部屋で仲良くなるケースは数多くの作品で見られます。これはルームシェアの話でもありますね。

 しかし現代日本では、基本的に寮で相部屋になるのではなく、自らアパートなどを借りて一人暮らしするほうが多い。学校側も別途「学生寮」を設けるのは管理などが難しくなります。だからだいたいはスボーツ推薦で入学するような県外からの学生生徒に生活の場を無償で提供するくらいにしか寮は残されていません。たとえば大学駅伝などの出場校では、陸上部が部員を管理するために寮を残しているものです。このようなスポーツ推薦や特待生などが入るくらいしか寮制度は見られません。

『とある魔術の禁書目録』では、当然主人公の上条当麻もとある高校の寮に入っており、「管理人のお姉さん」のような人物が好意を抱く対象となっています。彼も遠くから学園都市へ通うわけにもいかないので、寮生活です。レベル0のはずですが、最強の右腕「幻想殺しイマジンブレイカー」を持っており、魔術サイドも科学サイドも一目置く存在です。存在感は巻を進めるほど増していくので、学園都市としても管理下に置いたほうがよしとしているのかもしれません。

 あとホストやホステスは相部屋が多くて話題になりましたね。新型コロナウイルス感染症が「夜の繁華街」でクラスターを発生させた。その原因はホストやホステスが寮で相部屋になり、だいたい同じ寮に全員が住んでいるためとされています。

 これを受けてますます寮が少なくなるかもしれませんね。

 今のアニメで有名なところでは『アイドリッシュセブン』の小鳥遊芸能事務所の寮があります。

 ちなみに学生寮ものの小説では森見登美彦氏『四畳半神話大系』、荻原規子氏『R・D・G レッド・データ・ガール』シリーズ、山田風太郎氏『青春探偵団』などですね。いずれも少し古い作品なのが玉に瑕ですが。




アパートの人間関係

 アパートを舞台にした有名なマンガに、このたび紫綬褒章の決まったマンガの高橋留美子氏『めぞん一刻』があります。

 今となってはその存在さえ珍しい木造二階建てアパートが舞台です。

 アパートはマンションと違って部屋数が少なく、したがって入居人数も少ない傾向にあります。だから同じアパートの住人は、頻繁に顔を合わせますし、隣人関係をとてもたいせつにするのです。

 まぁ鉄筋コンクリート造の十階建て「アパート」というものも現実にありはしますけどね。

 そもそも木造二階建てアパートの名称が「一刻館」だしタイトルも「めぞん一刻」なのですから、ある種のコメディー色を出そうとする意図が見受けられます。このあたりを計算しているのが、高橋留美子氏の着想力の素晴らしさだと言えるでしょう。

 マンガでは蒼樹うめ氏『ひだまりスケッチ』、東村アキコ氏『海月姫』、最近では宮島礼吏氏『彼女、お借りします』もアパートものですね。

 アニメでは『クラシカロイド』が有名でしょうか。

 文学小説としては辻村深月氏『スロウハイツの神様』、島本理生氏『真綿荘の住人たち』、吉田修一氏『パレード』、江國香織氏『ホテルカクタス』などがあります。

 既存のアパートは建て替えのときにたいていマンションになる。そのほうが入居数を増やせて収入も見込めますからね。建蔽率や日照権の問題で高層化が難しい場合でも、鉄筋コンクリート造の低層アパートに改築されています。だから、以前のような典型的なアパートは急速に数を減らしているのです。




シェアハウス・ルームシェア

 シェアハウスとは、ひとつの戸建住宅を複数の人物が使用する形態を指します。

 シェアハウスといえば古い方にはマンガのあだち充氏『陽あたり良好』が有名ですよね。ひとつ屋根の下で暮らすさまざまな人物が織りなす青春ラブコメとなっています。

 新しいところではアニメ化されたスマートフォン向けマンガアプリ『マンガワン』連載の火野遥人氏『たくのみ。』ですかね。


 ルームシェアとは、ひとつの部屋を複数の人物が使用する形態を指します。

 ルームシェアの名作といえばアニメ化・実写映画化もされたマンガの矢沢あい氏『NANA』を挙げる方が多いでしょう。

 木村拓哉氏と山口智子氏が主演した月九ドラマの北川悦吏子氏『ロングバケーション』もルームシェアの物語になっていましたね。一時代を築いたドラマですが、ジャニーズ出身にありがちな「再放送できない制約」のある作品のため、現在ではなかなか観る機会がありませんね。レンタルでならまだ観られるのですが、地上波再放送はまず期待できません。

 シェアものの小説には江國香織氏『落下する夕方』、柚木麻子『嘆きの美女』、阿川佐和子氏『屋上のあるアパート』『スープ・オペラ』などがあります。





最後に

 今回は「物語111.寮・アパート・シェア」について述べました。

 生活の中に他人が入り込む形態として、寮・アパート・シェアものがあります。

 これらはドラマが起こりやすいシチュエーションなので、物語に組み込みやすい利点があります。

 しかし寮は制度自体がすでに古いですし、アパートも数を減らしています。

 その代わり、シェアハウスやルームシェアが台頭しているのです。

 物語のイメージが湧きやすいのも利点ですね。



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