1338.物語篇:物語82.部活動と委員会

 今回は「部活動と委員会」についてです。

 生徒会も「委員会」にまとめています。

 渡航氏『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』は「奉仕部」の活動がメイン、谷川流氏『涼宮ハルヒ』シリーズは「SOS団」が舞台でしたよね。

 学園ものでは「部活動」と「委員会」は外せません。





物語82.部活動と委員会


 学生生徒の頃は学校で部活動やサークル、また割り当てられた委員会に取り組むものです。

 なぜ本業の「勉強」以外のものを学生生活でする必要があるのでしょうか。

 そこに物語があります。




テーブルゲームの部活動

 部活動のうちスポーツに関してはすでに述べているので割愛致します。

 ここからは文化系の部活動について考えてみましょう。

 とはいえ囲碁や将棋のような対戦形式のものは、どうしてもスポーツと同じく「心理戦」の要素が強くなりますので、基本的には「スポーツ」ものとして扱います。

 ですが囲碁や将棋のようなテーブルゲームで実際にライトノベルやマンガなどで描かれているのは囲碁と将棋くらいしかありません。チェスやオセロ(これは商標なので一般的にはリバーシ)を題材としたライトノベルやマンガはまず見ません。

 Google検索で確認したところ、チェスのマンガは磯見仁月氏『クロノ・モノクローム』が5巻完結、木口糧氏&若松卓宏氏『盤上のポラリス』が3巻完結、リン・グレアム氏&小越なつえ氏『誘惑のチェスゲーム』が3巻完結、といずれも短命に終わっています。チェスのライトノベルはこれといったものがありませんね。

 リバーシはマンガさえもなく、ライトノベルで染井吉乃氏&三池ろむこ氏『君色リバーシ』があるだけでしかも単巻完結です。

 Google検索なら数としては将棋>囲碁>チェス>リバーシの順になりますね。

 さぁ皆様の出番です。テーブルゲームはたびたびヒット作が出ているのです。ほったゆみ氏&小畑健氏『ヒカルの碁』が大ブレイクして囲碁ブームを巻き起こしたり、羽海野チカ氏『3月のライオン』が将棋ブームを作ったり。

 ということは、チェスやリバーシを題材にすれば、あなたが新しいブームを作れるかもしれません! ──というのは冗談です。もし本当に大ヒットしてブームを生めるのならすでに商業作家が大ヒットさせています。上記したように実際に作品になっているのに、まったくブームにすらなりませんでした。

 日本人に馴染みのないチェスが不人気なのはまぁわかります。普通の日本人には書けるだけの知識がないですよね。

 リバーシは商標権でガチガチに固められているので、書いても儲かりません。しかもリバーシに至っては「先手必勝」の戦術がありますので、駆け引きにすらならないおそれもあります。

 となればテーブルゲームは囲碁や将棋以外ヒットしないのかもしれません。




TRPGは異世界ファンタジーの祖

 そこで考えられるのがTRPGテーブルトーク・ロールプレイングゲームです。

 ゲームマスターやダンジョンマスターと呼ばれるゲーム進行を担当する一人がいて、他の参加者がプレイヤーとなって役割を演じて楽しむ「ボードゲーム」と言えます。

 ゲイリー・ガイギャックス氏が1974年に送り出した名作TRPG『Dungeons&Dragons』は現在第五版です。このゲームは映画のスティーブン・スピルバーグ氏監督『E・T』で兄弟がプレイしている姿を映しています。この『D&D』はJ.R.R.トールキン氏『指輪物語』の世界観で冒険する形となり、これが「剣と魔法のファンタジー」の原点を決定づけました。もし「剣と魔法のファンタジー」の原点を知りたければ入手しづらい『指輪物語』よりも『D&D』のルールブックを入手してもよいでしょう。古典的な「剣と魔法のファンタジー」世界を知れますよ。

『D&D』とは別の、北欧神話に特化した『Tunnels&Trolls』も人気がありました。1975年に発表され、六面体ダイスだけでプレイ可能という手軽さで人気を集めたのです。『D&D』は四面体ダイス、六面体ダイス、八面体ダイス、十面体ダイス、十二面体ダイス、二十面体ダイスを使ってプレイするので、発表当時これらを集めるだけで苦労しました。それが『T&T』では一般に普及している六面体ダイスだけでプレイでき、システムもとても簡便に作ってありますので、こちらのほうが好きな方も多い。現在『Tunnels&Trolls』完全版が発売されています。

『D&D』はルールが複雑、かと言って『T&T』でも複数人いなければプレイできませんでした。その壁を越えてみせたのが「ゲームブック」と呼ばれるジャンルです。スティーブ・ジャクソン氏『火吹山の魔法使い』に代表される「ファイティング・ファンタジー」シリーズが有名です。こちらも現在はTRPG化されており『アドバンスド・ファイティング・ファンタジー』第二版が販売されています。

「ゲームブック」はあるページにある内容に従って分岐し、サイコロで判定して分岐して結果がわかる書籍です。ページがランダムな「すごろく」のようなものです。

「ファイティング・ファンタジー」シリーズのヒットにより、『T&T』のソロシナリオがゲームブックの形で販売されました。現在も過去の名作を『T&T』完全版対応にしたり新作を投入したりして市場を賑わせています。

 これらTRPGは、複数人が参加して冒険を楽しむプレイスタイルですので、きわめて「異世界ファンタジー」に近いのです。どうしても「異世界ファンタジー」が書けない方は、TRPGをプレイしてみましょう。まずはプレイヤーとして。慣れてきたらゲームマスターやダンジョンマスターとしてプレイすれば、どんなシナリオが面白いのかわかってくるでしょう。




文化祭やコンテストを目指して

 文化系とくに芸術系の部活動は、目標を決めて練習に励みます。

 文化祭で作品を披露する、コンテストに参加する、コンクールに出場する。そういった目標です。

「小説賞・新人賞」に応募する長編小説では、これらの目標からひとつを選んで佳境クライマックスに据えてください。「ピアノコンクールで首席になるべく最終審査の審査員の前で弾く場面」も立派な佳境です。

 ピアノコンクールほど目立ちませんが、演劇部が文化祭で演劇を披露するのも立派な佳境だと言えます。文化祭では優劣は競わず、日頃の練習の成果を披露して拍手歓声をもらうのも目標にはじゅうぶんです。

 もし文学部に在籍していたら、手当たり次第「小説賞・新人賞」へ応募しまくる生徒もいるでしょう。文学部の月刊誌に載せるために作品を書くときもありますね。読み専の文学部だと話が広がりませんよね。そもそも読み専特有のうんちくに詳しくなければ、底が浅いので表面をなぞっただけの作品になりがちです。

 かく言う私も読書量は少ないので、小説も有名どころくらいしかわかりませんが。書き専だったせいもあります。




委員会の活動

 学生生徒になると多くがどこかの委員会に属します。

 その中で頂点なのが「生徒会」です。ゆえにライトノベルでも「生徒会」が幅を利かせています。

 アニメ化もされたマンガの氏家ト全氏『生徒会役員共』がとくに有名でしょうか。

 面白いのは「異世界ファンタジー」の学校でも「生徒会」の出てくる作品がかなりある点です。まぁ学校というものがあればそこには学生生徒がいて、彼ら彼女らが組織として動くには導く人が必要、というのはわかります。企業の「経営陣」に対して「労働組合」があるようなものです。

 生徒会は通常、生徒会長を頂点として、副会長、書紀、会計で構成されます。生徒会費を集めて生徒の学事にかかわる支出を行なったり、それぞれの委員会や部活動に予算を配分したりする必要があるため「会計」が存在するのです。

 他には生徒会直下の学級委員や風紀委員、校内放送を担当する放送委員、図書室の活用を促す図書委員、保健室の利用に関する規則や案内などを行なう保健委員、動物を世話する飼育委員、給食の献立のリクエストや配膳などを担う給食委員はたいていどの学校にもありますね。

 委員会では各クラスから代表が集まり、方針を決定するのです。

 学級委員会はクラスの状況を報告して適切な指導ができるよう決議する他、クラスの意向を上位の生徒会へ提出する権限も持っています。

 風紀委員会は生徒たちに校則を守らせるために監理・指導します。

 清掃委員会は各クラスの清掃を指導監督したり共用スペースの清掃分担を決めたりします。

 放送委員会は校内放送のアナウンスやかける音楽の選定、音響機器の管理・設置などを担います。

 図書委員会は読みたい書籍をクラスで募って、図書室を運営する司書に伝えたり、司書の手伝いをしたりします。

 保健委員会は保健室の管理や疾病・負傷などの学生生徒を保健室へ連れていく、保健指導員のサポートなどを行ないます。

 体育委員会は生徒の運動指導やラジオ体操などの管理・運営を行ない、体育祭の実行委員としても働きます。

 飼育委員会は飼いたい動物を挙げたりクラスごとの分担を決めたりします。

 給食委員会は献立のリクエストを募ったり、鍋やパックなどを各生徒に配膳する役割を担います。しかし現在は新型コロナウイルス感染症により給食が途絶えている学校も多く、開店休業状態です。

 また文化祭実行委員会のようにスポット的に組織される委員会もあります。

 こう見てくると結構あるのがわかります。

 現在は少子化が進んでおり、ひと学級二十人程度になる地域ではすべての生徒がなにがしかの委員会に属している場合が多いですね。委員会活動を免除されるのは、部活動で好成績をあげなければなりません。学校サイドが力を入れている有望な部活動に属すると委員会の活動はしなくても済みます。

 このように学校とひと言でまとめようとしても、さまざまな役職があるとわかるのではないでしょうか。私たちが学生生徒だった頃にも、このような委員会が乱立していましたね。ちなみに私は高校で学級委員長をしていました。こう見えていちおう首席入学だったんですよ。膝の手術後ということもあり、入学式は休みましたが(笑)。





最後に

 今回は「物語82.部活動と委員会」について述べました。

 皆様の出身校にはどんな委員会があったでしょうか。

 学校を舞台とした物語なら、部活動だけでなく、運営に必要となるさまざまな委員会についても知っておくべきです。委員会の数が多ければ、皆がいずれかの委員会に所属します。委員会に所属しない生徒のほうが少ない学校だってあるはずです。それなのに主人公や級友が委員会に属していないのも不自然ですよね。

 学園ものを書く際は部活動だけでなく委員会についても考えておきましょう。



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