1332.物語篇:物語76.変化や刺激を求める
今回は「平和」や「安逸」に浸っていると陥りやすい「変化」や「刺激」を求めることについてです。
小説の主人公もたいていは「平和」な日常に飽き飽きしていて、なにか「変化」や「刺激」を求めて旅に出ます。
物語76.変化や刺激を求める
いつも同じ日常の繰り返し。「平和」ならそれでよいのかもしれません。
しかし「平和」が長く続くと、そのうち飽きます。
そして「変化」や「刺激」を求めるようになるのです。
やることがないと魔が差す
毎日同じ生活ばかりしていると「マンネリ」になります。「マンネリ」が続くとそれを打破したくなるのです。
「マンネリ」打破として運動を始めてみたり習い事を始めてみたりするのが一般人の考え方。しかし人によっては仕事で手を抜いたり悪事を働いたりします。
テレビニュースを見ると今日も「無職」の容疑者が捕まっているのです。もちろんすべての「無職」が悪事を働くわけではありません。しかし毎日いろんな仕事を頑張っている方々は、そんな毎日が面白くて「マンネリ」に陥らない。だから日々が楽しくて悪事を働くのがバカらしく思えるのです。
毎日同じ仕事をさせると悪事を働くバカ者が現れます。
私が書店の通販事業を任されていたとき、私の上役が通販の商品発送で二重帳簿で差額を懐にしまっていたことが発覚しました。私がそれに気づいたのは在庫を確認していたときです。どうにも売上と在庫が合わないのです。それで試しに一度梱包された箱を開けて確認したら二重帳簿だったと判明しました。それを追及するべく証拠を集めていたら部長から突然解雇宣告されたのです。まぁ上層部と深く絡んでいる上役だったので、私が告発する前に手を打ったのでしょうけどね。しかし私をクビにしてからその書店は通販事業を継続できず、また実店舗でも在庫過多の放漫経営をしていたこともあり、今では綺麗サッパリ消滅してしまいました。泥舟から逸早く逃げ出せたとも見られますね。
このように同じことの繰り返しは一見「平和」ですが、「マンネリ」を生んで「変化」や「刺激」を求めるようになるのです。ときには悪事にさえ手を染めます。
主人公を「罪人」にする場合、確信犯も選択肢のひとつです。ですが「マンネリ」から「変化」や「刺激」を求めた「魔が差した人」にするとリアリティーを出せます。
今の世の中「確信犯」を出すのは相当難しい。信念を持って悪事を働く人が少ないからです。そういう思想を持っている人なら見せ方次第で表現できますが、心理を描写するのが難しい。
その点「魔が差した人」つまり「衝動犯」であれば根は一般人です。心理も一般人のままであり、描写も普通に書けます。
変化や刺激を求める
毎日同じ日々を過ごしていると「マンネリ」に陥り、「変化」や「刺激」を求めるようになります。
罪や怠惰に対する倫理観が薄れてしまうのです。
芸能界には今も薬物が影を落とします。それもやはり「変化」や「刺激」を求めてなのでしょうか。
一般人から見れば華やかな芸能界でも、その中では毎日同じようなスタンスを求められ、うんざりしているのかもしれません。
それで「魔が差して」しまうのでしょうね。
近しいところでは大河ドラマの沢○エ‖カ氏や、名脇役の伊勢□友△氏が「薬物」の誘惑を断ち切れなかったのです。
芸能界では「変化」や「刺激」に別のものを求める方が多い。
たとえば加山雄三氏ならプレジャーボートと射撃ゲーム『バイオハザード』に生き甲斐を感じています。もちろん本職の歌手業もたいせつですが、それだけでは味けない。プレジャーボート「光進丸」の三艘目は焼失しましたが、今でも海は忘れられないはずです。そして射撃ゲームの大ファンで、腕前はプロ級と言われています。十年ほど前にテレビ番組で観たときは「スゴいマニアだなぁ」と思わず感心しました。
私たち現実の人間でもこうなのです。
なぜ小説の登場人物は安逸に流されるのでしょうか。なにかが満たされていないからかもしれません。今がいちばんよいと思っているのかもしれません。
そうです。満たされていても「変化」や「刺激」を求めますし、満たされていなくても求めてしまいます。だからこそたちが悪いのです。
お笑い芸人も、死ぬまで「お笑い」だけで食べていける人は少ない。
たいていはコンビニエンスストアや飲食店のアルバイトをしています。
ルーチンワークの仕事も経験してみよう
毎日決まった時間にきまった作業を延々と終業時間までやり続ける仕事があります。
造花づくりの内職や、印刷所や倉庫仕事などは、毎日同じことの繰り返しです。
長い人生、いっときでもそのような仕事に就いてみたほうが世界が広がります。
私は印刷所や倉庫仕事、封筒に書類を入れて封する作業など、人生のところどころで
なぜかといえば「実績がない」のと「いきなり重要なものは任せられない」のふたつの組み合わせによります。このふたつが揃わないと、よい仕事はまわしてもらえないのです。
この理屈って異世界ファンタジーの「冒険者ギルド」でよい仕事をまわしてもらう条件としても見られますよね。「実績がない」し「登録していきなり重要なものは任せられない」から「ゴブリン退治」「スライム退治」をまわされるのです。
新規登録の冒険者に「ドラゴン退治」を手配するバカなギルドはありません。
だからこそ、次のステップへ進むために、派遣業者を変えてルーチンワークを厭わない。その姿勢があればよい仕事は必ずまわってきます。
しかし今の若い人たちは信用獲得のためのルーチンワークを厭うのです。いきなり「ドラゴン退治」のクエストを要求してきます。だから脱落者が相次ぐのです。
今どきの人に「自制」を求めるのは酷かもしれませんが、身のほどをわきまえなくては命がいくつあっても足りません。
だから派遣業者も新規登録の派遣社員が要求したように「ドラゴン退治」をまわして、わざと失敗させます。「あなたの実力がわかりましたか? これからは私たちの言うことを聞いてください」。これが今の派遣業者の運営スタイルです。
これから小説を書こうとしている方、今書いている方は、ぜひルーチンワークの経験を積みましょう。
そもそも小説を継続して書く行為そのものがルーチンワークなのです。執筆にはルーチンワークに堪えられる強い精神力が求められます。
もし経験がないのでしたら、コンビニエンスストアの店員でもよいので、ルーチンワークを体験してみてください。必ず得るものがありますよ。
ライトノベルの主人公ってたいていコンビニかファミレスのアルバイトだったりするんですよね。彼らの精神性がわかるためにも、ルーチンワークを経験して損はありません。
最後に
今回は「物語76.変化や刺激を求める」について述べました。
主人公に限らず、小説の登場人物はつねに「変化」や「刺激」を求めています。安逸な日々など送りません。波乱に満ちた人生を過ごしたいのです。
その境地にたどり着くためには、まず書き手がルーチンワークを知るところから始めるべきです。毎日同じ時間に起き、同じ電車に乗り、同じ職場で、同じ仲間と、同じ作業を淡々とこなすだけ。まったく波乱のない人生を送るのです。
そこからでしか小説の主人公がなぜ「変化」や「刺激」を求めているのか理解できないでしょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます