1252.学習篇:人との出会いをたいせつにする

 人は社会性の動物です。コミュニティーを形成しなければ生き残れません。

 孤独でストイックに執筆しても、たいていものにはなりません。

 他人との出会いは、あなたになにかをもたらします。





人との出会いをたいせつにする


 小説を書く身とはいっても、家に引きこもって執筆だけしていればよいわけではありません。

 人は社会の中で生きています。社会とは他人で構成されているのです。

 つまり私たちの周りには数多くの他人が存在しています。それを蔑ろにしてはなりません。

 まったくの見ず知らずもいるとは思いますが、ご近所さんを見かけたらあいさつくらいはしましょう。

 人との出会いは新しいなにかをもたらしてくれますよ。




他人とはあなたの思いどおりにならない人

 書き手の肌感覚でわかってもらいたいのは、「他人」は「あなたの思いどおりにはならない」点です。

 小説でも主人公が勇者で、周りにいる人たちは勇者のために進んで情報を提供してくれる、宿に泊めてくれる、食事を振る舞ってくれるなんてことはまずありません。

 特別扱いされる勇者でも思いどおりにならない人たちがいるのです。

 あなたにとって周囲の人はすべて思いどおりになるのでしょうか。なりませんよね。なるのだったら「小説賞・新人賞」を獲ろうなどとは思わないはずです。あなたが書けば皆が黙って小説を読んでくれます。でも現実に黙って小説を読んでくれる人なんてほとんどいません。

 小説を書くときも「身近にいる人すら思いどおりにならないのだから、一村人が勇者のために料理を振る舞ってくれるのは不自然だ」と思えなければなりません。

 村の窮地を救ってくれる前は誰もが距離をとります。しかし窮地を救ってくれたとなれば。祝いの料理を振る舞ってくれても不思議はないでしょう。単に勇者だから料理を振る舞ったのなら、その村人は勇者を暗殺しようとしているのかもしれません。中国古典ではよく見られます。勇者には必ず善意を持って受け入れなければならない、などという不文律があるわけでもないのです。

 たとえ勇者が魔王退治の旅に出ているとしても、その事実が全国民に知れわたっているわけでもありません。知られているほうが変ですよね。国王が「これから勇者様が魔王を退治しに行ってくれるぞ」などと布告するとは考えられません。この話が魔王の耳に入ったら、勇者の暗殺くらいは考えるはずです。まぁ魔王に知られているから四天王を差し向けられた、とも考えられますが。

 いずれにせよ「周りにいる人はすべて他人」です。たとえ血のつながった親や子であろうとも、あなたの意志で操れるような存在ではありません。それぞれが自ら意志を持って行動しています。

 にもかかわらず、親や子を放置して見殺しにしてしまう人が後を絶ちません。最近では三歳児を八日間も自宅に放置して死なせてしまった母親がいましたね。自分の思うがままに行動したいから、足手まといになる子どもを放置して死なせた事件です。

 他人はすべてあなたの思いどおりにはなりません。

 あなたが相手に配慮して、相手のやりたいことを手助けするくらいの器量を持ちましょう。




ご近所さんとあいさつする

 SNS全盛の現代では、たとえご近所さんとすれ違ってもあいさつひとつ交わさない人が増えました。エレベーターを待っているとき、まったくの無言でスマートフォンを操作しているだけ。これではご近所さんとつながりなど持てません。

 あなたの身に事件や事故が起こったとき、最も頼りになるのはご近所さんです。

 それなのに当のご近所さんがともにエレベーターを待っているのに、あいさつひとつしないのでは、事件や事故から身を守る術がありません。

 知らない人を無条件に助けるほど、出来た人物はなかなかいないのです。

 ご近所さんとあいさつをかわす。たったそれだけであなたは事件や事故から身を守れます。少なくとも窮地に陥っても逃げ場があるのです。

 ライトノベルの現代ものの場合、妙に人付き合いが苦手な主人公ばかりを見ます。幼馴染みくらいならあいさつもかわしますが、他の人とは距離をとっている。人付き合いが苦手な主人公は「多くの読み手がそうだから」の理由で設定されているのかもしれません。

 SNS時代では現実の人付き合いが億劫に感じられるのでしょうか。

 ちなみに私は積極的にあいさつするほうです。自律神経失調症で記憶障害も起こしているので、自分が相手を憶えるのではなく、相手に自分を憶えてもらう、という考え方をしています。これならなにかあった際、私は憶えていなくても相手は憶えているから心強いのです。

 皆様も最低限「ご近所さん」とはあいさつくらい交わしましょう。

 なにかあってから親しくなるなんてできはしません。

 つねに社会とつながっているほうが、SNSでつながっているだけよりも重要なのです。




人との出会いをたいせつにする

「旅を楽しむ」のは、自分で決めた目的地で観光するだけではありません。

 土地のおいしいものを食べたり、現地の人々と触れ合ったりという「体験」が「旅を楽しいものにしてくれる」のです。

 せっかく旅に出るのであれば、現地の人々と積極的に触れ合いましょう。どこにおいしい店があるのかとか、名所へはどう行けばよいのかとか。スマートフォンがあればなんでも調べられますが、旅を味わい深いものにするのはやはり「現地の人々とのやりとり」です。

 現実の旅行でも「現地の人々との触れ合い」がたいせつなのに、異世界で勇者が魔王を倒す冒険の旅で「現地の人々と触れ合わない」のは明らかにおかしいですよね。勇者は隠密行動でもしているのでしょうか。違いますよね。国王から指名されて勇者として魔王退治の旅に出かけているはずです。であれば、勇者は現地の人々から情報収集しなければなりません。情報が仕入れられないのに魔王のいる場所や弱点がわかるはずもないのです。

「人付き合いの悪い勇者」は存在できるのでしょうか。まともに情報収集もできずに魔王のもとへたどり着けるのでしょうか。

 そんな勇者には「人付き合いのよい従者」が不可欠です。ギルドから情報を買ってくる盗賊とか、世話を焼いてくれる幼馴染みとか。

 そう考えると、主人公の勇者の周りに誰を配置すればよいのかわかりますね。

「人付き合いの悪い勇者」なら、付き従う仲間に「人付き合いのよい者」を加えるしかありません。そうしないと物語は先に進みませんからね。

 中には「巻き込まれ型」の主人公もいるでしょう。

 主人公はただ普通に暮らしているだけなのに魔王の軍団に村を壊滅させられる。魔王を退治しようと立ち上がった勇者から勝手に仲間扱いされる。

 なんか面白い物語になりそうなので、この話はここまでに致します。そのうちこの設定で長編小説を一本書けるといいな、くらいの気持ちですが。

 勇者じゃない主人公は今の「剣と魔法のファンタジー」ジャンルではもはや定番になっていますね。おそらく私と同じように「巻き込まれ型」は面白くなりそうと思っているからでしょう。





最後に

 今回は「人との出会いをたいせつにする」について述べました。

「人付き合い」がよくないと、いざ「プロ」になった際、担当編集さんとコミュニケーションがとれなくて苦労するはずです。

 最初はちょっと怖いかもしれませんが、アパートやマンションなら同じ建物の住人、一軒家なら向こう三軒両隣の方々にあいさつしておきましょう。

 見知らぬご近所さんとじょうずに付き合えれば、担当編集さんが付いても執筆をうまくやっていけますよ。

 それも難しいようなら、本コラムのご感想をコメントや感想で送っていただいても結構です。

 怖くても第一歩を踏み出してみる。そこから開ける世界は、あなたの小説にも少なからず影響を与えるはずですよ。



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