1238.学習篇:書籍代を捻出する
今回は「資金の捻出」についてです。
「小説を書く」には「読んだ小説」の量がたいせつです。
読み込んでいなければよい小説は書けません。
しかし「紙の書籍」「電子書籍」の小説を買うには資金が必要ですよね。
書籍代を捻出する
小説を数多く読むには、それだけ「書籍代を捻出」しなければなりません。
人間が生活するうえで必要なのは、住処を確保する家賃、最低限の生活を保証する光熱水費、飢え死にしない食費です。これらはなるべく節約してもある程度の出費を強いられます。
しかし娯楽であるゲームなら、いくらでも節約できます。というよりも、ゲームをしている暇があったら「小説を読む」のが書き手の使命です。
ゲーム代を可能なかぎり抑える
娯楽がすべて悪いわけではありません。娯楽が高じて「小説」になるケースもあるからです。
しかしゲームはできるだけやらないに越したことはありません。
そんな暇とお金があったら、小説を書かないでどうします。
あなたの目標は「プロ」の書き手になることですよね。ゲームの「プロ」つまり「プロゲーマー」を目指しているのですか? そうでなければゲームにお金と時間をとられるなんてあってはなりません。
ゲームといってもさまざまなものがあります。
ボードゲームもあれば
この中で傷が浅いのはボードゲームやTRPGです。これらは元手が初期投資だけの完全固定で、あとはプレイ時間が問題になります。ちょっと遊ぶ程度なら頭の体操にもなりますし、気晴らしにもなるのです。しかも複数人で会話をしながらプレイしますから、人付き合いもよくなります。
最悪なのはスマートフォンのゲームアプリです。「基本無料」を謳ってこそいますが、ゲームを有利に進めるには「都度課金」いわゆる「ガチャ」をする必要があり、それだけでお金が吹き飛んでしまいます。しかもスキマ時間があればゲームアプリで遊んでしまうため、「プロ」の書き手を目指しているのに小説へつながらない時間を増やしてしまうのです。
ですので、可能なかぎりスマートフォンのゲームアプリは控えてください。
どうしてもやりたいのであれば、ひとつだけに絞りましょう。絞れないなら全部手放すべきです。
そして浮いたお金と時間で小説をたくさん買って読みましょう。
そもそも「小説を読む」「小説を書く」を生活の軸にしていると、ゲームプレイの時間なんてまったくありません。
そんな時間があったら一秒でも長く「よい小説」について考えてください。
私は本コラムの毎日連載を三年以上続けていますが、その間に家庭用ゲーム機のゲームはほとんどプレイできていません。あれだけ楽しみにしていたCAPCOM『MONSTER HUNTER:WORLD』もプレイできず、日本ファルコム『Ys VIII』を買ったもののほとんどプレイできずに『Ys IX』が発売されてしまいました。
それくらい小説や文章を書くには時間がとられるのです。
プレイできないゲームを買っても、プレイせずに買取店行きとなるだけ。
それならゲームを買わなければよい。
だからスマートフォンのゲームアプリとも手を切るべきです。
ゲームアプリについては、一度見直してみるとよいでしょう。
毎月いくらお金を費やしているのか。どのくらいの時間を費やしているのか。プレイ時間をスマートフォンや手帳に記録して、銀行口座を見て毎月どのくらい課金しているのかを確認する。
そうするだけで、自然とゲームアプリと距離を置くようになり、結果として「小説を読む」「小説を書く」お金と時間が生み出せます。
高橋名人は「ゲームは一日一時間」と言っていないそうです。それでも「節度」を持たなければゲームに振り回される人生となります。
本気で「プロ」の書き手になりたければ、取材以外でゲームをプレイする必要なんてありません。断食ならぬ「断ゲーム」をしてでも、小説に時間を費やしてください。
月十万円以上もゲームアプリに費やしている方が多数いらっしゃいます。
それだけのお金があるのなら、まずは小説に毎月一万円を強制的に使ってください。ゲームはその残りでプレイするのです。そして買った小説は最後まで読み、「紙の書籍」ならそのまま古書店で売る。すると五パーセントくらいは小説代が取り戻せます。それを再投資する形で新刊に充てれば、「小説を読む」好循環が生み出せるのです。
ゲームアプリで小説が書けない方は、ゲームをする前に「小説の予算」を決めてしまいましょう。そうするだけで自然と「小説を読む」「小説を書く」ようになりますよ。
新刊は惹かれたら迷わず買う
小説の新刊は、たいてい数か月書店に滞留します。これは出版流通業界に「再販制度」があるためです。たとえ売れなくても、いつでも取次店に返品すれば書店は懐を痛めません。
だから売れない小説も、書店では三か月くらいは置かれています。
ですが「書店の都合」がいつ働くともかぎりません。より売れる小説を仕入れるために、売れない在庫を返品するのは書店では日常茶飯です。
これは私が書店店長だった頃から今も変わらない書店の原理原則。
とくに私は、在庫を「月の売上の六割しか持たない」ほど絞り込んでいました。これを実現させるために、売れない在庫は徹底的に返品していたのです。(ちなみに同じチェーンの他店舗では月の売上の二倍の在庫を抱えていました。そのため私が退職していつの間にかチェーン店がすべて潰れたのです)。
もしかしたら三か月で一冊くらい売れるかもしれない小説であっても、経営効率を考えると手元に置いておけないのです。
だからこそ、あなたが書店で少しでも気になる小説、惹かれた小説があったら「迷わず」買ってください。今を逃すと買えなくなるかもしれませんよ。
私ほどシビアな在庫管理をしている店舗は類を見ないでしょうが、売れないから返品される小説もありますし、逆に売れすぎて売り切れてしまう小説もあるのです。
とくに小説は「口コミ」が絶大な力を発揮します。
誰かが「この小説面白い!」と周りへ広めるだけで、一気に売れていくのです。
中でも書店で「POP(商品宣伝メモ)」を付けると、多くの方が試し読みしてくれます。
今では『Amazon』や『楽天市場』などでレビューが書かれているので、それを参考にして買うか買わないかを判断している方も多いでしょう。
POPやレビューで少しでも心が動かされたら「迷わず」買ってください。
スマートフォンのゲームアプリでは、欲しいキャラクターのカードやアイテムを獲るためだけに、ためらいなく何度も「ガチャ」を回しますよね。
それだけの情熱と資金があるのなら、気になる小説くらい瞬時に買わなくてどうしますか。結果としてハズレだったとしても、「ハズレ」とわかっただけでも儲けものです。
「ガチャ」は欲望のまま無制限にまわすのに、惹かれた小説を買わないだなんて、もったいないにも程があります。
今なら小説は「紙の書籍」か「電子書籍」かを選べます。
どちらにも長所があるので、一概にどちらがよいとは言えません。
「紙の書籍」最大の強みは「読み終わったら古書店で売れる」点です。次に「線を引いたりメモ書きしたりしながら読め」ます。「古書店で売る」のは資金の好循環を生めますし、「線を引いたりメモ書きしたり」なら深く分析してその小説を自分の血肉にできるのです。
「電子書籍」最大の強みは「置き場所に困らない」点です。次に「何千冊でも持ち歩け」ます。小説を大量に読む方は、その置き場所が最大の悩みです。「紙の書籍」なら読み終わったら古書店で売れ。ですが手元に残しておきたい小説が多ければ、どうしても置き場所が圧迫されていきます。「何千冊でも持ち歩ける」のなら、再び読みたくなった小説をいつでも読めるのです。しかし「電子書籍」は配信サイトの運営終了で読めなくなる可能性もあるため、できれば「買い切り」で手元にデータが残るサービスを選んでください。Apple『ブック』は端末に書籍データが残るため、たとえ配信終了となっても手元に置いておけます。まぁ現存している「電子書籍」配信サイトは、いずれも資金力のある企業が運営しているため、これから潰れていくところは出てこないとは思います。どうしても不安ならApple『ブック(旧iBooks)』、Amazon『Kindle』、楽天『Kobo』に絞ってもよいでしょう。
最後に
今回は「書籍代を捻出する」について述べました。
まずゲームはやめましょう。とくに「プロ」の書き手を目指しているのなら、スマートフォンのゲームアプリは全廃したほうがよいくらいです。
ですが今さら手放すのは難しい。そうであれば、まず毎月一万円でもよいので「書籍代」を先に工面してください。ゲームアプリはその残りで楽しむようにするのです。
買った書籍はすぐ読むようにして新古書のうちに古書店で売り払うとよいでしょう。そうすれば書籍を五パーセント引きで読む感覚になります。ひじょうに効率がよいのです。
「紙の書籍」「電子書籍」には一長一短があり、どちらがよいかはその人次第。
私は主に「紙の書籍」で手に入れて、「電子書籍」が配信されたら古書店に売る、のルーチンとしています。
ゲームにお金を使わなくなったため、「小説の書き方」に関連する書籍をたくさん購入できました。
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