1221.技術篇:誰もが皆、怠け者
今回は「ひとりで頑張る」ことについてです。
小説の執筆は誰も見ていないかもしれません。
それでは、いつ怠けても誰にもわからないのです。
怠ける暇があるのなら、一心不乱に打ち込みましょう。
誰もが皆怠け者
人間は基本的に怠け者です。他人が見ていないとすぐズルをします。
たとえば「小説の書き方」を勉強したいとする。
ひとりで取り組んでも「どうせ誰も見ていないし」と思って無意識に手を抜いてしまうのです。
どうすれば、人は怠けずに精進できるのでしょうか。
程よいライバルをひとり持て
ひとりで勉強して大成できる人は、放っておいても勝手に伸びていくものです。
しかしたいていの方はひとりで勉強するとすぐ挫折します。やる気を無くしてしまうのです。
ではやる気を持続するにはどうすればよいのでしょうか。
ライバルを設定してください。
大学入試なら「同じクラスのあいつも同じ大学を狙っている」と仮想敵を作るのです。「あいつが落ちても、俺は絶対に合格するんだ」と強い思いがあれば、勉強にも身が入ります。
小説なら小説投稿サイトを舞台にしてください。
「同じジャンルの同じキーワードの作品」があるはずです。その作者を仮想敵とするのです。
「あいつは連載五話目で評価を10も集めている。俺なら頑張れば20は獲れる」と明確に「ライバル視」すれば意欲も湧いてきます。
では人気ナンバーワンの書き手をライバルに想定すればよいのかと勘違いしそうですね。
ナンバーワンなんて相手にしてはなりません。あなたが相手にするべきは、あなたと同レベルか少し上くらいの書き手です。
ライバルのレベルが高すぎると「相手はナンバーワンだしな」と妥協しやすくなります。逆にレベルが低すぎると「今日も楽勝だな」と手を抜き始めるのです。
同レベルなら「きっちりと仕上げないと負けかねないな」と思いますし、少し上なら「今日は頑張って書かないと追い越せないな」と気合も入ります。
毎日連載を継続するには、毎日連載している人をライバルにしてください。「あいつは今日も更新していた。俺も負けずに毎日連載を続けるぞ」と意欲も湧きます。
勉強はひとりでするより、ふたりでするほうが断然よいのです。
元々「切磋琢磨」とは中国古典『詩経』にある単語で、ふたりが互いを切ったり叩いたり磨いたりして高め合う教えです。
マンガの鳥山明氏『DRAGON BALL』でも孫悟空とクリリンが亀仙人(武天老師)の元で修行に励んでいます。またベジータは孫悟空をライバルと見立てて修行に明け暮れたのです。
となれば、なにもライバルをひとりに限らず、五人でも十人でも設定したほうが燃えるのでは。そう思いがちですが、かえって逆効果です。
まず現状把握に時間がかかります。仮に十人をライバルに設定すると、ライバルの観察に十倍の時間がかかるのです。ライバルがひとりなら一時間で済んでいたものが十時間もかかります。これでは執筆に時間を割り振れませんよね。
また意識が分散されてしまいます。倒すべき、超えるべき相手がひとりならその人だけを意識していればよいのです。しかし十人いたら意識が十に分散されてしまいます。
これは孫武氏『孫子』で明確に戒められています。『孫子』では「相手を十に分散させてこちらを一にして当たれば必ず勝てる」と説いているのです。それなのにこちらが十に分散してしまっては、勝てる相手にすら後れをとります。
だからこそライバルはひとりでじゅうぶんなのです。
ひとりであれば観察に時間をたっぷりとれます。相手はなにが得意でなにが弱いのか。それならこちらはこれを強みにして仕掛ければ勝てる。そんな判断ができるのも、仮想敵であるライバルを設定する利点です。
皆がやっていると手を抜けない
ある物事を皆がやっていると、あなただけがズルなんてできません。
日本人特有の「同調圧力」が働くからです。
今年の新型コロナウイルス感染症の予防措置として国や都道府県から「外出自粛」「営業自粛」が国民に要請されたとき、法律で罰せずとも各人各企業は自主的に自粛しました。
これが「同調圧力」です。
皆がやっていると、自分だけ違った行動をするのは憚られる。目立たないよう、皆と同じことをやろう。そうすれば悪目立ちしませんからね。
しかも「自粛警察」と呼ばれる人たちが、「外出自粛」「営業自粛」に従わない人や店舗を襲撃する暴挙にまで打って出ました。
日本人が持つ「同調圧力」とは、これほどまでに影響力があります。
「皆がやっていると手を抜けない」のが日本人なのです。
だから小説の執筆もひとりで行なわず、部活動やサークル、セミナーなどに通いましょう。あなたと同じように小説を書く仲間がいれば、あなたは手を抜けません。怠けたら皆から軽蔑されるのです。
この点でも小説投稿サイトを利用するメリットがあります。
同好の士が大勢いる小説投稿サイトなら、あなたと同じく小説を書いて投稿している人が数多く集まっているのです。
周りが毎日投稿を継続しているのに、自分だけが手を抜けますか。手を抜こうとすれば罪悪感にまみれるのではないでしょうか。
ライバルはひとりでじゅうぶんですが、「皆がやっている」の場合はできるだけ大勢を見てください。「周りの多くが行なっているから、自分もそうしなきゃ」と思うから意欲が湧くのです。もうやけっぱちもよいところ。「周りがやるなら自分もやるしかないやん」の域に達すれば、周りに左右されなくても毎日連載を続けられます。
ですがその域まで達するのに時間がかかります。それならそこに到達するまでは「皆がやっているから自分も手を抜けない」と意識してみましょう。
怠けグセを直したいなら、周囲の目を気にしてください。怠けている自分を周囲はどう見ているのか。それがわかると手を抜けなくなりますよ。
最後に
今回は「誰もが皆、怠け者」について述べました。
アマチュアのうちなら小説はひとりで書きますから、自分のペースで進められます。
しかしそれだといつ怠けても誰からも文句を言われないのです。
すると案の定、怠けてしまいます。
人間はすぐに怠ける動物なのです。
怠けグセを直すのは他人の目からどう見えているのかを知りましょう。
ライバルを設定して切磋琢磨するのも、怠けグセを改善する妙手ですよ。
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