1186.技術篇:昼寝のススメ

 今回は「昼寝」についてです。

 誰もが野比のび太になれるわけではありません。

 ですが、脳が疲れる前にリフレッシュできれば、効率は飛躍的に高まります。





昼寝のススメ


 人間の生理から、夜しっかり眠れれば日中は眠けが襲ってきません。

 それでも集中して小説を書いていると疲れが溜まってきます。

 そんなときは「昼寝」です。




疲れを感じる前に昼寝する

 小説を書くには膨大な集中力を要します。

 なにしろ脳内にあるイメージを文章に落とし込んで、読み手に伝わるよう整えなければなりません。

 小説を書き慣れてしまえば、脳内イメージは瞬時に文章に置き換わります。疲れを感じるより早く文章を書き終えられるのです。

 しかし小説の初心者は、とにかく脳内イメージの情景を書き漏らさないように集中しなければなりません。

 初心者と熟練者との差は、この「変換効率」のよさにあります。

 最初はとにかく効率が悪い。ムダな筋肉を使って、必要以上に書こうとしてしまうのです。しかし熟練者は「変換効率」がよく、脳内イメージを瞬時に文章で表せます。

 小説を書くなら誰もが欲しい、この「変換効率」。

 手に入れるには、ひたすら経験を積むしかありません。

 童話『桃太郎』では川上から大きな桃がどんぶらこと流れてきます。

 この話、川について川幅も深さも書いてありません。ただ「川上から」です。「おばあさんは川へ洗濯に行きました。」です。

『桃太郎』において「どんな川か」は問題ではありません。大きな桃がおばあさんの手に入ればよいのです。その口実として「川」が出てくるだけ。

『竹取物語』でかぐや姫が光る竹の中にいたのも、口実として「竹」が出てくるだけです。

 このふたつは「特別感」を演出するために、あえて「ファンタジー」を取り入れています。

 主人公に「特別感」を出すために、あれこれと頭をひねるわけです。

 するとどうしても脳が疲れてきます。しかし脳自身は疲れを感じない器官です。凡ミスが続いて初めて「私、疲れているのかな?」と気づけます。

 小説を書くとき「凡ミス」が「致命傷」となるのです。「小説賞・新人賞」へ応募する原稿に「凡ミス」がたくさんあれば、大賞の価値はありません。どんなに物語が面白くても、「凡ミス」の多い作品は評価されません。

「凡ミス」を減らすために、気づかない脳の疲労を解消しましょう。

 そのために「昼寝」です。仕事の場合お昼休みは一時間あります。

 さっさと食事を済ませて、残りの時間で仮眠をとってください。

 脳を休められますし、食事の糖分を脳に届けて栄養としてくれます。したがって脳が一気にリフレッシュされるのです。

 以前もオススメしましたが、脳疲労の回復にはピーナッツチョコレートがオススメ。糖分・カカオ・不飽和脂肪酸と、脳によい栄養素が満載です。ただ運動もせずに食べると太りますので、執筆後にでもかるく運動しておきましょう。

「昼寝」は脳をリフレッシュさせます。どんなに脳が疲労していても、「昼寝」さえとっていればいつでも復活するのです。

 受験勉強をしながら小説を書く人はまずいませんが、そんな方は必ず「昼寝」してくださいね。できれば脳のスイッチを切り替えるために、受験勉強と執筆の間で「昼寝」ができるとよいと思います。




昼寝は十分でじゅうぶん

 いくら脳の疲労をとると言っても、寝すぎはよくありません。

 昼寝は十分もすれば、脳もしっかり休めます。三十分以上寝ると夜眠れなくなりますよ。

 また本当に寝てしまわなくてもかまいません。

 なにも考えず机に突っ伏したままでも脳は確実に休めます。寝ないのであればこの状態で三十分すれば、十分寝るのと大差ありません。なので「昼寝ができない」方は、なにも考えず頭に上着でもかけて外部からの情報を遮断して三十分過ごしてください。

 これ、結構効果ありますよ。

 私が派遣社員だった頃によくやっていました。派遣社員は仕事内容も固定化しているから、どうしても単純労働で脳が疲れるんですよね。そこで「昼寝」を始めたら体調が回復していきました。

 たった十分、三十分でも「昼寝」をとれば、その後の作業効率は飛躍的に高まります。

 土日で朝から小説を書いている方も、「昼寝」を取り入れて脳がリフレッシュされれば文章の質も向上するでしょう。

 とくに「プロ」となって小説を職業にしたい方なら、気分転換の方法は多種持っていましょう。

 場所を変える、書くツールを変えるだけでも効果があります。たとえばPCで書いていた作品の続きをタブレットに書く。それだけでもかなり違います。

 しかし頭を使い続けるのはとにかくしんどいです。脳は疲労を感じないように出来ています。疲労はストレスとなって体調を乱しますから、脳はたとえ疲れていたとしても「疲れています」とは言いません。体調の変化を感じて初めてストレスに気づき、脳が疲れているとわかるのです。

 だから「自分は疲れていない」と思っても、念のため「昼寝」をしてください。

 パフォーマンスは明らかに異なりますよ。




最後に

 今回は「昼寝のススメ」について述べました。

「昼寝」は十分でじゅうぶんです。仮に寝なくても三十分頭を空っぽにするだけでも効果はあります。

 脳の疲労を取り除いて、すっきりした気分で執筆に臨めるのは、大きなアドバンテージです。

 小説の執筆は毎日続きますので、いつでも脳の疲労を抜く工夫をしましょう。



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