三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム

1176.技術篇：時間をムダにしない

　今回は「時間の使い方」についてです。

「人生百年時代」と叫ばれています。しかし有限には変わりありません。

　時間をいかに有効利用するか。

　あなたにとって「小説を書く」ことが人生のうえで利益となるのかどうか。

　そこをしっかりと考えましょう。

時間をムダにしない

　人間に与えられた時間は限られています。

　日本政府は「人生百年時代」と称していますが、平均寿命が八十歳ほどから二十年伸びるだけで、有限には変わりありません。

　その限られた時間を「小説の執筆」に充てる方は意外と少ないのです。

　多くの方は日常生活に明け暮れ、空いた時間で『ＹｏｕＴｕｂｅ』で動画を観たり、『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』をチェックしたり。そんな人生にほとんど影響を及ぼさない些事にかまけている暇があるのでしょうか。

　将来小説で食べていくために、今やるべきことはなんなのか。

　無為に時間を費やすほどのバカはありません。

あなたのポートフォリオ

「ポートフォリオ」とは聞き慣れない言葉かと思います。

「Ｇｏｏｇｌｅ検索」では「書類入れ、書類カバン、および、そのような書類入れに収納された書類のことであるとのこと。」と出てきました。

　また「クリエイターが実績をアピールするための作品集という意味で使われるイメージも強いかと思います。」「金融商品の組み合わせのことで、特に具体的な運用商品の詳細な組み合わせを指します。」とあります。

　この項における「ポートフォリオ」とは、「あなたの将来を見据えた引き出しの広さ」と定義します。

　つまり「将来に影響を与える行動」を束ねたものが「ポートフォリオ」です。

　前述しましたが、人間に与えられた時間は限られています。

　その中で最も重要なのは「生きていく」ことです。「生き延びていく」ことでもあります。

「生きていく」「生き延びていく」ためには生業が必要です。

　現在職業に従事していて、それが生活費の土台となっている方も多いでしょう。

　しかしそれは今の話です。「将来を見据えた」資産の構築とは関係ありません。

　たとえば百万円の貯金をして、株式投資に賭けてみる。これも「将来を見据えた」資産の構築です。

　株式投資ほどではありませんが、小説を書く、絵を描く、マンガを描くというのも「将来を見据えた」先行投資といえます。

　それに対して『ＹｏｕＴｕｂｅ』『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』などは、あなたの将来にどの程度の影響を与えるのでしょうか。

　おそらくなんの影響も与えません。ただ動画を見る、ツイートを読む、メッセージをやりとりする。それだけです。将来には微塵も影響を与えません。

『ＹｏｕＴｕｂｅ』であれば「ＹｏｕＴｕｂｅｒ」になれば生活費を稼げます。しかし専業で食べていけるだけの「ＹｏｕＴｕｂｅｒ」はほんのひと握りです。だから『ＹｏｕＴｕｂｅ』を観るのは、将来専業の「ＹｏｕＴｕｂｅｒ」になりたい人だけにしましょう。それ以外の方は単なる暇つぶしでしかなく、なんら生産性に寄与しません。

　つまり観るだけムダです。

　そんな時間があるのなら、小説を書く努力をしてください。

　あなたの「ポートフォリオ」が「将来小説を生業とする」であるのなら、『ＹｏｕＴｕｂｅ』『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』などはいっさい断ってください。

　そんなものに時間をかけるくらいなら、もっと小説を書くべきです。

　ツイートひとつ読むだけで、小説を一行は書けます。

　動画を一本観るだけで、小説十行以上は書けてしまうのです。

　単なる暇つぶしで終わるのか、将来へ向けた投資とするのか。

　この差はとても重要です。

　とくに文章を書くのであれば『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』でどれだけ書こうと一円にもなりません。将来「ツイート集」でも出版する予定があるのならかまいませんが、そんな方はほとんどいませんよね。それだけ含蓄のあるツイートをしている人も数少ない。

　劇画の原作者であった小池一夫氏のツイートには含蓄がありました。それをまとめて出版するから売れるのです。

　あなたのツイートにそれだけの含蓄がありますか？

　将来お金にならない文章をいくら書いても、時間のムダでしかありません。

『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』を頻繁に使用する手を止めて、スマートフォンの「メモ帳」を開いて小説の文章を書き溜めておきましょう。こちらは将来お金になる可能性があります。投資をするのなら、将来リターンがゼロのつぶやきやメッセージよりも、リターンが見込める小説にするべきです。

望む将来を手に入れるために

　人生に限りがある以上「諸行無常」の精神を持つ方もおられると思います。「すべてこの世は泡沫の夢」なのだから、楽しまなければ損でしょう。という精神です。

「この先どうなるかなんて誰にもわからない」

　確かにそうです。

　誰が二〇二〇年に新型コロナウイルス感染症がパンデミックを起こすと予想できたでしょうか。おそらく一部のオカルトが「私は予言していた」と言い出すと思います。それならなぜパンデミックを防ぐ行動をとらなかったのか。甚だ不思議ではあります。へたに放っておくと自分も感染して死ぬかもしれないんですよ。予言していたのなら食い止めてみせろ。それが人生を正しく費やすことなのです。

「この先どうなるかなんて誰にもわからない」のであれば、どんな未来もあなたの行動いかんにかかっています。

　小説を生業とするのも、ツイートやメッセージを追うだけで時間を無為に費やしてしまうのも、あなたの心がけひとつです。

　あなたにどれだけの野望がありますか。

　将来小説を生業にしたいと思っていますか。

　そう思いながらも、無為に時間を過ごしていませんか。

「将来はあなたの今の行動にかかっている」と皆様に気づいていただきたいのです。

　ツイートが悪、メッセージが悪。そう言っています。

『Ｔｗｉｔｔｅｒ』も『ＬＩＮＥ』も、手軽な承認欲求の手段にすぎません。

　ツイートしたら誰かからリプライが来た、リツイートされた、いいねされた。そこに自分の存在意義を見出してしまうのです。

　友達とメッセージをやりとりする。話す相手がいることで、自分の存在意義を感じ取ってしまう。

　人間とはとても安直な生き物です。

　自分が他人から求められていると感じれば、それを継続したくなる。

「小説を書く」のも数少ない読み手がいるからです。

　ですが小説は『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』とは異なり、将来お金になる可能性を秘めています。文章を洗練させていったとして、『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』でいくら活躍しようとお金にはなりません。しかし小説なら単行本の一冊くらい出せるかもしれません。

「小説賞・新人賞」を獲得して賞金十万円を手に入れ、紙の書籍の出版権を得る。初版初刷の印税なんて五万円もあればよいほうです。しかし賞金と合わせて十五万円は手に入ります。一円にもならない『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』に費やす時間がバカらしく思えませんか。

　限りある時間で文章を書くのなら、『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』ではなく小説にするべきです。

　あなたの「ポートフォリオ」が生産性のあるものとなるよう、自らを律してください。

　生産性のないことに明け暮れず、将来の果実を得るために木を植えるのです。

最後に

　今回は「時間をムダにしない」について述べました。

　あなたの人生はあなたの勝手に使ってよいのです。

　生産性を追わず、『ＹｏｕＴｕｂｅ』『Ｔｗｉｔｔｅｒ』『ＬＩＮＥ』などに明け暮れてもかまいません。

　しかし、より充実した人生を歩みたいなら、時間をムダにするよりも生産性のあることをしましょう。

　同じ文章を書くのであっても、ツイートやメッセージよりも小説を書くのです。

　人生には限りがあります。よりよい人生とするため、あなたはなにに投資しますか。

　あなたの「ポートフォリオ」を今作ってください。

　一日のうち何時間仕事する・勉強する。何十分食事する・お風呂に入る。そして余った時間で小説を書く。

　そんな「ポートフォリオ」が思い描ければ、あなたの筆力は必ず高まっていきます。

　無職で本コラムをお読みの方もいらっしゃるかもしれません。障害を抱えて日々苦しみながらも「小説が書きたい」と思ってお読みの方もいらっしゃるかもしれません。

　そのような方は「小説を書く」ことを生活の中心に据えてみてください。

　きっと豊かな人生が開けてきますよ。