1124.鍛錬篇:不評を誰かのせいにしない
今回は「不評」についてです。
「評価」されたら自分の実力、「不評」なら誰かのせい。
こんな心がけではよりよい小説なんて書けません。
不評を誰かのせいにしない
人は評価されれば「私の実力」と素直に思います。
しかし不評を買うと「誰かが私の足を引っ張っている」と感じるのです。
本当に誰かが足を引っ張っているのでしょうか。
評価されたらあなたの実力なのか
小説投稿サイトへ掲載し、程なくして閲覧されてブックマーク、評価がなされたと仮定してます。
この状況は明らかにあなたの思惑通りのはずです。
では評価されたのはあなたの実力でしょうか。
確かに作品を書いたのはあなたです。その事実は揺るがしようもありません。
しかし閲覧されたのは、たまたま多くの読み手を有しているトップランカーが投稿していなかったから。とも考えられます。
多くの読み手がトップランカーの新作を待っている間に、たまたまあなたの作品のタイトルとあらすじを見て、「時間つぶしにいいかな」と思って読んだ。そういう筋書きもできますよね。その場合、閲覧数が増えたのはあなたの実力とは関係ありません。運がよかっただけです。
強豪がまったくいなかった。暴風の中心にある「目」に入っただけ。こうして多くの読み手が読んで「これ案外と面白いかも」と思ってくれたからブックマークや評価をしてくれます。
ではトップランカーが投稿したタイミングで掲載し、なお閲覧数が高いのならどうでしょうか。それは間違いなくあなたの実力です。
暴風が吹き荒れていてもなお、あなたは生き残れた。実力がなければ起こりえません。
立派にあなたの実力なのですから、今以上の作品を書けばフォロワーさんが増えていくことは確実です。
評価が低いのは作品が悪かったから
ですが、想定外というものはいくらでもあります。
あなたとまったく同じタイミングで、あなたの作品よりも「面白い作品」が掲載されたら。あなたの作品の質がいくら高くても、閲覧数やブックマークや評価はその作品に持っていかれます。あなたの作品は閲覧数やブックマークや評価を得られません。
これはタイミングが悪かったからでしょうか。
確かにタイミングは悪かったはずです。
しかしあなたの作品がライバルよりも劣っていたから、ブックマークや評価がつかなかったのではありませんか。もしあなたの作品のほうが面白かったのなら、閲覧数もブックマークも評価もあなたのものになっていたはずです。
閲覧数が多いのにブックマークも評価も少ないのは、あなたの作品が劣っていたから。
この前提を必ず認識してください。
他の誰かのせいではないのです。あくまでもあなた自身に問題があります。
「自分は悪くない」と思っている間は、改善するべき点や反省するべき点を探そうとしません。
たとえランキングに載れたとしても、改善するべき点や反省するべき点は必ずあります。成功してもあるのです。ましてや失敗したのに改善も反省もしないのであれば、どうやって実力を鍛えあげればよいのでしょうか。
次回の投稿で物語の展開や主人公の設定、文章の表現などをまったく改めずに書いた作品は、成功などしません。
いくら訓練や練習に精を出しても、それは実戦ではないのです。
「これだけ書けるようになったから、必ずランキングに載るはずだ」なんて考えていても、実際に投稿してみれば否応なしに結果はわかります。
訓練・練習もたいせつですが、実戦にまさる成長の場はありません。
誰かから批判されたくないから小説を投稿したくない。
それでは、いつまで経っても小説の
不評は足を引っ張られているのか
勇気を出して、小説投稿サイトへ作品を掲載してみた。
しかし返ってくるのは不評ばかり。ということもありえます。
このとき「きっと誰かが私を貶めようと煽っているに違いない」と思いがちです。
とくに初めての投稿の場合は、このような「被害妄想」が先走ります。
そんな妄想はナンセンスです。
不評には不評なりの理由があります。理由を見つけなければ、改善さえもできません。
ではどんな理由なのか。
まず考えられるのが「誰かの作品に似ている」です。とくに似ている相手が有名であるほど、不評の声は高まります。
次に「作品が面白くない」からです。「面白そう」と思ったのに本文を読んでみたらまったく「面白くなかった」ら、皆の不評を買いますよね。とくに「タイトル」と「あらすじ」が「面白そう」に書けているのに、本文が駄目というのはひじょうにもったいない。それだけのセンスがあるのなら、本文をもっと推敲して、「あらすじ」の表現を本文にも使うくらい工夫しましょう。
「誰かが足を引っ張っている」と感じるのは、あなたに確たる自信がないからです。
ある程度自信があれば「このくらいの好評と、このくらいの不評が来るだろうな」と判断できます。「不評」の源は自信のないところが多いからです。自分で書いていて「どうにもこの表現で伝わるか微妙だな」と感じたら、やはり読み手には伝わっていません。「このくらい丁寧に書いてあるから、ここは確実に伝わるはず」と自信があれば、たいてい伝わっているものです。
それなのに「誰かが足を引っ張っている」と感じてしまうのは、思考が停止しています。
最初は根拠のない自信でもよいのです。
「不評」を読んだら、たとえ自信のあったところでも謙虚に手直ししてください。
もちろんすべての「不評」が的を射ているわけではありません。しかし反省材料のひとつにはなります。
読み手目線で該当部分を読み直し、もし「伝わってこない」のであれば次からは違う表現に書き直してください。「じゅうぶん伝わってくるんだけどな」と感じたら、とりあえずそのままにしておきましょう。
該当部分だけを読んだ場合に過不足がなくても、全体を通して読むと「伝わらない」ことが往々にしてあります。そうであるなら、冒頭から読み直してみると気づけるかもしれません。
「不評」がつくとどうしても検討しなければならない。それで「足を引っ張られている」と感じるのです。
本来なら「不評」は「伝わらない表現」に気づく材料となります。ただ、自信過剰になってしまうと、「伝わっているはずなのに、なぜ難癖をつけてくるんだ」と思ってしまうのです。
驕らず弛まず。正しい観点を持ちましょう。
最後に
今回は「不評を誰かのせいにしない」ことについてです。
好評も不評も、すべてあなたの糧になります。
好評でも驕らず、不評でも弛まず。
読み手の意見はあなたの判断材料となるのです。
けっして「誰かがあなたの足を引っ張っている」わけではありません。
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