1121.鍛錬篇:根拠のない自信を持たない
今回は「根拠のない自信」についてです。
あなたは「特別」なんかではありません。
ただの凡人です。
その前提から「努力」の必要性を感じてください。
根拠のない自信を持たない
どんな物事でも、始める前から根拠もなく「勝つ」のが前提となっている方は多い。
「私がひとたび筆を執れば、大賞間違いなし」「この作品なら必ず紙の書籍化されて百万部は売れる」と、「小説を書く」のをとても簡単なものとして考えているのでしょうか。
目標の高さと見通しの甘さはイコールではない
あなたが「小説賞・新人賞」の大賞を狙っているとします、
目標はかなり高いのですが、条件反射で「まぁ私が本気を出せば大賞は獲れて当たり前」と考えてしまうものです。
そうではなく「どうしたら大賞が獲れるのか」を徹底的に洗ってください。
自分がやらなければならないことを見つけ出します。モチベーションが持続するためにも「具体的なゴール」を設定するのです。
この「具体的なゴール」が高いと、及んでいなかった実力を高める必然性にも気づきます。
ダイエットが必要な方で「半年で二十キロ痩せる」と言っている方は、根拠もなく目標を設定しているだけです。そして「明日から始めればいいや」と思います。明日が来ればまた「明日から始めても達成できる」と思い込むのです。そうして半年経ってみたら、結局ダイエットはしておらず、かえって体重が増えている。これではなんの意味もありません。
禁酒を宣言しておきながら、「明日から禁酒する。今日は最後の酒だ。大いに飲むぞ」が連日続くと、もはや目標と現実の乖離が甚だしくなるのです。
あなたは特別ではない
けっして勘違いしないでください。
あなたに特別な才能などないのです。もしあるのなら、あなたはすでに「小説賞・新人賞」で大賞を授かっています。
あなたの「私がひとたび小説を書けば、大賞間違いなし」の根拠はなんですか。
たとえば小学校の読書感想文がつねに大賞や文部科学大臣賞・優秀賞・入選・佳作に残って実績を積み上げているのであれば「根拠」と言えるでしょう。
あなたにそんな実績はありますか。実績もないのに「私が書けば大賞間違いなし」と思い込んでいるのではないですか。
そんな甘い考えでは、いつまで経っても「小説賞・新人賞」の大賞は射止められませんよ。
「自分は特別じゃないんだ」と認識しなければ、どんなに「小説賞・新人賞」へ応募しても大賞は射止められないのです。
人間は自我を持っているため、どうしても「自分は特別な存在なんだ」と思ってしまいます。人によっては「自分は神である」とすら思い込んでいるのです。
人間には他人の思考がわかりません。わかるのは自分の自我の及ぶ範囲内だけです。だから自我の及ぶ範囲内では自分の意志が絶対であり、そんな認識のできる自分は「特別」なんだと認識しています。
しかし社会から見れば、あなたなんて路傍の石です。
いてもいなくても大勢に影響はほとんどありません。「自分は社会の片隅で生きている、路傍の石にすぎない」と認識していれば、どんなことにも謙虚でいられます。
そのうえで「特別」になろうと努力してください。
努力もなしで「特別」になることはできません。
トップアイドルも、生まれたときから大勢のファンがいたわけではないのです。
「文豪」も、名作を書く前から文壇に影響力があったわけでもない。
それなのに、ただの一般人であるあなたが「特別」である理由はなんですか。
生まれながらに大勢のファンがいたのでしょうか。小説を書く前から「紙の書籍」化の話が来ていたのでしょうか。
違いますよね。
だからあなたは「特別」ではないのです。
あなたは社会から「特別」な存在だと認められていません。大衆のひとりにすぎないのです。
根拠のない自信は持たない
「プロ」の書き手を目指す多くの方は「自分がひとたび筆を執れば大賞間違いなし」と思っています。
実際にはあなたの小説を書くスキルなんてたかが知れているのです。
試しに短編小説を一本書いて、小説投稿サイトで開催されている「短編小説賞」へ応募してください。きっと大賞には選ばれません。
そのとき「私の書いた小説を落とすなんて、選考したヤツの目は節穴か!」と感じてしまうこともあるでしょう。
ちょっと冷静になってください。
あなたの書いた作品は、なにかが足りないから、間違っているから落とされたのです。または、あなたよりもすぐれた作品が応募されていたのかもしれません。
落とされたのには必ず理由があります。
その理由も考えず「自分がひとたび筆を執れば大賞間違いなし」と根拠のない自信を持っているだけでは、一生かかっても大賞は獲れません。
あなたは「特別」でないだけではなく、「書けば大賞」の自信すら手ぬるいのです。
「書けば大賞」だと思うのなら、今すぐに「小説賞・新人賞」へ応募して大賞を獲り、「プロ」の書き手になればよい。「書けば大賞」と判断しながら「プロ」になるつもりはないなんて、正直宝の持ち腐れです。その才能を誰かに譲ってはいかがですか。
「小説賞・新人賞」へ応募するための作品を書きたくない方もいます。自分の実力を断定されたくないからです。自分が抱いている「自信」を崩されたくないから「小説賞・新人賞」へ応募したくないのだと気づきませんか。
そう考えているのであれば、あなたは「自分が抱いている自信には根拠がない」と本質的には理解しているのです。ですが
余計な
今の自分が「完成形」「完全体」だと思っているからです。
そうお思いなら「小説賞・新人賞」へ作品を応募しなさいな。
こう書いても絶対に応募しませんよね。
自分の実力が「大賞に遠く及ばない」と判明したくないからです。
そんな
だからといって卑下する必要もないのです。
正しい実力を確認して受け入れるところから、すべての努力は始まります。
つねに正しい実力を把握していれば、いくらでも向上心が湧いてきます。
正しい実力を把握するには、「小説賞・新人賞」へ応募してください。
短編小説なら一日二日で書けると思います。応募して正しい実力を謙虚に受け止めてください。
一次選考すら通過しないのなら「日本語の文章」として及んでいない可能性があります。二次選考を通過できないのなら「面白くない」のかもしれません。三次選考を通過できないのなら「面白いけど個性がない」のかもしれません。
通常三次選考を通過すれば各賞に配分されていきます。最初は佳作止まりでも、努力し続ければ優秀賞に残り、いずれ大賞が獲れるでしょう。
自身の実力を過大評価したがる
そこから「プロ」へ続く道を歩いていけるのです。
最後に
今回は「根拠のない自信を持たない」ことについて述べました。
人は不思議と「自分が筆を執れば大賞間違いなし」と思い込んでいます。
それは単なる「思い込み」です。
本当の実力を試さなければ、自分の実力なんて誰にもわかりません。
武道の鍛錬も、ひとりで型の練習をしたところで、実戦に役立つわけではないのです。
実力を見極めるためにも大会へ出場しますよね。
小説ではなぜそうしないのか。
創作の中で最も簡単にできるのに、低い成績しか残せないと知りたくないからです。
イラストやマンガならある程度の良し悪しは自分で評価できます。
しかし小説は、読み手に正しく伝わっているかを書き手が自ら知る術がないのです。
だから武道のように大会つまり「小説賞・新人賞」へ応募して実力を測ってください。
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