1115.鍛錬篇:小説家になろうの評価方式変更
今回は『小説家になろう』様の「評価」方式変更についてです。
本コラムでも「評価」システムの解説をいくつかしていますので、変更点とそれに伴う効果を考えてみたいと思います。
『ピクシブ文芸』様『カクヨム』様でお読みの方には無縁かもしれませんが、ご了承くださいませ。
小説家になろうの評価方式変更
『小説家になろう』様では、二〇二〇年三月三日に「評価」の方式が変更されました。
これまで文章評価とストーリー評価に分かれていたものを総合して「評価ポイント」にしたのです。
これにより、これまでお話してきた『小説家になろう』様の「ランキングポイント」の計算も変わってきますので、手短に寸評致します。
時代の流れによる変更
なぜ『小説家になろう』様では文章評価・ストーリー評価と分けていたものを一本化したのでしょうか。
おそらく「機能していなかった」からだと思われます。
「小説を読ん」だあとにその作品を「評価」するかどうかは、読み応えによるのです。
するとストーリー評価はそれなりに高いはず。しかもストーリーを味わえるだけの文章でなければそもそも「評価」するまで読み進められなかったと想定されます。
これにより、どうしても文章評価とストーリー評価は近しい値になってしまうのです。
文章評価1ptでストーリー評価5ptという事態はまず起こりません。逆もまたしかり。
しかも「評価」するからには、文章評価もストーリー評価も3pt前後なくては付ける意味が見出だせないのです。
であれば、文章評価とストーリー評価のふたつに分ける理由がなくなってしまいます。
作品本数が少なかった頃には、ふたつに分ければ「文章力の高い作品」と「ストーリー構成力の高い作品」を選びやすかったのです。
しかし七十万以上も作品があると、もはや「どちらかがすぐれた作品」が求められなくなりました。どうせ読むなら「文章力もあり、ストーリーも面白い作品」が読みたいですよね。
また「評価」がふたつに分かれていると積極的に「評価」しづらいという面もあります。「この作品は文章評価が4ptでストーリー評価が5pt」と考えながら読む方はまずいません。「評価」の敷居を下げるためにも「評価ポイント」への統合は必須だったのでしょう。
「評価」を簡単に行なうためには、できるだけ段階は少ないほうがよい。
たとえば『Twitter』様『Facebook』様などSNSの「いいね」は1か0かの二段階であり、少しでもよいと判断すれば「いいね」を入れやすい特徴があります。
同じ小説投稿サイトでも『ピクシブ文芸』様が「いいね」方式を採用していますが、ほとんど機能していないのが実情です。
『カクヨム』様では☆から☆☆☆までの三段階でおすすめレビューが書けます。また各投稿回ごとに「いいね」方式を取り入れていますので、最も柔軟な評価方式です。
今回『小説家になろう』様は「評価ポイント」を☆から☆☆☆☆☆の五段階で付けるようになりました。☆ひとつでランキング2ptです。つまりブックマークひとつと同じポイントとなったのです。
ランキングでしかアピールできない『小説家になろう』様では、ランキングポイントをいかに稼ぐかが目立つ秘訣であり、「紙の書籍」化への近道とされてきました。
これからはブックマークと同様、気楽に「評価ポイント」を付けられるようになったのです。『小説家になろう』様での連載から「紙の書籍」化される作品が減っている以上、もっとランキングを競う形に変更して活況を維持したいとの運営側の思惑もあったのでしょう。
どこからでも評価
今回の「評価」方式の変更で目玉なのは「どの投稿回からでも評価ができるようになった」ことです。
読み手からみても「ここまで読んできて、これからの展開も期待できる」だったり「終わりまで読んでみたら、まさかの結末だった」だったり、そう感じたときに「評価」できるのはとても助かります。
気軽に「評価」を入れられ、ランキングポイントの増減は激しくなって新陳代謝が促されるのです。
つまりランキングが入れ替わりやすくなったと言えます。
これからはブックマークだけでなく、積極的に五段階評価をして推し作品へランキングポイントを付けられるようになったのです。
正直、最近の『小説家になろう』様のランキングは上位になるほど固定化してしまって、新参者の入る余地がありませんでした。
しかしどこからでも気軽に「評価」を入れられるようになったため、とくに「期待の新作」がランキングに載りやすくなると思われます。運営側の意図もおそらくそのあたりでしょう。
他の小説投稿サイトへ流出していた書き手を、再び『小説家になろう』様へ取り戻したいとの意向もありそうです。
ただしこの点は、開催される「小説賞・新人賞」で差がつく部分であり、今回の「評価ポイント」変更では取り戻せないと思います。
『小説家になろう』様最大の魅力は「一七五万アカウント」という最大の読み手がいることです。
これをなにものにも代えがたい魅力と受け取る書き手は、かなり多いのです。趣味で小説を発表して多くの人に読んでもらいたい書き手は、どこよりも読み手のいる『小説家になろう』様へ流れてきます。
そのときいつ見てもランキングが新鮮に映れば「ここで作品を発表してもいいかな」と思ってくれるのです。
ランキングが固定化してしまって魅力を失ってしまった。それが『小説家になろう』様最大の欠点だったのです。
流動性を確保するには、いつでもどこからでも「評価ポイント」が付けられる必要があります。しかもわかりやすい形で。
今までの文章評価とストーリー評価に二分された方式では「評価」を入れづらかったのです。とくにSNSで「いいね」を付けることに慣れた読み手が増えているため、余計に「評価」しづらいシステムでした。それが改善されたことで、ランキングが流動化して新鮮さが生み出せるのではないか。
実を言えば本コラムはランキングと無縁です。
閲覧数自体は高いのですが、評価する人はほとんどいない。まったく不要なのかなと思うと、熱烈に応援してくださる方もいらっしゃる。
まぁ本コラムはとにかく、今回の「評価ポイント」方式でランキングにどんな変化が起こるのかを注視したいと思います。
まぁ本コラムは依然としてランク外確定でしょうけどね。
いちばん需要のある「ハイファンタジー」ジャンルのランキングが流動化するだけでも、『小説家になろう』様は勢いを取り戻せるかもしれません。
最後に
今回は「小説家になろうの評価方式変更」について述べました。
ひとつの五段階評価に統一したことで、今までよりも格段に「評価」しやすくなりました。
これにより「期待の新作」がランク上位に入るようになれば、運営側の意図どおりだと思います。
硬直化したランキングでは、読み手も飽きてしまいますからね。
皆様も「読んだ作品」は積極的に「評価」してあげてください。
それで少しでも『小説家になろう』様が息を吹き返すとよいのですが。
どうなりますことやら。
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