1062.鍛錬篇:才能や能力を悩むな
今回は「才能や能力」についてです。
「天才」は稀に現われるから「天才」なのです。
毎年現われたら、それは「天才」ではありません。
しかし才能や能力はいくらでも伸ばせます。「秀才」なら今日この時にも誕生しているのです。
不可能な「天才」を目指すより、なろうとしてなれる「秀才」を目指しましょう。
才能や能力を悩むな
「あなたの素の思考」を紙のノートへ書き出しているとき、つい「なかなか文章がうまく書けないな」「才能がないのかな」と考えたくなるものです。
とくに今日のぶんを書き終えて、後日読み直すと「なんでこんな支離滅裂な展開で書いているのだろうか。私には文章を書く能力はないのか。このままでは小説なんて書けない」と思ってしまいます。
ですが才能や能力なんて気にする必要はないのです。
才能や能力はいくらでも伸ばせる
世の中には「天才」と呼ばれる人物が幾人か存在します。
しかし生まれたときから「天才」だった人物はほとんどいません。
それこそ産まれながらに「天上天下唯我独尊」と話したブッダ氏くらいなものです。
同じ宗教家のイエス・キリスト氏ですら自ら中心となった新興宗教集団が出来るまで、誰からも崇められず日々の食に事欠く生活を過ごしています。
「天才」は生まれながらに「天才」なのではないのです。
日々暮らしているときに、どれだけ疑問を抱けるか。ただ日常生活を送っているだけでは気づかないものへいかに気づけるか。
レオナルド・ダ・ヴィンチ氏は精緻な人物画を描く目的で、死体解剖に何度も立ち会っています。どの筋肉がどの骨をつないでいるか、その筋肉が体をどのように動かしているのか、そもそも骨の形はどうなっているのかという疑問から、解剖に立ち会ったのです。
だからレオナルド・ダ・ヴィンチ氏は精緻な人物画が描けました。生まれながらの天才ではなかったのです。
「天才」と認識されているレオナルド・ダ・ヴィンチ氏も、人知れず努力を積み重ねました。それによって初めて「天才」として誰もが認める存在となりえたのです。
毎日コツコツ積み上げる
「自分には小説を書く才能がない」だの「小説をうまく書く能力がない」だの。
そんなものは努力を放棄した人間の、あきらめの声でしかないのです。
あなたはこれまで、人知れず努力したことがありますか。
誰からも認められないけれども、ひたむきにひとつのことを追求したことがありますか。
私は本コラムの毎日連載千日へカウントダウンに入っているのです。(今日が998日目です)。
我ながらここまで毎日連載が続けられたことに驚きます。
小説投稿サイトへ投稿していますから「人知れず」ではないかもしれませんが、当初はほとんど評価されずに連載を続けていたのです。
だから、文章を書くのが苦ではなくなりました。文章の構成もこなれてきました。
書こうと思えば、毎日三千字前後は書けるだけの能力が身についたのです。
小説投稿サイトでは、毎日千五百字〜二千字前後が最も読まれます。毎日三千字前後が書けるのなら、毎日ストックを一本ずつ増やしていけるのです。
もちろん小説の千本ノックではないので、文章は書けても小説が書けるとは限りません。それでも毎日書く経験を積んだので、文章への抵抗がなくなりました。
コラムの毎日連載千日を達成したら、今度は小説の毎日連載千日を目標にしたいと思っています。小説も千本ノックをすることで確実に自力がつくのです。
だから本コラムは毎日連載千日を達成する第1064回をひとつの目安として、毎日連載にこだわらず書きたくなったら書いていく。質問があったら補講する。そんなスタンスで運営するつもりです。
とりあえず、今は書きたいものがあるのでとうぶんは本コラムの毎日連載は続くと思います。ポカをしでかさないかぎりですが。
三歩進んで二歩下がる
毎日トレーニングを続けていると確実に進歩します。
ですが、ときに成果が伴わない日もあるのです。
たとえば、体重を落とそうとして運動を始めたとします。始めのうちは順調に体重が減っていくのです。しかし、ある日を境に体重がほとんど減らなくなります。ここで「もうこれ以上落ちないのかな」と思ってはなりません。
皮下脂肪は比較的早く燃焼されますが、内臓脂肪はそう簡単には落ちないからです。
ここで運動をやめてしまうと内臓脂肪がつきやすくなり、結果リバウンドしてしまいます。リバウンドを起こさないためには、体重が落ちなくても運動を継続するべきです。
順調に体重が減っていくのは「三歩進んだ」状態です。そこから体重が減らなかったり逆に増えていったりするのは「二歩下がる」状態といえます。あきらめずに運動を続けていれば、また体重は減り始めるのです。
まさに「三歩進んで二歩下がる」の言葉どおり。進むときと下がるときをきちんと把握できていれば、運動をやめる判断はしないでしょう。
しかしあなた自身が判断するのはとても難しい。だから多くの方がトレーニングジムに通います。専属トレーナーがあなたの体調から、適切に運動量をコントロールしてくれるからです。
小説を書くのも運動と同じ。
あなたひとりだけで比喩や表現などを身につけようとすると、自分で限界を決めてしまいます。
「こんな比喩なら読み手に伝わるかな」「こんな表現ならこの状況を存分に味わわせられるかな」と線引きしがちなのです。
しかしたいていの場合、読み手には伝わりません。
「読み手目線」を考慮していないからです。
ではどのようにして「読み手目線」を手に入れればよいのでしょうか。
小説投稿サイトを利用するのです。
とくに短編小説を多く書いて、小説投稿サイトへ掲載します。すると読み手の反響がわかるのです。
しかし
だから始めのうちは
気づいてもらえてからが本当の勝負です。
「三歩進んで二歩下がる」
こまめに新作を掲載して、そこから手厳しい指摘をたくさんされましょう。そして「二歩下がる」くらい打ちのめされたら、また「三歩進む」作品を書きまくるのです。
そうすればあなたの筆力は必ず向上します。
「あなたの素の思考」を「紙のノート」へ書き出すトレーニングも同じです。
書くことが見当たらなくても、とにかく毎日「紙のノート」に、今あなたが思っていること考えていること感じていることを書きまくりましょう。
そうすれば、必ずやあなたは文章を書くことに慣れてくるはずです。
小説の筆力は上がりませんが、文章を書く
小説を書くためのウォーミングアップ、ストレッチとして毎日「紙のノート」へ「あなたの素の思考」を書きまくるのです。
「三歩進んで二歩下がる」は「あなたの素の思考」を書き出すときにも当てはまります。スラスラと筆記具が進むときもあれば、なかなか書けないときもあるのです。それでも毎日書き続けていれば、必ずや「あなたの素の思考」を直接文章に表せるようになります。
「継続は力なり」
成果が見えづらくなっても、毎日続けていれば地力は付きます。
地力が付けば筆力を磨くときに迷わなくなるのです。
あなた自身の迷いやためらい、戸惑いなどの煩悩を素直に受け入れてください。受け入れれば乗り越える方法にも気がつきます。
煩悩克服のためにも「あなたの素の思考」を「紙のノート」へ書き出すトレーニングは継続しましょう。
素の自分が見えてきたら、あらゆる存在に変化できるのです。
変装が得意な方は、自身の特徴を熟知しています。だからこそ特徴をどう活かすか隠すかを工夫できるのです。自身の特徴を熟知せずに変装をしても、必ず見破られます。
小説も文章も、あなた自身の特徴を熟知すれば、いくらでも書きようはあるのです。
それこそ村上春樹氏ふうの文法すら使いこなせます。
まず「あなたの素の思考」を書き出して、自身の特徴に気づいてください。
気づけてから小説の文章に磨きをかけていけばよいのです。
最後に
今回は「才能や能力を悩むな」について述べました。
才能なんてほとんどの方は持っていません。「天才」は百年に一度現われるから「天才」なのです。
毎年「天才」が現われることなどありません。
「小説賞・新人賞」へ応募する人の中に「天才」がいない保証はありませんが、いる可能性のほうが圧倒的に少ないのです。
ですので「あなただから書ける小説」を目指すべきです。
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