1038.面白篇:SNSに勝てる小説を書こう

 今回は「SNS」との競争についてです。

 中高生もスマートフォンを持つ時代に、小説投稿サイトで小説を読んでもらうにはどうするか。

 SNSを使いこなす若者に、小説投稿サイトで作品を読んでもらえれば、拡散力は抜群です。

 問題はどうやって集めるか。





SNSに勝てる小説を書こう


 現在、小説は窮地に立たされています。

 小説を読む主要層である中高生のお小遣いが少ないからです。

 お小遣い全体は以前よりはるかに多くもらっています。それでも足りないのです。

 なぜか。スマートフォンを持っているからです。

 お小遣いの大半をスマートフォンの維持に費やしています。




スマートフォンの楽しみはSNS

 中高生はスマートフォンでなにをやっているのでしょうか。

 TwitterやInstagramやLINEなどのSNSソーシャル・ネットワーキング・サービスで友人とやりとりしています。

 これらは無料で使えるのです。スマートフォンさえ毎月維持できれば、友人とのやりとりは無制限に行なえます。小説を読んでいる時間があるなら、スマートフォンをいじってSNSをしているのです。今の中高生に小説を読ませるのはかなりの難事と言ってよいでしょう。

 可能性があるとすれば、スマートフォンから読める「小説投稿サイト」。ここなら無料で小説を読めます。

 ではSNSと小説投稿サイトのどちらを利用するのでしょうか。

 中高生はほとんどの時間をSNSに使っています。

 小説投稿サイトが利用されるとすれば、SNSで相手方から新着メッセージやツイートが来るまでのごく短い時間です。五分もあればよいでしょうか。

 だから一回五分で読める小説が好まれるのです。

 小説を読む習慣のある中高生でも、ほとんどの時間はSNSを利用しています。

 私たち小説投稿サイトへ作品を掲載している人は、SNSに勝てる小説を書かなければならないのです。

 SNSに勝てる小説は、読んだ中高生がSNSを通じて友人へ拡散します。だから爆発的にヒットするのです。

 アニメのサテライト『マクロス7』で主人公・熱気バサラは「ミサイルよりも爆発力のあるサウンド」を追い求めました。

 クリエイターとしての私たち書き手は「SNSよりも魅力のある小説」を追い求める気構えが必要です。

 では、いかにしてSNSよりも魅力を高めればよいのでしょうか。


「惹き」を強めてください。




惹きはなにものにも勝る

 どんなにSNSが面白くても、「惹き」の強い物語には勝てません。

 テレビドラマ不況の中でも、マンガ原作の海野つなみ氏『逃げるは恥だが役に立つ』や池井戸潤氏『半沢直樹』シリーズなど世を席巻した作品は生まれます。また沢口靖子氏主演『科捜研の女』や水谷豊氏&反町隆史氏主演『相棒』シリーズのようにロングヒットする作品もあるのです。

 これらの作品は「惹き」の強さで共通しています。

 冒頭に出てきた「謎」が気になって、つい「謎解き」場面まで観てしまう。短編小説で満足度を高めるためには必要不可欠な要素です。

「惹き」が強いため次回が気になって仕方ない。連載小説で次回を楽しみに待つ状態と同じです。

「惹き」が強い物語は、SNSよりも面白いと中高生に判断されます。だからSNSを通じて爆発的に拡散していくのです。

 アニメ映画の新海誠氏『君の名は。』や青山剛昌氏原作『名探偵コナン ゼロの執行人』など、「惹き」の強い作品はSNSで拡散されて爆発的にヒットします。『君の名は。』は邦画歴代1位のスタジオジブリ・宮崎駿氏『千と千尋の神隠し』に迫る観客動員を果たし、『名探偵コナン ゼロの執行人』は同作初の興行収入百億円に迫る魅力を発揮しました。


 テレビアニメでは定番の『サザエさん』『ドラえもん』『それいけアンパンマン』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』などは、その変わらぬ作風が支持されて人気を保っているのです。

 これに対しストーリーが進行する『DRAGON BALL』『名探偵コナン』『ONE PIECE』『MAJOR』『夏目友人帳』『進撃の巨人』『僕のヒーローアカデミア』といったマンガ原作のアニメは、長きにわたってシリーズが続いています。

 また『フルメタル・パニック!』『ソードアート・オンライン』『とある魔術の禁書目録』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』などライトノベル原作のアニメも、シリーズが続いていますよね。

 アニメシリーズが続く作品は、連載も長期化するのが特徴です。

 すでに『フルメタル・パニック!』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』などは完結していますが、他の多くのアニメ化小説は絶賛連載中です。

 アニメを観て「惹かれて」原作小説を読む。アニメの今シーズン放送が終わったけど、「この先がどうなるのか知りたい!」と思うから原作小説が売れるのです。だからテレビアニメがシリーズ化するほどの視聴率を得ると、原作小説が売れて視聴者が増える好循環が生まれます。

 アニメ化されるのも続編が作られるのも、「惹き」が強い作品だからです。「惹き」が強いと「魅力的」に映ります。商品価値が高いとも言い換えられるでしょう。

 実際「惹き」が強ければすべてうまくいきます。

 連載小説は多くの読み手にウケて閲覧数(PV)・ブックマーク・評価が高まってランキングの上位に入る。「小説賞・新人賞」に応募すれば作品が高く評価されて「紙の書籍」化の話が舞い込む。「紙の書籍」がたくさん売れてアニメ化の話が立ち上がる。アニメの視聴率がよくて原作小説が飛ぶように売れる。それだけでなく、あなたの別の小説にもスポットライトが当たる。そちらも人気が出る。

 といったように、すべてがうまくまわるのです。

 あなたの作品は「惹き」をうまく活かせていますか。

「惹き」を強めると読み手に媚びるようで嫌だな。そう思ってしまう書き手の方が多いのも事実です。

 ですが「惹き」は「媚びる」行為ではありません。読み手を作品世界に呼び込む「罠」として機能します。

 だから「惹き」を強めなければヒットしないのです。

 もし小説で食べていきたいのなら、「惹き」が作れないなどと言ってはいられません。

「惹き」を最大限に活かして、一見さんの読み手をファンに変えてしまうくらいの気概が欲しいのです。

「惹き」をないがしろにしないでくださいね。




メディアミックス戦略に強い出版社レーベルを狙おう

 もしあなたの書く小説に自信があるのなら、小説投稿サイトで開催されている「小説賞・新人賞」へぜひ応募してください。可能であれば、アニメ化が多い小説投稿サイトを選びましょう。過去の実績だけで言えば『小説家になろう』発が多かったのですが、現在はよほどの作品でなければアニメ化まで行きません。

 資本力のある出版社KADOKAWAが共催する小説投稿サイト『カクヨム』は、今後アニメ化作品も増えてくるとにらんでいます。事実、現在アニメ化・シリーズ化が多い出版社レーベルは「電撃文庫」「富士見ファンタジア文庫」「スニーカー文庫」「メディアファクトリー新書」などKADOKAWAのレーベルがとても多いのです。あの『ソードアート・オンライン』も『とある魔術の禁書目録』も『魔法科高校の劣等生』も、KADOKAWAの「電撃文庫」所属です。伸びしろという点でもメディアミックス戦略が手慣れているKADOKAWAにはまだまだ可能性が詰まっています。そのためか、KADOKAWAの株価は11月半ばから右肩上がりです。

 メディアミックス戦略に強い出版社は他にもあります。独自の小説投稿サイトを持っているのは、アニメ化も多いアルファポリス『アルファポリス』、マンガなどで定評のあるホビージャパン『ノベルアッププラス』や講談社『レジェンドノベル』などです。


 アカウント数が桁違いの老舗『小説家になろう』にこだわる時代は終わりを迎えました。これからは開催されている「小説賞・新人賞」へ応募するために、複数の小説投稿サイトを使い分ける時代です。

 いくら小説投稿サイトでトップランカーになろうとも、「紙の書籍」化の話はまず舞い込みません。

「紙の書籍」化を目指すなら「小説賞・新人賞」で結果を残すしかないのです。

 佳作にでも入れる自信があるのなら「小説賞・新人賞」へ必ず応募するようにしてください。





最後に

 今回は「SNSに勝てる小説を書こう」について述べました。

 現在の小説はSNSに勝てなければ話題にもなりません。

 もしSNSに勝てる作品が書けるのなら、「小説賞・新人賞」を狙いましょう。

 応募すれば、それが「SNSに勝てる小説」への第一歩なのです。

 今さら「小説賞・新人賞」を避けて、自分の好きなように連載してトップランカーになれても「紙の書籍」化の話は舞い込みません。

 趣味で小説を書くだけでよいのであれば別ですが、小説投稿サイトを利用している方のほとんどが「プロの書き手」「紙の書籍」化を目指しているはずです。

 小説を仕事にしたいのなら「小説賞・新人賞」を授かる作品を書きましょう。



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