1005.面白篇:読み手の反応が見られる時代
今回は「反応のリアルタイム制」についてです。
小説投稿サイトは紙の書籍と異なり、読み手の反応がリアルタイムで反映されていきます。
読み手の反応が見られる時代
小説投稿サイトが「紙の書籍」と異なるのは、掲載したらリアルタイムで「どれだけ読まれているか」「どれだけ
「紙の書籍」しかなかった時代では、初刷が売れるまで書き手は読み手の反応を考えなくても良かったのです。売れて増刷がかかったり、読み手から感想の手紙が送られてきたりした際に、世間がどのように受け止めてくれたのかを判断していました。
小説投稿サイト時代の執筆のあり方について考えてみましょう。
誰でも怖い初めの一歩
小説投稿サイトはリアルタイムで読み手の反応がわかります。それが自動集計されてランキングへ即座に反映され、人気上位が可視化されるのです。するとどうなるのか。
誰かにとって「面白い作品」が皆の目にとまりやすくなります。
たとえば投稿直後に新しもの好きなAさんが読んでみて「面白い」と感じた作品にブックマークを挿したり、評価を入れたりする。するとランキング下位好きなBさんがランキング下位に入ったその作品を読んでみて「面白い」と感じた作品にこれまたブックマークを挿したり、評価を入れたりするのです。するとランキング中位好きのCさんが、……という具合に、リアルタイムでランキングを駆け上がります。
本当に「面白い」作品は、投稿直後から人気が出て、人々に「面白さ」が伝播していくのです。
しかしここで勇気をもって新作を投入する心構えが難しい。
遅くとも一日後には日間ランキングの結果が出ます。
もし初動に失敗したらどうしよう。誰にも読まれなかったら、誰からもブックマークを挿されなかったら、誰からも評価されなかったら。
つねにネガティブ思考に陥ってしまいます。
しかし初回の結果だけでは考えられません。あなたの小説が一回投稿の短編小説であるのならそれでもよいでしょう。
複数回投稿する長編小説や連載小説なら、毎日次話を投稿しなければならないのです。初動にあれこれ思い煩うよりも、次話へ全力を挙げてください。連載を続けていくうちに人気も出るかもしれません。
もちろん初動がよいほうが最終的な結果を出しやすいものです。
仮に初回で百人のブックマークが付いた作品と、ひとつもブックマークが付かなかった作品とでは、その後の苦労が変わってきます。
初回に百人のブックマークが付けば、それだけで『小説家になろう』ではランキングポイントが200ptになります。対してひとつもブックマークが付かなければランキングポイントは0ptです。片や日間ランキングに位置し、片や日間ランキングに載ることすらないのです。
小説投稿サイトの読み手の多くは「ランキングを頼りにして面白い作品を読む」スタンスで利用しています。
つまり初回でランキングに載れなければ、以後はランキングに躍り出るのが難しくなるのです。
そうとわかっていれば、初動の悪い連載小説は早々に連載を畳みましょう。
ツカミの悪かった連載小説が、挽回できる余地はほとんどありません。
「紙の書籍」の時代であれば、結果が出るまでに一か月、二か月、三か月とかかりました。その間に初刷が何部売れるのか。そういう長期的な視点で売上を見ていられたのです。だから書き手も初回の反響なんて気にせず執筆し続けられました。
二冊目を書き終えて、三冊目を書こうかという段階で、一冊目が何部出荷されたのか何部売れたのかがわかります。出版社によっては「印税」の振り込み額で、おおよその出版部数を把握できたのです。
現在は冒頭で申したとおり、小説投稿サイトの時代です。
初回がよかったか悪かったかの判断は翌日には如実に現れてしまいます。
だからこそ、どんなに著名な書き手であっても、初回は怖いのです。
もし初回でつかめなければどうしよう。これまで考えていた構成や展開でいいのだろうか。
どうしたってそういうネガティブな考えが頭を支配します。
鈍感力と意識の切り替えも必要
小説投稿サイトの時代では「鈍感力」も必要でしょう。
日間ランキングが駄目なら週間ランキングを狙えばよい。週間ランキングも駄目なら月間ランキングを狙えばよい。そのくらいの「鈍感力」がないと、満足に小説を連載できません。
ランキングに過敏になると、初回の投稿すらできなくなるのです。
投稿しなければランキングを意識しなくて済みますからね。
そうして初めの一歩を必要以上に怖がってしまうのです。
だから、その小説投稿サイトの処女作を投稿する際は、反響を気にしないようにしてください。
初日でランキングに載れなかったから、やっぱり投稿するべきじゃなかった、と感じてしまうのです。
一度そう感じてしまうと、以後の連載も新しい連載も満足に続かなくなります。
あとは忍耐力がどれほどもつかです。
あまりにもランキングに載らなくて連載が嫌になったら、適当な
それより「つまらない小説を書くな」と評価されたほうがまだましです。つまらない小説は、本数を重ねればそのうち面白い小説が書けるようになります。
ですが「すぐにエタる」と評価されてしまうと、どんなにツカミのよい連載を書いても、読み手が追ってくれなくなるのです。こうなるとどうあがいてみても、読み手がまったくブックマークを挿さない状態になります。ここで迷走を始める書き手が多いのです。
あまりにもマイナス効果が大きいので、「すぐにエタる」と評価されるようになった書き手は、他の小説投稿サイトへ移籍しましょう。
だからこそ、小説投稿サイトを利用するなら、いきなり長編小説や連載小説で勝負しないでください。一回の投稿で完結する短編小説を連投するべきなのです。そうすれば初回のツカミがどうこうと意識せずに済みます。
毎日のように短編小説を書いて、推敲が終わったら投稿してください。
そうすれば連載の練習にもなりますし、読み手を惹き込めるツカミがどういうものかも見えてきます。
最後に
今回は「読み手の反応が見られる時代」について述べました。
小説投稿サイトは非情です。投稿した作品がどれだけ支持されたかがランキングの形で明らかにされます。
ランキングに入れない連載小説は、誰にも読まれなくなるのです。
だからこそ、ツカミが重要になります。うまくつかめなければ、新しもの好きの読み手にも支持されません。
連載を始めるときは、新しもの好きの読み手に読まれる工夫をしてください。
新しもの好きの読み手は、まず新着一覧から読みたくなるような「タイトル」「あらすじ」の作品を見つけ出して、試し読みします。そして面白そうならブックマークを挿すのです。新しもの好きの読み手のうち二十名にブックマークしてもらえたら、ランキングポイントが40ptになります。ギリギリでランクインできるかどうかです。ですが新しもの好きの読み手がまったくブックマークを挿してくれなければ、ランクインする可能性すらありません。そうなればランキングから読みたくなるような小説を探している読み手の方にアクセスできず、結果としてランク外へ押し出されてしまうのです。
読み手の反応が見られる時代だからこそ、読み手の心をうまくつかめなければなりません。
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