958.筆洗篇:完結させる能力を養う
今回は「完結させましょう」ということについてです。
小説投稿サイトでは「エタっ」ている作品をよく見ます。
しかし「エタる(エターナル:永遠に終わらない)」作品ばかりだと「終わらせるつもりがないらしい」と読み手が皆去っていくのです。
完結させる能力を養う
小説を書く能力の中でも、最もたいせつなのは「物語を完結させる能力」です。
小説投稿サイトで「エタっ」ている作品の数々を見て「なぜこの書き手は物語を完結させないのだろうか」と疑問に思いませんか。
それは考えなしに連載を始めてしまって「矛盾」が生じたからかもしれません。
実は「物語を完結させる能力」が足りなくて、完結させたくてもさせられないのかもしれません。
小説は完結しないと評価されない
どんなによい小説であろうとも、完結していなければ評価に値しません。
小説投稿サイトでは前作の出来や
それをよいことに、いつまでも「完結しない」でいると次第に読み手が離れていくのです。
連載小説を終わらせるには、そもそも「あらすじ」を作った際に設定していた「物語の落としどころ」がどういうものだったのかを思い出す必要があります。
もちろん連載の過程で「あらすじ」が変わってしまうこともあったでしょう。
しかし当初の「物語の落としどころ」がわからなければ、そこからどう変えればよいのかすら見えてこないのです。
だからこそ「あらすじ」作りでしっかりと「
地図と羅針盤を持っているからこそ、目的地へ向かって未踏の地を進んでも迷わないのです。
しっくりとくる納まりのよい結末
物語が始まれば、終わりも必ずやってきます。
この世に生を受けて、死なない者など誰ひとりとしていません。
「終わらない輪舞曲」にも必ず終わりが来るものです。
物語が真に評価されるには、結末を読んでもらう以外にありません。
どんな経路をたどった物語であっても、読んで「しっくりとくる納まりのよい結末」は必ずあります。
すべてを放り投げて「全キャラ死亡エンド」「全世界破滅エンド」であっても、物語の流れとして有効な場合もあります。しかしそれが本当に「しっくりとくる納まりのよい結末」かどうかは別の話です。
とりあえずでも急場しのぎでも「完結する」ことで確実に書き手のステージは一段上がります。
未完の話題作を多数抱えるよりも、確実に一作ずつ作品を完結させていくことで得られる経験値のほうがはるかに貴重です。
長編小説を何本も完結させていくことで、連載小説の終わらせ方が身につきます。
そうなってから連載小説に手を出しても遅くはないのです。
長編を一本書き上げて、それを分割して毎日投稿していきます。そうして読み手が「しっくりとくる納まりのよい結末」を迎えることで、読み手は初めて書き手の名前を憶えてくれるのです。
当初は作品名しか記憶していなくても、物語を完結させることで名前を憶えてもらえます。
だからこそ小説投稿サイトを利用するなら、まずは短編小説を書いて
あなたのライブラリーの中で未完の連載小説はあるのなら、まずはそれをきちんと完結させてください。
「この書き手は物語を完結させる能力がある」と認めてもらってからでなければ、連載小説で読み手を惹きつけられません。
終わりの来ない物語はないのです。
「作者死亡」「連載誌休刊」による場合を除いて、小説は必ず完結させるクセをつけましょう。
小説を完結させる能力があれば、「あらすじ」からどれだけ脱線しても元の「しっくりとくる納まりのよい結末」へつなげられます。もし元々考えていた「しっくりとくる納まりのよい結末」を変更せざるをえない場合でも、「小説を完結させる能力」さえあれば即座に計算し直せるのです。
終わらせ方のわからなくなった小説があっても、「小説を完結させる能力」を手に入れれば綺麗に終わらせられます。
だからこそ、まずは地道に中編小説・長編小説を分割して連載投稿し、「小説を完結させる能力」を向上させましょう。能力が身につくまでは以前の「未完の連載」が残っていても仕方ありません。しかし、能力が身についたら「未完の連載」を順次完結させていくのです。その積み重ねで「しっくりとくる納まりのよい結末」が必ず書けるようになります。
小説を完結させる能力を磨く
「小説を完結させる能力」を磨けば、必然的に物語の密度は高まるのです。
物語の密度を高める方法はいくつかあります。
中でも「小説を完結させる」ことは最重要です。
小説を完結させないかぎり、物語を上から圧縮できません。つまりふかふかの座布団のように、ただふかふかと存在しているだけで、座り心地がよいのかどうかわからないのです。座り心地は実際に座ってみないとわかりません。小説も完結させなければ味わいがわからないのです。
どれほど奥深い小説であろうと、結末を迎えて小説が完結されるまで、どれだけ奥深かったのかに気づけません。
深奥な物語は、読み手に多くの教訓を伝えます。
しかし物語が完結していなければ、教訓はほとんど伝わりません。
作品の成否は完結してこそわかるのです。連載中の段階で判断できる方はまずいません。連載数回で評価されるのは、
あまりに反響がなくて十回程度で連載を打ち切ってもかまいません。必ず完結させることだけを意識するのです。
そうすれば「物語の終わらせ方」つまり「小説を完結させる能力」が身につきます。
「小説を完結させる能力」が身についてから、本命の連載を始めればよいのです。
身についていないのに連載を始めてしまうから「エタり」ます。
「エタっ」た作品が多い書き手は、たいてい一本も「完結済み」になっていないものです。
読み手の信頼を得るためにも、小説は必ず完結させましょう。
始めから「終わり方が決まっている」短編小説、中編小説、長編小説とステップアップすることで、連載小説でもきちんと「完結」させられます。
遠まわりのようで、実は近道だった。『孫子』でいう「迂直の計」です。
「小説を完結させる能力」を磨くには、物語の長さをじょじょに伸ばしましょう。
いきなり連載小説からスタートしても、小説投稿サイトで活躍するのは難しい。努力の割りに見返りが少なすぎて「才能がないのかな」と落ち込んでしまいます。
まずは短編小説から。
もしこれまで短編小説を書き溜めていて、それらを小説投稿サイトへ掲載していなければ、ひとつずつ投稿していきましょう。
短編小説を書いたことがなければ、これから短編小説を書くのです。
そして「小説を完結させる能力」に磨きをかけてください。
最後に
今回は「完結させる能力を養う」ことについて述べました。
小説を書くからには、必ず完結させてください。
未完の作品は、いくら内容がよくても評価されません。
かえってマイナス評価されることのほうが多いものです。
もしライブラリーに未完の作品がある方は、ひとつずつ終わらせて「物語の終わらせ方」を身につけましょう。
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