三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム

925.文法篇：名詞と助数詞

　今回は「助数詞」についてです。

　なんでも「ひとつ」「ふたつ」、「一個」「二個」と数えるだけでは表現が貧しくなります。

　名詞によって、使うべき助数詞がある程度決まっているのです。

　ならばそれを使うのが本来の小説の表現になります。

名詞と助数詞

　ある名詞には対応する助数詞があります。

　なんでも「一個」「二個」、「ひとつ」「ふたつ」と数えるのはやめましょう。

助数詞の考え方

　丸くて小さいもの「粒」飴玉、真珠など

　粒状のもの「顆（か）」とくに果実や宝石。

　細くて長いものは「本」木、棒、杖、串など。

　薄くて広がったもの「枚」「葉」「片」紙は一枚、写真は一葉、雲は一片など。

　品数「点」展示品など。

　対になって揃っているものは「組」カップル、夫婦、親子など。

　順序の数「号」雑誌、台風など。

　出来事、事柄の数「件」事故・情報など。

　順位「位」競技会の順位。

　どのくらい行なわれたか「回」「度」「遍」回数。

　平たいものは「面」テニスコート、土地、琴など。

　どこかに据えられたものは「基」墓、灯台、原子力発電所など。

　足があるものは「脚」椅子、机など。

　接待用の道具、器物は「客」吸い物椀、紅茶カップなど。

　箸（はし）は二本で「一膳（いちぜん）」

　手紙、はがき、書類などは「通」

　詩歌や戯曲、小説などは「篇」「編」。連歌や俳句、川柳は「句」。和歌は「首」

　三味線は「挺（ちょう）」「丁」「棹（さお）」。旗やたんす、羊羹（ようかん）は「棹（さお）」。数珠は「連」

　車や機械は「台」。電車は「両」。飛行機や気球は「機」。

　小さな動物は「匹」。大きな動物は「頭」。鳥は「羽」。魚は「匹」「尾」。

　以上のように分けられます。

　以下に主な助数詞を記しました。

助数詞の例

人物・動物・植物

　人間「人」「名」

　人の尊敬語「氏（し）」「方（かた）」

　行列「列」

　動物一般「匹」獣・鳥・魚・虫など

　猫「匹」

　大型の動物「頭」ライオン・象・クジラなど

　犬「頭」

　鳥・ウサギ「羽」

　ペンギン「頭」「羽」

　魚・エビ「尾」

　魚「喉（こん）」

　イカ・タコ「杯（はい）」

　卵「粒（つぶ）」

　歯「本」「枚」

　樹木・竹・草「本」

　鉢植えの植物「鉢」

　根のついた草木「株（しゅ・かぶ）」

　花「輪」「本」

　花びら「片（ひら）」「まい」

　生け花「対」「杯」「瓶（へい）」

　花輪「基」

　木の葉「葉（は・よう）」「枚」

　綿花「梱（こり）」

　山「座」

神仏

　神社「座」「社」

　神体「座」「柱（はしら）」「体」

　神輿（みこし）「基」

　寺「寺」「山」「軒」、お堂は「宇」

　チャペルなど「堂」

　神仏の像・死体「体」

　仏像「躯」「頭（かしら）」「基」

　地蔵「体」「尊」

　祭神「座」

　神「柱（はしら）」、神像「躯」「体」

　門松「対」

　古墳・ピラミッド・墓石・石塔・塔婆・鳥居「基」

　棺（ひつぎ）「基」

　遺体・遺骨「体」

　死者の英霊「位（い）」

　死者の霊・遺骨・位牌「柱（はしら）」

　線香「本」、束ねたものは「束」「把」

　数珠「具」「連」「巻」「本」

衣類

　エプロン「枚」「掛け」

　上着・オーバー・コート「着」

　マント「枚」

　ワンピース「着」「枚」「点」

　ズボン「本」

　ネクタイ「掛け」「本」

　襟「掛け」

　下着・シャツ「枚」「着」

　靴・靴下・下駄・足袋・ストッキング・わらじ「足」

　背広・スーツ「揃（そろ）い」「着」「組」

　手袋・軍手・ミトン「双」「組」「足」

　洋服「着」「枚」

　和服「重（かさね）」「襲（かさね）」

　着物「枚」

　帯「条」「筋」「本」「枚」

　手ぬぐい「条」「筋（すじ）」「本」

　羽織「領（りょう）」「枚」

　袴（はかま）「具（ぐ）」「腰（こし）」「枚」

　裃（かみしも）「具（ぐ）」

　烏帽子（えぼし）「頭（かしら・とう）」　

　笠「蓋（がい）」

　マネキン「体」

食事

　ごはん「膳」

　飯（めし）「膳」「杯」

　酒席「席」

　人数分の食事「食」

　束ねたもの「把」菜・ほうれん草など

　弁当「食」

　折り詰めに詰めたもの「折」菓子・鰹節など

　盛り分けたもの「山（やま）」ミカン・リンゴなど

　重ねて使うもの「重（かさね・じゅう）」「組」重箱など

　皿「口（く・こう）」「枚」

　せいろ「組」「重」

　せいろに盛ったもの「枚」「丁」ざるそば・もりそば

　皿に盛った料理「皿」カレーライス、シチュー、ステーキなど

　客用の道具・器「客」ティーカップ、グラスなど

　人数分が組になったもの「組」コーヒーカップなど。「セット」とも

　一対の箸「膳」「具」「揃（そろい）」

　割り箸「膳」

　椀「口（く・こう）」

　膳椀「客」

　茶碗「口（く）」「客」

　器に入れた飲食物「杯」水、酒、ビール、味噌汁、吸い物など

　酒を飲む回数「献（こん）」

　うどん・そば「丁」「杯」、麺の数「玉」

　そうめん「束（たば）」「把」

　鏡餅「重（かさね）」

　薄く切ったもの「切れ」パン、ハムなど

　昆布「連（れん）」

　豆腐・こんにゃく「丁」

　海苔「枚」、十枚で「帖（じょう）」

　椎茸「枚」

　松茸「本」

　羊羹（ようかん）「棹」「本」

　団子「串」

　焼き鳥「串」「本」

　キャベツ「株」「玉」

　果実「顆（か）」「菓」

　バナナ「房」「本」

　めざし「連」

　たらこ「腹（はら）」

　ピザパイ「枚」

　茶・煎茶・タバコ「服」

　茶器「組」「揃（そろい）」「席」

　酒「杯」「献（こん）」「口（くち）」

　とっくり酒・瓶ビール「本」

　杯（さかずき）「口（く）」

　散剤薬「服」「貼」「盛（もり）」

　錠剤・カプセル「錠」「粒（つぶ）」

住居

　家屋や店舗など「軒」

　人が住む家屋「戸」

　長くて大型の建物「棟（むね・とう）」アパート、校舎、倉、倉庫など

　ビルディング・マンション「棟（とう）」、高層ビル「本」

　広がりのある施設「面」コート、プールなど

　建物の層の数「階」

　部屋数「室」「間（ま）」

　店舗「軒」「店」

　畳「枚」「畳（じょう）」

　ふすま「枚」

　屏風「帖（じょう）」「双」

　敷物「枚」

　暖簾（のれん）「枚」「張」

　すだれ「枚」

　囲炉裏・鏡台・香炉「基」

　たんす・長持・長櫃（ながびつ）「棹」

　額「面」「架」

　電灯「灯（とう）」「本」

　ふとん「枚」、上下で「組」「重（かさね）」「揃（そろい）」

　シーツ・毛布「枚」

　ベッド「台」、病院のベッド「床」

　枕「基」「個」

　ルームクーラー・冷蔵庫「台」

　提灯「挺」「丁」「張」「本」

　灯籠「基」

　桶「本」

　田畑「面」「枚」

　建具「本」「枚」「面」

　香合・行李「合（ごう）」

　照明灯「基」

　ダム「基」

　橋「本」

乗り物

　自動車・自転車など「台」

　列車・車両など「両」、運行は「本」

　船「杯」、運行は「便」

　大型の船「隻」軍艦・タンカーなど

　小型の船「艘（そう）」はしけ・帆掛け船など

　小型の船「艇（てい）」競漕用ボート・ヨットなど

　櫓（ろ）「挺（ちょう）」

　特殊な船「杯」カツオ船・伝馬船（てんません）など

　飛行機など「機」戦闘機・旅客機など、運行は「便」

　エンジン「基」「台」

　モーター「基」

　タイヤ「本」

　滑走路「本」

　座席「席」

　路線「本」

　駕籠（かご）・人力車など「挺（ちょう）」

　人の乗った馬「騎（き）」

　鞍「具」

　エレベーターなど「基」

　歩み「歩」

書物・作品・文書

　紙・短冊・名刺「葉（よう）」「枚」

　唐紙「帖（じょう）」

　半紙二十枚「帖（じょう）」

　半紙十帖「束（たば）」

　半紙十束「締（しめ）」

　半紙を折ったもの「折（おり）」

　筆「管」「本」

　硯（すずり）「面」「石」

　墨「挺」「本」「丁」

　手紙「札（さつ）」「通」「本」

　はがき「葉」「枚」、便りを書いたもの「通」

　封書「通」「封」

　水引「本」

　文書・電子メール「通」

　電報「本」

　電話「本」、電話機は「台」

　紙面に書いたもの「葉（よう）」図版・写真など

　経典「巻」「部」

　巻物「巻」「軸」

　掛け軸「幅」「軸（じく）」

　紙を綴じたもの「冊」

　ノート「冊」

　雑誌「冊」、雑誌の種類は「誌」

　出版物・印刷物「部」パンフレットなど

　新聞「部」、誌面は「面」、種類は「紙」

　書物・巻物・磁気テープなど「巻」

　物語「話」

　和書「帙（ちつ）」

　詩・文書「篇」

　和歌・漢詩「首」

　俳句・川柳「句」

　論文「編」「本」

　レポート「本」「通」

　書類「巻」「冊」「筆」「通」

　漢字の線・点の数「画」

　字数「字」

　文字列の数「行」

　校正「校」

　作品「作」「点」

　コンピュータのプログラム「本」

　データ「件」

音楽

　ピアノ「台」

　琵琶「揃（そろい）」「面」

　太鼓「張（はり）」「面」

　琴「張（はり・ちょう）」「面」

　バイオリン「挺」

　三味線「棹（さお）」「挺（ちょう）」

　弦「掛（かけ）」

　笛・尺八・トランペット「管」「本」

　鐘「口（こう）」

　拍子「拍（はく）」

　能「番」

　能面「面」

　舞「差（さし）」「手（て）」

　メガホン「本」

　スピーカー「本」

　音楽のレコード「枚」、コンピュータのレコード「件」

　カセットテープ「巻」「本」

　ＣＤ《コンパクト・ディスク》「枚」

　ラジオ「台」

　ビデオテープ「巻」「本」

武器・防具

　パンチ「発」

　刀剣「口（く・こう）」「振（ふり）」「腰（こし）」「本」

　小刀「丁」「本」

　薙刀（なぎなた）「振（ふり）」

　槍・矢「筋」「条」「本」

　弓「張（はり・ちょう）」

　鉄砲「挺」「口（く）」

　大砲「門」

　ミサイル発射台「基」、ミサイル本体「発」

　ロケット「発」

　鎧兜（よろいかぶと）「具」

　兜「頭（かしら）」「刎（はね）」

　鎧・袈裟「領」

道具類

　機械製品「台」テレビ・コンピュータ・アイロン・電話機など

　手に持つ道具「挺（ちょう）」はさみ・のこぎり・鎌・斧・まさかり・鍬（くわ）・鋤（すき）・剃刀・砥石・万力など

　はしご「挺（ちょう）」「台」

　張るもの、張って作ったもの「張（はり）」蚊帳・テント・提灯・行灯（あんどん）など

　細くて長い容器に入れたもの「本」

　瓶に入れたもの「瓶（びん）」

　缶に入れたもの「缶（かん）」粉ミルク・缶コーヒーなど

　ドラム缶「本」

　袋に詰めたもの「袋（たい）」

　薪「本」、束ねたものは「把」

　まとめて束ねたもの「束（たば）」薪・線香など

　梱包した荷物「梱（こり）」梱包した生糸・綿花など

　肩で担ぐほどの荷物「荷（か）」つづら・桶・樽など

　脚のある家具「脚」椅子・机・脇息など

　テーブル「卓」

　箪笥（たんす）「棹」「本」

　長持「台」「棹」「朶（だ）」

　蓋のある箱「合」

　ロッカー「本」

　縫い目「針（はり）」

　すだれ「張（ちょう）」

　旗「棹」「流（りゅう・ながれ）」「本」

　幟（のぼり）「流（りゅう・ながれ）」

　まとい「本」

　洋傘「本」、和傘「張（はり）」

　うちわ「本」

　扇子（せんす）「本」、二本で「対」

　櫛（くし）「具」「枚」

　土びん「口（く）」

　包丁「丁」「本」「挺」

　まな板「丁」「枚」

　盆「枚」「組」

　ろくろ「基」

　糸「本」、枠に巻いた糸「綛（かせ）」、糸巻きに巻いた糸「巻（まき）」

　藁（わら）「本」「筋」「束」「把」

　紐「筋（すじ）」「本」

　縄「筋（すじ）」「把」

　綱「筋（すじ）」

　ロープ「本」

　幕「張（はり・ちょう）」「枚」

　壺「口（く）」

　そろばん「挺」「面」「台」

　鏡「面」

　臼「基」

　杵（きね）「本」

　釜「口（く）」

　瓢箪「瓢（ひょう）」

　火箸「具」「揃（そろい）」

　剃刀「口（く）」「丁」

　目薬「点（さし）」

スポーツ

　試合「戦」、試合の勝負は「番」「本」

　順位「位」「席」「等」、到着順は「着」

　相撲「番」、番付は「枚」、技は「手」

　ボール「個」、投球数は「球」

　野球の試合「戦」「回」、野球の打撃「打」、野球の投球「球」

　シュート「本」

　ラケット「本」

　サーフボード「台」

　スキー「本」、二本一組で「揃（そろい）」「台」

　スキーリフト「基」

　テニスコート・プール・スケートリンク「面」

　すべり台「基」「台」

勝負事

　囲碁・将棋の勝負「局」「番」

　囲碁・将棋の盤面「面」

　碁石「石（せき）」、ハンデは「子」、目数は「目」

　将棋の駒「枚」

　囲碁・将棋の指し手「手（て）」

　雀卓「卓」

　麻雀牌「枚」

演芸

　映画「本」「作」、映画フィルム「巻」、フィルムの一画面「駒（こま）」

　演劇「作」、戯曲の一区切り「駒（こま）」「幕（まく）」

　劇団「座」

　落語・演芸「席」

　出し物・番組「本」

　催し物のプログラム「部」

その他

　授業「駒（こま）」

　宿泊「泊」

　世代「代」

　線香花火「本」、打ち上げ花火「発」

　会合「席」「回」

　議案・情報「件」

　問い「問（もん）」

　レシート「枚」

　証文「札（さつ）」「通」

　犯罪「件」

　訴訟「件」

　前科「犯」

　レセプト「通」「枚」

　通り「筋」「本」

　川「条」「筋（すじ）」「本」

　口座・保険「口（くち）」

　手形「通」「枚」

　宝石「顆（か）」

最後に

　今回は「名詞と助数詞」についてまとめました。

　適切な助数詞を用いれば「ひとつ」「ふたつ」、「一個」「二個」と数える必要はなくなります。

　正直私もすべて憶えているわけではありません。

　あんちょこを作って都度確認しながら使っていけば、そのうち憶えると思います。