895.惹起篇:投稿前に絶対やっておくほうがよいこと【回答】

 メッセージが届きましたので、本日は番外編です。

 実際「推敲」についてはすでに執筆済みなのですが、ご質問の内容がかぶっているので、重複を承知でアップロード致しました。

「投稿前に絶対にやっておくほうがよいこと」というご質問を頂きました。





投稿前に絶対やっておくほうがよいこと


 今回はメッセージが届きましたので、私見を述べます。

「投稿前に絶対にやっておくほうがよいこと」はなんでしょうか。




推敲は出発点であり終着点

 投稿前に必ずやったほうがよいのは、ずばり「推敲」です。

 しかし「推敲」と言ってもやることは多い。

 分量を調整するために「エピソード」を加えたり減らしたりするのが「最初の推敲」になります。

 とくに「小説賞・新人賞」を狙う作品の場合、規定された文字数に収まっていなければ論外です。

 上限なしの「小説賞・新人賞」もありますので、その場合は最低文字数をクリアしているかを見てください。足りないようなら「エピソード」や「場面シーン」を加えましょう。




エピソードの見せ方の妥当さ

 文字数をクリアしていたら、次は「エピソード」の見せ方が妥当かどうかを見ます。

 小説は時系列どおりに「エピソード」を並べるのが基本です。

 ときには「回想エピソード」や「回想シーン」を入れて、いったん過去の出来事を読ませもします。

 しかし本編の時系列はあくまでも起こった順番にするべきです。

「回想エピソード」「回想シーン」は、あくまでも過去について言及する必要があるときにだけ用いてください。

 たとえば、新たに加わった仲間の「過去」を書くシーンは、物語ではいずれ不可欠になるものです。

 もちろん初登場時からその人物の「過去」を書いておくこともできます。でもそれをやると野暮ったい。

 では時系列どおりに並べるとして、物語の開始より前の時間に起こったことをどうすればよいのでしょうか。物語の開始より前に書いてしまうわけにもいきません。

 だから「回想エピソード」「回想シーン」が必要なのです。

 ですが、物語の構成をすべて「回想」の形にしてしまうと、読み手の脳に負荷をかけすぎます。

 今どこまで話が進んでいたっけ、となるのです。

 マンガの尾田栄一郎氏『ONE PIECE』は「回想シーン」が多いため、今どこまで話が進んでいたっけ、という疑問がどうしてもついて回ります。

 だから「回想」は必要最低限に抑えるようにしてください。




文章の良し悪し

「エピソード」の見せ方の妥当性が検証できたら、文章の良し悪しを判断していきます。

 まずは「視点」の統一です。大きく「一人称視点」なのか「三人称視点」なのかに分けられます。混在してしまうと読み手が戸惑いやすいため、できるかぎり統一すべきです。

 群像劇を書く場合、どうしても他人の視点が必要になります。この場合は「三人称一元視点」にして、さらに「エピソード」「シーン」ごとの視点保有者を固定するようにしてください。「エピソード」単位「シーン」単位で視点保有者が切り替われば、読み手は混乱せずに作品を読めます。同一「シーン」に複数の視点保有者がいてはならないのです。

「視点」を決めたら、視点保有者から見た説明・描写になっているのか確認していきます。主人公の一人称視点なのに、第三者から見た説明・描写が書かれていることがよくあるのです。これをひとつずつ手直ししていきます。とくに使役と受け身の使い分けができていないことが多い。そこを中心に推敲していきましょう。

「視点」が統一できたら、「てにをは」や文末表現を見ていきます。

 基本的に「並列以外の助詞は一文にひとつ」「文末表現は繰り返さない」ことを徹底してください。リズムをつけるため意図的に同じ文末表現をすることもあります。これは「狙って」書くべきであり、意識しないで文末表現を繰り返すのは厳に慎むべきです。

「てにをは」や文末表現が定まったら、あとは「誤字脱字」今なら「誤変換脱字余字」を見ます。

「誤変換」は「メールが届いたので、急いで変身した。」がわかりやすいでしょうか。

 メールが届いたのに、なぜかウルトラマンや仮面ライダーに変身する必要がありますか。ということで「メールが届いたので、急いで返信した。」と正しい漢字に直すのです。

「脱字」は「明日の試合に備え、今日はストレッチで抑めの調整をした。」のように、本来なら「抑えめ」と書くべきなのに、編集している間に「え」が無くなってしまう状態のことを指します。

「余字」は私が今思いついた造語で、「脱字」の逆になります。「明日の試合に備える、今日はストレッチで抑えめの調整をした。」のように「備え、」とするところを、編集している間に「備える、」と「る」の字が加わってしまう状態のことです。

「誤変換脱字余字」はPCやスマートフォンでの執筆が一般化された現在では、確実に起こります。

「誤変換」はPCで高速入力している際、希望する漢字に変換されていると「思い込んで」しまって発生するものです。「誤変換」は必ずあると意識して文章を読み返しましょう。

「脱字」「加字」は流して読むだけでは確実に直し損ねます。音読すると見つけやすいので、時間はかかりますが、必ず音読してください。




キーワード・タグの適正化

 よい小説を書いても、小説投稿サイトで必ず多くの人に読まれるわけではありません。

 読み手へ作品を存分にアピールしてください。

 そう言われると「タイトルを凝る」という方向に行きがちです。しかし、読み手の多くは「キーワード検索」「タグ検索」をして読みたい小説を絞り込んでいます。

 タイトルに「キーワード」が書いてあっても検索にヒットするので、「タイトルに検索ワードを入れたほうが読まれる」と勘違いしやすいのです。

 実際には「タイトル」「あらすじ・キャプション」「キーワード・タグ」の三か所のいずれかに検索ワードが含まれていればヒットします。

 だから「キーワード・タグ」にしっかりと検索ワードを書くのです。

 重要度の低い検索ワードは「あらすじ・キャプション」に書きましょう。こちらは文章で説明できますので、検索ワードを適度に散りばめて書けば、より検索でヒットされやすくなります。

『小説家になろう』のいわゆる「なろう小説」にありがちな「文章のようなタイトル」にする必要なんてないのです。

 ランキングもタイトルだけでなく「あらすじ」が読めますから、そこでアピールできさえすれば、広く読まれます。

 ですので「あらすじ・キャプション」でまかなえるものは任せておき、「キーワード・タグ」だけでも検索ワードをフル活用してください。




投稿時刻に注意

 魂を込めた作品をせっかく投稿したのに、閲覧数(PV)もブックマークも評価も増えないことがよくあります。

 それは「投稿時刻」が悪かったせいかもしれません。

 小説投稿サイトを利用する読み手の多くは「キーワード検索」か「ランキング」を用いて読みたい作品を選んでいます。

 しかし新着一覧から見る方も一定数いらっしゃいますし、キーワード検索でも投稿が集中する時間帯に投稿されると見逃す可能性も高くなるのです。

「投稿が集中する時間帯」は「書き手が推敲を済ませて投稿した時間帯」でもあります。なので21時から23時くらいに投稿が集中するのです。

 読み手のことが頭に入っていれば、読み手が読みやすい時間帯に投稿されます。

 7時から8時、18時から21時といった時間帯ですね。

 そこでこれらの時間帯を狙って「予約投稿」するのが最適解になる……ようなら、誰も悩みません。

「予約投稿」は『小説家になろう』のように「18:00」と「時間」しか指定できないところがあります。

 逆に『カクヨム』のように「18:06」と分まで指定できるところもあるのです。

 なにも考えずにアップロードすると、「18:00」に予約が殺到して一気に新着一覧の三ページより先まで吹き飛ばされてしまいます。これでは新着から読みたい小説を探している方の目には入りません。

 ですので『小説家になろう』では、面倒でも手動で「18:02」などに投稿するか、いっそ新着フォロワーさんをあきらめて「検索でのヒット率を高める」ことに特化するかしましょう。

「投稿時刻」はそれだけで作品の評価を左右してしまうほど影響力のあるものです。だからひとつのバクチをすることになります。

「この作品は何時に投稿するのがふさわしいのか」を考えてから投稿するようにしてください。

 勝率を上げたければ、あなたの小説に類似したトップランカーの作品が何時に投稿されているのかをチェックするとよいでしょう。

 その近辺にあなたの作品が投稿されていれば、新着一覧で興味を持った方が読みに来てくれもします。





最後に

 今回は「投稿前に絶対やっておくほうがよいこと」についてメッセージが届きましたので言及致しました。

 絶対にやっておきたいのは「推敲」(文章の質)と「キーワード・タグの適正化」(検索でのヒット率)と「投稿時刻に注意」(新着で生き残れる時間)です。

 この三つさえクリアできていれば、読まれる確率が高くなりますよ。

 


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