891.惹起篇:たくさん読まなければ書けない

 今回は「読書」についてです。

「小説を書く」ことに没頭すると、「他人の書いた小説や書籍を読む」時間がなくなります。

 しかし「他人の書いた小説や書籍を読む」ことで、あなたはさまざまなものを手に入れられるのです。

 一日三十分でもかまいません。「他人の書いた小説や書籍を読ん」でください。





たくさん読まなければ書けない


 小説が書けない方も、書けるけど評価されない方も、共通して不足しているものがあります。

「他人の書いた書籍を読む」ことです。




読まなければストックがなくなる

 小説には「知識」が求められます。読み手に現実味リアリティーを感じさせるには、現実のこと実際のことを知らなければなりません。

 企業小説を書きたい方は、企業の経営実態を知る必要があるのです。

 政治小説も、政治の実体がわからなければ書けません。

 現在どちらも「ビジネス書籍」が多種にわたり書店で売られています。

 それらを読まないで「ビジネス」を語るのは、アリがゾウの全身を知るようなもので、とても正確に表現できないでしょう。

 ビジネスや政治について造形もないのに、企業小説や政治小説を書けば、本職の方から呆れられます。そして評価も惨憺さんたんたる結果になるのです。

 だから今、小説投稿サイトに掲載される小説で「異世界ファンタジー」「現実世界ファンタジー」が多数を占めています。

 これらは「知識」をそれほど必要としません。書き手の書いたものがルールであり、世界の成り立ちでもあります。

 ですが「ファンタジー」小説にも「知識」は必要です。

 トレンドを押さえたり最新技術を身につけたりしなければ、時流に乗った「ファンタジー」小説は書けません。

「知識」はどこからか仕入れてこないかぎり増えないのです。

 増えた「知識」は作品を書くごとに消費されていきます。

 費やされた「知識」の量を補うには、書籍を読んで「知識」をストックしていくしかない。

 書籍は、ビジネス書籍だけを指さず、新書や単行本、小説などが考えられます。他にも新聞やマンガやアニメ、ドラマや映画、ゲームでも新しい「知識」を仕入れられますが、ピンポイントで「この知識が欲しい」と考えていても思いどおりに手にすることはできません。

 ですので「書籍」を読むことを推奨しています。

「知識」のストックがあればアイデアの泉は枯れません。どんな状況でも現実味リアリティーを持たせられるのです。

 だからこそ、小説の書き手は書籍をたくさん読みましょう。

 他人の書いた小説でかまいませんので、とにかくたくさん読んでください。

 幸い小説投稿サイトでは、無料で多くの小説を読むことができます。玉石混淆ではあります。しかし数が多ければ割合は低くても優秀な小説を見つけられるはずです。

 優秀な作品を見つけるには、ランキングに頼りましょう。

 多くの方が読んで高い評価を与えているから、ランキングの上位に名を連ねているのです。

 今読んでおくべき小説は、ランキング上位の作品になります。

 しかし小説投稿サイトによってランキング上位の作風は異なりますから、ご自身の作風に合ったサイトの利用がオススメです。




読まなければ洗練されない

「知識」ももちろん大事なのですが、それを読ませるだけの文章力も必要です。

 文章力は独学でどうにかなる代物ではありません。

 書いて、誰かに読んでもらって、伝わったか確認して、伝わらなかったら書き方を変える。その繰り返しで文章力は鍛えられます。

 これを独りでやろうとすれば、どうしても「自分が書いたものだから伝わっている」と勘違いしがちです。

 そこで短編やショートショートを書いて小説投稿サイトへアップし、読み手の反響を見てください。とくに「文章評価」が別に集計される『小説家になろう』がオススメです。

 しかし不格好な小説を書いてしまったかもしれない。読み手に悪印象を与えるのではないかと不安で書けなくなります。書いたものを小説投稿サイトにアップするのが怖くなるのです。

 ですが他人に読まれないかぎり、正しい文章が書けているのかは絶対にわかりません。

 そんな臆病な皆様への特効薬が「小説をたくさん読む」ことです。

 これは一冊の「繰り返し読み」ではなく、多くの冊数を読んでください。

 こういうときは図書館の出番です。図書館は小説の閲覧や貸出も行なっています。

 興味のあるジャンルや「文豪」の作品などをまとめ読みするにはうってつけです。

 文章力のある小説を書くプロは、例外なくたくさん読んでいます。

 過去からの積み重ねと、新たに人気の出た話題の小説を読んでいるのです。

 だから文章力の基礎がしっかりとしています。そのうえで流行りの文体を会得している「その書き手らしい文章」が書けるようになるのです。


 しかし、伝わる小説が書けるようになったとして、それを試す場所がなければなりません。それはやはり小説投稿サイトになるでしょう。

 今の時代、小説投稿サイトを巧みに使いこなせなければ「小説の地力」は身につかないのです。

 短編を書いてはアップし、書いてはアップする。

 そうして読み手がどれだけ評価してくれるのか。 

 とくに『小説家になろう』なら「文章評価」がわかりますから、どれだけ伝わったのかを可視化できます。

 たくさんの物語を生み出す能力も身につきますので、初心者ほど小説投稿サイトで短編を書きまくってください。




文法について

 文法については、今後新しい篇を作る予定です。

 基礎からみっちりとした篇にしたいので、多少お時間をいただきます。

「これって正しいの?」という疑問にお答えできるような篇が出来あがればよいのですが。

 ここは私の筆力が試されますね。

 901本目から始められればベストです。でもそれまでネタが持たないと思います。

 ここはわかりづらくても八百番台から始めることになりそうです。





最後に

 今回は「たくさん読まなければ書けない」ことについて述べました。

 プロの書き手は皆が読書家です。

 自分の作品が誰かとバッティングしてしまえば「パクリ」を疑われてしまいます。

 そういう意味でも、小説を数多く読むことには意義があるのです。



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