882.惹起篇:恋愛物語の構成
今回は「恋愛物語の構成」についてです。
「出会い」「恋愛」「結婚」または「別れ」をどのように構成するかでハッピー・エンドにもバッド・エンドにもできます。
恋愛物語の構成
恋愛小説において重要なエピソードは主に「出会い」「恋愛」「結婚」の三つです。
または「出会い」「恋愛」「別れ」の三つになります。
ただし、構成はひとつではありません。
恋愛小説の構成はひとつではない
上記したように、恋愛小説で重要なエピソードは「出会い」「恋愛」「結婚」の三つ、もしくは「出会い」「恋愛」「別れ」の三つです。
結婚物語
これを単純に「出会い」「恋愛」「結婚」の順に並べたら、白馬の騎士ストーリーやシンデレラ・ストーリーになりますよね。
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窮地に陥った深窓の令嬢が白馬の騎士に助けられ、恋に落ちて交際をスタートさせる。交際が続く中、プロポーズを受けて白馬の騎士と結婚した。
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初めて参加した舞踏会で勝手がわからない女性に、王子様が気づいて声をかけ甘いひとときを一緒に過ごす。そして女性は王子様のプロポーズを受け入れて結婚する。
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これが白馬の騎士ストーリーとシンデレラ・ストーリーの基本形です。
では順番を変えましょう。
「恋愛」「結婚」「出会い」ではどうなるのか。
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長年付き合っていた女性との日々で男性はついに結婚する決意をする。晴れて結婚した男性だが、ある日魅惑的な女性と出会ってしまう。しかし男性は結婚したばかりであり、魅惑的な女性とは一線を越えられない。果たして男性は妻を取るのか女性をとるのか。
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先ほどとは打って変わって、横恋慕しようとしてしまう男性の動きが物語の終わりに現れてきます。これは果たしてハッピー・エンドで終わるのか。ハラハラ・ドキドキの展開が待ち受けています。
「結婚」「出会い」「恋愛」の順に並べたらどうなるでしょうか。
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結婚して三年が経ち、子どもにも恵まれて順風満帆な生活を送る女性は、ある日理想の男性と巡り会ってしまう。夫や子どもに隠れて密かに男性との恋愛を楽しむ女性。それは長く続かなかった。
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一気に不倫が前面に出た物語になりましたね。
出会ってすぐに結婚する人はあまりいませんから、「出会い」の後に「結婚」が来ることはそれほどありません。「出会う」前に出会う人と「恋愛」することはできませんから、「結婚」「恋愛」「出会い」もパターンとしてはほとんど見受けられません。
よって結婚物語は以上三パターンが主流となります。
失恋物語
では「出会い」「恋愛」「別れ」の順に並べたらどうなるでしょうか。
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一組の男女が運命的な出会いをし、恋に落ちて楽しい時間も苦しい時間も共有する。しかし
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これって典型的な失恋物語ですよね。
では同じエピソードを使って、ハッピー・エンドにしてみましょう。
「別れ」「出会い」「恋愛」の順に並べます。
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手痛い別れに消沈していた男性が、ひょんなことからある女性と知り合った。そこから始まるぎこちない恋愛関係。ふたりは新たな日常をともに歩いていくことを決めた。
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恋愛物語が前向きに終わりました。
もうひとつ転回させます。
「恋愛」「別れ」「出会い」です。
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甘やかな恋愛生活を送っていたふたりは、ある出来事により別れることとなった。失意に沈む女性の前に、彼女の理想とする男性が現れる。そこから始まるであろうラブストーリー。
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バッド・エンドに向かっていたところを、土壇場で回生してハッピー・エンドの物語になります。
「別れ」の後に「恋愛」が来ることはありませんので、残されたもうひとつの構成は、「恋愛」「出会い」「別れ」です。
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甘酸っぱい結婚生活を送っていた女性は最近マンネリを覚えてしまう。そこへ魅力的な男性が現れてそちらとも付き合い始める。三角関係を続けていたがそれがバレて女性はどちらかと別れなければならなくなった。安定した夫をとるか、魅力的な男性をとるか。
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不倫の三角関係の構図になりましたね。
たった三つのエピソードを並べ替えるだけで、物語は形を変えるのです。
失恋物語も、恋愛の鉄板エピソードですら、このように四つの構成が考えられます。
恋愛小説の小説賞・新人賞にふさわしいのは
恋愛小説がテーマの「小説賞・新人賞」に応募される作品の多くは、「出会い」「恋愛」「結婚」か「出会い」「恋愛」「別れ」のパターンをそのまま用いています。
これでは差別化が図れません。
上記したように、同じエピソードでも構成を変えるだけで目新しい物語が作れるのです。
「小説賞・新人賞」に応募するなら、コテコテの鉄板構成ではなく、ひとひねりしてください。
たったそれだけで小説投稿サイトの読み手や「小説賞・新人賞」の選考さんの気を惹く構成にできます。
あなたが恋愛小説がテーマの「小説賞・新人賞」で二次選考を通過したければ、コテコテの鉄板構成ではなく、順番を入れ替えて目新しさを出しましょう。
最後に
今回は「恋愛物語の構成」について述べました。
わかりやすいように「恋愛小説」にしましたが、「ファンタジー小説」でも同様です。
単に「旅立ち」「宿敵」「勝利」のエピソードだけではなにも面白くありません。
また集英社『週刊少年ジャンプ』黄金期の三大テーマだった「努力」「友情」「勝利」も、ただそのまま使うだけでは面白みに欠けます。
どこまで構成をいじくれるか。
「小説賞・新人賞」の二次選考を通過する作品に求められるのは「コテコテの鉄板構成でない作品」です。
どこまで目新しい構成が思いつけるのか。
構成だけで「小説投稿サイトの読み手」や「小説投稿サイトで企画されている小説賞・新人賞の選考さん」をうならせられるかが、二次選考通過の鍵を握ります。
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