860.創作篇:『秋暁の霧、地を治む』王国側キャラ紹介2
現在構想中の連載小説『秋暁の霧、地を治む』のレイティス王国側キャラ紹介その2です。
主人公ミゲルを補佐するキャラたちです。
悪い人たちは次回の「その3」に出てきます。
『秋暁の霧、地を治む』王国側キャラ紹介2
今回も『秋暁の霧、地を治む』のキャラ紹介です。
主人公ミゲルを補佐する四名になります。
【カイ】
二十五歳
来歴
レイティス王国小隊長
競馬師
レイティス王国軍師
肉体的特徴
ボサボサの黒髪に黒い瞳
168cm、65kg
精神的特徴
十五歳で士官学校に入学し小隊副官となり、十七歳で小隊長になる。
しかし直属のアマム派中隊長が考えもしなかった作戦を立案して実行し、「独断専行」で軍規に反したとして十八歳で軍を追われることとなった。
それからは競馬の研究に余念がなく、二十歳になると馬と騎手を見る目が一流になった(名伯楽になった)。馬と騎手の能力だけでなく、当日の馬の体調や騎手との相性、馬場状態や天候などを「計算」して勝ち馬を予想する。「計算」して勝つ確率の高い馬の勝馬投票券を購入することで、二十二歳になる頃には豪遊できるほどの金額を稼ぎ出していた。
また、レイティス王国とボッサム帝国の戦いが行なわれると聞けば、たとえ競馬が開催されていても現地へ赴き、双方の戦い方や用兵の様子をつぶさに観察していた。
カイが目をつけたのはミゲルの攻めの強さとガリウスの守りの強さである。また帝国軍では怪傑クレイド騎馬中隊長の活躍にも注目していた。
さまざまな大将と軍務長官の戦いを見てきたが、その形勢判断は開戦前からついていたほどの眼力の持ち主である。そして帝国大将と大隊長、王国軍務長官と将軍の性格や傾向などにも精通した。
エビーナ大将とアマム軍務長官による「テルミナ平原の戦い」に際し、王国軍の大敗を逸早く察知し、タリエリ将軍へ匿名で危険性を説く書簡を送っていた。しかしそれが活かされることはなく、タリエリを含む王国将軍がすべて討ち取られてしまった。この事態にアマムが引退を余儀なくされると見ていたが、将軍に格下げだけで戦後処理が済んでしまった。これはアマムを欠いた場合、若輩ではあるが戦功著しく新将軍となるであろうミゲルとガリウスに兵士が割り当てられるという王国将軍たちの反発が根強くあったからだ。年齢が半人前なら率いる兵も半数で構わないとカートリンク軍務長官を除いた王国将軍たちの意見が採用されることにつながり、アマムは将軍としての地位をなんとか保つことにつながった。
悪しき風潮を感じ取ったカイは、近いうちに帝国軍が王国軍を掃滅するだろうと予測する。
そして前回の戦いのひと月後に開かれたクレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、その危惧が具現化した。
しかし想定外なことも存在した。
クレイドの用兵が戦況に応じて陣形を変えるひじょうに機能的なものであり、これまで陣形対陣形であった戦い方が大きく変わる転機となったのである。そんな激戦の中で王国軍が見せた退却戦の見事さにも類い稀な筋のよさを感じもした。
クレイド大将に刺激を受け、王国軍務長官に名乗り出て戦いたいと思い始めるが、一介の小隊長崩れにそんな大役がまわってくることはないだろう。
レイティス王国は最終的に生き残った将軍ふたりミゲルとガリウスのうちミゲルを新たな軍務長官に任命した。
その事実をカイは伝え聞いたが、すぐに競馬師の生活に戻ることになる。
そんな折、ミゲル軍務長官が城内視察をすることとなった。いつもどおり勝馬投票券を購入して日銭を稼いでいたカイの姿に着目したミゲルは、カイと話し合うことにした。
カイはミゲルの探りについぺらぺらと軍事の知識を披露してしまった。クレイド大将に勝つ方法を模索していたミゲルとガリウスはなんの打開策も有していなかったが、カイにはクレイドを倒す策略があるという。
それを知ったミゲルはカイに懇請して軍務長官補佐として迎えることとした。
王国軍では以前タルカスが軍務長官の補佐役として影で実権を握ってきたので、王国内部では国王や宰相がよい顔をしなかった。しかしカイの計略を聞くうちに、カイの実力のほどを痛感することとなった。ただし「軍務長官補佐」という称号にはいい印象がないため、ミゲルは「軍師」の称号をカイに与え、戦場での計略を発案する立場として定めた。これはカイにとっても責任が重くなることだが、あえてそれを受け入れて帝国軍を打ち破らんと士気を高めた。
用兵の特徴
用兵面では類い稀な才能を発揮する。クレイドが戦闘中に陣形を変化させることに対し、カイは陣形そのものを持たない流動的な運用を心がけた。
ひと塊の方形陣から円陣へ、またその逆の移行に始まり、戦場を移動して戦う将軍を中心に結節点を持たせることでまさに「水の如き」流動性を確保した。
またこれまでの指揮命令系統を再整備し、帝国軍よりも一段階少ない手順で末端の兵士たちへ命令を実行させることに成功した。
【ラフェル】
二十四歳
来歴
レイティス王国中隊副官
レイティス王国中隊長
レイティス王国将軍
肉体的特徴
ベッコウ色の髪にブラウンの瞳
180cm、75kg
精神的特徴
ミゲルと同期の王国軍人。才幹のあるミゲルの学友として絆を深め、ミゲルが先に小隊長へと昇進すると、人事異動でその副官となる。
ミゲルから信頼を得ており、ミゲルの昇格に伴って地位を高める。
同期のミゲルが急速に昇進していくさまを見ても、脅威や敵愾心などは抱かず、ミゲルに対して憧れを抱いており才能を高く評価している。
ミゲルが将軍になるとミゲル隊の副官となる。
用兵の特徴
ミゲルの戦術を間近で研究し、その合理性や狙いなどを把握することに努めていた。そのため、ミゲル直属の兵員をそのまま引き継いで統率しても、兵員を混乱させることなく運用できた。ミゲルが得意とする防御戦術も引き継いでいる。
ガリウス隊のユーレムとは幼馴染みであり、ラフェルとユーレムはミゲルとガリウスに匹敵するほどの出世スピードを誇ることとなった。
ヒューイット大将&マシャード大将とミゲル軍務長官による「カンベル山稜の戦い」においてマシャード大将を討ち取り、戦後に将軍へと昇格することとなった。
【ユーレム】
二十五歳
来歴
レイティス王国中隊副官
レイティス王国中隊長
レイティス王国将軍
肉体的特徴
シルバーグレイの髪に、真鍮色の瞳。
170cm、75kg。
精神的特徴
勝気な性格で、攻勢に定評のある人材である。防御戦術に精通したガリウス隊の副官や筆頭隊長を務める。
ガリウス小隊の副官を任じられてから、つねにガリウスに伴い出世を重ねた。ミゲル隊のラフェルと幼馴染みで、ミゲルとガリウスに引けをとらない出世スピードを誇る。
ガリウス隊の防御戦術もひととおり習得しているが、元来攻勢に定評がある。ガリウスやミゲルが用いる十の小隊を突出・交代を繰り返す防御戦術は、中央で突出する小隊が攻勢に強くなければ成立しない。それを担うのがユーレムの役割である。
ガリウスからの信任も篤く、筆頭小隊長としてもガリウスの副官としても、信頼に応えるだけの成果を収めてきた。
用兵の特徴
勝気な性格で戦況に流されやすく危うい場面も何度となく招くものの、窮地にあって活路を見出す胆力と行動力に定評がある。
ガリウスが将軍になるとガリウス隊筆頭中隊長となる。クレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」が終息し、ミゲルが次の軍務長官に就任すると、ガリウス将軍の副官となる。
根っからの軍人気質ではあるが、ミゲル長官の「不殺」精神に理解を示し、戦いのない世の中を築くために奮闘する。
ヒューイット大将&マシャード大将とミゲル軍務長官による「カンベル山稜の戦い」においてヒューイット大将を討ち取り、戦後に将軍へと昇格することとなった。
【ナラージャ】
三十八歳
来歴
レイティス王国兵員
レイティス王国伍長
レイティス王国什長
レイティス王国小隊長補佐
レイティス王国小隊長
レイティス王国中隊長
肉体的特徴
ブラウンの髪に、碧眼
192cm、100kgで筋肉質
精神的特徴
“無敵”のナラージャとあだ名され、一対一での決闘において負け知らずの豪傑。その槍技・剣技は帝国軍クレイドをも上回る。文字どおり「無敵」を誇る。
小隊を率いてもつねに先頭に立って血路を開き、敵司令官を切り捨てて敵部隊を退却に追い込む手腕を発揮する。
それは彼を見出だしたミゲルが、敵の戦死者に対しても深い悲しみを抱くことを知っているからでもあった。
什長から筆頭中隊長へと昇格していくが、つねにミゲルの懐刀として戦況を一変させる活躍を見せる。
用兵の特徴
特別にあつらえた黄色の防具に身を包み、戦場のどこからでもナラージャの位置は敵味方が認識している。彼が戦場に突撃することで、戦況が一変してしまうと戦場にいる皆がわかっているからだ。
その圧倒的な攻撃力を持つナラージャ隊長本人が先陣を切って帝国軍に突撃していくさまは、帝国軍に恐怖を植え付け、王国軍には希望を見出ださせる。
出世欲はないのだが、戦場に出れば必ず敵大隊長を打ち倒してくることで、ミゲルとともにトントン拍子で階級を駆け上がることとなった。
それでも窮地を救ってくれたミゲルへの恩義から彼を盛り立て、将来の軍務長官に仕立てようと、獅子奮迅の活躍を見せる。
軍のトップである軍務長官が「不戦」のミゲルであれば、戦争が終結するかもしれない。争いがなくなれば、ナラージャは武者修行の旅に出たいと考えている。しかしその願いは、ミゲルの動向によって大きく変わっていくこととなった。
最後に
今回は「『秋暁の霧、地を治む』王国側キャラ紹介2」をお送りしました。
主人公を助ける四名です。このあたりから存在の必然性と格闘しながら作りました。
カイはメインキャラですが、ナラージャはかなり後になってから「こういう人物も必要だな」と感じて追加しています。奪った人命に強い贖罪意識が働くミゲルが軍功を挙げるには、攻撃で比類なき人材がいるほうがよいだろうとの判断です。
ラフェルとユーレムはミゲルとガリウスの副官として不可欠でしょう。
次回は王国側の悪者たちです。
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