859.創作篇:『秋暁の霧、地を治む』王国側キャラ紹介1

 今回は、私が現在構想中の連載小説『秋暁の霧、地を治む』のレイティス王国側キャラ紹介となります。

 本コラム執筆を優先させて、遅々として進まない作業の中でなんとかできましたので、掲載することと致しました。

 自らを追い込んで、早期の連載開始を目論んでいます。

 皆様が知りたいような内容でなくて申し訳ございません。





『秋暁の霧、地を治む』王国側キャラ紹介1


 連載準備中の『秋暁の霧、地を治む』のキャラ紹介です。

 今回は王国側のキャラ紹介その1となります。

 主人公ミゲルと相棒ガリウス、養父カートリンクとふたりの上官タリエリの四名です。

 なお「精神的特徴」と「用兵の特徴」に関しては、厳密に分けていません。

 ここを切り分けようとすると、生きている雰囲気が出てこないのであえて交ぜ書きしています。

 それならふたつの項目にしないほうがよいのですが、本作はいちおう戦争小説なのであえて「用兵の特徴」を書いて私自身が納得しやすいようにしています。

 このくらい大雑把なキャラ設定でも連載ができるのだと、皆様に感じていただければ幸いです。





【ミゲル】

 二十四歳

来歴

 レイティス王国中隊長

 レイティス王国将軍

 レイティス王国軍務長官

身体的特徴

 朝焼けを思わす落ち着きのある橙がかった赤い(緋色の)髪、真っ赤な瞳

 身長172cm、体重65kg

精神的特徴

 本編主人公。

 王都の商家に生まれたが、五歳の頃両親が流行り病で亡くなり、王都のスラム街を根城に子どもながらスリで生計を立てていた。七歳のある日王城内を巡視していたカートリンクの財布をスろうとして失敗し身柄を拘束される。カートリンクが保護者へ引き渡そうとしたが引き取り手がいなかったため、ガリウス同様カートリンクが身を引き受けることとなった。以後ミゲルはガリウスとともにカートリンクから剣の扱いに始まり、命の尊さや悪事を忌むこと、他人を損なえば自身の心が失われることなどを教わる。

 カートリンクは国王ランドルの腹心でもあった。ランドルの孫娘ソフィア姫とミゲル、ガリウスは幼い頃から親交を持ってきた。ミゲルがカートリンクの養子となった七歳からの付き合いである。ランドルと娘ユリア王女はソフィア姫の婿候補としてミゲル、ガリウスを見据えており、ミゲルが王家と家族同士の付き合いをしてきた。

 ガリウスに後れること四年、十五歳で士官学校へ入学し、タリエリ将軍麾下の小隊副官として戦場を経験することとなった。三年(十八歳)で小隊長へ昇格すると副官にラフェルを登用し、彼の率いる小隊には変わり者の什長ナラージャが編入してきた。伍長、什長は民兵から選ばれており、ナラージャも正式には民間人である。ナラージャは他の小隊といざこざを起こし、五十人の小隊を相手に九人の従卒とともに完膚なきまでに打ち倒した。敵味方の見境なしにケンカをふっかける危険な臭いのするナラージャに興味を抱いたミゲルは、ナラージャと腹を割って話し合い、彼を手懐けた。のちに“無敵”と称されるナラージャは比類なき攻撃力をもってミゲル小隊で軍功を重ねる。ミゲルは小隊長に就いてから“無敵”の什長ナラージャを巧みに使いこなし、三年後(二十一歳)にユレイカ中隊副官へ昇格。小隊副官だったラフェルを小隊長に格上げした。功績著しい“無敵”のナラージャはミゲルの推薦もあり、民兵出身としては大出世となる小隊長へ昇格し、ミゲルの属する中隊でも変わらず先鋒を務めた。中隊副官就任から二年後(二十三歳)にユレイカ中隊長が戦死し、ミゲルが異例の若さで中隊長へと就任する。ラフェルを中隊副官に任じ、ナラージャを筆頭小隊長として遇した。

 中隊長としての初陣が「テルミナ平原の戦い」である。

用兵の特徴

 小隊副官時代は小隊長へたびたび進言するも却下を繰り返され、フラストレーションが溜まっていた。

 小隊長になると“無敵”のナラージャを手懐け、彼を中心とした一点突破作戦を得意とした。またすでに中隊副官となっていたガリウス直属の小隊としばしば模擬戦を行ない互いに用兵の腕を磨き上げ、効果的な防御戦術を確立する。

 中隊副官になるとガリウスとの模擬戦は中隊規模となり、大規模戦闘における用兵の腕前を磨きあった。模擬戦にはナラージャ小隊も防御陣に組み込まれ、防御しつつの反撃要員としての役割を任せた。

 中隊長としての初陣がエビーナ大将とアマム軍務長官の「テルミナ平原の戦い」である。タリエリ将軍麾下の中隊としてガリウスとともに後衛を務めたが、帝国軍のクレイド率いる騎馬中隊に側背突撃を許し、タリエリ将軍とガリウスが軍務長官アマムを守る盾となる中、ミゲル中隊はナラージャを先頭に帝国軍エビーナ大将本隊を強襲しエビーナ大将を討ち取って戦闘が終了した。その際王国軍は軍務長官アマムこそ守りきれたが、参加した残るタリエリ以下七人の将軍がことごとく戦死し、多くの兵を損ねることとなった。





【ガリウス】

 二十八歳

来歴

 レイティス王国中隊長

 レイティス王国将軍

身体的特徴

 さらりとした栗色の髪、ダークブラウンの瞳

 身長184cm、体重78kg、ミゲルよりも背は高いが物腰は低い

精神的特徴

 北方国境の城塞都市スレーニアに住む名家の出身。二十一年前、七歳のときに異民族がスレーニアを攻め落として住民を大虐殺する。ガリウスの家族は館の隠し部屋に彼を押し込み、彼が隙間から見つめる中で次々と惨殺された。当時将軍であったカートリンクが半日後れでスレーニアに到着すると、異民族はたちまち掃滅された。カートリンクの指令により生存者の捜索が行なわれ、住民一万五千余人のうち生き残ったのはガリウスを含めて七人のみ。王国軍に守られながら王都へ帰還した「奇跡の七人」のひとりとなったが、そのときガリウスは声を失っていた。王都に身寄りもなくひとりで生きていくのも難しいと判断したカートリンクは、ガリウスの身を引き受けた。老将の庇護と四年目に家族に加わったミゲルとの共同生活を経て五年目の十二歳で声を取り戻す。そのためミゲルに謝意を感じ、彼を庇護する役目を自らに課した。

 カートリンクが国王ランドルの腹心であったため、ランドルの孫娘ソフィア姫との付き合いも長かったが、当初は声が出せなかったためソフィアの遊び相手としては今ひとつだった。しかしミゲルが加わって三人で遊び始めたことで声を取り戻し、以後ミゲルとソフィアはガリウスの恩人となった。

 十五歳で士官学校へ入り、タリエリ将軍麾下の小隊副官として戦場に出た。三年後(十八歳)タリエリ将軍直属の中隊の小隊長に抜擢され、ユーレムを小隊副官に任じた。将軍の指揮のもと粘り強い用兵に定評を得る。四年後(二十二歳)にタリエリ将軍直属中隊の中隊補佐に抜擢され、副官だったユーレムを小隊長に引き上げる。この頃からミゲル小隊長とともに小隊規模での練兵を積極的に行ない、各小隊との絆を深めていく。四年後(二十六歳)にタリエリ将軍直属の筆頭中隊長となった。ユーレムを中隊副官に指名する。前年にミゲルも中隊副官となっており、中隊規模での防御戦術を重点的に磨きあった。そして二年後(二十八歳)にエビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」が行なわれることとなる。

用兵の特徴

 防御戦術に卓越しており、二十七歳でカートリンク軍務長官が帝国軍に敗れた戦いにおいて、王国軍が退却する際にミゲルとともに殿を務めて、王国内で巻き起こる「英雄待望論」においてミゲルとともに筆頭の地位を占めるに至る。

 中隊を十の小隊ごとに分けて統率し、それぞれが突出しては退くを繰り返して敵を誘い込んで半包囲して叩いていく戦術は、ミゲルと磨きあった防御戦術の中でも得意とするところである。五百人の中隊ながらも五千人の大隊ですら翻弄する手腕を発揮する。この防御戦術はミゲルと共有しており、帝国軍エビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」においてミゲル中隊がエビーナ大将を討ち取るまでの間、アマムを守り抜いた。その功績によりミゲルとともに将軍へと昇格。昇進したクレイド大将とカートリンク軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において王国軍壊滅の危機を見事に救うこととなる。





【カートリンク】

 七十二歳

来歴

 レイティス王国軍務長官

 レイティス王国将軍

 レイティス王国軍務長官

 クレイド大将との「テルミナ平原の戦い」で討ち死に

身体的特徴

 短い銀髪、黒い瞳

 165cm、58kg

精神的特徴

 レイティス王国の現国王ランドルが王子だった頃から仕えている宿将。

 帝国との戦いのみならず、北方や東方の異民族や野獣の群れとの戦いにも参加し勇名を馳せる。四十歳で将軍になるとランドルとともに北方の異民族との話し合いで和睦に持ち込み、同盟関係を締結するに至る。軍事のみならず国際政治にも精通している。

 以後は帝国軍との戦いに集中し、将軍として戦績を重ね、軍務長官へ昇格する。軍務長官は戦績によって地位が定まるため、しばしば戦わない年を作ったカートリンクはその都度軍務長官から退くこととなる。しかし次の軍務長官が帝国との戦いにことごとく敗れたことで、二、三年ののち軍務長官に返り咲いていた。

 五十一歳(二十一年前)のとき東方の異民族により国境の城塞都市スレーニアへ攻め込まれた際、軍官吏が予定時刻に到着しなかったため出立が半日後れた。この軍官吏は到着を待っていたカートリンクが軍法に照らしてその場で斬首された。出立が半日後れたことでスレーニアは壊滅し、都市を奪い取った異民族を根絶やしにする凄惨な戦いが繰り広げられた。生存者を探索する中で口のきけないガリウスを見つけ、王都で身寄りを探した。しかし誰も名乗り出なかったため、カートリンク自身が引き受けて育てることとなった。

 その後五十五歳(十七年前)のときに王城内を巡視していたところ、赤毛の少年に財布をスられそうになった。しかしカートリンクはその場で子どもを捕まえて官憲へ引き渡したが、両親はすでに亡く、彼を育てるべき人物が誰もいないことを知った。そこでカートリンクは赤毛の少年ミゲルも自ら育てることを決意した。

 そこでいったん軍務長官職を辞し、口のきけないガリウスとの共同生活において、ミゲルに「生きる」ことの意義を説き、彼を教化することに心を砕いた。ミゲルはカートリンクの言うことをよく聞き、また口のきけないガリウスへ積極的に話しかけてくれたおかげで一年後にガリウスは十二歳のときに声を取り戻した。その後二人に剣や槍の扱い方から馬の乗り方、一般教養を教え込む。そして三年後(五十八歳)、十五歳となったガリウスが士官学校へ進んだ。後れること四年(六十二歳)、ミゲルも十五歳となり士官学校へと進む。

 その後軍功を立てて軍務長官職に返り咲き、帝国と東方異民族との戦いに奮闘する。しかし帝国との戦いで二年間に敗戦と戦闘回避を行なったため六十四歳にして軍務長官職を解任された。後を託された軍務長官は帝国に大勝し、カートリンクは閑職へと追いやられた。しかし翌年の戦いで大敗してたった二年で軍務長官職を解任された。そこでカートリンクは六十六歳にして再び軍務長官職へ返り咲いた。そこから五年間(七十一歳)までの軍務長官としての戦績は二勝二敗一分(勝・敗・勝・分・敗)と平凡な戦績だったため軍務長官を決める投票が行なわれ、配下の将軍が多かったアマムが新たな軍務長官となった。

 そうして迎えた七十二歳に、帝国軍エビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」が始まる。

用兵の特徴

 手堅い陣形と戦術、各将軍との緊密な連携からなる運用により数々の戦いに勝利をもたらした英傑。若き頃からの朋友であるランドル王からの信頼も篤く、王国軍は数多くの勝利を重ねてきた。とくに帝国の前皇帝フロウが死去し、十七歳の若さで病弱のレブニスが皇帝に即くと、年齢を理由に軍務長官職を辞しタルカス将軍が新しい軍務長官となった。最初の一年は帝国に大勝した。しかしクレイドが「惰弱帝」レブニスの健康と知略をたった一年で高めたことにより、皇帝が自ら前線へと出陣し精兵と化した帝国軍を相手に軍務長官タルカスが敵しようはずもなかった。ランドル国王からの要請により、再び軍務長官に就くと五年間で二勝二敗一分の成績を残した。帝国軍の充実ぶりを考えればじゅうぶん善戦しているのだが、単に数字だけを見れば平凡そのもの。そこで将軍アマムが「次の軍務長官は将軍たち自身が選ぶべきだ」と主張し、投票の結果手下の多いアマムがまんまと軍務長官職を手に入れた。しかしエビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、参加した将軍がアマムを除いて全員討ち死にしたため、またしてもカートリンクが軍務長官へ返り咲いた。

 帝国で新任されたクレイド大将とカートリンクとの「テルミナ平原の戦い」において歴史的な大敗を喫し、後詰めで新任のミゲル将軍とガリウス将軍を残して六名の将軍とともに自らも討ち取られた。しかしその遺志は養子であるミゲルとガリウスに引き継がれ、大敗であってもすぐれた防御戦術を駆使して多くの兵の命を救い出し、後日の再戦を期する兵数を生還させた手腕は見事であった。





【タリエリ】

 五十二歳

来歴

 レイティス王国中隊長

 レイティス王国将軍

身体的特徴

 角刈りの黒髪で口ひげが特徴的

 174cm、75kg

精神的特徴

 カートリンクが将来を託すに足る人材と見込み、麾下の小隊長であった頃から育て上げた。

 二十一年前の三十一歳のときに筆頭中隊長として城塞都市スレーニア奪還戦で大いに功績を挙げ、当時史上最も若い将軍に任じられた。

 その後「カートリンクの懐刀」として帝国軍や異民族、野獣の群れなどと戦って軍功を重ねてきた。

 才覚はアマムの比ではなかったが政争をことさら嫌い、地位に執着もしなかったため一度も軍務長官になることなくエビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、アマムを守るためにクレイドを食い止めようとしてガリウスの眼の前で討ち死にした。

用兵の特徴

 攻守のバランスがとれた良将であり宿将。兵士たちからも慕われており、堅牢な防御陣で敵の攻撃を受け止め、瞬時に攻勢に転じて完膚なきまでに叩きのめすカウンター戦術に長ける。将軍となってからは、とくに麾下のガリウス隊の防御戦術と、ミゲル隊(“無敵”のナラージャ)の突貫力を効果的に用いて軍功を重ねた。政争を嫌い、軍務長官候補になりながらもつねに辞退してきた。用兵の実力はカートリンクに匹敵し、部下の個性を伸ばす育成力にも長けている。カートリンクがタリエリを高く買っていたように、タリエリはミゲルとガリウスを高く買っていた。ふたりの昇格が他を圧する早さだったのは、タリエリがミゲルとガリウスに手柄を与える用兵をしていたためである。

 カートリンク派のためアマムと確執を抱えており、エビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、数合わせとしてアマムから後詰めを命じられた。帝国軍のクレイド騎馬中隊が側背攻撃を仕掛けてきた際、アマムを守るためにガリウスと連携してクレイドを迎え撃ち、ミゲルに敵大将エビーナを討ち取るよう指示を出す。鬼神の如きクレイドの奮戦ぶりを脅威に感じ、ミゲルのエビーナ大将本隊強襲を挟撃する形で援護し、ガリウスは防御陣を布いたが、クレイドの勢いを完全には食い止められなかった。エビーナ大将を挟撃するタリエリの姿を見つけたクレイドと直接槍を交えて敗れ死亡する。しかしクレイドの勢いを落とすことには成功し、結果としてミゲル中隊がエビーナ大将を討ち取るまで軍務長官アマムを守り抜いた。





最後に

 今回は「『秋暁の霧、地を治む』の王国側キャラ紹介1」をお送りしました。

 主人公サイドのとくに善人の四名です。

 もっとドロドロとした人物もいますが(タルカスやアマムなど)、それは後日投稿する予定です。



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