838.創作篇:何度でも立ち上がる強さを持つ

 今回は「打たれ強さ」についてです。

 小説を書くということは、さんざん殴られ続けるということです。

 いくら殴られても立ち上がるだけの強さを身につけてください。





何度でも立ち上がる強さを持つ


 プロの書き手を目指す方も、小説投稿サイトでトップランカー入りを目指す方も、絶対に持っていただきたい能力があります。

「打たれ強さ」です。




打たれ強さ

 あなたが「小説賞・新人賞」に応募したけど、一次選考すら通過しなかった。今思いっきり殴られました。それに耐えて次の作品を執筆して、次回に応募してください。

 しかし今度も一次選考を通過できませんでした。また思いっきり殴られました。奥歯を噛み締めてまた立ち上がります。

 またあなたが小説投稿サイトでトップランカー入りを目指しているのに、初回投稿で閲覧数(PV)が少なかった。これも思いっきり殴られています。へこたれずに二話目を投稿するのです。やはり閲覧数(PV)が少なかった。強烈な反撃をくらいました。それでもなお次話を投稿するのです。


 どちらにしても「この小説なら最終選考まで残る」「この小説ならトップテン入り確実だ」と思っていた渾身の一作の多くが不発に終わります。

 本コラムをご覧の方であれば、おそらく一作も一次選考を通過しない、新連載がランキングに載らないという状況ではないでしょうか。

「プロの書き手になる」「トップランカーになる」という目標が果たせていないのが現状です。であれば、一次選考を通過するまで書き続けてください。ランキングに載るまで書き続けてください。




小説賞・新人賞を狙う

「小説賞・新人賞」に応募している方は長編小説を書いているはずです。

 今回落選したけど、この作品の物語やキャラには愛着があるから、手直しして再挑戦だ! という具合に再利用する方が多いかもしれません。

 ですが再利用はやめましょう。

 なぜなら、一次選考すら通過しなかった作品をいくら手直ししても、最終選考まで残ることはまずありえないからです。そんなことで最終選考まで残るくらいなら、一次選考くらいはとっくに通過しています。

 文章が拙くても物語としては面白い。そういう評価をされているのなら、必ず一次選考は通過します。

 確かに一次選考では日本語として適正か、原稿用紙の使い方は守られているか。そういうところを見られはします。しかし内容が最終選考に出しても恥ずかしくないレベルであれば、そういったマイナス要素を振り払って一次選考は通過するはずなのです。

 一次選考は文章の評価と、物語の評価、この二面を見ます。『小説家になろう』での「文章評価」と「ストーリー評価」と同じだと考えてください。

「文章評価」が突き抜けて高い方は確かに有利です。きちんとした編集さんが付いて、「企画書」の段階から物語を一緒に作れば、必ずや読み手を惹き込む作品が書けます。だから「文章評価」が高いと一次選考を通過するには有利なのです。

 しかし「ストーリー評価」が突き抜けて高い方は、出版業界においてとても貴重な人材となります。なぜなら、どんな編集さんが担当に付いたとしても、その編集さんの上を行くアイデアを生み出せれば予測もつかないほどの大ヒット作が生まれるかもしれません。目の肥えた担当編集さんにも思いつかないようなアイデアが生み出せる。それだけでも二次選考まで残してよいでしょう。

 日本語の使い方が悪い、つまり「文章評価」が低いのは、時間をかければ必ず改善できます。

 しかし月並みなアイデア、つまり「ストーリー評価」が低いのは、時間をかけてもよいアイデアは生み出せないからです。

「文章」はただの技能スキルであり、経験を積めばいくらでも伸ばしていけます。しかし「ストーリー」は才能です。経験を積んだからといっておいそれとは伸びません。

 だから「小説賞・新人賞」の一次選考は「文章評価」と「ストーリー評価」のふたつが別々に審査されます。

 以上の点を踏まえれば、一次選考を通過しなかった作品は、いくら手直しして再投稿したところで、一次選考すら通過できないことは自明です。


「あなたのアイデアでは一次選考を通過できなかった」


 これがあなたに突きつけられた厳しい「現実」です。

 それでも「このアイデアの作品で勝負したいんだ」という方は、ストーリー構成を抜本から変更し、日本語の使い方も洗練させましょう。

 ストーリー構成が大転換すれば、読み手に訴えたい「テーマ」が変わります。そして日本語の使い方を洗練させれば「文章評価」で一次選考を通過できる可能性もあるのです。

 それくらいやって初めて「一次選考すら通過しなかった物語を、再度応募でき」ます。

 あなたにはそれだけの覚悟がありますか。同じ物語をまったく別の形に仕立て直すのです。これまでの努力は水泡に帰します。しかし一次選考を通過したいのなら、いくらでもストーリー構成を大転換すべきです。

 ですが、正直ここまでやるくらいなら、まったく新しい長編小説で勝負するほうをオススメします。

 書き手としての多様性を培えるだけでなく、ストーリーテラーになるためには、数多くの作品を書いたほうが「着想力」「構成力」「描写力」をアップできるからです。

「私はこの作品、このキャラクターとでなければ一次選考を通過したくない。いや大賞を授かりたくない」というくらい惚れ込んでいるのなら野暮は言いません。どうぞあなたが納得のいくチャレンジを続けてください。




トップランカーを狙う

 小説投稿サイトでトップランカーになって出版社からのお声がかりを待ちたいのであれば、連載小説を選ぶ方が多いと思います。しかし各サイトのランキングをよく見ると、上位十作品だけでも一話限りの短編小説が数多く居座っている、という現状に目が向くはずです。

 連載小説は回を経ない限り面白さがわからないのに対し、一話限りの短編小説はその一話を読むだけで面白いかどうかがわかります。だから連載小説よりも短編小説のほうがトップランカーになるのは容易たやすいのです。

 こう書くと連載小説を書くのがバカらしく思えますよね。本当にバカらしいのです。

 どうしても連載小説でトップランカーになって、出版社の目にとまりたいんだと思っているのでしたら、まずは短編小説を数多く書いて、あなたのフォロワーを増やすところから始めましょう。

 短編小説と長編小説・連載小説では書き方がそもそも異なります。だから連載の書き手が短編を書こうとすれば、かなり苦労するはずです。それでもトップランカーになるためなら一話限りの短編小説を書くしかありません。 

 もしどうしても長編小説・連載小説しか書けないのであれば、最初から素直に「小説賞・新人賞」を狙ったほうがよいでしょう。

 トップランカーになって出版社からお声がかかるまで待つよりも、よほど建設的です。


 プロの書き手になるつもりはない。小説投稿サイトで何十万という人が作品を読んでくれた。それだけで満足できる方もいます。

 そういう方は、短編小説から始めましょう。ですが、飛び抜けて面白い連載小説が書けるのでしたら、最初から連載小説で勝負してもよいと思います。

 連載初回からヒットしなくても、一桁の投稿ぶんでたとえ下位であってもランキングに載れれば、そこからぐんと伸びてくることもあるのです。

 一度加速がつくと、連載小説は毎回読み手の期待を裏切らないかぎり、ランキングを駆け上がっていきます。読み手が雪だるま式に増えていくのです。

 そうして得た「知名度ネームバリュー」は後々効いてきます。次作の連載を始める際のスタート・ダッシュが全然違うのです。その連載が前作にも増して面白ければ、一大勢力になりますし、出版社も目の色を変えて勧誘にくるでしょう。

 しかしあなたが目指したいのは「書きたい小説を書いて、読み手に楽しんでもらいたい」ですよね。

 出版社と契約してしまうと、書きたい小説が書けなくなります。

 だから、これからもずっと「自分の書きたい小説を書き続けたい」とお思いでしたら、出版社とは契約せず、小説投稿サイトのぬしを目指しましょう。




打たれ強さがあなたの願望を叶える

「小説賞・新人賞」に応募したけど一次選考を通過できない。やっと一次選考を通過できても二次選考を通過できない。よくある話です。

 小説投稿サイトで連載を始めたけど、誰も読んでくれない。読んでくれても評価やブックマークをしてくれない。これもよくある話です。

 どちらの場合にも言えるのですが、どんなに強く殴られても「打たれ強く」ならなければなりません。

 たった一度の挫折で「私には才能はないのだ」とマットにひれ伏しているヒマはないのです。一次選考を通過するまで、ランキングに載るまで、何度でも立ち上がってファイティング・ポーズをとってください。そして起死回生のチャンスが訪れるまで戦い続けるのです。

 そのくらいの「打たれ強さ」があれば、あなたの願望は必ず叶います。

 願いが叶うまでは、ただひたすら耐えてください。そして反撃の糸口を探ってください。





最後に

 今回は「何度でも立ち上がる強さを持つ」ことについて述べました。

 あなたの目標が「小説賞・新人賞」を獲ることであっても、「小説投稿サイトのトップランカー」になることであっても、必ず挫折を味わうはずです。

 それを乗り越えて何度でも立ちあがる打たれ強さを持てれば、あなたの願いはいつか叶います。



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