766.回帰篇:長編小説が書きたいのに書けない方へ
今回は「長編小説が書けない」方についてです。
「時間がない」という方は、時間を「作って」ください。
「実力を確認したくない」という方は、「下手でも書きあげて」ください。
そうすれば書けるようになるはずです。
長編小説が書きたいのに書けない方へ
「小説賞・新人賞」へ応募するためには、結果的に長編小説を書かければなりません。
しかしいざ書こうと思い立っても時間ばかりが過ぎて、なかなか文章が書けないのです。なぜでしょうか。
執筆時間がない
長編小説を書こうと思いたって真っ先に立ちはだかる壁が「執筆する時間がない」ことです。実際にないのでしょうか。
「いつでも書けるから今はこのスマートフォンのソーシャルゲームをしよう」などと優先順位を間違えている可能性があります。
「やる気が起きないから」「気が乗らないから」書かないという方もいらっしゃるでしょう。
「誰に読まれるかどれくらい読まれるのかわからない」「何回ムダな執筆を繰り返せば受賞するのかわからない」から書く意欲が湧かないという方もいらっしゃるはずです。
紙の原稿を応募していた昔は「誰にどのくらい読まれるかわからない」「今の自分の実力がどの程度かわからない」ことで書く意欲が湧かなかったものです。しかしこの二点は小説投稿サイトで「小説賞・新人賞」が募集され応募するシステムのお陰で書き手に「見える化」されるようになりました。
ですが、あなたが「小説賞・新人賞」を授かったら、担当編集さんから否応なしにタイムスケジュールを組まされて、そのとおりに受賞作を手直しする必要が生じます。「やる気が起きない」「気が乗らない」と言って書かずにいたら、あなたの受賞作が「紙の書籍化」するチャンスを棒に振ることになるのです。
「小説賞・新人賞」を授かるために応募する作品は、ほとんどの場合長い時間をかけて執筆したのに1円にもなりません。完全なタダ働きです。その代わり受賞すると賞金が得られます。そして担当編集さんが付き、受賞作の手直しをする作業はまたタダ働きに戻るのです。校了して印刷され、「紙の書籍」となって全国の書店に配本され、作品が売れてようやく印税が入ります。しかし印税の支払いは発売日から二、三カ月後であることが多いので、収入が始まるのはかなり遅いのです。昔は印刷部数で印税を支払っていましたが、今ではPOSシステム(レジスターでバーコードをピッとするだけで、コンピュータに売上情報が集計されるシステム)が広まったため、売上ベースで印税が支払われるケースが増えているそうです。
執筆時間を捻出する
とはいえ、三百枚・十万字を書かなければ「小説賞・新人賞」に応募もできません。しかし日常は忙しくて空いている時間なんてない。そう思い込んでいる方が多いのです。
まずあなたの生活サイクルをタイムシートに書き出してください。
就学中、就業中に小説は書けません。食事中、お手洗いのときもまず無理です。
ではそれら以外の時間はどうでしょうか。通勤通学の行き帰りにスマートフォンで執筆する時間すらありませんか。入浴している際、湯船に浸かっているときに執筆することはできませんか。
とくにSNSはムダの極致です。有名人にでもならなければ、一日に百ものツイートをしたところでコメントはさほどないですし、リツイートやいいねもそれほど付きません。友人知人の投稿を読むためにあれこれ探し出す手間も考慮してください。
これらSNSの時間を削って執筆できないでしょうか。
SNSは有名になってから活用するべきものであって、無名のアカウントがいきなり大ブレイクすることなどないのです。
であればSNSなんて日に数回つぶやく程度にして、他人の動向も限られたフォローの方のみチェックしましょう。
あなたの将来の夢は「小説賞・新人賞」を授かって「紙の書籍」化を目指すことですよね。SNSのプロではないはずです。であれば、優先順位を自覚してください。そして優先順位のトップに「小説を書いて『小説賞・新人賞』を授かること」を置くのです。
時間は「ある」ものではなく「作る」ものです。無為に時間を費やすのではなく、意識して執筆時間を「捻出して」ください。
仮に三百六十五枚の長編小説を書こうと思ったら、毎日原稿用紙一枚書けば一年で長編小説が一本書き上がります。あなたはそのくらいの努力すらできないのですか。
そんな努力ができない方は、潔く「小説賞・新人賞」を授かることと、ランキングに載ることはあきらめましょう。あなたの価値観と「小説を書く」環境が噛み合っていないのです。
己の実力を確認したくない
小説を書いて「小説賞・新人賞」に応募しよう。というのが本コラムのスタンスです。
しかし世の中には小説が書けない理由としてまことに不可思議なものがあります。
「己の実力を確認したくない」から小説を書けない人が思いのほか多いのです。
書き上げた枚数と自信は反比例の関係にあります。
原稿を一枚も書いていないときは「この物語は傑作だ。小説賞・新人賞も確実に受賞できる」と根拠もなく思い込んでいるものです。三百枚を書き重ね、完成した作品を「小説賞・新人賞」に応募します。しかし見事一次選考すら通過せずに終わってしまうのです。
これで当初の鼻っ柱は折れました。ここで挫折する方が多いと思います。しかし一度の挫折なら「次に書けば必ず小説賞・新人賞が獲れるはずだ」とそのうち立ち直せるものです。
その後何度となく「小説賞・新人賞」に挑戦するも落選が続きます。すると当初抱いていた「根拠のない自信」は「受賞できないという実績の積み上げによる無力感」へ変貌するのです。
この「無力感から復活」する心意気のある方だけが、小説界で成功する可能性を有します。
「無力感から復活する」方法は「自分には実力がまったくないのだ」と素直に認めることです。そうすれば虚心坦懐に小説を書く勉強に取り組めます。勉強しさえすれば実力は確実についてくるのです。
ただし、どれだけ勉強したら確実に「小説賞・新人賞」を獲れるかは誰にもわかりません。十年に一度の逸材が同じ賞に応募していたら勝てるはずがありませんからね。逆にあなた以外の書き手のレベルが低かったら、勉強してきたあなたが受賞する可能性もじゅうぶんにあります。
だから「小説の書き方」を勉強しましょう。それで確実に実力は身につきます。
また書いている途中で「なんか下手くそな文章になってしまった。これ以上書くのがツラい」ということで挫折する方もいるのです。
あなたが「下手くそ」なのは当たり前。じょうずに書けるのなら、すでに「小説賞・新人賞」を受賞してとっくにプロの書き手になっているからです。
だから「下手くそ」なんて気にせず、とにかく脇目も振らずに書ききってください。書ききることで「振り返って反省」できます。「反省」するから少しずつじょうずに書けるようになるのです。
恥でもなんでもありません。その過程を踏んできたから「文豪」は高みに達したのです。アマチュアのうちは巧拙にとらわれてはなりません。とにかく書ききって「反省」する材料を手に入れることがたいせつなのです。
最後に
今回は「長編小説が書きたいのに書けない方へ」と題して述べました。
「時間がない」から書けない方は時間を捻出してください。
「己の実力を確認したくない」のなら実力を知るために勇気を出して書いてください。
書いたら必ず「小説賞・新人賞」へ応募するのです。そして見事に玉砕しましょう。
玉砕から向上心を持てる方だけが、あらゆるジャンルで成功を収めるのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます