753.事典篇:悪魔:デヴィル
今回は「デヴィル」についてまとめました。
キリスト教の神に敵対する悪魔のことを指します。
事典【悪魔:デヴィル】
デヴィル
デヴィルは、宗教の象徴としての悪魔という意味の英語の単語。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、デヴィルは圧制の権化であり、すべての定命の生き物を支配することのみを目的とする全体主義的な社会を築いています。九層地獄の影は多元宇宙の彼方まで広がり、ネッソスの闇の帝王は己の権力への飢えを鎮めんがために全宇宙を支配せんとしてやみません。彼はそのために絶えず地獄の軍勢を拡張し続け、また定命の世界に下僕を送り込んで定命の魂を堕落させ新たなデヴィルを誕生せしめようとしているのです。
デヴィルは征服し、奴隷化し、圧政を敷くために生きています。彼らは弱者を権力で押さえつけることに邪な喜びを覚えるのです。彼らの権威を損なった者は誰であれ迅速かつ残酷な処罰を受けます。デヴィルにとって他者とのあらゆるやりとりは己の力を誇示するチャンスであり、すべてのデヴィルは自分の力の使い方と悪用する仕方を十二分に心得ているのです。
デヴィルは知的な定命の者たちが陥りやすい誤りを知っており、この知識を活用して定命の存在を闇と誘惑の魔手へいざない、その者自身の堕落の奴隷へと変えてしまいます。物質界にいるデヴィルは自分の影響力を悪用して人型生物の指導者層を操り、邪悪な思想を囁きかけ、猜疑の種を芽吹かせ、徐々に暴君へと作り変えていきます。
デヴィルはみな秩序属性であるため、上司には嫉妬や反感を抱いていようとも絶対に服従します。服従には見返りがあると知っているからです。九層地獄の階級制はこのような不動の忠誠に基づいたものであり、この忠誠なかりせばこの魔の次元界(=九層地獄)はアビス同様の無秩序に陥ってしまうでしょう。
ですが同時に、デヴィルは生まれつきの陰謀家であり、支配される安堵よりも支配する側に立ちたいという欲求のほうが上回っています。この独特な野望を最も多く抱いているのが、闇の帝王によって九層地獄の各階層の支配者に任じられたアーチデヴィルたちです。全デヴィルが甘露のごとく切望する本物の力の味は、これらの高位のフィーンドのみが知っています。
デヴィルたちは下方次元界に閉じ込められていますが、ポータルや強力な召喚魔法などによって他の次元界に行けます。デヴィルは何らかの便宜や宝を得ようとする定命の存在と契約を交わすのが大好きですが、そのような契約を結ぼうとする定命の者たちは心せねばなりません。デヴィルは狡猾な交渉相手であり、契約内容の履行に際しては無慈悲このうえありません。さらに最下級のデヴィルとの約束ですら、闇の帝王の意によって必ず実行されるのです。デヴィルとの契約を破った者は誰であれ即座に魂を奪われ、その魂は九層地獄へ連れ去られることになります。
クリーチャーの魂を買い取るとは、そのクリーチャーに対して絶対的な支配権を持つのです。ゆえにほとんどのデヴィルは、フィーンドの力や加護を授ける代価として、魂以外での支払いを認めません。ただし、デヴィルは不滅の存在で、契約の完遂を何年でも待ち続けられるので、魂の引き渡しはその定命の存在が天寿を全うした際に行なわれるのが通例です。死ぬより前に霊を差し出す契約になっていた場合、デヴィルは魂を手に入れた瞬間に九層地獄へ帰れます。ひとたびデヴィルのものとなった魂は、神々の直接的な介入でもない限りは九層地獄に囚われたままとなるのです。
九層地獄には、その社会のあらゆる側面を規定する幻覚な階級制度があります。闇の帝王は全デヴィルの最高支配者であり、九層地獄において下級神格の力を有する唯一の存在です。物質界での闇の帝王は神として崇められており、彼の名を冠したカルト教団に属する邪悪な人型生物たちに霊感を授けています。九層地獄での闇の帝王は将軍を務める何十体何百体ものピット・フィーンドを率いており、各将軍それぞれは以下のデヴィル軍団を率いているのです。
闇の帝王は至高の専制君主にして比類なき欺きの達人、明敏にして精緻の存在であり、己が玉座を守るために友を近くに置き、敵はさらに近くに置いています。彼は統治のための実務権限の大半を、九層地獄の官僚団を構成する下級のアーチデヴィルおよびピット・フィーンドたちに委任しているのです。これらの強大なデヴィルたちが、闇の帝王の座する玉座を覆さんと企んでいることなど、百も承知です。闇の帝王はアーチデヴィルの任命権を独占しており、地獄の階級制に属する任意の者の地位や階級をいつでも剥奪できます。
九層地獄の外で死んだデヴィルは、硫黄の煙を残して消えるか、溶解して膿汁の池に変わります。そして即座に出身階層へ戻り、体力全快で復活します。九層地獄の中で死んだデヴィルは永遠に破壊されます——闇の帝王すら恐れる末路です。
【アーチデヴィル】
アーチデヴィル(大悪魔)には、現在および過去における九層地獄の支配者すべてと、この君主たちの廷臣を務める公爵や女公爵たちが含まれます。地獄の公爵たちは君主の相談役として仕えつつ、君主に取って代わる機会を伺っているのです。すべてのアーチデヴィルは唯一無二の存在であり、各々の内面の特徴的な邪悪さが外見に反映されています。
【グレーター・デヴィル】
グレーター・デヴィル(上級悪魔)には、ピット・フィーンド、エリニュス、ホーンド・デヴィル、アイス・デヴィルが含まれます。彼はレッサー・デヴィルに命令を下し、アーチデヴィルに従属するのです。
【レッサー・デヴィル】
レッサー・デヴィル(下級悪魔)には、インプ、チェイン・デヴィル、スパインド・デヴィル、ビアデッド・デヴィル、ボーン・デヴィルなど無数の種類のフィーンドが含まれます。
最下級のデヴィルであるレムレーは、堕落した邪悪な定命の存在の魂が拷問を受けねじ曲がったものです。レムレーは九層地獄の中で殺された場合でも復活可能であり、永久に滅ぼすためには祝福された武器で殺すか復活前の死体に聖水を散布する必要があります。
九層地獄に落とされた邪悪な定命の存在の魂は、悲惨なレムレーの姿で受肉するのです。アーチデヴィルおよびグレーター・デヴィルはレムレーをレッサー・デヴィルへ昇格させる力を持ちます。アーチデヴィルはレッサー・デヴィルをグレーター・デヴィルへ昇格させることができ、闇の帝王のみがグレーター・デヴィルをアーチデヴィルへ昇格させることができるのです。この地獄の昇格は苦痛を伴う一瞬の変化であり、そのデヴィルの記憶は前の姿から次の姿へ完全に引き継がれます。
低レベルの昇格は必要に応じて行なわれるのが普通です。たとえば不可視の密偵を部下に欲しいピット・フィーンドが、レムレーをインプに昇格させることがあります。一方高レベルの昇格はほぼ功績に基づいて行なわれるのです。たとえば戦争で大手柄を挙げたボーン・デヴィルが、その主君たるアーチデヴィルによって、ホーンド・デヴィルへと昇格させてもらうのです。デヴィルが地獄の階級制における階級を一つ以上飛ばして昇格することはめったにありません。
降格は失敗や不服従を犯したデヴィルに対する一般的な処罰です。アーチデヴィルおよびグレーター・デヴィルはレッサー・デヴィルをレムレーへ降格させることができ、レムレーになったデヴィルはそれまでの記憶をすべて失います。アーチデヴィルはグレーター・デヴィルをレッサー・デヴィルへ降格させることができますが、降格されたデヴィルの記憶は保たれるのです——その降格が不当に重すぎた場合、降格されたデヴィルが復讐を企てる場合もあります。
デヴィルが昇格または降格させることができる相手は己に忠誠を誓っているデヴィルに限られるため、アーチデヴィルが競争相手のアーチデヴィルの有力な家臣を勝手に降格させられません。そしてすべてのデヴィルは闇の帝王に忠誠を誓っているので、彼は任意のデヴィルを自由に降格させられ、いくらでも忌まわしい姿へと変えられます。
地獄の階級制
1:レムレー
定命の魂が悪によってねじ曲がり、永遠に九層地獄へ追放された時、レムレーが産まれます。最下級のデヴィルであるレムレーは醜悪な不定形のクリーチャーで、より高位のデヴィル(ほとんどの場合はインプ)に昇格するまで苦しみ続ける定めです。
レムレーの外見はぐちゃぐちゃの肉塊そのもので、かろうじて人型の頭と胴体らしきものが見て取れます。顔は永遠の苦悶に歪み、力なく開いた口からはうわごとが漏れ出るが意味のある言葉を話すことはできません。
レッサー・デヴィル
2:インプ
3:スパインド・デヴィル(スピナゴン)
4:ビアデッド・デヴィル(バルバズゥ)
5:バーブド・デヴィル(ハマトゥラ)
6:チェイン・デヴィル(キュトン)
7:ボーン・デヴィル(オシュルス)
グレーター・デヴィル
8:ホーンド・デヴィル(マレブランケ)
9:エリニュス
10:アイス・デヴィル(ゲルゴン)
11:ピット・フィーンド
アーチデヴィル
12:公爵および女公爵
13:大公および女大公
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、堕落の主にして純粋なる破壊者、デヴィルはすべての善きものを破壊し、定命の者の魂を引きずり込みながら地獄界ヘルの深みに戻ることを
ヘルに住むフィーンドの中で最も数が多いため、悪魔学者たちはデヴィルのさまざまな形態を記録してきました。ほとんどは2つの名前によって知られます。一般人や民話によってフィーンドに与えられた通称、そしてヘルに仕え、魔物と取引することを願う者たちによって語られてきた、世に知られない古の名です。
未来のデヴィルは、最も堕落した定命の者の魂――その個性と記憶は何千年もの業苦によって洗い流される――から生まれ、数多の苦しむ魂の中から、悪の潜在力を持つ精神のない不快なレムレーとして生まれるのです。何世紀も続く苦痛か、より強力なデヴィルの命令によってのみ、これら最下層のデヴィル類はより危険なフィーンドになれます。彼らの主か、ある程度の意識を持つヘルの階層の悪魔的な意志が決定する、苦痛に引き裂かれるような変身を経ることによって。地獄の君主たちは褒美や刑罰としてより強い、あるいはより弱い形態に変身させられますが、一部のデヴィルはヘルの階層に長く囚われたとりわけ邪悪な魂から自然に発生します。このように、さまざまなデヴィルの種は、見た通りの能力とヘルの大いなる秩序の中で一般化された階級を有していますが、デヴィルのタイプ自体は必ずしも苦痛を受けた期間やヘルの命令系統の中で占める位置と一致するわけではありません。アスモデウスの軍勢は適性と経験を重んじ、特に熟練した下級のデヴィルが新たに生まれたより強力な形態の者たちを監督する地位に就くこともあるのです。
デヴィルはヘルの9つの階層のどこにも大勢いますが、一部のフィーンドは特定の階層において他のフィーンドよりも一般的です。個々のアークデヴィルに対する特別な義務や忠誠が、彼らを苦痛に満ちた領域のひとつへととくに引き寄せます。デヴィルの多くは、悪行や誘惑のひとつの形態に専門化する傾向にありますが、ヘルの階級で個々の突出した才能を受け入れる柔軟性はプレグトンのボーン・デヴィルの憲兵たちの隊列に加わるでしょうし、バルバズゥの熟練兵はネッソスのピット・フィーンドたちとともに仕えるでしょう。
デヴィルたちはしばしば悪の術者の召喚に応じてヘルの穴蔵を抜け、物質界に旅します。デヴィルたちはてきぱきと取引し、定命の者たちの地獄落ちを確実なものとするため彼らに喜んで仕え、自分たちが合意した文言に厳密に従うものの、何よりもヘルの意志を優先するのです。このため、物質界に来た最下級のデヴィルでさえも、さらに魂を堕落させようと企み、契約を巧妙にくぐり抜けて自分自身の陰謀、あるいはヘルのアークデヴィルの口にできない目的を果たそうとします。
悪魔学者はしばしばヘルの階級、すなわち悪魔たちをヘルの軍団の歩兵と指揮官に分かつ区分について語ります。ほとんどの定命の者にとって、デヴィルはいかなる段階であろうとも危険な敵であり、このような区分はほとんど意味がありませんが、ヘルの社会の階級と微妙な差異は、デヴィルと交渉しようとする者の死命を分けるのです。ある種のデヴィルが他の者よりも上か下かを見分けることは、腕力だけの問題ではありません。狡知に長けたフィーンドの数種は、自分より強い同類より上位に列されることもあります。デヴィルの地位は、下位のデヴィルすべてに命令を下せることを即座に意味しませんが、フィーンドが仲間に便宜を図ろうとしたり、影響力を及ぼすことは可能です。
ヘルの統治者はアスモデウスだが、彼の関心はさらにずっと広い。彼は重要ではないヘルの職務を、8柱のアークデヴィルたちと地獄の公爵たちに任せています。下に示されているものは、デヴィルの種類を、悪意に満ちた君主であるピット・フィーンドから不恰好で下賤なレムレーまで地位の順に並べたものである。
ヘルの階級
絶対的に弱いデヴィルから地獄の君主まで、ここに列挙したのは、ヘルの領域で非常によく知られている住人の最も基本的な階級である。
地獄の君主:地獄の公爵、アークデヴィル、アスモデウス
上級デヴィル:ホーンド・デヴィル(コンヌゴン)、アイス・デヴィル(ゲルゴン)、ピット・フィーンド
下級デヴィル:ビアデッド・デヴィル(バルバズゥ)、エリニュス、バーブド・デヴィル(ハマトゥラ)、ボーン・デヴィル(オシュルス)
最下級デヴィル:インプ、レムレー
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』には、フォグ・デビルがいます。
【フォグ・デビル】
鬱蒼と茂る森の中心に冬の霧が下りてくると、フォグ・デビルは狩りと余興のために木々に集まります。そして樹林を流れながら、狂った狼のように吼え叫び、ウッドリングやノームを食べようと探し回るのです。
この異様で凶暴な怪物の姿は、幽霊のようにうねる蒸気が集まってそれくらい人型をとったように見えます。頭部が最もはっきりしており、そこから離れるにつれ体は薄れて霧に溶けて消えていくのです。頭は醜く、人間の容貌の悪夢じみたパロディであり、狂気を宿す瞳と牙に満ちた口の裂け目を持ちます。腕は筋肉質で強そうに見え、端には3本指の手があり、一振りで人を真っ二つに引き裂いてしまえそうです。攻撃の時フォグ・デビルは渦巻く霧となり、敵の周囲を巡って惑わし、突然、爪や牙を伸ばしてきます。この怪物は敵を殺すと、その場に少し止まって一番良い部位だけを貪ると、渦を巻いて飛び去ってしまうのです。
森の他の住人にとって幸いなことに、この凶暴で邪悪な存在はとても数が少ない。彼らと出会うのも冬の霧が最も濃いときのみです。残りの時間は、木の幹で見捨てられた動物の巣穴で眠り、ふたたび霧になる時を待っています。
最後に
今回は「デヴィル」についてまとめました。
デヴィルは階級社会であり、上下の秩序を維持することに厳格です。
まるで日本社会のブラック企業のようなイメージですね。
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