752.事典篇:妖魔:サキュバス、インキュバス
今回は「サキュバス」「インキュバス」についてまとめました。
夢魔とも呼ばれる種族であり、女性の姿をとるのがサキュバス、男性の姿をとるのがインキュバスと呼ばれます。
一説にはサキュバスとインキュバスは同一の存在で、魅了しようとする相手の性別に応じて使い分けているとされているのです。
事典【妖魔:サキュバス、インキュバス】
サキュバスとインキュバスは夢に現れる悪魔「夢魔」です。
数ある悪魔の中でも人間に近い種族ともいえます。
サキュバス、インキュバス
サキュバスは女性型のリリン・デーモン、または通常は性行為を通じて男性を誘惑するために、女性の形で夢の中に現れる民間伝承における超自然的存在。邦訳は女夢魔または女淫魔とも言います。男性形はインキュバスです。
宗教的な伝承において、サキュバスとの繰り返しの性行為は健康や精神状態の悪化、あるいは死をももたらすと考えられています。現代の表現ではサキュバスは夢の中に出現することも出現しないこともあり、しばしば非常に魅力的な誘惑者または魅惑的女性として描写されるのです。一方、過去にはサキュバスは一般的に恐ろしいもの、悪魔的なものとして描かれていました。
語源は後期ラテン語の「(不倫の相手としての)愛人、恋人」を指します。サキュバスという名前は14世紀後半に成立したものです。
リリスはアダムの最初の妻であり、のちにサキュバスとなりました。彼女はアダムの元を去り、大天使サマエルと一緒になると、エデンの園に戻ることを拒否しました。サマエルとつがったサキュバスはリリスの他にエイシェト・ゼヌニム、アグラット・バット・マハラト、ナアマといった元は悪魔の女王だった四人です。サキュバスは美しく若い少女の形を取るかもしれませんが、より綿密な検証では、彼女の体に鳥のような爪や蛇の尾のような異形を発見するかもしれません。
インキュバスは男性形の夢魔であり、睡眠中の女性を襲い精液を注ぎ込み、悪魔の子を妊娠させます。
サキュバスもインキュバスも、相手に自分と性交したくてたまらなくさせるために、襲われる人の理想の異性像、服を着ず下半身は裸で現れるのです。そのためその誘惑を拒否することは非常に困難でした。人の形態をとるだけでなく、標的となった人間の寝室には蝙蝠に化けて侵入するともされています。ただしこれらの姿を変える能力を剥がした正体は醜い怪物とも語られているのです。
一説にはインキュバスとサキュバスは同一の存在であり、自身に生殖能力がないため、人間男性の精液を奪って人間女性を妊娠させ、繁殖しているとされています。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、サキュバス及びインキュバスはすべての下方次元界に生息しています。デヴィルやデーモン、ナイト・ハグ、ラークシャサ、ユーゴロスなどにこの闇の翼持つ魔物が仕えているのが見受けられます。九層地獄の支配者は、定命の者を誘惑し、悪事を行なわせるのにこのフィーンドたちを用いるのです。デーモン・ロードはサキュバスとインキュバスを相談役兼愛人として侍らせています。
伝説ではサキュバスとインキュバスは別々に語られていますが、サキュバスはすべてインキュバスになることができ、その逆も真です。このフィーンドたちのほとんどはインキュバスとサキュバス、いずれかの一方の形態を好み、優先しています。定命の存在がサキュバスやインキュバスの真の形態を見ることはほとんどありません。このフィーンドは巧妙に隠されたやり方で堕落の企みを始めるからです。
サキュバス及びインキュバスはまず最初、エーテル形態で現われます。そしてゴーストのように壁を抜けて眠っている定命の者のそばに忍び寄り、禁断の喜びをその耳にささやくのです。睡眠中の犠牲者は、己の心の奥、闇の中にある欲望に屈するよう誘われ、禁忌を犯すことにふけり、禁断の果実を貪るのです。このフィーンドが犠牲者の夢を堕落の幻で満たしてゆくにつれ、犠牲者は日々の暮らしの中で、誘惑に傾きやすくなっていきます。
こうなったら最後、クリーチャーの行動をじかに操らんと、サキュバスが夢の中の姿そのままに現われたなら、犠牲者に逃れるすべはありません。サキュバス及びインキュバスは、こうして犠牲者の夢の中でしか出会えなかった人物の姿で現われ、犠牲者と親愛を深め、そそのかし、あらゆる欲望に応じて情欲に溺れさせます。こうなればもはや犠牲者は自分自身の意志で悪事に手を染めるようになるのです。
定命の者がこのフィーンドに魂を譲り渡す際、正式な誓約や書面での契約が用いられることはありません。その代わり、サキュバスやインキュバスがそのクリーチャーを完全に堕落させたとき(一説によれば犠牲者に思考、言葉、そして行動の三つの裏切りの罪を犯させたとき)、犠牲者の魂は彼らの所有物となるのです。彼らの狙う獲物が高潔であればあるだけ、堕落させるには長い時間がかかります。しかしひとたび堕落させたときには、より多くの見返りが得られるのです。見事に堕落させたところで、サキュバスやインキュバスは犠牲者を殺します。そしてその穢れた魂は下方次元界へと堕ちてゆくのです。
サキュバスやインキュバスが犠牲者を魔法によって魅了するのは最後の手段であり、普通は自分を守るために行なわれます。魅了状態のクリーチャーはその行動に責任を持ちません。ゆえに、そのクリーチャーの意志に反する行動をさせてもサキュバスの望む最終目的、獲物の魂を得る助けにはならないのです。
サキュバスやインキュバスの接吻は、このフィーンドが堕落した魂を求める心から来る、儚いものです。それゆえに、このフィーンドと接吻を行なった者は何の喜びも感じません。感じるのはただ痛みとフィーンドのもたらす絶対の虚無だけです。その接吻はまさに攻撃にほかならず、たいていは逃げ出す前の、最後の別れの挨拶として行なわれます。
サキュバスやインキュバスは互いを相手として子孫を残すことができます。サキュバスやインキュバスが人型生物と子を作ることは、それより多くありません。この不浄なる交わりによって孕むのはカンビオンの子です。魔の血を引く子はつねに、その魔物の親と同じように危険で悪辣です。
魅了した相手とテレパシーで交信できます。しかもどの世界のどんなに距離が離れていてもテレパシーが通じるのです。
魅了できるのは一度に一人だけで、他人を魅了すると前の魅了者は目を覚まします。
【カンビオン】
カンビオンはフィーンド(ふつうはサキュバスやインキュバス)と人型生物(ふつうはヒューマン)との間の子です。両方の親の性質を受け継いでいますが、角、皮膜、たくましい尻尾は、彼らがこの世ならぬ血を引くことをまざまざと示しています。
カンビオンは成長すると無慈悲な人柄になります。その邪悪と堕落は、どれほどこの子を可愛がってきた(人型生物のほうの)親をも恐怖させるに足るのです。若くして人の上に立ち、市町に蜂起をそそのかし、人型生物やレッサー・デヴィル(下級悪魔)の群れを集めて蜂起に加わらせます。
カンビオンは(フィーンドのほうの)親に仕えざるをえなくなることがままあるのです。親を崇め恐れているので仕える場合も、いつか高く取り立ててもらえようと期待して仕える場合もあります。九層地獄で育ったカンビオンは兵士、使者、従者としてグレーター・デヴィル(上級悪魔)に仕えます。アビスにおいては、カンビオンは純粋な腕力と意志力で手に入れられる限りの権力を振るうのです。
デーモン・ロードは、好んで「フィーンドと契約を結んだ人型生物」に子を産ませます。その子として産まれた大勢のカンビオンは、デーモン・ロードが多元宇宙に混沌の種をまくのを手助けしているのです。これらのカンビオンは、炭のように真っ黒な肌、二つに割れたひづめ、六本指の手を持ち、そしてこの世のものとも思えぬほどに美しい。その魅力の虜となり、カンビオンの命令に従うようになる者もいます。
火炎光線の攻撃ができます。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、デーモンの大軍の中でも、サキュバスはその人心を操る能力と官能的な魅惑によって、しばしば信じられないほどの権力の高みにのぼります。いくつものデーモンにまつわる戦争がこのクリーチャーの狡猾な謀略によって荒れ狂ったのです。サキュバスはとりわけ好色で貪欲な悪の定命の者の魂から形成されます。
TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、
最後に
今回は「サキュバス、インキュバス」についてまとめました。
元々は古代ローマ神話とキリスト教の悪魔のひとつなので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」に「サキュバス、インキュバス」を出すことに著作権上の障害はありません。
TRPGでは『D&D』とその傍流『PF』で確認していますが、コンピュータRPGを入れればかなりの出演率を誇ります。
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