750.事典篇:精霊:サテュロス

 今回は「サテュロス」についてまとめました。

 元はギリシャ神話に登場する「自然の精霊」です。

 性的な描写もある精霊なので、サキュバスやインキュバスと関係があるのかもしれません。





事典【精霊:サテュロス】


サテュロス

 サテュロス(複数形サテュロイ)は、ギリシャ神話に登場する半人半獣の自然の精霊です。ローマ神話にも現れ、ローマの森の妖精ファウヌスやギリシャの牧羊神パーンとしばしば同一視されました。「自然の豊穣の化身、欲情の塊」として表現されます。

 森や山に出没し、パーンやディオニュソスが仲間です。男性のデュオニュソス信者がサテュロスで、女性信者がマイナス/マイナデスです。

 彼らは悪戯好きでしたが、同時に小心者でもあったのです。破壊的で危険であり、また恥ずかしがり屋で臆病でした。ディオニュソス的な生き物として、彼らはワインと女性と男性(美少年)を愛しました。アウロスという笛、シンバル、カスタネット、バグパイプといった楽器の音楽に乗って、ニュムペーと踊ったり口説いたりしたのです。人間にとっては激しい恐怖でした。彼らはディオニュソスのどんちゃん騒ぎに絡めて語られることが多く、神話や伝説の中ではマイナーな存在です。スキニスという特徴ある踊りを舞いました。本能的にあらゆる肉体的快楽を貪ろうとしたのです。葡萄と蔦で作った花輪を頭に載せ、ディオニュソスに倣って豹や山羊、子鹿の皮をまとっていましたが、それ以外は裸で、ファルスをそびえ立たせていたのです。

 彼らはワイングラスを手に持って描かれることがしばしばあって、ワイングラスの装飾としても用いられることがあります。彼らはしばしば松毬を先に付けたディオニュソスの杖テュルソスを持ち歩いているのです。

 成熟したサテュロスは前頭部に山羊の角を持ちますが、若いサテュロスはそこに骨ばった突起を生やしています。アッティカの彩色花器に描かれたサテュロスは平らな鼻、尖った大きな耳、長く巻いた髪、立派なあごひげ、馬か山羊の尾部を持っているのです。乳首のような突起を頭部に持つこともあります。

 彼らはさまざまなスタイルで描かれます。上半身が人間で下半身が山羊というのが最も多い。ときには角を生やしています。それほど多くはありませんが、下半身が馬であることもあるのです。いずれにせよ、長くて太い尾と、常時勃起しっぱなしの陰茎を持っています。時代が下るにつれ、人間風に描かれるようになり、獣としての性格を失っていきました。

【プーカ】

 プーカはアイルランド及びウェールズの神話に現れる|森の妖精(フェアリー)です。プーカは最も恐ろしいフェアリーで、さまざまな形態をとりますが、その中に黒山羊があります。その名前をとり、サテュロス似の半神半山羊で柳で作った笛を愛好する妖精をパックと呼んだのです。パックはウィリアム・シェイクスピア氏の『夏の夜の夢』で陽気な妖精として描かれ、有名になりました。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、サテュロスは騒々しいフェイの一種で、未開の森の中で浮かれ騒ぎ、好奇心と快楽主義に等しく突き動かされます。

 サテュロスの体はたくましい人間の男に似ていますが、下半身は毛皮に覆われ、足は山羊のようなひづめになっているのです。頭には一対の角がありますが、その大きさは小さなコブ程度から牡羊のように大きく弧を描く角までさまざまです。サテュロスは髭を生やしている者が多い。

 サテュロスは強い酒、強い香辛料、目まぐるしいダンスに焦がれてやみません。サテュロスにとって快楽にふけることができないのは飢えと同義であり、快楽の欲求を満たすためならどんな真似もやってのけます。きれいな歌を聴くために腕の良い吟遊詩人をさらったり、美男美女を一目見るために警戒厳重な庭園へ忍び込んだり、国一番のご馳走を味見するために宮殿へ入り込んだり。サテュロスが祭りを見つけて素通りすることなど不可能です。彼らは聞いたことのある祝祭日をすべて祝います。そしてこの世界の諸文明の祝日や祭日をかき集めれば、一年中お祭り騒ぎができるというわけです。

 酒と歓喜に酔いしれるサテュロスたちは、己の快楽主義が他人にどんな影響を与えるかなど考えもしません。サテュロスの宴に巻き込まれたクリーチャーはなにがなにやらわからぬまま放置され、自分がなぜ半裸で酔いつぶれていたのか、両親や雇い主や家族や友人に対する弁解と説明をひねり出すのに苦労する羽目になります。

 サテュロスは吹くと魔法的な効果を作り出す「パン・パイプ」と呼ばれる笛を持っていることがあります。通常「パン・パイプ」を持っているサテュロスはひとつの集団につきひとりだけです。「パン・パイプ」を演奏すれば、魅了の調べ、恐怖の旋律、優しい子守唄を聴かせられます。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、一部の地域ではファウヌスとも呼ばれるサテュロスは、原生林の最も深い場所に住む、放蕩者で快楽主義のクリーチャーです。彼らはワインと音楽、肉体的な快楽を愛します。また巧言と令色で知られ、無用心な若い娘や羊飼いの少年を口説くのです。そして彼らの通った後には無計画に妊娠させられた者たちが残され、気まずい弁明を余儀なくされます。

 彼らのほとんどは魅力的でたくましい男の肉体を持ちますが、サテュロスの誘惑術は多くをその音楽の才に頼っているのです。彼が名の由来となったパンパイプの力によって、他者を魅惑するさまざまな旋律の呪文を奏で、気まぐれな欲望に身を捧げさせます。

 サテュロスはいつもふざけているだけではなく、よく故郷の森に住むクリーチャーたちの守護者としても行動します。そしてサテュロスの劣情を怒りに変えてしまった者は誰であれ、彼らを取り巻く危険な獣たちと対面することになるでしょう。サテュロスは他者の権利よりも自分の快楽に重きを置く傾向がありますが、自分が誘う相手に悪意があるわけではありません。このような出会いから生まれた子供はつねに純粋なサテュロスとして生まれ、だいたいは生まれてすぐに自分の陽気な親族によって連れ去られます。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、頭にはとがった耳と短い角を持ち、下半身は山羊であるサチュロスは人間と比べてけっして体力的に優れてはいません。しかし、サチュロスは人間、とくに女性にとって忌むべき存在といえるでしょう。女好きのサチュロスは、人間やエルフの女性を見れば追いかけ回し、捕まえようとするのです。サチュロスはつねに草笛を持ち歩いています。この笛の音には「行っちまえ」の魔法と同様の効果があり、笛の音を聴いた瞬間に逃げ出してしまいます。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、サテュロスは森に棲む種族で、上半身は毛深い人間ですが、耳は尖り、頭からは短い角が生えていて、下半身は山羊です。木の実などを主食とし、性格は温厚で、酒と音楽と女性を好み、お祭り騒ぎが大好きです。戦いは好まず、危険が迫ればすぐに逃げ出してしまいます。雌のサテュロスはシーサテュロスと呼ばれます。

 彼らはつねに笛を持っており、そのメロディーで人間の感情を操れます。サテュロスの笛を聞いた人間は、急に恐ろしくなって逃げ出したり、楽しくなって踊りだしたり、みだらな気分になって服を脱ぎだしたりします。



 TRPG『クリスタニアRPG』では、下半身が山羊、上半身が人間の男性の姿をした幻獣。つねに持ち歩いている角笛(魔笛)で、人の感情を支配できます。戦いになると、頭に生えた短い2本の角で攻撃するのです。シャーマン魔法を使えます。





最後に

 今回は「サテュロス」についてまとめました。

 性的な魔獣なのでサキュバスやインキュバスともなんらかの関係があるのかもしれません。



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