749.事典篇:精霊:ドライアド、トリエント

 今回は「ドライアド」「トリエント」についてまとめました。

 ドライアドは緑つまり植物の精霊であり、トリエントは古樹が意志を持った存在です。

 植物に関する精霊ということでまとめて取り上げます。





事典【精霊:ドライアド、トリエント】


ドライアド

 ドリュアスは、ギリシャ神話に登場する、木の精霊であるニュムペー。英語ではドライアド、フランス語ではドリアードといい、日本ではこちらの読みでもよく知られます。

 多くのニンフと同じく長命ですが、ドリュアスたちの場合、自らの宿る木が枯れるとともにその命を閉じます。このためドリュアスたちやギリシャの神々は木の精霊に敬意を払うことなく木を傷つける人間を懲らしめるのです。

 ドリュアスたちは普段は人に姿を現すことは滅多にありませんが、美しい男性や少年に対しては緑色の髪をした美しい娘の姿を現し、相手を誘惑して木の中に引きずり込んでしまうことがあるといいます。そこで一日を過ごしただけで、外では何十年、何百年もの時が経過している場合があるのです。

 その起源は印欧語族やケルト族のドルイド文化の中ではオークの木と密接に関係しています。ギリシャ人は彼らより昔の人々はオークの木の実を食べていたと想像したのです。女性をかたどった神殿の柱は、そのような建築に使われる前はその実を食べていたさまざまな木々と関係しています。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、森の踏み込む旅人は、ときおり軽やかに飛びまわる女の姿を木の間隠れに見ます。あたたかな笑い声が空中にこだまし、聞く者を緑の暗がりの奥へと誘うのです。

 ときおりあるフェイが小さなフェイの霊を木に結びつけ、これをドライアドに変化させてしまうことがあります。この変化は、フェイの霊が定命の者と恋に落ち、その恋が禁断のものであったときに、罰として下されることもあるのです。

 ドライアドは木から飛び出して周りの土地を旅することはできます。しかしその木は彼女の家であり、彼女をこの世界と結びつけるものです。この木が健康で無傷である限り、ドライアドは永遠に若く美しい。木が傷つけば彼女も苦しみを受けます。万一、その木が滅ぼされたならば、ドライアドは狂気に陥ります。

 ドライアドは自分の住む森の守り手として働くのです。もともと内気で人目につきたがらない性分なので、侵入者を木陰から見守ります。もし、よそものの美しさに心打たれたならば、もっと間近で見てみようとするのです。ことによったら、相手を誘い出して魅了しようとするかもしれません。

 ドライアドは森に住む他のクリーチャーと手を携えて森を守ります。ユニコーン、トリエント、サテュロスはドライアドのそばで暮らしているのです。ドライアドが身を捧げる故郷の森に対して、同じく身を捧げているドルイドがいることもあるのです。

 ドライアドは植物や動物と言葉を交わせます。木から木へ瞬間移動し、侵入者を自分の木立から遠くへもおびき出せます。そして追い詰められたなら魔法で人型生物の心を奪い、敵を友に変えてしまえるのです。そのうえ、役に立つ呪文も一つならず心得ています。

 セーヴィング・スローに失敗すると魔法によって魅了状態になります。このドライアドを信じるに足る友であり、気を配り守ってやらねばならぬと見なすのです。目標はドライアドに制御されるわけではないが、ドライアドの求めや行ないには、可能な限り好意的に応えます。ドライアドが一度に魅了状態に置けるのは、人型生物一体と野獣三体までです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ドライアドは、材木を必要とする人型生物から遠く隔てられた森林地帯を好む“樹の精”です。ドライアドが主に興味を持っているのは、自分が生き長らえることと愛する森であり、通行人に魔法を使って自らが成し遂げられない務めへの協力を共用することで知られています。悪属性でないドルイドとレンジャーに対しては、その自然への敬意や共感を理解しているため、より友好的なことが多い。

 ドライアドは樹木の温和な守護者であり、直接的な暴力を振るうことは稀ですが、棲家を脅かすものを罠にかけて無力化したり、敵を味方に変えたりできます。一部の者は1体ないし複数の人型生物を魅了してその縄張りに住まわせ、攻撃してきた者を防ぎ、追い出されます。無力化された敵は、大体はドライアドの同盟者によって森の端まで引きずられていき、そこに放置されるのです。しかし邪悪であったり過度に敵対的なものは、戦闘の末に命を奪われます。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ドライアードは植物の精霊です。木に宿るのが普通ですが、植物がある場所なら、精霊使いは召喚することができます。その姿は全裸のエルフの女性で、長い緑の髪の毛が全身を包み隠すように巻きついています。肌も緑色です。

 狂ったドライアードは精霊魔法の「チャーム」を用いて仲間割れを起こさせ、「バインディング」で相手の動きを封じようとします。これらの魔法を使っても、ドライアードは精神点を消費することはありません。

 どうしても目標に魔法がかからないとなれば、ドライアードは素手で襲いかかってきます。

 ドライアードを傷つけるには、魔力を帯びた武器か銀の武器でなければなりません。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、植物の精霊です。肌が緑色の全裸のエルフ女性という姿で、長い髪が全身に巻きついています。



 TRPG『クリスタニアRPG』では、樹木に宿る、安らぎと魅了の感情を支配する精霊。植物のツルのような髪を裸体に絡みつかせた、緑色の肌のエルフの女性の姿で現れます。バインディングの魔法で、人を捕らえようとすることもあるのです。精神魔法や毒、通常武器は無効。





トリエント

『D&D』発祥と思われるので、著作権に抵触する恐れがあります。

 あなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させたいのであれば、名称と形態を変えてください。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、トリエントは古い森に住む、意識に目覚めた樹木です。トリエントたちは静かに思いに耽るのが好きで、数日、いや数カ月、すや数年だろうとそうやってのんびりと過ごしています。しかし外からの脅威に対しては猛然と立ち向かい、その森の領地を守るのです。

 トリエントとなる運命にある樹は、その力に目覚めるまで、数十年あるいは数百年にわたって普通の樹として生き、めぐる季節の中で静かに思いに耽っています。このように目覚めるのは、その樹が特別な状況にあるとき、とくに自然の魔法に包まれた場所にあるときのみです。トリエントおよび強力なドルイドたちは、秘められた力が樹に芽生えたとき、それを感じ取れます。彼らは目覚めの時が近づいてきたなら、そうした樹々を秘密の木立の中で守るのです。そしてその長い目覚めの過程で、その樹皮には顔のような形が浮かび上がり、幹の根元付近は足になり、長い枝は垂れ下がって腕になります。そしてその時が来たなら、その樹は大地にしっかり食い込んだ足を抜き、故郷たる森を守る同志たちに合流するのです。

 トリエントは目覚めた後も、樹であった頃とまったく同じように生長し続けます。大きな木から生まれたトリエントはたいそう大きくなり、生まれつき備えている植物や動物に対しての魔法の力も強くなっていくのです。こうしたトリエントは植物を操り、侵入者を絡め取ったり、罠にかけたりすることができます。また、自分たちの手助けをさせたり、遥か遠くに伝言を伝えるために野生のクリーチャーを呼べるのです。

 意識に目覚めた後も、トリエントはほとんどの時間を単なる樹として生きることに費やします。ひとつの所に根を下ろしている間も、トリエントは周囲の状況を把握しており、さらにはわずかな周囲の変化から数マイル先で起こった出来事、そしてその影響に気づけます。

 健全な樹は切り倒さないようにしている木こり、森の獲物を本当に必要なだけ獲る狩人は、とくにトリエントの怒りをかき立てたりはしません。ですが、火の不始末をするクリーチャー、森を害するもの、立派な木々(とくに目覚めの近い樹)を切り倒したりしたものはトリエントの怒りを思い知らされるでしょう。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、トリエントは森の守護者であり木々の代弁者です。森そのものと同じほど長く生きているため、また自分を庭師というよりは森の親または精神的指導者と見なしているため、トリエントはほとんどの事柄に対して超然としていますが、自らの群れを守るために戦うことを強いられた際には恐るべきものとなります。彼らが寿命の短い種族に友情を求めることは滅多になく、生まれながらにして変化に不信感をもっているのです。しかし彼らの長くとりとめのない独白から学ぼうとする者、とりわけ生徒が自然界を守ろうという願いを示す時には寛容であることが知られています。しかし、森を脅かす者、とくに木を切って材木にしようとする木こりや、森の一部分を伐採して畑や町を作ろうとする者に対しては、トリエントの怒りは迅速で破滅的です。彼らは建造物を取り壊すことにかけて天与の才を持ち、これは怒れるトリエントにぴったりの特徴です。

 本来、トリエントは単独で暮らすクリーチャーであり、時として森全体に責任を持つただ一つの個体です。しかし稀に木立と呼ばれる小集団を作り、情報を共有し繁殖することがあります。重大な危機が迫ったときには、地域のすべての木立が集まり何か月も続く木会と呼ばれる会合を開くのです。しかしこのような出来事は極めて稀で、何千年も間が開くこともあります。

 典型的なトリエントは身の丈30フィート(約9m)、幹は直径2フィート(約60cm)、体重は4,500ポンド(約2t)。トリエントは彼らの森の領域に最も普通に見られる種の樹木に似ていることが多い。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、「樹霊エント」は冒険者でも滅多に立ち入らない深い森の奥に住んでいる精霊亜人。一見すると年老いた巨人のようにも見えますが、その肌は固い樹皮であり髪とひげは木の葉からなっている。季節によっては花が咲いていることもあります。他の種族からするとひじょうにスローテンポな時間感覚で生きており、他の生物とは意思の疎通が不可能に近く、性格は気難しく頑固なので機嫌を損ねてはいけません。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、樹人トレントは生ける木々です。枝を腕、根を足の如く用い、会話すら可能な者もいます。しかし人の血を啜る個体もいるため、油断は禁物です。





最後に

 今回は「ドライアド」「トリエント」についてまとめました。

 どちらも植物に関する精霊であり、区分けがしにくいかもしれません。

 ドライアドが「緑の精霊」で、トリエントが「樹木の精霊」と考えればわかりやすいと思います。



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