747.事典篇:精霊:サラマンダー

 今回は「サラマンダー」についてまとめました。

 炎の精霊であるサラマンダーは、よくゲームに登場します。

 四大精霊の中でも屈指の認識力を誇ります。





事典【精霊:サラマンダー】


サラマンダー

 サラマンデル。サラマンドラとも。四大精霊を司る精霊のうち、火を司るもの。サラマンダーは「サンショウウオ」の意で、斑点を持つ小さなトカゲのような姿をしており、燃える炎の中や溶岩の中に住んでいます。炎を操る特徴から「ファイアー・ドレイク」と同一視され、ドラゴンとして扱われることもあります。

 サラマンダーは、古代ヨーロッパでは火の中で生きることができる生物だと考えられていました。体温があまりに冷たいため火を寄せ付けず、あるいは火を消し去るのだというのです。薪の隙間に入り込んでいたサラマンダーが、薪ごと火にくべられ、体液が多いためすぐには焼け死なずに逃げ出す様子からそう信じられたといわれています。アリストテレスやプリニウスのような古代の学者もそのように記述したため、実験によっていずれ焼け死ぬことを確認した者が複数いたにもかかわらず、中世を通じてこの迷信は続きました。18世紀に到ってもそのように述べた書物が出版されているのです。

 さらには火を燃え上がらせる霊能を持つともされ、ゾロアスター教徒は聖火を高く燃え上がらせるためにサラマンダーをくべました。16世紀に錬金術師パラケルススは四大精霊中の火の精霊をサラマンダーとしたのです。それまでは人間型、特に女性の姿をした火精という概念もありましたが、これ以降は火の精はトカゲあるいはサンショウウオの形という考えが一般的になりました。ただしパラケルスス自身は四大精霊は人間に近い形と考えていたようです。

 錬金術において、鉛のような病める金属が金に転換されるまさにその温度に至る時に炉に現れるとされ、錬金術の書物の挿絵には炉の温度のヒントとしてサラマンダーが暗号のように描かれる例が多い。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、火の元素界の「灰の海」を這いずるサラマンダーは、蛇のような尾とギザギザの背びれから煙を立ち上らせています。肉体は高熱を帯び、鷹に似た顔の落ちくぼんだ眼窩の中で黄色い瞳がロウソクのように光っているのです。

 サラマンダーは力を尊び、ものを燃やして喜びます。故郷である火の次元界の外では、森に火を放ち黒焦げの木々の間ではしゃぎまわったり、活火山の斜面を流れ落ちる溶岩と火の中を這いずりまわったりしているのです。

 サラマンダーの卵は、煙をあげる黒曜石の殻を持つ直径2フィート(約60cm)の球体です。孵化の準備が整うと、内側から分厚い殻を融かして、サラマンダーの幼生であるファイアー・スネーク(火蛇)が現れます。ファイアー・スネークは1年で成体のサラマンダーへ成長するのです。

 大昔、イフリートはエイザーを雇って高明なる黄銅城を建てさせました。その仕事が終わったのちにこの神秘的な種族(=エイザー)を奴隷化しようとするイフリートの企みは失敗に終わりました。そこでイフリートは代わりにサラマンダーを襲い、この種族を奴隷にして、諸次元界に戦と破壊を広げる尖兵としてこき使ったのです。

 サラマンダーはエイザーを憎み蔑んでいます。イフリートが元素界の職人種族を支配下に収めていたなら、自分たちは奴隷にされずに済んだはずだと信じているからです。イフリートはこの敵意を自分たちに利するように活用しています。すなわちサラマンダーのエイザーへの憎悪を煽り立て、サラマンダーがイフリートの昔の使用人と張り合うように仕向けているのです。

 イフリートはサラマンダーが他の主人に仕えることを決して許しません。元素邪霊のカルトに仕えるサラマンダーに出くわしたイフリートは、これを奴隷として引っ立ててゆくのではなく処刑しようとします。

 サラマンダーは火の原素に由来する破壊衝動に従いますが、奴隷としてイフリートに仕えた経験は自由の身のサラマンダーの文化にも大きな影響を及ぼしているのです。サラマンダー社会の統治体制はイフリートの真似であり、より大きくより強いサラマンダーが弱い同族への支配権を主張する構造になっています。サラマンダーは歳をとるごとに体が大きくなり地位が向上し、やがて同族に権力を振るう冷酷な貴族の地位に昇りつめるのです。サラマンダーの貴族は放浪するサラマンダーの集団を治めます。この集団は砂漠の遊牧民のように火の元素界を動き回り、財宝を求めて他の共同体を襲うのです。

 サラマンダーは常に高熱を発しています。戦闘においてサラマンダーの手にする武器は熱せられて赤く輝き、肉体は触れるだけで敵を焼くのです。サラマンダーに近寄るだけで皮膚は火傷を負い水疱ができます。

 この高熱はサラマンダーが鍛治仕事をする際にも役立ちます。サラマンダーは素手で鉄や鋼をつかむだけで、金属を柔らかくして形を整えられるのです。技術においてエイザーには及ばぬものの、サラマンダーもまた諸次元界で最高級の鍛冶屋に数えられています。力あるクリーチャーは兵士としてサラマンダーを召喚しますが、他の者はむしろサラマンダーの技術が目当てであったり、炉やかまどに呪縛して燃料要らずの熱源に使ったりするのです。

 ファイアー・スネークもサラマンダーも、触れるだけで火ダメージを受けます。

 ファイアー・スネークは噛みつき攻撃をし、サラマンダーは金属製の近接武器を用いて、ヒットすると追加で火ダメージを与えます。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、サラマンダーは火の元素界の原住生物であり、猛烈な戦士で構成された軍団によってその次元界の他の住人から恐れられています。より強力な火の元素界の種族はサラマンダーをその金属鍛冶の技術と戦闘の腕前を目当てに奴隷にすることがあり、そのためサラマンダーはイフリートなどの他の住人を心から憎んでいるのです。

 一般に、サラマンダーは華氏500度(摂氏260度)以上になるところに住みますが、もっと低い温度に耐えることもできます。彼らがそうするのはほとんどは強制されたときのみであり、そのような環境にいるときは通常よりも不機嫌かつ短気になるのです。彼らは火の元素界の出身ですが、サラマンダー種族は奈落界アビスに親近感を持ち、デーモン(特にバロールやその他の火を特徴とするデーモン・ロードのような、火と関係するもの)に大いなる敬意を持って仕えています。その結果、アビスでサラマンダーの大集団と遭遇することは稀なことではありません。

 サラマンダーは護衛や、より一般的には武器防具など金属製品の加工の伝説的な技量のため、物質界にしばしば招来されます。サラマンダーのほうも、物質界の火山地帯のような、火の元素界との境界があいまいになった地域に現れるのです。

 その居住地があまりに高温であるため、サラマンダーは剣、鎧、宝石、ロッド、その他の融点の高い金属で作られた、高温に耐えうる宝物だけを蓄えています。サラマンダーの社会は冷酷で、力と下の者を服従させる能力によって成り立っているのです。服従させられた者がサラマンダーを不快に思わせれば、緩慢で苦痛に満ちた死が与えられます。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、精霊の部類に入ります。

 炎の精霊であるサラマンダーは、「火とかげ」の名前で呼ばれるように、体長1メートルほどの四足歩行の獣のような姿をしています。ただし、その全身は獣皮ではなく炎で覆われており、周囲の可燃物を発火させていく、たいへん危険な存在です。狂ったサラマンダーは、破壊の象徴である炎の精霊にふさわしく、すべての物を焼き尽くすことだけを目的に行動します。サラマンダーは精霊魔法の1レベルの呪文「ファイア・ボルト」と同じ効果を持つ炎の「息」を浴びせます。この炎の「息」を吐いても精神点は消費しません。この炎は必ず命中しますが、冒険者は魔法に対するのと同様に抵抗を試みられます。

 サラマンダーは精霊であり、そのかりそめの肉体もいわば精霊力の変化したものなので、通常の武器による攻撃を受けつけません。鉄は精霊の働きを阻害しますが、それを消滅させる手段にはなりえないのです。サラマンダーにダメージを与えるためには、魔法か魔力を帯びた武器、あるいは銀製の武器が必要です。また、精霊魔法の「ウォータースクリーン」をかけている者が、サラマンダーから攻撃を受けると、通常の効果をあげたのち、サラマンダーにダメージを与えて、魔法の効果が消滅します。また、サラマンダーに水をかけても、ダメージを与えられます。そのダメージは水1リットルにつき1点です。このダメージもサラマンダーは減少させられません。反対に炎による攻撃は、サラマンダーには効果がありません。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、炎の精霊で「火とかげ」とも呼ばれます。燃え盛る炎でできた半透明のトカゲやヤモリといった姿をしています。



 TRPG『クリスタニアRPG』では、燃え盛る炎の精霊。炎に包まれた四足歩行のトカゲの姿で現れます。別名は火トカゲ。戦いになれば、炎のブレスを吐くなどして攻撃してくるのです。精神魔法や毒、通常武器による効果は受けません。冷気による攻撃に弱い。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、火蜥蜴サラマンダーは火山地帯や溶鉱炉、鍛冶場など、火の気のあるところに生息する妖精。蛙と蜥蜴の中間のような独特の風貌で、一部の冒険者にはマスコット的な人気がある。炎や熱に対する耐性が高く、体表から高熱を、口からは竜族を思わせる炎の吐息を放てます。召喚術師によって使役されることも多く、『大災害』後は熱源として用いられ、蒸気機関を始めとした様々な技術開発に貢献しました。



 TRPG『この素晴らしい世界に祝福を!TRPG』では、ファイアードレイクは四足歩行の爬虫類型モンスター。見た目は真っ赤な体表を持つ大きなトカゲ。ただし、その口元からちろちろと覗くのは、舌ではなく彼らが吹き出す火炎のブレスです。爬虫類型モンスター全般の性質として体温調整能力が低いため、冷気には弱い。そのため適切な手段を持った冒険者であればじゅうぶんに対処が可能。





最後に

 今回は「サラマンダー」についてまとめました。

 精霊の中で最も有名なのが炎の精霊サラマンダーです。

 さまざまなRPGに登場し、火トカゲや小さな火竜の姿をしています。



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