745.事典篇:精霊:ジンニー

 今回は「ジンニー」についてまとめました。

 最高位の精霊である「ジンニー」はとても強力な存在です。





事典【精霊:ジンニー】


ジンニー

 ジンとは、アラブ世界で人にあらざる存在であり、なおかつ人のように思考力を持つものと見なされる存在、すなわち精霊や妖怪、魔人など一群の超自然的な生き物の総称です。

 イスラム以前からいわば俗信としてアラブ人に信じられてきましたが、イスラム以降クルアーンがその存在を否定せずに認めているため、神学などで盛んに論じられるようになりました。一般的には千夜一夜物語(アラジンと魔法のランプ)に登場するランプの精が有名です。

 ジンは複数形です。単数形では男性形はジンニー、女性形はジンニーヤーとなります。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、ジンニー(ここでは「ジンの眷属」の意)はエレメンタルに属する珍しいクリーチャーであり、多くの物語や伝説に語られてきました。物質界に存在するジンニーはごく少数であり、おおかたの者は諸元素界の豪奢な宮殿で民を治め、しもべらにかしずかれているのです。

 ジンニーは力と知恵にすぐれ、堂々として高慢であり、尊大でわがまま勝手でぜいたくを好みます。なにしろ「わしの権威にあえて歯向かうのは、神々や他のジンニーくらいなものだ」とわかっているのだから、思い上がるのも無理はありません。

 生命あり知性あるクリーチャーの魂が、元素界の始原の物質と溶け合ったとき、ジンニーは誕生します。とはいえ、このように魂が元素と結びつき、形をとってジンニーが生まれるのは、よほど特殊な状況においてのみです。

 ジンニーは、ひとたび生まれると「そのジンニーに形を与えた魂」との結びつきを綺麗さっぱり断たれるのが普通です。それでも、その魂の生命の力はそのジンニーを組み上げる素材となります。ジンニーの姿は人型生物に似ていますが、実際には肉体を持った元素の霊です。ジンニーはジンニーと結婚することも、ジンニーの子をなすこともありません。新たに生まれるジンニーは、みな精神の力と元素の力の神秘的な融合によって生まれます。ジンニーのうち、(自分を生み出した)定命の存在の魂とのつながりが強い者は、定命の者との間に子をなすことがあるのです。けれどそのような子供はひじょうに珍しい。

 ジンニーは倒されると形をとどめず消え去ります。後に残るのは、ただ装備していた物、運搬していた物、それにジンニーの属する元素のわずかな痕跡(一山の塵、一陣の風、ひらめく火炎と煙、あるいは飛び散る水とあぶく)だけです。

 ジンニーには定命のしもべらが仕え、ジンニーの権力を追認しうぬぼれを満たします。媚びへつらう百の声は、ジンニーにとって快い音楽です。足もとにひれ伏す二百のしもべは、ジンニーが王であり主であることの証明です。ジンニーの間では、奴隷は生きている財産であり、財産を持たぬジンニーは取るに足らぬ者と見なされます。結果、ジンニーの中には奴隷を大事にし、家族に準じた扱いをする者も多い。邪悪なジンニーは思いのままに奴隷を脅しこき使うが、それでも奴隷が使い物にならなくなることだけは避けます。

 ジンニーは好んで奴隷をこき使うが、自分が他人にこき使われるのは大嫌いです。ジンニーに言うことを聞かせるには、よほどの金を積むか、魔法で無理やり従わせるしかありません。あらゆるジンニーは己の属する元素の力を操ります。加えて、願いを叶える力を持つ者も稀にいるのです。それゆえ定命の魔道士たちはしばしばジンニーを魔法で縛って従わせようとします。

「高貴なる」ジンニーはジンニーの中でもごく少数です。彼らは望みの物はたいてい得られるし、しかも「願いを叶える力を他人のために使ってやり、代わりに欲しいものを手に入れる」という手も使います。ここまで結構な身分だから当然ぜいたくに慣れており、現実世界に至上の力を及ぼせるのだから当然傲慢無礼になっているのです。彼らの豪壮な宮殿は想像もつかぬほどの不思議に満ち感覚の喜びに満ちています。

「高貴なる」ジンニーは他のジンニーの妬み嫉みを掻き立てようと、事あるごとに己の優越性を誇示するのです。他のジンニーは「高貴なる」ジンニーの影響力を重んじており、「意のままに世界の法則を曲げ得る方にたてつくのはバカのすること」と心得ています。とはいえ敬意や恩義があるわけではないから、ときには危険を冒して「高貴なる」ジンニーの意に逆らうこともあるのです。

 ジンニーは神々を「力ある存在」と認識していますが、神々の意を迎え神々を崇める必要は感じていません。「信仰を持つ者どもは日々、神々に媚びへつらい泣きつくが、あれは見ていると退屈なものだ」くらいに思っています。とはいえ、しもべらが自分を崇め、媚びへつらい泣きついてくるのは、まんざら嫌でもないのですが。

 ジンニーは恐るべき力を備え、見事な御殿に住み、あまたの奴隷を従えています。それゆえジンニーの中に「わが力は神に等しい」と思い込む者が出てもおかしくはないのです。中には、他の世界の定命の者たちに「われを崇めよ」と強要する者もいます(はなはだしいときには、1つの大陸全部や1つの世界全部に対して!)。

【イフリート】

 筋骨隆々たるイフリートは、火の元素界出身のジンニーです。炎を操り、火に対する完全耐性を有し、自在に火を生み出せます。マグマのように赤い、あるいは石炭のように黒い肌のうえに、見事な絹のカフタン(前の開いた上着)とダマスク織のローブを着ています。黄銅や黄金の腕輪、指輪、鎖には、いずれも宝石がきらめいているのです。イフリートが空を飛ぶとき、下半身は煙と熾火おきびの柱となります。

 イフリートは人を欺き、ずる賢く、冷酷非情です。彼らは他人に奉仕する羽目になるのが大嫌いで、他人から不当に扱われたなら徹底的に報復します。むろん、その「他人」がイフリートの場合はいささか話が違います。イフリートはイフリート族のことを「われわれは公正で規律正しいが、文明人の常として利己心が強いのが玉にキズだ」と考えているのです。

 イフリートは他のすべてのクリーチャーを敵か奴隷候補と見なします。彼らは物質界と諸次元界を襲撃して奴隷を捕らえ、火の次元界に連れ去るのです。イフリートは抑圧的な暴君であり、奴隷の中でもとくに冷酷な者だけに目をかけて高く取り立てます。こうした奴隷あがりの奴隷頭どれいがしらは、鞭をふるってその他大勢の奴隷を従わせるのです。

 おおかたのイフリートは火の元素界に住んでいます。沸き立つ火の湖に囲まれた巨大な円蓋を持つ黒いガラスと黒い玄武岩の城塞に、あるいは名高い黄銅城に。加えてイフリートの前哨基地は諸次元界に点在し、そこにはイフリートの手下や奴隷がひしめいています。

 物質界ではイフリートは火山や灼熱の大砂漠といった高熱の土地に住むのです。彼らは砂漠を愛するため、砂嵐に乗って砂漠を往来するジンや、大地と結びついたダオと対立することもままあります。イフリートはマリードを深く軽蔑しており、この両種族はその歴史を通じて激しい争いを繰り返してきました。

【ジン】

 誇り高く見た目も美しいジンは、風の元素界出身のジンニーです。その姿は見目よく、丈高く、筋肉質の人型生物に似て、肌は青く目は黒い。身にまとう絹の衣は薄く軽くきらきらしており、着心地よいばかりでなく、堂々たる体躯を誇示するにも向いています。

 ジンは雲でできた空に浮かぶ島を支配しています。島は巨大な天幕に、あるいは見るも見事な館と中庭と噴水と庭園に飾られているのです。ジンは安楽で気楽な暮らしが好きで、みずみずしい果物、香り高い葡萄酒、繊細な香料、美しい音楽を喜びます。

 ジンはいたずら好きで、定命の者にも親切なことで知られています。ジンニー同士の間柄について言うと、ジンはイフリートやマリードのことは「なんと高慢ちきな奴らだろう」と思っており冷たく接するのです。ダオのことは明白に憎んでおり、少しの無礼があればたちまち打ってかかります。

 ジンは風を操ります。強力な竜巻を作り出してこれに乗り、これを望む方向に向けるのです。他の者をこの竜巻に載せて運べます。ジンと戦う者は風と稲妻に襲われます。ジン自身は戦況不利と見れば風に乗って退散するのです。ですが風と稲妻は敵を打ち続ける、ということすらあります。ジンが空を飛ぶとき、下半身は渦巻く風の柱となるのです。

 ジンは「他人に仕えるのも宿命のしからしめるところで仕方ない。宿命の手には誰も逆らえない」と考えます。結果、すべてのジンニーの中で、ジンは最も従順に使役されるのです(とはいえ心中快く思わぬのは当然のこと)。また、ジンは自分の仕える奴隷を奴隷というよりむしろ従僕として、親切に接し保護すべき相手として扱います。このため奴隷のほうでジンと別れたがらないこともよくあるのです。

 一時ジンを従えたいと考える定命の者は、ジンに見事な贈り物をし、あるいはへつらいの言葉を並べて合意を取り付けます。ですが力ある魔道士はこうした手順を省けるため召喚したうえで魔法でジンを閉じ込めるか無理やり言うことをきかせるのです。とはいえ長期にわたって奉仕させられたジンは当然いらつくし、幽閉までやってしまえばもはやなんの弁解もできません。ジンはみな、自分の同胞をガラスの瓶や鉄の瓶や管楽器のなかに長年閉じ込める冷酷な魔道士どもを心底軽蔑しています。ジンの信頼を裏切ること、とくにジンが信じた相手がジンを裏切ることは、卑劣極まりない行為であり、これに対する返礼は恐るべき復讐のみです。

 ジンは竜巻を呼び、捕まえられると拘束状態になります。

【ダオ】

 ダオは地の元素界出身のジンニーで、欲が深く意地が悪い。宝石や貴金属の装身具を身に着けており、空を飛ぶときには下半身は渦巻く砂塵の柱となります。ダオは他のダオにうらやまれるようになって初めて幸福を覚えます。

 ダオの住処は地の元素界の、きらめく鉱脈の走る大洞窟や、曲がりくねったトンネル網です。この迷路のような洞窟は絶えず拡張され続けています。ダオたちがいつも周囲の岩を掘り、岩の形を変えているからです。ダオは他人の貧乏や不幸を少しも気にしません。そして彼らは宝石や黄金を粉にして食べ物に混ぜ、風味をつけます。ちょうど定命の者たちが高価な香辛料を口にするように、高価な宝石や黄金を貪り食うのです。

 ダオが定命の者を助けようとするのは、自分の利得になるときだけです(財宝が最も望ましい)。他のジンニーとの間柄はといえば、ダオはイフリートとは話もすれば取引もしますが、ジンやマリードのことは見下し、蔑んでいます。地の元素界に住むその他の種族はダオを避けて通ります。ダオはいつも奴隷を捕まえては空に浮かぶ大岩塊の中の洞窟網で鉱夫として働かせようとするからです。

 ダオは金で買える一番上等の奴隷を買い、そして彼らを地震で地鳴りする危険な地下洞窟に送り込んで働かせます。

 彼らは他人を無理やり働かせるのは大好きですが、他人に無理やり働かされるのは大嫌いです。強力な魔道士はダオを物質界に誘い込み、魔法の宝石や鉄の瓶に閉じ込めてしまうことがあります。ダオは欲の皮が突っ張っているため、魔道士がこれをだまして働かせるのは比較的容易です。

【マリード】

 マリードは水の元素界出身のジンニーであり、ジンニーの中でも最も驚くべき存在です。あらゆるジンニーは大きな力を有しますが、マリード中の最も卑しい者ですらも「 わしは気まぐれなジン、大地にしがみつくダオ、頭から湯気を立てるイフリートよりも明らかにすぐれた存在じゃ」と思っています。

 マリードは体が大きいうえ、なにやら魚めいた姿をしているのです。これが見事な縫い取りをした胴着を着て、色鮮やかなパンタロンを履いたところは、いささか奇妙な眺めと言わざるをえません。その話す声は海風のように物柔らかなことも岩うつ荒波のように厳しいこともあります。空を飛ぶときには下半身は泡立つ水の柱となるのです。

 マリードは水の元素から生まれた存在です。彼らは水をいかようにも操れます。水の上を歩くのも、水面下で呼吸するのも自由自在。水を生み出すのも、空中の水蒸気を集めて濃い霧にするのも意のままです。霧に姿を変えることも、水を武器にして敵を打つこともできます。

 マリードは物質界にいることは稀で、もっぱら水の元素界にある豪壮なサンゴの砦に住んでいます。水の世界の深みに漂うこの城塞の中には、空気で満たされたぜいたくな部屋もあって、奴隷や客人が住んでいるのです。

 マリードは奴隷に多くを求めず、ただ財産として自慢するために奴隷を所有しています。ただし特別な腕前を備えた奴隷となると話は別です。マリードは好んで定命の種族の芸術家、芸人、語り部をさらって自分の宮廷に連れていきます。

 あらゆるマリードは立派な称号を有します。この種族にはシャー(王)やスルタン(権力者)やムフティー(法官)やヒディーヴ(総督)が山ほどいるのです。そしてこれらの称号のほとんどはマリードがわれ尊しと名乗った自称に過ぎません。

 マリードは他のあらゆる者(他のジンニーを含む)を劣った者と見なします。もっとも、劣った者の中にも「かわいそうな親戚」から「ちっぽけな虫けら」まで無数の段階があるのです。彼らはジンのことは大目に見てやり、ダオを嫌い、イフリートを蔑みます。

 人型生物はマリードが存在を許してやっている生き物の中でも最下等に位置します。とはいえマリードが、強力なウィザードや卓越した王者を、ほとんど自分と同等の者と見なして親しく接することはあります。そして親しく接したのが大間違いで、ウィザードが策を講じてマリードを巻貝の殻や金属瓶に閉じ込めてしまった例もあるのです。マリードに対しては贈り物を贈って褒めそやすのが一番の上策であり、そうすれば「よく身の程をわきまえた奴よ」と思ってもらえます。

 マリードは話がうまく、特にマリード族の武勇談や語り手本人の武勇談を好んで語るのです。空想力豊かな生まれつきで、しばしば話に面白い嘘を混ぜます。悪意があって嘘をつくことももちろんありますが、そうでなくても話を飾り、色をつけるのが好きなのです。マリードは目下の者が話に口をはさむのを大罪と見なします。そんなことをした者は間違いなくマリードの怒りを買うことになるのです。

 マリードは魔法の力により長さ60フィート、幅5フィートの直線上に水を射ち出します。殴打ダメージを受けたうえでマリードから遠ざかる方向へ20フィート押しやられて伏せ状態になります。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ジン、イフリート、ジャーン、マーリド、シャイタン、フェニックスがいます。

【ジン】

 風の元素界からきたジンニーです。彼らは雲でできており最大の暴風雨の力を持つと言われています。ジンは身の丈およそ10フィート(約3m)、体重およそ1,000ポンド(約450kg)。

 ジンは殴り合いを蔑視し、敵には魔法の力と飛行能力をもって当たるのを好みます。形勢不利になったら普通は逃げ、竜巻に身を変じて追手を悩ますのです。近接攻撃以外に選択肢がない場合、ほとんどのジンは高品質のシミターを両手で使うことを好みます。

 他のジンニーとの間では、ジャーンやマーリドとうまくやっていけます。シャイタンとはたいてい仲が悪く、イフリートは敵と心に決めているのです。彼らはこれら炎のジンニーを、他のどのジンニーの種族よりも嫌っています。イフリートとジンの諍いは伝説的であり、多くの術者が(成功の程度の差はあれど)、憎むべき敵との揉め事に力を貸すことを条件に、ジンの助力を得ようと試みてきました。

 ジンの数パーセントは高貴なるジンです。高貴なるジンは、しばしばヴィジエルと呼ばれます。捕らえられた高貴なるジンは、高貴なるジンを捕らえた者の3つまでの「ウィッシュ」を叶える(ジンニーでない相手に対してのみ)。

【イフリート】

 イフリートは火の元素界から来たジンニーで、身の丈およそ12フィート(約3.7m)、体重およそ2,000ポンド(約900kg)。

 イフリートはジンニー種の中にほとんど同盟者を持ちません。とくにジンを憎んでおり、見るや否や攻撃します。マーリドにも強い敵意を抱いており、ジャーンは脆く弱い存在であるとみなしているのです。イフリートはしばしばシャイタンと協力しますが、この同盟関係はせいぜい一時的なものです。

 イフリートの数パーセントは高貴なるイフリートです。高貴なるイフリートは、しばしばマリクと呼ばれます。

【ジャーン】

 ジャーンはジンニーの中では最も力が弱い。ジャーンは四元素すべてから成り、そのためほとんどの時間を物質界で過ごさねばなりません。いくつかの伝説では、ジャーンはジンニー種の中では最も“人間”に近いと語られています。ほとんどのジャーンはこのような侮辱は、通常は剣の刃を用いて、素早く撤回させるのですが。ジャーンは人間ほどの大きさで、身の丈およそ6フィート(約180cm)、体重はおよそ180ポンド(80kg)。

 ジャーンは力強く勇敢で、侮辱や負傷を受ければそれを捨て置くことはありません。発言者に悪気がなかったとしても侮辱されたと見なす者も多い。戦場で形勢不利となったら飛行能力とインヴィジビリティを使って逃亡し、後に援軍を連れて戻ってきます。

 ジャーンは独居を楽しみ、砂漠の奥地や隠れたオアシスにひとりで住むことを好むのです。通常は人間を信じていませんが、疑わしきは罰せずとしてやることも多い。ジャーンは文化的な伝統としてもてなしを重んじ、食料、水、避難所を必要とするものを追い返しません。しかし後日その返礼として見返りを求めるかもしれないのですが。

 他のジンニーの中では、ジャーンはジンやシャイタンとよい関係でいる。明白な敵ではありませんが、高慢なマーリドのことは好みません。イフリートに対してはあからさまな敵意を持ちます。しばしば自分たちを奴隷にしようとしたり軍隊に徴募しようとしたりするからです。

 ジャーンの数パーセントは高貴なるジャーンです。高貴なるジャーンはシャイフまたはアミールと呼ばれます。

【マーリド】

 マーリドは水の元素界のジンニーです。ジンニー種の中で最も強力で、海流の力を持ち真珠でできた歯を持つと言われます。マーリドは身の丈およそ16フィート(約4.9m)、体重およそ2,500ポンド(約1.1t)。

 マーリドはおそらく最も気まぐれ予測しがたいジンニーです。他の者たち(とくにシャイタン)はこの性質を腹立たしく、ジンニー文化全体にとって恥ずべきものと感じています。マーリドの多くは踊り手、語り部、役者、あるいは他の種族の芸術家となり、新しい観客を求めて変装して物質界を旅する者も多い。

 数パーセントのマーリドは高貴なるマーリドです。高貴なるマーリドはシャハザードとも呼ばれます。

【シャイタン】

 シャイタンは自慢屋で傲慢な、金属、宝石、石で出来た地の元素界から来たジンニーです。シャイタンは身の丈およそ11フィート(約3.4m)、体重およそ5,000ポンド(約2.3t)。

 シャイタンの一部は高貴なるシャイタンです。しばしばパシャと呼ばれます。

【フェニックス】

 フェニックスは砂漠の最果てに住む伝説的な火の鳥です。この鳥は偉大な賢者として知られており、知られざる知識を探求する多くの者が助言を得るためフェニックスを探し求めます。しかし、己の死体から自らを再び生まれ出せるその能力こそが、フェニックスが広く知られる最大の理由です。

 フェニックスは慈悲深いクリーチャーで、善を為す者を助け、悪を為す者を厳しく罰します。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、ジンは思いもかけない場所に降って湧いたように現れ、苦境にある冒険者の手助けをするかと思えば、逆に邪魔をしたりする魔法生物です。とても気まぐれな存在に見えますが、それも道理で偶然と運命を司るトリックスターの神々に仕えています。この謎に包まれた神格は善悪双方の目的を弄び楽しんでいるようです。もし悪がなにかで勝利を収めようとしているなら、彼らは出来事に干渉して善を優勢にしようと試みます。そして、逆もまた然りです。

 このような干渉をするために、神々はジンを使います。この存在は普段は霊体として精霊界に住んでいるのです。地上界に送り込まれるときには、より実体を持った姿を取ります。よくあるのは小さな人間で、太って頭は禿げ、重力がないかのように宙に浮かぶのです。

 ジンが申し出る助力には、ときにいらだちを覚えさせられたりしますが、そうでないときはとても有用です。敵の気を反らせたり、冒険者を透明にしたり、なにかひとつ願いを叶えてくれることさえあります。そのような助けがいつも冒険者たちの利益になることは稀です。特に“願い”は曲解されたり、文字通りに解釈された結果、願った者が被る災難のほうが恩恵より多いこともよくあります。こうした振る舞いのため、ジンをひどく嫌う人々もいるのです。ですが、ジンを攻撃しようとした者は衝撃を受けるでしょう。武器は彼らの体をすり抜けて傷ひとつ負わせられないのです。お返しに、そうした恩知らずには、今後は“運命の使者”をもっと丁重に扱うべきだという、強い教訓が与えられるかも知れません。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、ジンは「願い」を叶えてくれるといわれる魔人です。壺、ランプ、指輪などに入っていて、それらの壺を開けたり、こすったりすると現れます。ジンが、ひとりのキャラクターについて何回の「願い」を叶えてくれるかはGMの任意です。性格の悪いジンの中には「願い」の言葉を悪意に解釈し、ひどい叶え方をするものもいます。また、ジンの能力を超えるような無理難題をいわれると怒ってキャラクターに襲いかかることもあります。

 モンスターとして敵に回した場合、ジンは少なくとも20レベルの魔術師として、自分の使いうるすべての魔法(おそらく20レベルまで)を自由に使えます。

【ケイオス・ジン(混沌のジン)】

 ケイオス・ジンはある生命体を抹殺(吸収)してほしいとの願いを受ける、邪悪な魔人です。邪悪な魔術師との盟約によって、黒い雲の姿でこの世界に姿を現し、付近の生き物の生命力を吸い取り始めます(盟約を行なう魔術師は魔法陣の中にいなければまっさきに狙われることになります)。その攻撃力は数値にすることはできず、狙われたものは1戦闘ターンで確実に生命力を奪われ、死亡します。そして、ケイオス・ジンは生命力を1つ吸い取るごとに、耐久度/MRを50点得ます(上限はありません)。

 唯一、助かるにはその戦闘ターン中にケイオス・ジンの耐久度/MRを0にするしかありません。しかし、ケイオス・ジンにはほとんどの攻撃が無効です。剣や「炎の嵐」魔法といった物理的な攻撃はいっさい無効です。「死の9番」魔法は確率四分の一でのみ効果があります。完全な効果をあげえるのは、、唯一「これでもくらえ!」魔法のみです。

 盟約を果たすとケイオス・ジンはこの世界から立ち去りますが、それまではこの世界にとどまり、生命力を吸い取りながら、目標の生命を捜し続けます。

 完全な準備及び儀式によって、ケイオス・ジンを封印しようと試みることもできます。ケイオス・ジンを封印するには、完全な暗闇の中に閉じ込めなければなりません。ありていの封印の壺程度では役に立ちません。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、ジンとエフリート/フェニックスが登場します。

【ジン】

 風の上位精霊で、下半身が渦を巻いて空中に溶け込んだ巨人の姿です。

【エフリート/フェニックス】

 炎の上位精霊です。エフリートは破壊を司り、真紅の炎に包まれた巨人の姿をしています。フェニックスは再生を司り、真紅の炎に包まれた巨鳥の姿です。フェニックスは五百年に一度と呼ばれるほど出現する可能性が低く、両者の細かい違いについては明らかになっていません。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、火の鳥フェニックスは鳥の姿をした精霊。身に宿した原初の炎が消えないかぎり回復し続けます。





最後に

 今回は「ジンニー」についてまとめました。

 いずれも四大元素界の上位精霊です。 

 四大元素は元々錬金術で生み出された概念であり、その中でも最上のものがイフリート、ジン、ダオ、マリードということになります。



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