744.事典篇:創造:ガーゴイル

 今回は「ガーゴイル」についてまとめました。

 高度なクリーチャーが見張り番にすることの多い彫刻状の魔物です。

 獲物が近づくと動き出して襲いかかります。






事典【創造:ガーゴイル】


ガーゴイル

 ガーゴイルは雨樋あまどいの機能を持つ、怪物などをかたどった彫刻です。単なる雨樋単体や彫刻単体ではガーゴイルとは呼ばれません。本来の意味である彫刻としてのガーゴイルは、主として西洋建築の屋根に配置され、雨樋から流れてくる水の排水口としての機能を持ちます。

 小説などではその不気味な姿から「石像であるガーゴイルが意思を持って動き出し人間を襲う」といった風に描かれることが多い。怪物以外にも鳥やライオンなどといったものも登場しています。

 ことゲーム上で「敵」として描かれる場合には、「侵入者を防ぐためだけに存在し、魔法で作成されたため老化もせず、休息も食事も摂らない」や「石像であるため、打撃や斬撃などの攻撃も通用しないか、かなり効果が制限される」などのイメージもファンタジーRPG作品を中心に定着しているのです。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、大きな建物の屋根に据えつけられた、雨水を口から吐き出す像のことを「ガーゴイル」といいます。この像のもとになったのが、地の元素の邪悪なクリーチャー、ガーゴイルです。ガーゴイルは像に掘られたとおりの醜く魔物じみた姿をしています。石像のようにじっと動きを止めて、石造建築や廃墟に潜み、獲物の隙を突いて突然動き出すのです。相手が怯え恐れ、傷つきもがくのは、ガーゴイルにとってこのうえない喜びとされます。

 ガーゴイルはごつごつした崖や山肌に張りつき、あるいは地下の岩棚の上にとまっています。都市の屋根の上に身を置き、城塞や大聖堂の高い石のアーチや控え壁(建物の壁を外側から支える出っ張り構造)の上から、ハゲタカのように下を覗き込んでいることもあるのです。その間ぴくりとも動かないため、まるで石像のように見えます。この状態を数年にわたって保つこともできるため、ガーゴイルは見張り番にはまさに打ってつけです。

 ガーゴイルは冷酷非情で名高い。建物にガーゴイルそっくりな像を付けて侵入者を恐れさせる風習は多くの文化圏にあります。これらの像はもとより飾りですが、ガーゴイル像の間に本物のガーゴイルが身を隠し、獲物が油断しているところを襲う例もあるのです。ガーゴイルは長い待ち時間の退屈しのぎに鳥や小動物を捕まえてなぶりものにすることもありますが、それでも止まぬ鬱憤は、「知性あるクリーチャーを思うさま苦しめ害したい」という念を強めるばかりです。

 ガーゴイルは知恵すぐれた者の狡知に心服し、これに従いつくことがよくあります。彼らは自分の手間が少なくて他者を苦しめ傷めつけれられる単純な仕事ならなんでも喜んでやるのです。主の家の番をすること、侵入者を拷問して殺すことなどが仕事とされます。

 ガーゴイルは混乱と破壊を好む傾向があるので、ときとしてデーモンに仕えることもあるのです。また、強力な呪文使いはたやすくガーゴイルを従えて門や壁の上へ見張りに立てます。ガーゴイルは石のように辛抱強く頑丈であり、どんな冷酷な主人にも文句ひとつ言わず何年も仕えるのです。

 ガーゴイルは空気、飲食物、睡眠を必要としません。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ガーゴイルは、しばしば翼ある石像と見間違えるほどじっと動かずにいつまでも立っていることができ、それにより敵の不意を打てます。ガーゴイルは多様な種族ですが、その多様さと同じくらい、多種多様な強迫観念に捕らわれたように振る舞うのです。書物、盗まれた小間物、武器、そしてぞっとするような“トロフィー”――ガーゴイルは倒した敵から、巣と縄張りを飾り立てるために、さまざまなものを集めています。ガーゴイルは独りで暮らすことが多いが、ときおり護身と楽しみのために“飛行団”と呼ばれる恐るべきグループを作ることもあるのです。ある条件の下で、ガーゴイルの部族は他のクリーチャーと手を組むことさえあります。しかし、最も安定した同盟関係でさえも、ほんのわずかな理由によって瓦解しうるのです。ガーゴイルはひたすら不誠実で狭量で執念深いからです。ガーゴイルはまた、大きな都市のただ中に住み着き、日中は石造りの聖堂や建造物の装飾の間に身を潜めて風景に溶け込み、夜は空中から急降下して浮浪者や物乞いなどの不運な者たちを喰らうことでも知られています。

 ガーゴイルの部族が廃墟や建造物に長い間とどまるほど、部族のメンバーはその場所の建築様式に適した姿へと変貌していきます。ガーゴイルの外貌の変化はゆっくりと巧妙に進行していきますが、数年ですっかり姿を変えるのです。

 ガーゴイルの珍しい亜種として、建造物や遺跡の中に住み着かず、海の波間の下に住むものもいます。こうしたクリーチャーはカポアシンスとして知られているのです。通常のガーゴイルと変わりませんが、(水棲)の副種別を持ち、翼によって水泳移動速度60フィートを得ています。その代わり翼が飛行に使えなくなっているのです。カポアシンスは波間からふらふらと現れてはそこに住む者たちを捕食できる沿岸部の浅いところに住みます。カポアシンスは独り暮らしよりもグループでの生活を好むため、よく“飛行団”を結成するのです。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、ガーゴイルは獰猛な獣で、周囲の岩に溶け込む能力を持ちます。そのため、奇襲で最初の攻撃を自動的に当てられるのです。彼らはおおむね人型で、鉤爪の生えた手と足、牙と角だらけの獣のような頭を持ちます。背中に一対の皮膜状の大きな翼を持ち、尻から先端の尖った尻尾が生えているのです。色合いはまだらな灰色で石のように見えます。この擬態によって、彼らの最も好む策略を冒険者に仕掛けられます――石の上でじっとしていて、攻撃をするまで石像のふりをするのです。

 彼らの石の皮膚は頑丈です。普通の武器では傷つけられません。それどころか、最も丈夫な剣でも、ガーゴイルに2回攻撃すれば壊れてしまうのです。ただし、魔法で強化された武器なら傷つけられ、また炎を用いれば退却させられます。ガーゴイルは“夜のデーモン”であるヴラドナ――千もの邪な怪物から成る軍勢を従えるという――に奉仕と財宝の両方を捧げていると噂されるのです。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、ガーグ(ガーゴイル)は小柄で屈強な人型種族で、固い鱗に覆われた皮膚は灰色や茶色や黒などのまだら模様になっています。大きなコウモリの翼を持ち、空を飛べます。人里離れた辺境の種族で、概してよそ者には敵対的です。交易もほとんど同族間でしか行ないません。自由に世界をさすらうガーグはおそらくなんらかの秘密を抱えているでしょう……そして、それを秘密のままにしておくことを望んでいます。


 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、トロールワールド・ガーゴイルは生きている石で出来た半魔法的な生物です。かつて有機生物がおらず、なにもかもが生きている石で出来ていた惑星トロールワールドの初期の時代から残るケダモノのひとつです。見た目はコウモリとゴリラの混血のようです。石の皮膚は天然の鎧としての役割を果たします。この皮膚に対して切りつける武器はほとんど効果がありません――打撃武器だけがダメージを与えられます。

 ガーゴイルはコウモリの翼、鉤爪の付いた手足をそなえたモンスターです。ガーゴイルは彫像の姿でなにかの見張りをしていることが多いのですが、普段はけっして自分から人間に話しかけません。人間などが自分の縄張りを脅かすような行動をとった場合(見張っている通路を通ろうとした、宝箱に手をかけようとしたなど)、ガーゴイルはまずその相手に呼びかけをします。「さあ、ここを通りたければ(この箱が欲しければ……などなど)、私が敵だ。お前に第一撃のチャンスを与えよう」と。

 ガーゴイルは定命の者(人間のように寿命があるもの)に対するときは、相手の第一撃を受けてからでなければ行動できません。ただし、ガーゴイルの呼びかけを受けながら、人間が無視してガーゴイルの見張りを脅かすような行動をとったときは例外です。ガーゴイルの呼びかけに怯えた人間が、道を引き返すとか、宝箱をあきらめるとかしたときには、ガーゴイルは襲ってきません。

 人間側の第一撃が終われば、ガーゴイルは戦闘を挑んできます。場所が許せば、ガーゴイルは飛びます。状況が許すなら、ガーゴイルは人間を持ち上げ、落とすという攻撃も行ないます。

 ガーゴイルは基本的に不死です。倒されても三十分経てば蘇ってきます。そのときにはすべての能力値( MR)は2倍になっています。また、人間たちに「呼びかけ」を行なうまでは、いかなる攻撃を受けてもダメージを被りません。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ガーゴイルは、魔法によって像に生命が与えられた一種のゴーレムですが、そのしなやかな動きはまるで普通の生き物のようです。

 その外見は石像に似ていて、目をつぶっていると、よほど注意深く観察しないかぎり見分けがつきません。古代王国の遺跡にも、いまだにその活動を止めることなくこの魔物は存在していますが、彼らをコントロールする手段も、作り出す技術もすでに失われています。

 ガーゴイルは背中に翼が生えていて空を飛べます。また尻尾もあります。そのグロテスクな外見はレッサー・デーモンであるザルバードをモデルにしたからだといわれています。ガーゴイルの大きさは、直立すると2メートル近くあります。彼らはゴーレムなどと違い、命令は受けなくとも、自分なりの判断で行動します。つまり、自分が不利と思えば逃げることもありますし、状況に応じて有利な戦法もとったりするのです。その性格はひじょうに陰険で、卑劣な手段を厭いません。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、頭部から生えた小さな角と、背中にあるコウモリの翼が特徴的な「悪魔の像」といった姿をした魔法生物です。悪魔ザルバードを象っているといわれており、その性格も陰湿かつ狡猾で残忍です。



 TRPG『クリスタニアRPG』では、背中にコウモリの翼を持った石像。近づかないかぎりじっとしているので、ただの彫像にしか見えませんが、創造主以外の者が近づくと動きだし襲いかかってきます。精神力を持たないので、精神魔法は効果がありません。



 TRPG『グランクレストRPG』では、石像に擬態化できる魔族。大きな翼とくちばし、爪という恐ろしげな姿を持ちます。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、魔除けや雨樋として設置された怪物の石像が、ひとりでに動き出したものです。どういう仕組みか空を飛び、襲いかかってきます。





最後に

 今回は「ガーゴイル」についてまとめました。

 多くは翼を生やした人型の置物に命が与えられ、独りでに動き出すものを指します。

 魔除けの像が元なので、悪魔的な外見をしていることも多いのです。

 そのため「悪魔がモデル」という説が登場したと考えられます。



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