743.事典篇:創造:ゴーレム

 今回は「ゴーレム」についてまとめました。

 肉や石や鉄などを素材にして生み出される、いわば「ロボット」のような存在です。

 有名な「フランケンシュタイン」もフレッシュ・ゴーレムに属します。





事典【創造:ゴーレム】


ゴーレム

 ゴーレムは、ユダヤ教の伝承に登場する自分で動く泥人形のこと。ヘブライ語で「胎児」の意。

 作った主人の命令だけを忠実に実行する召使いかロボットのような存在。運用上の厳格な制約が数多くあり、それを守らないと狂暴化します。

 製造すると自然に巨大化するとされており、ある伝承では男がゴーレムを作ったが大きくなりすぎたため、止められなくなりました。そこで男はゴーレムに自分の靴を脱がせるように命じ、ゴーレムがしゃがんだ時に額の文字を消したのです。その途端ゴーレムは大量の粘土となって男の上に崩れ落ち、男は圧死しました。

 一般的なゴーレムは土(粘土)で作られますが、神話や伝承には石や金属で作られたものも登場します。

 ギリシャ神話の鍛冶の神ヘパイストスによって作られた青銅の巨人タロースもゴーレムの一種と見ることができるのです。

 多くの神話や伝承に倣い、土や石で出来ているものであるが、その素材は多岐にわたりバリエーションを広げています。

 ゲーム等でモンスターとして扱われるゴーレムは、人型で大きな体で力が強く、感情や意思を持たないか乏しい。邪悪な存在というよりは、財宝や重要アイテムなど守る、いわば障害物や強力な人型兵器(兵士)のような扱いをされることが多い。また、作られた素材により、弱点や強さが異なる場合もあります。

 メアリー・シェリー氏『フランケンシュタイン』に登場する「フランケンシュタインの被造物」は、死体(肉)を素材として作られたゴーレム(フレッシュ・ゴーレム)とする向きもありますが、これには自我が宿っています。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、ゴーレムは粘土、肉と骨、鉄、石といった、ありふれた材料から作られますが、しかし恐ろしい力持ちで頑丈です。ゴーレムはいっさいの野心なく、いっさいの養分の必要なく、いっさいの苦痛を感じることなく、いっさいの慈悲を持ちません。制止不能の巨体を持ち、作成者の命令に従うために存在し、作成者の命ずるままに守護しあるいは攻撃します。

 ゴーレムを作成するには『マニュアル・オヴ・ゴーレムズ(ゴーレム作成手引書)』が必要です。個々のマニュアルには、特定種類のゴーレム作成のための図解と説明が、余すところなく含まれています。

 ゴーレム作りは体の組み立てから始まるのです。これは彫塑、石工、鉄工、または外科手術の腕前が相当に要ります。ゴーレムの作成者本人が工芸の名人だという場合もありますが、たいていの場合はゴーレムを欲する者が工芸の名人を雇ってこの仕事をさせるのです。

 粘土や肉や鉄や石で体が出来上がったなら、ゴーレムの作成者は地の元素界から来た霊を体に吹き込みます。この小さな生命の火花には記憶も人格も来歴もありません。それはただ動き、従おうとする運動力です。この過程は霊を人工の体に縛りつけ、ゴーレム作成者の意思に服させます。

 ゴーレムは作成者の死後も聖所、墓所、宝庫を守り、言いつかった仕事を永く続けるのです。物理的打撃は物ともせず、なまなかな呪文は寄せつけません。

 ゴーレム作成の際に特別なアミュレット(お守り)その他のアイテムを一緒に作成し、その品の持ち主がそのゴーレムを制御できるようにしておくこともできます。これにより、作成者の死んで久しいゴーレムが、新たな主人に仕えることもあるのです。

 作成者や持ち主が身近にいて命令を下す限り、ゴーレムは非の打ちどころなく働きます。しかし作成者や持ち主が無力状態になったり、彼らがゴーレムを指示なしで放っておいたなら、ゴーレムは最後に受けた命令を全力で遂行し続けるのです。命令に従うことが不可能な場合には、暴れ出すか、何もせずにたたずみます。相反する複数の命令を与えられた場合は、それらをかわりばんこに行なうことがあるのです。

 ゴーレムは自分から考え、自分から動けません。受けた命令は完全に理解しますが、理解した範囲を超えて言葉の意味を推し量ることはないのです。言葉で説き伏せられることも、言葉に騙されることもありません。

 ゴーレムは空気、飲食物、睡眠を必要としません。

【アイアン・ゴーレム】

 アイアン・ゴーレム(鉄のゴーレム)はあらゆるゴーレムの中でいちばん強い、重たい金属で出来た、そびえ立つ巨人です。形はいかようにも作れますが、多くの個体は巨大な鎧のような姿をしています。歩みは金属音を伴って大地を揺らし、拳は一撃必殺、加えて間合いを伸ばすために巨大な剣を使います。そしてすべての個体が猛毒の雲を吐く能力を備えるのです。

 アイアン・ゴーレムの体は、精錬の際にさまざまな稀少な混ぜ物を加えて作られます。他のゴーレムには素材ゆえの弱点や封じられた元素の霊の力ゆえの弱点がありますが、アイアン・ゴーレムはほぼ無敵たるべく設計されたのです。鉄の体にこれを動かす霊を封じた恐るべき存在であり、魔力を宿した武器やアダマンティンの力を持つ武器によらねば傷つきません。

 火属性攻撃を受けると、火ダメージと同じだけのヒット・ポイントを回復します。

 魔法効果に対するセーヴィング・スローに有利を得るのです。このゴーレムの武器攻撃は魔法的です。また毒ガスを吐けます。

【ストーン・ゴーレム】

 ストーン・ゴーレム(石のゴーレム)の姿形はさまざまですが、どれも石材を切り出して削り、丈高く見るも見事な像に仕立てたものです。人型をしたものが多いが、彫刻家の創造の及ぶ限りいかなる姿のものもありえます。封印された墓所に眠っていたり、失われた都市の門の左右に控えていたりする古代のストーン・ゴーレムには、巨大な野獣の姿をしたものもあるのです。

 他のゴーレムと同じく、ストーン・ゴーレムも呪文や普通の武器に対しては無敵に近い防御力を誇ります。ストーン・ゴーレムと戦うクリーチャーは、まるで自分たちが石と化したかのような、時の流れが遅くなるような感覚にとらわれることがあるのです。

 魔法効果に対するセーヴィング・スローに有利を得ます。このゴーレムの武器攻撃は魔法的です。ストーン・ゴーレムの近くにいるクリーチャーはセーヴィング・スローに失敗するとリアクションが行なえず、移動速度が半減して、自分のターンに2回以上の攻撃を行なえません。効果は1分間持続しますが、自分のターン終了ごとにセーヴィング・スローで成功すればこの効果が終了します。

【クレイ・ゴーレム】

 クレイ・ゴーレム(粘土のゴーレム)は粘土で形作られた大柄なゴーレムで、ほとんどの人間大のクリーチャーよりも頭と肩のぶんだけ背が高い。大まかな形は人に似ていますがプロポーションは違います。

 クレイ・ゴーレムはしばしば高徳の僧侶の手により、信仰の力によって任務を授かります。けれど粘土は生命力を宿すには弱い器です。このゴーレムがダメージを受けたなら、ゴーレムに呪縛された元素の霊は自由になろうとします。そうなるとゴーレムは暴れ出し、まわりじゅうのものを打ち壊すのです。一度そうなったら、破壊されるか完全に修理されるまでは止まりません。

 魔法効果に対するセーヴィング・スローに有利を得ます。このゴーレムの武器攻撃は魔法的です。

 ヒット・ポイントが下がってくると凶暴化します。ひとたび凶暴化したら破壊されるかヒット・ポイントが全快するまでは凶暴化したままです。

 酸ダメージを受けると、かえってダメージぶんだけヒット・ポイントが回復します。

 次の自分のターン終了時まで、魔法によってACにボーナスを得、セーヴィング・スローに有利を得、ボーナス・アクションとして「叩きつけ」攻撃が行なえます。

【フレッシュ・ゴーレム】

 フレッシュ・ゴーレム(肉のゴーレム)は、人型生物の体の切れ端を寄せ集めて縫い合わせネジ留めして、筋骨隆々たる大力漢の姿にしたものです。頭脳は初歩的な判断力を備えていますが、思案は幼子の域を出ません。このゴーレムの筋肉は電撃を受けるとゴーレムを活性化させ活力と腕力を高めます。肌は強い魔法に守られており、多くの呪文を寄せつけず、武器はよほどの業物以外通しません。

 フレッシュ・ゴーレムは、自分の体を完全には制御できていないかのように、固い関節でぎくしゃくよろめき歩く。死肉は元素の霊を封じる理想的な容器とはいえず、霊は時折、やるかたない怒りの吐け口に、滅裂な叫び声をあげます。霊がゴーレム作成者の意思から自由になったなら、フレッシュ・ゴーレムは凶暴化します。ひとたび凶暴化したならば、落ち着かされるか、肉の容器を破壊されるか、完全に治癒されるまでは治まりません。

 ヒット・ポイントが低下すると凶暴化し、破壊されるかヒット・ポイントが全快するまでは凶暴化したままです。ゴーレムの作成者が近くにいれば、強く巧みに語りかけてこれを落ち着かせられます。ただしそれにはゴーレムが作成者の声を聞かなければなりません。作成者は1回のアクションを用いて「説得」判定で成功したら凶暴化は止みます。ですがhpが低いままでダメージを受けたら、再び凶暴化する可能性があるのです。

 電撃ダメージを受けるとダメージと同じぶんだけヒット・ポイントが回復します。

 火ダメージを受けたなら、次の自分のターン終了時まで、攻撃ロールと能力判定に不利を被るのです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ゴーレムは魔法によって創造された自動人形であり、恐ろしい力を有します。ゴーレムは自立能力を与えている力の本質という点で他の人造とは一線を画しているのです。ゴーレムはエレメンタルの霊によってその魔法的生命を得ています。通常、この霊はアース・エレメンタルのものです。ゴーレムを作成する過程では、特別に用意した器である人工の体にこうした霊を封じ込め融合させることで、作成者の意志に服従させるのです。

 精神を持たないため、作成者の命令がなければゴーレムはなにもしません。明快な指示には従いますが、複雑な戦術や戦略を実施できません。ゴーレムが作成者から60フィート以内にいて作成者の言動を見聞きできる場合に限り、作成者はゴーレムに命令を下せます。命令がなければ、ゴーレムは普通は最後に受けた指示にできる限り従うのです。ただし攻撃を受けた場合は反撃します。作成者はゴーレムに簡単な命令を与えて、自分がいないときの行動も指示できるのです。また、作成者はゴーレムに対し、自分以外の特定の人物の命令にも従うよう命じられます。その場合でも作成者は、自分だけに従うよう命じることで、いつでも制御を取り戻せるのです。

 じゅうぶんな才能と資産と霊感を持つ呪文の使い手は、シールド・ガーディアン(盾なる守護者)として知られる特別な種類のゴーレムを作成できます。厳密な意味でのゴーレムはどれもシールド・ガーディアンとして作成できますが、そうするかどうかはゴーレムの作成中に選択しなければなりません。完成したゴーレムを後からシールド・ガーディアンにアップグレードできないのです。

 シールド・ガーディアンは護衛としての役割を果たすようデザインされています。シールド・ガーディアンは作成時に、そのシールド・ガーディアン自体と同時に(かつ作成コストの一部で)作成された魔法のアミュレット(お守り)ひとつに同調されるのです。それ以降、その制御用アミュレットの着用者を主人とみなし、(そうしないようとくに命じられないかぎり)その人物を守り、どこであろうと付き従います。シールド・ガーディアンのアミュレットが破壊されると、そのシールド・ガーディアンは新たなアミュレットが作成されるまで機能しなくなるのです。着用者は死んでもアミュレットが無傷だった場合、シールド・ガーディアンは最後に与えられた命令を遂行します。

 シールド・ガーディアンは主人の口頭での命令にできるかぎり従います。ただし、戦闘や護衛や単純な肉体労働の域を超えることは不得意です。特定の時期や特定の条件が満たされたときに特定の作業を行なうよう調整しておけます。アミュレットの着用者はどれほど遠くからでもシールド・ガーディアンを呼び寄せられ、呼ばれたシールド・ガーディアンは同じ次元界にいるかぎりやってこようとするのです。

 シールド・ガーディアンは基になったゴーレムと同じデータを持ちますが、追加の特殊能力も有します。

【アイアン・ゴーレム】

 アイアン・ゴーレム(鉄のゴーレム)は人型で、体は鉄で出来ています。アイアン・ゴーレムは作成者が望むどんな姿にでも出来るが、簡素で実用的なものから儀式用の華美なものまでさまざまだが、たいていは鎧のような姿をしています。アイアン・ゴーレムの外装はストーン・ゴーレムのそれよりもだいぶ滑らかです。アイアン・ゴーレムはときおり片手に武器を携行していますが、それを使うことは滅多になく、叩きつけ攻撃に頼ります。

 アイアン・ゴーレムは身長12フィート(約3.6m)、体重は5,000ポンド(約2.3t)。会話することも、声のような音を出すこともできず、それとわかる臭いを発することもありません。

 現在では廃れてしまいましたが、かつていくつかの強大な古代文明では途方もない大きさと力を持つアイアン・ゴーレムの作成術を大いに誇っていました。サイズ分類が超大型以上に成るこの種のゴーレムは、辺境の地には今も存在しており、はるか昔に滅んだ帝国の命令に盲従しているのです。

 アイアン・ゴーレムの体は、すくなくとも10,000GP相当の希少な薬液で溶解して精錬した、5,000ポンドの鉄を彫り刻んで造ります。

【ストーン・ゴーレム】

 ストーン・ゴーレム(石のゴーレム)は人型で、体は石で出来ています。細部は作成者の好みに合わせて造らることが多い。たとえば、鎧を着ているような外見であったり、胸当てに特定の印が刻み込まれていたり、手足に独特の意匠が凝らされていることもあります。ストーン・ゴーレムの頭部は兜やなんらかの獣の頭部に似せて彫られることも多い。石の盾や剣などの石の武器を携行しているように造形してもよいが、この種の審美的な選択が戦闘能力に影響することはありません。

 たいていのゴーレムと同様に、ストーン・ゴーレムは会話できず、動く際に石がこすれ合う音を立てる以外に音を発することもありません。ストーン・ゴーレムは身長9フィート(約2.7m)、体重は2,000ポンド(約900kg)ほど。

 ストーン・ゴーレムの体は、少なくとも3,000ポンド(約1.4t)の重さのある、花崗岩などの1個の堅固な石塊から彫り出して造ります。石は最上のものでなければならず、5,000GPかかるのです。

【クレイ・ゴーレム】

 クレイ・ゴーレム(粘土のゴーレム)は金属か堅い革を腰回りに巻いている以外衣服はなにも身に着けていません。身長は8フィート(約2.4m)を超え、体重は600ポンド(約270kg)。

 クレイ・ゴーレムの体は、1,500GP相当の希少な油と粉末を用いて処理した、重さ1,000ポンド(約450kg)以上の1個の粘土の塊から彫り出して造らなければなりません。

【フレッシュ・ゴーレム】

 グールのように死体を漁って人型生物の体の各部を盗み出し、それらをひとつに縫い合わせて一個体にしたのが、フレッシュ・ゴーレム(肉のゴーレム)です。死体そのものであるその肉は病んだような緑色や黄色がかった色合いをしています。フレッシュ・ゴーレムは作成者が望む服なら何でも身に着けるが、普通はぼろぼろのズボン一丁だけです。所持品や武器は持っていません。フレッシュ・ゴーレムは身長8フィート(約2.4m)、体重は500ポンド(約230kg)。

 フレッシュ・ゴーレムは話せず、しわがれた唸り声のようなものを発せるだけです。自分の体を完全には制御できていないような、関節の硬い足取りで歩きます。

 ほとんどのフレッシュ・ゴーレムは精神を持ちませんが、なんらかの形で生前の記憶を保持している普通ではないゴーレムの噂は絶えることがありません。そうしたフレッシュ・ゴーレムの頭部(従って脳も)は肉が正しく組み合わされていなければならず、生前に強い意志を持っていたものでなければならないのです。さらにゴーレムの作成中に幸運と偶然が積み重なることが、そのクリーチャーの精神を保持するうえで実に重要となります。フレッシュ・ゴーレムを作成する者のほとんどは自由意志を持つ被造物よりも精神を持たない奴隷をこそ欲しており、結果として知性のあるフレッシュ・ゴーレムは実に稀です。

 フレッシュ・ゴーレムを構成する人体の部品は、まだそれほど腐敗していない、通常の人間の死体から取ったものでなければなりません。組み立てには四肢に各1体で4体、胴体(と頭)に1体、脳に1体と最低でも6体の死体が必要で、それ以上の人体が必要になる場合もあります。また、合計500GP相当の、特別な軟膏と縫合用の素材が必要になるのです。フレッシュ・ゴーレムの作成にあたっては[悪]の補足説明の付いた呪文が必要とされることに注意。

【アイス・ゴーレム】

 アイス・ゴーレム(氷のゴーレム)は氷から彫り刻まれた人型の自動人形です。その外見は氷と雪を粗雑に彫っただけの人型の像から精妙巧緻な氷の彫刻や美しい水晶のような像に至るまでさまざまです。

 アイス・ゴーレムは話せず、氷がひび割れ砕ける音をたてながら動きます。アイス・ゴーレムは身長7フィート(約2.1m)、体重500ポンド(約230kg)。

 アイス・ゴーレムの体は、重さ1,000ポンド(約450kg)以上の1個の氷の塊から作ります。これを少なくとも500GP相当の魔法の粉末と軟膏を用いて処理しなければなりません。

【ウッド・ゴーレム】

 ウッド・ゴーレム(木のゴーレム)は希少な材木を彫り刻み、大まかに関節のある四肢を持った人の形に組み上げられています。作成者はほとんどの場合仕上げ加工をせず、一見して体を構成する個々の木片や材木が未加工であることが明らかなままにするのてず。ウッド・ゴーレムは身長6.5フィート(約2.0m)、体重400ポンド(約180kg)。

 ウッド・ゴーレムの部品は、上質の木の塊を組み上げたものに、少なくとも300GP相当の希少な粉末と挽いて砕いた薬草を振りかけて造ります。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、ゴーレムは人型の魔法生物で、魔術師が自身に使えさせるために作り出したものです。クリスタル・ウォリアーに似ていますが、用途としてははるかに幅広く、強くて睡眠もいらず、完全に従順であることで優れた護衛や従者となっています。ゴーレムの創造には強大な魔法と一日がかりの儀式が必要です。しかし一部の魔術師は、大量の適切な素材からゴーレムをたちまちのうちに作り出す方法を考案しました。例えば、指で椅子を指して数節の言葉をつぶやくことで、それを木製の人型の生き物に变化させ、思い通りに動かすのです。

【石ゴーレム】

 3種のゴーレムで最も強いのが石ゴーレムで、大きくて力強く、動かなければ石像と間違えやすい。ひと塊の石から作り出され、普通は望む形に彫り出してから命を吹き込まれます。あるものはわざと石像そのものに見えるように作られ、さりげなく特定の場所を守り、侵入者の不意をつくのです。また、あるものはより人間そっくりに作られ、主のために忙しく働かさせられます。攻撃は巨大な石の手を使いますが、石像のふりをしていたのなら、石の武器も持っているかもしれません。体は硬く、剣、斧、槍、矢といった刃のある武器はまったく効きません。メイスやウォーハンマーのような打撃武器なら石ゴーレムに通常のダメージを与えられます。

【肉ゴーレム】

 肉ゴーレムは人間の死体から作り出されます。その多くは身長3メートルほどのちぐはぐに縫い合わされた醜い人形です。すべてのゴーレムと同様に、主の声以外は聞こえず、話せません。棍棒のような拳で攻撃し、鎧も骨も等しくおかまいなしに殴り抜きます。

【木ゴーレム】

 木ゴーレムは一本の丸太を削って作られる必要はありませんが、木材はすべて同じ木からとれたものでなければなりません。ひとたび動き出せば、あらゆる種類の魔法に対して完全な耐性を持ち、魔法の武器であっても普通の武器としてしか機能しなくなります。しかし火にはめっぽう弱く、瞬く間に燃え盛る松明にされてしまうのです。木ゴーレムは素手で攻撃し、通常のダメージを与えます。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、生きている像は、その名のとおりです。石や金属でできた像で、動いているものです。剣で戦えば、剣のほうが折れるでしょう。もちろん、骨も折れます。

【生きている像】

 生きている像は石や金属でできた像で、動いているものです。体がひじょうに硬い。

【岩男(ストーン・マン)】

 岩男は、珪素系の代謝作用を行なう、生きている岩のような存在です。ユダヤのゴーレムと、愛すべき青い目の人形の仲間といったところでしょう。通常の武器のほとんどと、「沼だ沼だ」の呪文は効果がありません。音楽好きで、すぐに聴き惚れてしまうのが欠点です。

 岩山に住み、岩が動いているかのような印象を与える岩男は、その外見に似合わず、音楽好きの温厚な生き物です。優れた音楽を聴けば、それに聴き惚れてしまい、他に何も行動できなくなります。キャラクターが楽器を持っていれば、岩男は聴き惚れてしまうのです。しかし、音楽がなかったり、下手なものだった場合、岩男は恐ろしいモンスターとしての本領を発揮します。岩男の固い体の前には、ほとんどの武器は無力です。「短い柄の武器」でなおかつ突き刺す武器か叩きつける武器以外では岩男にダメージを与えられません。剣や槍を見ても岩男は恐れませんから、これらの武器では「受け流し」によってダメージも軽減できないのです。

 岩男は珪素系の生き物であるため、「メデューサ」「岩だ岩だ」の呪文は無効です。また「沼だ沼だ」の魔法も効果がありません。たいていの毒も岩男には無効です。

 なお、岩男の中には「岩女」もいるといわれますが、外見からは判断できません。

 ストーン・マンは花崗岩を彫って作り上げたような、動きの鈍重なヒューマノイドです。ストーン・マン自身の攻撃力はたいしたことはありませんが、戦士たちにとって恐ろしいのは、ストーン・マンの体皮が異常に固いことです。ストーン・マンと争うとき不運だと、使用していた武器は――たとえ、魔法の武器であっても――壊れてしまいます。

 ストーン・マンは普通の生き物とは組織が異なるため、毒は効果がありません。

【ゴーレム】

 ゴーレムは魔法によって生命を与えられた動く泥人形です。ゴーレムは単純な見張り役として使われます。部屋や特定の宝物などを見張り、そこに入ってきたものや供え物を持ち出そうとしたものに突然襲いかかるのです。そのため、ゴーレムは冒険者たちにとってほとんどが敵対的だといえるでしょう。

 ゴーレムは動き出すまでは、普通の泥人形となんら変わりありません。動き出さないうちに「これでもくらえ!」のような攻撃魔法を使用しても何の役にも立ちません。また動き出した後でも「行っちまえ」「ねんねんころり」のような精神に影響を及ぼす魔法は効果がありません。「泥だ沼だ」「石だ岩だ」「メデューサ」などのような魔法も事前に防護措置がとられているため、無効果です。

 また、ゴーレムには毒も効果を持ちません。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ゴーレムは、古代王朝期において魔力付与者たちによって作られ、疑似生命を与えられた彫像です。主人である魔術師の命令に盲目的に従うしか脳はありません。現在ではゴーレムの製法は失われてしまっていて、ゴーレムを作ることのできる魔術は存在していません。

 ゴーレムは永遠の生命を持つので、今でも遺跡などに残されていものもいます。その中には作られたまま、命令を与えられずに放置されているものもあります。そうしたゴーレムには、古代語魔法「コマンド・ゴーレム」で命令を与えられます。

 ゴーレムを作るにあたっては、いろいろな材質が使われました。代表的なところでは、獣肉(あるいは人肉)、石、木、鋼、陶器などがよく使われました。しかし中には己の技術を誇示するかのように、水晶、ルビー、ダイヤ、ミスリル銀といった非常に変わった材質を用いて作られたものもあります。

 ゴーレムは一般に人型をしていますが、これにも例外は多く、中にはドラゴンなどの幻獣、魔獣、あるいは動物に似せた特殊な形状をしているものもあります。

 ここでは、最も数多く作られた「フレッシュ・ゴーレム」「アイアン・ゴーレム」と、非常に珍しくかつ最強とみなされる「ミスリル・ゴーレム」の三種類のゴーレムについて触れます。

【フレッシュ・ゴーレム】

 フレッシュ・ゴーレムは、死肉から作られたゴーレムです。普通は動物のものを用いましたが、古代王国期という時代のせいか、奴隷の身体を素材にして作られた例もよく見られます。一般的にゴーレムは動きの鈍いものですが、その中では比較的身体が柔軟で俊敏な動きをします。

【アイアン・ゴーレム】

 アイアン・ゴーレムは鉄で作られたゴーレムで、ゴーレムの中では最も鈍重です。ただし、その身体の硬さや生命力の大きさなどの点で、レッサー・ドラゴンや巨人にも匹敵する恐ろしい存在でもあります。

 アイアン・ゴーレムに対しては、武器ではクリティカルによる追加ダメージを与えられません。また「冷却系」「電撃系」「つぶて系」「毒ガス系」「かまいたち系」のダメージ魔法はまったく無駄です。「炎系」のダメージ魔法は有効ですが、クリティカルが起こりません。「地震系」「爆発系」「純エネルギー系」のダメージ魔法は有効で、クリティカルも起こりえます。

【ミスリル・ゴーレム】

 ミスリル・ゴーレムはきわめて珍しい存在で、今までに一体しか確認されていません。軽くて硬いミスリル銀を使っているため、動きも比較的俊敏で、なおかつずば抜けて身体が硬く生命力が大きいという特徴を持っています。

 ミスリル・ゴーレムに対しては、武器ではクリティカルによる追加ダメージを与えられません。また「冷却系」「電撃系」「つぶて系」「毒ガス系」「かまいたち系」のダメージ魔法はまったく無駄です。「炎系」のダメージ魔法は有効ですが、クリティカルが起こりません。「地震系」「爆発系」「純エネルギー系」のダメージ魔法は有効で、クリティカルも起こりえます。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、フレッシュ・ゴーレム、ストーン・ゴーレム、アイアン・ゴーレムの三種がいます。

【フレッシュ・ゴーレム】

 動物や人間などの死肉をよりあわせて合成した、肉のゴーレムです。完全な防腐魔法を施されており、死亡状態にならない限りは腐臭などを漂わせることはありません。

【ストーン・ゴーレム】

 石製のゴーレムです。さまざまな形状に加工でき、遺跡の番人として配置されています。

【アイアン・ゴーレム】

 鉄製のゴーレムです。恐るべき強靭さを誇り、並みの冒険者では太刀打ちできません。



 TRPG『クリスタニアRPG』では、アイアン・ゴーレム、ストーン・ゴーレム、フレッシュ・ゴーレム、ウッド・ゴーレムがいます。また竜の牙から造られたドラゴントゥースウォーリアーや小石を素材にしたストーン・サーバントもいます。

【アイアン・ゴーレム】

 高位の魔術師によって、鉄を素材に生み出されたゴーレム。魔力に守られていて、精神魔法、毒、通常武器の効果はまったく受けません。また、魔法に対しても強い抵抗力を持っています。ゴーレムの中では最も強靭。

【ストーン・ゴーレム】

 石を素材に作り出された巨人。高位の魔術師によって作り出されます。魔法で守られているので、通常武器では傷つきません。また、精神力を持たないので精神魔法の影響も受けないのです。自分の名を知る主人の命令にのみ従います。

【フレッシュ・ゴーレム】

 人間の肉体を素材とした巨人。他のゴーレムと同様、高位の魔術師によって作り出されました。通常武器では傷つかず、魔法に対しても強い抵抗力を持っています。また、精神攻撃や毒の効果も受けません。

【ウッド・ゴーレム】

 木を素材に作られた巨人。優れた魔術師たちによって創造されます。魔力により永遠の生命を与えられており、創造主の命令には忠実に従うのです。怪力の持ち主ですが、素材が木なので炎の攻撃に弱い。精神魔法は効果がありません。

【ドラゴントゥースウォーリアー】

 竜の牙を素材に、ソーサラーの魔法によって作られたパペットボーンゴーレム。その姿は剣と楯で武装したスケルトンですが、アンデッドではありません。創造主の命令だけに機械的に従います。精神がないので、精神魔法は効果がありません。

【ストーン・サーバント】

 パペットストーンゴーレム。小石を素材にして、ソーサラー魔法によって作られます。オークと同じく姿はゴブリンに似ています。創造主の命令には忠実に従いますが、知能がないに等しいので、難しい命令は実行できません。精神魔法は無効です。



 TRPG『グランクレストRPG』では、スパルトイがいます。

【スパルトイ】

 竜の骨から作られた骸骨兵士。自我はなく、制作者の命令をこなします。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、五種類います。

巨石兵士ストーンゴーレム

 巨大な石材に魔法をかけて造られたゴーレムの一種。灰色の花崗岩でできた8メートルを超える巨人で、ゴリラのように腕が長く上半身が大きい。巨大な拳は、攻撃に用いれば敵を掴んで離さず、また盾として使うことで仲間を守ります。その働きは、まさに砦に例えられるのです。

土偶兵士テラコッタゴーレム

 土をこねて焼いた人形に魔法をかけて作られたゴーレムの一種。体長3メートルほどで、ゴーグルをかけた人間をずんぐりとデフォルメした、いわゆる遮光器土偶のような姿をしています。墓地や古代遺跡などの番人として置かれていることが多く、侵入者には愚直に向かっていくのです。

肉巨人フレッシュゴーレム

 新鮮な生肉の塊を人型に縫い合わせ、魔法をかけて造られたゴーレムの一種。身長3メートルほどの皮膚のない人間に似た姿をしています。無機物を材料にしたゴーレムと比べて身が軽い。

竜牙兵の槍盾兵スパルトイ・ファランクス

 竜の頭蓋に似た仮面をつけ、赤竜の翼を持つ美女型の竜牙兵。家政婦に似た施設維持能力を持ち、槍と盾で武装し竜族の宝物庫などを守護しています。竜牙兵の名は人間がつけたもので、本来は竜族が雑用のために生みだした魔法生命体なのですが、その強さから兵士として配置されているようにしか見えなかったのだといわれます。

竜牙兵の射手スパルトイ・アーチャー

 竜の頭蓋に似た仮面をつけ、背に黒竜の翼を負った美女の姿の竜牙兵。この個体は闇夜めいた黒い髪を長く伸ばしています。戦闘能力だけでなく高い知能を持ち、会計士に似た資産管理能力を誇るのです。いざ戦場では、弓矢で武装して主を守ります。彼女らを操る秘術は竜のみに伝わるものですが、稀に信用を得た召喚術師が伝授される例もあり、その場合は牙や鱗など竜の肉体の一部を触媒にしなければなりません。



 TRPG『この素晴らしい世界に祝福を!TRPG』では、アースゴーレムがいます。

【アースゴーレム】

 土を素材として生み出されたゴーレム。ゴーレムは魔法などによって生み出される人造モンスターであり、素材や機能に応じたさまざまな名称や形状が与えられます。

 長期間の活動が可能なものには魔力を蓄えた動力源が存在し、それを奪われると活動できなくなるのです。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、以下の種類がいます。

竜牙兵ドラゴントゥースウォリアー

 祖竜術によって竜牙を触媒に生み出された、竜頭骨の兵士です。「竜牙兵」の奇跡によって発生します。

棘竜牙兵ドラゴントゥースウォリアー:スピノ

 祖竜術によって竜牙を触媒に生み出された、竜頭骨の兵士です。強力な個体で、背骨にそって鋭い棘が生えています。

暴君竜牙兵ドラゴントゥースウォリアー:バオロン

 祖竜術によって竜牙を触媒に生み出された、竜頭骨の兵士です。巨大で強大な個体で、棘竜牙兵すら一撃で蹂躙するほどと言われています。

樫人形ウッドゴーレム

 硬い樫の木や、椅子などから変形する、ひとりでに動く人形です。単純な労働力であったらしく、火には弱いです。

骨人形ボーンゴーレム

 動物や人の骨を素材にして作り上げた、ひとりでに動く人形です。亡者ではないため、注意が必要です。

石巨兵ストーンゴーレム

 石を素材にして作り上げた、ひとりでに動く巨大な兵士の人形です。石材によって強度に差はありますが、その質利用は凶悪です。

青銅巨兵ブロンズゴーレム

 青銅を素材にして作り上げた、ひとりでに動く巨大な兵士の人形です。新しいものは金色、古いものはくすんだ青色です。強力な存在ですが、踵に燃料の栓があるなど弱点を持つことが多い。

鉄人アイアンゴーレム

 鋼鉄によって作られた、巨大な兵士の人形です。恐るべき膂力と装甲、機動力を持ち、陸だろうと海だろうと戦う場所を選びません。

大鉄人ジャイガンター

 全身にさまざまな武装の施された、鋼鉄の城とも呼ぶべき巨大な鉄の巨人です。神話に語られる存在ですが、その戦力は騎士団七つにも匹敵すると言われ、動かすにはなんらかの儀式コンバートが必要でしょう。





最後に

 今回は「ゴーレム」についてまとめました。

 皆様が真っ先に思いつくゴーレムは「ストーン・ゴーレム」だと思います。巨石が連なって人の命令を聞いて行動する姿は、「剣と魔法のファンタジー」にもよく馴染みます。

 また肉と骨で構成された「フレッシュ・ゴーレム」も私たちは慣れ親しんでいます。ちょっとわかりにくいだけです。実は皆様がよく「フランケンシュタイン」と呼ぶ存在が「フレッシュ・ゴーレム」なのです。「フランケンシュタイン」の名はこの「フレッシュ・ゴーレム」を作成した博士の名前であり、クリーチャーの名前ではありません。

 そのうち現代社会にある「ロボット」が「ゴーレム」に列せられる日が来るでしょう。「人間の命令に従って動く存在」として「ゴーレム」の要素があるからです。ですので、ローファンタジーやSFでありながら、ハイファンタジーの存在も出せます。



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