742.事典篇:創造:ホムンクルス

 今回は「ホムンクルス」についてまとめました。

 マンガ・荒川弘氏『鋼の錬金術師』において一般的に知られるようになりました。

 元はルネサンス期の錬金術師パラケルススが生み出したとされる魔法生物です。





事典【創造:ホムンクルス】


ホムンクルス

 ホムンクルスとはヨーロッパの錬金術師が作り出す人造人間、及び作り出す技術のことです。

 製法はルネサンス期の錬金術師パラケルススによれば、蒸留器に人間の精液を入れて(それと数種類のハーブと糞も入れる説もある)40日密閉し腐敗させると、透明で人の形をした物質でないものが現れます。それに毎日人間の血液を与え、馬の体内と同等の温度で保温し、40週間保存すると人間の子どもができます。ただし体躯は人間のそれに比べるとずっと小さいというのです。

 ホムンクルスは、生まれながらにしてあらゆる知識を身につけているといいます。また一説によるとホムンクルスはフラスコ内でしか生存できないといわれるのです。

 パラケルススはホムンクルスの生成に成功したとされます。しかし彼の死後、再び成功したものはいなかったのです。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、粘土と灰とマンドラゴラの根と血を混ぜたものをこねて形作り、そこに稀少な儀式魔法の力を注ぎ込むと、リスほどの大きさの忠実なペットを作成できます。

 ホムンクルスは作成者の延長として動く人造クリーチャーです。両者は神秘的なつながりによって思考と感覚と言語を共有します。一人の主人が持てるホムンクルスは一度に一体だけであり(二体目を作成する試みは必ず失敗する)、主人が死ぬとホムンクルスも死にます。

 ホムンクルスは作成者の知っていることすべてを知ります。それには作成者が話し読むことのできる全言語が含まれるのです。同様に、この人造クリーチャーが知覚することはすべて主人もこれを知ります。どれほど遠く離れていても、両者が同一次元界にいる限り、それは変わりません。ホムンクルスはスパイをしたり偵察をしたり使いに立ったり手紙を届けたりと活躍するので、秘密の実験や冒険に従事する呪文使いには、しもべとして便利このうえないのです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ホムンクルスは術者によって自身の血から作り出される小さな下僕です。戦闘要員としては弱きに過ぎるが、スパイ、メッセンジャー、偵察要員としては役立ちます。ホムンクルスの外見の詳細は作成者が決定します。一部のものはより立派な見栄えをしていますが、ほとんどの作成者は機能的に最低限の必要性を満たせばよしとするのです。

 ホムンクルスは割り当てられた仕事をするためだけに作り出された、単なる道具です。ホムンクルスは作成者自身の分身とでも言うべき存在で、属性と基本的な性質を共有しています。ホムンクルスは自発的に主人から1マイル以上離れて移動することはけっしてありませんが、無理やり移動させられることはありうます。この距離を越えて主人と通信できなくなった場合は、ホムンクルスは全能力を振り絞って主人との連絡を回復しようとするのです。ホムンクルスを破壊した攻撃は、同時にその主人にダメージを与えます。ホムンクルスの作成者が殺された場合、ホムンクルスは正気を失ってその近辺を縄張りと見なして侵入したものを無差別に攻撃するのです。

 稀に隷属から解き放たれたホムンクルスは、主人の本来の意図を超え、忘れられた領域を守る半ば狂った人造の番人以上のものになることがあります。このような場合、ホムンクルスは自身を主人の遺産の正当なる後継者や、主人の生まれ変わりとさえ考えるようになるかもしれません。

 ホムンクルスは粘土、灰、マンドラゴラの根、湧き水、作成者自身の血液1パイント(約470ml)を混ぜ合わせて作られます。これらの素材には50GPかかります。体が出来たら、次に長期にわたる魔法的な儀式によって自律行動能力を与えるのです。これには特別に準備された実験室または作業室が必要です。こういった部屋は錬金術の実験室に似ており、整えるのに1,000GPかかります。作成者が自分でクリーチャーの形を作る場合、体を作ることと儀式を同時に進行させられます。大きいホムンクルスを作れますが、大きくなるごとに作成コストが+2,000GPされるのです。

 身体を作るための血液を提供したものがホムンクルスの主人となります。ある者が血液を提供し、他の者が身体を作り、他の者が魔法的な儀式を行なって、血液の持ち主の下僕を作成することも可能です。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、古代語魔法で生み出される疑似生命体の中でも、最も人間に近いのがホムンクルスです。サイズこそ人間の10分の1程度ですが、人間並みの知能を有し、言葉もしゃべります。

 ホムンクルスの製造は常に成功するとは限りません。また、新たな特徴を有したホムンクルスを作るためには、どうしても試行錯誤の繰り返しとなります。それは古代王国期の魔術師たちにとっても同じことで、数えきれないほど失敗作が生み出されました。不注意にも下水や川に捨てられたそれら失敗作が、野生化して現在に伝わっているのが、ブロブと呼ばれるモンスターです。

【ホムンクルス】

 ホムンクルスはしばしば魔法使いの気晴らし、もしくは偵察役として作られます。たいていは人間と似ていますが、ガーゴイルに似た醜いものもあり、羽が生えていて空を飛べるものもいます。

 ホムンクルスは、ゴーレムなどと違って自分の意思もあるので、場合によっては創造者に反抗することもあります。寿命は数年しかありません。

【ブロブ】

 古代王国の魔術師たちはよく生命製造の実験を行なっていましたが、失敗作を不注意にも下水や川に捨てることがありました。ブロブは、そうした失敗した人工生命が野生化したものといわれています。黒い粘液状の不特定生物で、知能を持たず、あらゆる生物を攻撃します。

 ブロブは鉄を腐食させる液体を体内に持っています。鉄の武器でブロブを攻撃したり、鉄の鎧を着たものにブロブの攻撃が命中したりすると、24時間後にはそれらの装備は腐って使えなくなります。ただし魔法がかかっている武器や防具、銀やミスリル銀の武器や防具は影響を受けません。

 また、ブロブに対しては、いかなる武器による攻撃もクリティカルしません。



 TRPG『クリスタニアRPG』には、人間をそのまま1/10にした姿の疑似生命体。優れた魔術師たちが、研究や気晴らしなどのために産み出しました。人間並みの知性を持っていて、教育すると人間の言葉を話すことも可能。限られた時間しか、生きることができません。





最後に

 今回は「ホムンクルス」についてまとめました。

 人工的に生み出された人型の生命体ですが、サイズは小さい。

 私たちが最も慣れ親しんでいる「ホムンクルス」は、マンガ・荒川弘氏『鋼の錬金術師』に登場するものではないでしょうか。こちらも人工的に生み出された人型の生命体ですが、体格は人間と同等まで高められています。



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