739.事典篇:怪物:ドッペルゲンガー

 今回は「ドッペルゲンガー」についてまとめました。

『SW』ではグレーター・デーモンに類されますが、自然現象のことなのでここでは「怪物」に分類します。





事典【怪物:ドッペルゲンガー】


ドッペルゲンガー

 ドッペルゲンガーとは、自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種で、「自己像幻視」とも呼ばれる現象です。自分とそっくりの姿をした分身。第二の自我、生霊の類。同じ人物が同時に別の場所に姿を現す現象を指すこともあります。

 ドッペルゲンガー現象は、古くから神話・伝説・迷信などで語られ、肉体から霊魂が分離・実体化したものとされました。この二重身の出現は、その人物の「死の前兆」と信じられたのです。

 ドッペルゲンガーの特徴として、周囲の人間と会話をしない、本人に関係のある場所に出現する、ドアの開け閉めができる、忽然と消えるなどが挙げられます。

 ドッペルゲンガーはSFやファンタジー小説などにもよく登場します。そこでは不埒な目的のために、特定の人や生き物になりすます「シェイプシフター」として描かれるのです。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、ドッペルゲンガーはずる賢い変身生物であり、他の人型生物に化け、誤誘導と偽装によって獲物を破滅させたり追跡を逃れたりします。ドッペルゲンガーほど恐れと疑いとあざむきを世の中にはびこらせるクリーチャーは滅多にいません。彼らはあらゆる土地、あらゆる文化の中に存在し、あらゆる種族のあらゆる個体の姿を取ることができます。

 ドッペルゲンガーは自在に姿を変え、ほぼいかなる集団、いかなる共同体にも溶け込めるのです。ですが変身したからといって変身相手の使う言語、癖、記憶、人格が身につくわけではありません。そこでドッペルゲンガーはしばしば自分が化けたい相手の後をつけたり、捕まえたりして、相手のことを学び、心を探って秘密を読み取るのです。ドッペルゲンガーは相手の表層思考を読むことができ、これによってクリーチャーの名前、望むこと、恐れるもの、それにいくつかの断片的な記憶を拾い集めます。長期的計画の一環として特定個体に化けたドッペルゲンガーは「自分が化けている相手」を生かしたまま何週間もそばに置き、毎日相手の精神を探って、どんなふうにふるまい、どんなふうに話せばもっともらしくなるかを学ぶのです。

 ドッペルゲンガーは一人だけで働くことも、小規模な集団で働くこともあります。ある個体は暗殺された商人や貴族に化け、別の個体は暗殺された人物の富のおこぼれをあずかる家族や下男下女など、状況に応じて複数の役どころを演じる……という具合です。

 ドッペルゲンガーは怠け者なのか、それとも自分以外に興味がないのか、自分で子供を育てようとしません。しばしばハンサムな男性の姿になって女性を誘惑し、二人の間の子供を育てさせるのです。ドッペルゲンガーの子供は、成年に達するまでは、母親と同じ種族のごく普通の子供に見えます。成年に達すると自分の本当の性質に気づき、同族を見つけ出して仲間入りしようとするのです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ドッペルゲンガーは、遭遇した者の姿をとることができる奇妙な生物です。このクリーチャー本来の形態は、華奢で痩せこけていて、ひょろ長い手足と作りかけのような顔の造作をした、人型生物に見える外見をしており、肌は無毛で色素が薄く、目は白く虚ろです。

 ドッペルゲンガーは富と権力を集められる社会に溶け込むことを好み、同族だけは街を作ることはほとんどありません。若いドッペルゲンガーはオークやゴブリンの小さな部族を乗っ取って技術を磨き、それからドワーフ、エルフ、人間などより複雑な社会へ移ります。指導的な地位にいる目標本人に成りすますよりも、玉座の背後で権力を握ったり、影響力のある市民やギルド全体を操るべく複数の立場を使い分けることを好むのです。

 ドッペルゲンガーは奇襲を企てたり、罠におびき寄せたり、人型生物の社会に溶け込むために、生来の模倣の力を巧みに使います。通常は邪悪というわけではありませんが、自身にしか興味がなく、他者はすべて操り欺く玩具とみなしています。彼らはその欲望を満たすために人間の社会に侵入することを特に好んでいるのです。ある者は政治の世界で複雑なダンスを楽しみ、またある者は自身とロマンスの相手の種族や性別をとっかえひっかえすることを望んでいます。姿を自在に変えることができるクリーチャーは、罪を犯して逃れるのに便利な手段を持っており、特に意地の悪いドッペルゲンガーには、恋人の不実を装うことで縁を切ることを楽しむ者もいます。

 噂によると、外見を変えるだけではなく、模倣したクリーチャーの技能、記憶、変則能力や超常能力さえも真似ることができる、さらに強力なドッペルゲンガーが存在するというのです。このようなドッペルゲンガーの変身能力は「オルター・セルフ」ではなく「ポリモーフ」のように機能します。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ダブラブルグと同系列にあり、その上位種であるドッペルゲンガーは全身真っ黒な身長3メートルの巨人の姿をしています。顔には真一文字に裂けた口が赤く開いていますが、その他には造作はありません。ドッペルゲンガーは観察することによって相手の姿、能力、記憶などをコピーできます。一目見ただけであれば、写し取れるのは(所持品も含めた)姿だけです。1分間観察すれば、話す口調や仕草をそっくり真似ることができます。そして、1時間以上観察すればその能力、記憶を完全に写しとります。こうした変身、および変身の解除には丸々1ラウンドを必要とします。

 能力や記憶を写しとったドッペルゲンガーは、相手のあらゆる能力を使えます。ドラゴンに変身したら炎を吹くことができますし、10レベルのファイターに変身すれば、その攻撃力や打撃力、追加ダメージで戦うことができます。ただし、神聖魔法と竜語魔法だけは使えません(その他の魔法は使えます)。加えて、ドッペルゲンガーは自らの能力である古代語魔法も使えます。

 もし変身していない状態で戦闘になれば、ドッペルゲンガーは主に古代語魔法で戦います。





最後に

 今回は「ドッペルゲンガー」についてまとめました。

 不死アンデッドとしたり悪魔デーモンとしたり、類別に困るクリーチャーです。ここでは「怪物」としてひとまとめに致しました。



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