737.事典篇:怪物:マイコニド、ファンガス

 今回は「マイコニド」「ファンガス」についてまとめました。

 ともにキノコの怪物であり、恐るべき存在となることがあります。





事典【怪物:マイコニド、ファンガス】


 ともにキノコに関係する怪物が「マイコニド」「ファンガス」です。

「マイコニド」は『D&D』にしか出てきませんので固有種である可能性があります。あなたの「剣と魔法のファンタジー」に使いたいときは、名称と形態を変更してください。




マイコニド

 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、マイコニドはアンダーダークに住む知性と歩行能力を持つキノコであり、暴力を嫌い悟りを求めています。平和的に接触してきた者に対しては、マイコニドは喜んで隠れ家を提供したり、集落を安全に通してやったりするのです。

 マイコニドの群れの中で最も大きな個体が「王」です。王は「輪」と呼ばれる社会集団をひとつ以上支配下においています。ひとつの輪には20体以上のマイコニドがいて、皆で働き、皆で生活し、皆で和合しているのです。

「和合」は瞑想によって心をひとつにすることであり、刺激の少ない地底の生活においてマイコニドの心が浮き立つ唯一の瞬間です。マイコニドの「精神接触の胞子」を浴びた者たちは意識がひとつにつながります。「幻覚の胞子」は娯楽や社交のために皆に同じ夢を見させるのです。マイコニドは和合のために生きています。和合によって高次の意識に至り、集団を一つに融合させ、霊的進化を遂げんとするのです。精神接触の胞子は知性を持つ他のクリーチャーとテレパシーで意思疎通するためにも使われます。

 他のキノコと同じく、マイコニドは普通の胞子によって子孫を残すのです。人口過剰を防ぐため、この胞子の放出は注意深く制御されています。

 マイコニドがダメージを受けたとき、240フィート以内の他のすべてのマイコニドは、このマイコニドが受けた痛みを感知するのです。

 日光の下にいる間、能力値判定、攻撃ロール、セーヴィング・スローに不利を受けます。1時間より長く直射日光を浴び続けると死ぬのです。

 5フィート以内にいて自分が見ることのできるクリーチャー一体に鎮圧の胞子を吹きかけ、1分間朦朧状態にできます。

【スポア・サーヴァント】

 スポア・サーヴァント(胞子のしもべ)は、サイズ分類が大型以下の任意のクリーチャーの死体を、マイコニドの王が「死体操る胞子」を用いて蘇らせたものです。肉と血を持たないクリーチャー(アンデッド、ウーズ、エレメンタル、植物、人造など)はスポア・サーヴァントになりません。

 恐怖状態、麻痺状態、魅了状態、盲目状態になりません。

 スポア・サーヴァントは知っていたすべての言語を失いますが、マイコニドが「精神接触の胞子」によって与えた命令に従います。スポア・サーヴァントは最も強いマイコニドから受けた命令を最優先するのです。

 ダメージを与える手段を持たないなら、拳や四肢を用いて素手攻撃を行なえます。ヒットしたなら、この素手攻撃は[殴打]ダメージを与えるのです。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、走り茸マイコニドは1メートルほどの巨大な茸に、つぶらな瞳と表情豊かな口、短い手足がついているという愛嬌あふれた姿のモンスター。笠の色は淡い緑。その外見に反して実力はなかなかのものであり、低い位置から繰り出してくる蹴りは身体の芯にまで響いてくる強烈さです。森の奥や洞窟、水路跡などの湿った場所を好みますが、その足で落ち着く場所を探して各地を走り回っている姿も見られます。





ファンガス

『D&D』は純粋なキノコが人を襲うもの、『SW』『ロードス島』は人間がキノコに寄生されて怪物になったものという違いがあります。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、アンダーダークの空はごつごつした岩と永遠の夜、ここはあらゆるファンガス(菌類。ここでは「キノコの仲間」の意)の栄えるところです。この地下の土地ではファンガスが植物に取って代わっており、多くの地下種族の生存に不可欠なものとなっています。アンダーダークの危険な暗闇の中で、ファンガスは多くの種族の食べ物となり、時には隠れ家にもなるのです。

 ファンガスは有機物の中で芽生え、やがてその有機物を突き破って外に姿を現し、その有機物を吸収し、他の汚物や死骸を養分にします。成長したファンガスは胞子を放出し、それはわずかな風に乗って飛んでゆき、落ちた先で新たなファンガスになるのです。

 ファンガスは日光も温かさも必要としないため、アンダーダークのあらゆる隅、あらゆる裂け目で繁殖します。アンダーダークのファンガスはしばしば、この地下世界にあまねく存在する魔法によって変化をとげ、強力な防御機構、擬態能力、攻撃能力を身につけるのです。また、とくに大きなファンガスは広がって巨大な地下の森になり、そこには無数のクリーチャーが生き、物を食べています。

【ヴァイオレット・ファンガス】

 この紫色を帯びたキノコは、基部から生えている根のような触毛を使って洞窟の床を這い進みます。ヴァイオレット・ファンガス(ムラサキキノコ)は中央の塊から突き出した4本の茎状部を用いて獲物を打ち、一触れで肉を腐らせるのです。ヴァイオレット・ファンガスに殺されたクリーチャーはみな急速に溶け崩れていきます。溶けゆく死体からは新たなヴァイオレット・ファンガスが生えて完全な大きさになるのです。

【ガス・スポア】

 初期のガス・スポア(「ガスで浮かび胞子をまき散らすもの」の意)はビホルダーの死骸から生まれたものと考えられています。ガス・スポアは新たな環境に順応し独自の植物クリーチャーとなって久しい。ガス・スポアはどんな死体からもすぐにぐんぐん育ち、アンダーダークの最も悪名高い住人によく似た、見るも恐ろしい姿になります。

 ガス・スポアはまん丸な風船のようなファンガスで、遠目にはビホルダーとよく似ていますが、近づけば次第に正体が明らかになるのです。このモンスターには物を見る働きのない中央の「目玉」があり、体の上のほうから生えた何本もの根茎は一見ビホルダーの眼柄のように見えます。

 ガス・スポアの中空になった殻には空気よりも軽いガスが詰まっており、このためビホルダーと同様に浮遊できます。どんな弱い攻撃でも、ひとたび殻が破れたなら、このクリーチャーは爆発四散し、恐るべき胞子の雲を放出するのです。胞子を吸い込んだクリーチャーはガス・スポアの宿主となり、しばしばその日のうちに絶命して、死骸はガス・スポアの生まれる苗床となります。

 ビホルダーの死骸から生まれたガス・スポアは、「親」にあたる死んだビホルダーの記憶を受け継いでいることがあるのです。そのガス・スポアが爆発すると、死をもたらす胞子は、それらの記憶を空中にまき散らします。胞子を吸ってしかも生き残ったクリーチャーは、ビホルダーの断片的な記憶の一つ、あるいは複数を受け継ぎます。そこからビホルダーの生前の住処や、周囲のおもだった場所やクリーチャーに関して、有益な情報が得られることもあるのです。

【シュリーカー】

 シュリーカー(「叫び声を上げる者」の意)は人間大のキノコです。自分の平穏を邪魔するクリーチャーがいたなら、これを追い払うために、耳をつんざく金切り声をあげます。他のクリーチャーはこのファンガスを獲物の到来を知らせる警報として利用するのです。アンダーダークの色々な知的種族は、共同体の外縁部でシュリーカーを栽培し、通りがかった者が「ここを不意討ちで襲ってやろう」などという了見を起こさないようにします。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ヴァイオレット・ファンガス(すみれ色のキノコ)は最も悪名高くかつ恐れられている、世界の洞窟の危険の1つである。旅人はしばしば、この種の肉食菌類がうろつく場所で暮らしたり狩りをする者たちに、ヴァイオレット・ファンガスの痕跡を見てとることができます。こういった人々は、肉が丸ごとくり抜かれたような深い傷痕が肉体を損なっています。ヴァイオレット・ファンガスと間近に遭遇した証です。

 ヴァイオレット・ファンガスは腐敗が進んだ有機物を栄養としますが、たいていの菌類と異なり、腐敗物の受動的消費者ではありません。ヴァイオレット・ファンガスの蔦はその外見からは思いも寄らない素早さで攻撃を加えられ、しかもおぞましい速さで肉を朽ちさせる強い毒液で覆われています。この強力な毒は、処置しないでおくと、たちまちのうちに腕1本や脚1本の肉をまるごと削ぎ落として生暖かい骨を残すのみとなり、それすらもすぐさま同じように腐って崩れ落ちてしまうのです。

 動き回れはするものの、ヴァイオレット・ファンガスが動くのは攻撃したり獲物を狩ったりするときのみです。栄養とする腐敗物が安定して供給されているヴァイオレット・ファンガスは、ふつう満足して一箇所に留まったままでいます。多くの地下居住の文化、特にトログロダイトとヴェジピグミーはこの嗜好性を利用して、確実に腐肉を豊富に与え続けてヴァイオレット・ファンガスが食料を探して住処の中に迷い込むのを防ぎながら、重要な分岐点や自分の洞窟の入り口に番兵として複数のヴァイオレット・ファンガスを置いているのです。

 シュリーカーの一部の種は、外見がヴァイオレット・ファンガスと比較的類似していますが、そうしたシュリーカーには触手状の蔦は付いていません。シュリーカーとヴァイオレット・ファンガスが同じ林の中で見つかることも珍しいことではない――とくに他のクリーチャーが番兵としてヴァイオレット・ファンガスを栽培しているような場所では。

 ヴァイオレット・ファンガスは体高4フィート(約1.2m)、体重は50ポンド(約23kg)。

 ヴァイオレット・ファンガスの触手は、このキノコが殺された後は急速に劣化しますが、このクリーチャーから採取された後中型サイズのウィップとして用いられます。このウィップは触れたあらゆるもの(この致命的な武器の使用者自身も含む)に腐敗をもたらすのです。

 DC25の〈製作:錬金術〉判定と250GP相当の薬品によって、この毒液をわずかながら保存することができるが、その過程でだいぶ薄まってしまう。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ファンガスは人間のような形をしたキノコのかたまり、というよりも全身がキノコに覆われた人間です。森の中などにじっと潜んでおり、通りかかる動物や人間を殺して、死体から養分を吸収します。乾燥した場所や陽の当たる場所では長く生きられません。

 ファンガスは、傷つけられると毒性のある胞子を噴射します。ファンガスと戦っている間、半径5メートル以内にいたものは、その胞子を吸い込んだ可能性があります。戦闘終了後抵抗ロールに失敗したら24時間後に身体のあちこちからキノコが生えてきます。いくら切ってもきりがありません。そして次第に人間としての意識が薄れ、幻覚に悩まされ始めます。これを治すには、神聖魔法の「キュアー・ポイズン」、精霊魔法の「レストア・ヘルス」を用います。

 治癒されないまま一週間が経過したら、キャラクターはファンガスと化してしまいます。完全にファンガスになってしまった者は、もはや前述の魔法を用いても治すことはできません。もとに戻すには神聖魔法の「リフレッシュ」を用いる必要があります。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、ファンガスは猛毒の胞子を持つ、全身がキノコに覆われた人型生物です。暗所と湿気を好み、乾燥した場所や陽光の当たる場所では長く生きられません。森や洞窟の狭い場所に潜み、通りかかった動物から養分を得て生きながらえています。ファンガスの本体は、その猛毒キノコであり、人型種族を宿主として子孫を残していきます。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、窒息苔の群生グレガリアス・アスフィーモスは致死性の胞子を撒き散らす暗緑色のコケ。『大災害』以前はモンスターに反応しなかったのだが、今では窒息苔の群生グレガリアス・アスフィーモスは敵味方の区別なく近づくものを襲うようになったとも言われており、研究者気質の冒険者たちの間でも意見が分かれています。また、胞子が被害者の呼吸器に吸着し呼吸困難を引き起こすようになったのも『大災害』後の大きな特徴として知られているのです。





最後に

 今回は「マイコニド」「ファンガス」についてまとめました。

 死骸を仲間に変えるもの、死骸から養分を吸い上げるものという違いはあれど、キノコの怪物であることに変わりはありません。



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