736.事典篇:怪物:ストーカー

 今回は「ストーカー」についてまとめました。

「忍び寄る者」を意味しますが、多くは霧状になってどんな隙間からでも入り込みます。

 そうして対象に気づかれることなく命を奪うのです。





事典【怪物:ストーカー】


ストーカー

 ストーカーとは「獲物に忍び寄る者」の意味です。

 獲物を付け狙い、不意を討って仕留めることが存在意義になります。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、インヴィジブル・ストーカーはエア・エレメンタルを強力な魔法で特定の形態に縛りつけたものです。

 インヴィジブル・ストーカー(不可視の追跡者)はエア・エレメンタルが出身次元界から召喚され、強力な魔法によって変化させられました。その目的は、これを召喚した者のために、クリーチャーを追いつめ狩り立て、あるいは物体を持ってくること、ただそれだけです。ひとたび打ち負かされるか、これを縛っている魔法が切れると、インヴィジブル・ストーカーは一陣の風となって消えます。

 作成されたインヴィジブル・ストーカーは、遂行すべき任務を与えられるまでは、これを召喚した者のそばにとどまるのです。言い渡された任務に「特定のクリーチャーを狩り立て殺すこと」も、「ある物体を持ち帰ること」も入っていなかったら、インヴィジブル・ストーカーを作成した魔法は終わり、このエレメンタルは解放されます。入っていたなら、インヴィジブル・ストーカーは任務を完遂したのち、召喚した者のもとに戻って次なる命令を待つのです。己を縛る魔法が解けるまでは従わざるをえません。もしこれを召喚した者が途中で死んでしまったら、インヴィジブル・ストーカーは今の任務を完遂した後に消えます。

 インヴィジブル・ストーカーはしぶしぶ主人に従っているだけで、言いつけられた仕事のことをいちいち腹が立つと思っています。時間のかかる仕事を受けたなら、命令の意図を曲解しようとする可能性があるのです。これを防ぐには命令の文言をよほど慎重に選ばねばなりません。

 インヴィジブル・ストーカーは空気でできており、もともと不可視状態です。クリーチャーはインヴィジブル・ストーカーの通行するのを聞きつけ、感じ取ることはあります。けれどもインヴィジブル・ストーカーは、攻撃を行なうときですら不可視のままです。不可視状態のものを見えるようになる呪文を使っても、見えるのはインヴィジブル・ストーカーのぼんやりした輪郭だけです。

 インヴィジブル・ストーカーは空気、飲食物、睡眠を必要としません。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、この不可解かつ神秘的なクリーチャーであるインヴィジブル・ストーカーについてわかっていることはあまりに少ない。その生来の形質があまりに特異であるために、インヴィジブル・ストーカー(不可視の追跡者)の真の姿を見極めることが困難だからです。風の元素界からこの世界に連れてこられたインヴィジブル・ストーカーは、自分を召喚した者が命じる任務を遂行します。インヴィジブル・ストーカーは、その身に適した番兵や暗殺者、追跡者として活動するのです。生まれながらに不可視状態で隠密行動に長けていることから、インヴィジブル・ストーカーは気づかれることなく標的の後を追うことができ、いざ敵に手を下すときには優位を得られます。

 多くのインヴィジブル・ストーカーは、こういった取るに足らぬ任務は定命のものに押しつけられた雑役以外の何物でもないと感じ、憤慨しているのです。ことさら複雑だったり厄介だったりする命令を与えられたときには、インヴィジブル・ストーカーは指示の言葉に抜け穴がないかを探します。たとえばウィザードがインヴィジブル・ストーカーを召喚して「私を危険から守れ」との指示で奉仕させようとすれば、自分が遠く見知らぬ場所、果ては風の元素界に連れられることになりかねません。

 絶えることなき招来のため、多くのインヴィジブル・ストーカーは物質界に住む者たちに敵意を抱いています。インヴィジブル・ストーカーの中でも、この定命のものの世界に初めてやってきた者なら、同種族の者による話しか知らず、自分を招請した者の意図するところについて素直に受け止めるでしょう。しかし、時が経つにつれて、あるいはことさら下劣な主人に奉仕したインヴィジブル・ストーカーは、この肉と骨を持つクリーチャーについて否定的な見解を育み、指示を曲解して主人に害をもたらす傾向へとつながっていきます。年かさで経験豊富なインヴィジブル・ストーカーともなると、招来する者を守るものはストーカーを束縛する魔法だけです。任務を命じる言葉の矛盾や意図と語句の間のねじれを利用して、自分をこの次元界に連れてきた神官や秘術者に迷惑をかけ、傷つけ、果ては殺そうとします。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、スピリット・ストーカーとナイト・ストーカーがいます。

【スピリット・ストーカー】

スピリット・ストーカー(死鬼)。死体を甦らせて魂のないゾンビを作るのは相応の魔術の知識と研究が必要ですが、有能な魔術師なら誰にでもできます。しかしスピリット・ストーカー(死鬼)と呼ばれる恐ろしいアンデッドを生み出すのは、かなりの力を要するのです。そうした力を備えていた最後の魔術は“夜の王子”ザンバー・ボーンだ――しかし、当時すでに彼は半ばアンデッドと化していました。

 スピリット・ストーカーは異様に青白く、グールのような姿をしています。腐った皮膚はぴたりと骨に貼り付いており、あちこちで破れているのです。その恐ろしい外見を隠すために、ふだんは外套と頭巾を身にまとっています。ゾンビとは異なり知能を残しているため、手強い敵となるのです。

 スピリット・ストーカーに触れられたものは、肉体を焼かれます。そのおぞましい出自により、通常の武器ではダメージを受けません。確かに武器に突かれ、切り裂かれますが、肉体は損傷を被ることはないのです。硬い銀で出来た武器だけがスピリット・ストーカーにダメージを与えられます。ちょうど彼らとの接触で生きた肉が焼かれるように、銀の武器は死んだ肉を焼くのです。スピリット・ストーカーがついに滅びると、衣装ははらりと床に落ちます。そして、肉体はしゅうしゅうと溶けながら細い煙と化して、風に運ばれていくのです。

【ナイト・ストーカー】

 地下迷宮のじめじめして禁じられた深みでは、多くの危険なものが次の餌を求めて闇をうろついています。ナイト・ストーカーはひょっとしたらかつては人間であったものかもしれないが、今ではそれ以下の存在に成り果てているのてず。窮屈な地下道を果てしなくさまようことによってその体は筋張った体つきで、革のようなしわだらけの灰色の肌に覆われています。

 顔の特徴は身の毛もよだつものです。眼球は眼窩の奥に落ち窪み、つねに目をすがめ、歯は人間の小指ほどもあり、肌はしわといぼだらけです。腕は細長く、大きな鉤爪を持った手が端にあって、岩も頭蓋骨も同じく簡単に割れます。彼らは終わりのない巡回に使うために小さなランタンを持っていることがあります。この弱々しいランタンの光でも美しく見えるというだけで過去に犠牲者から盗み取った、小さな価値のない装身具を身に着けていることもあるのです。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ギズモ、ガス・ストーカー、シャドウ・ストーカー、エア・ストーカーに分けられます。ストーカーは、多数の人間の精神とガスを用い、古代語魔法の儀式で生み出された存在です。その目的は「忍び寄る者」の名が示すとおり、他者の暗殺です。ストーカーは通常は霊体であり、物理的な障害にまったく悩まされずに移動します。そしてわずかな扉の隙間や壁にあいた穴を自由に通過できるのです。しかし、魔法などを使えないため、本来の目的である殺害を行おうとするときには、実体化してから攻撃しなければなりません。実体化しているストーカーはダメージ魔法や銀、魔法の武器でなら傷つけられます。霊体の状態のストーカーには物理的攻撃はいっさい無効です。

 現在のフォーセリアでは、ストーカーを生み出す技術は失われています。ですから、冒険者たちが出会うストーカーは、すべて古代王国から生き残ったものです。

 ストーカーは、本来術者の命令に従うものですが、現在ではすべて術者が死んでいるため、最後に与えられた命令を憶えていて、忠実にそれを実行しようとします。生み出されたものの、何の命令も与えられなかったまま放置されたストーカーは、暴力的な思念のままに、目につくものすべてに無差別に襲いかかってきます。

 ストーカーの製作にも失敗はつきものでした。しかし、失敗作はギズモと呼ばれるガス状の生物となって、現在のフォーセリアで生き続けています。

【ギズモ】

 ギズモは直径2メートルほどの不定形の黒いガス状で、ストーカーの出来損ないです。動物の死体が発する腐敗臭を吸って生きています。動物の死体が近くにない場合は、生きている生物を殺して死体に変えようとします。

 ギズモの攻撃が命中しても、それだけではダメージを受けません。しかしギズモの本体は毒ガスなので、命中した者はそれを吸い込んだことになり、抵抗ロールに失敗したらダメージを負います。ガスは鎧では防げず、冒険者レベルや魔法的な防護だけがダメージを減らしてくれます。

 ギズモには武器による攻撃はまったく効きません。精神を持たないため「スリープ・クラウド」や、精神に影響を与える種類の魔法は無効です。「冷却系」「かまいたち系」「つぶて系」「毒ガス系」のダメージ魔法も無効です。「炎系」「電撃系」「純エネルギー系」「爆発系」の魔法による攻撃だけがダメージを与えられます。ギズモのガスは燃えやすいため、特に炎系の魔法は有効です。また武器に「ファイア・ウェポン」の魔法をかけるのも効果的です。

【ガス・ストーカー】

 ガス・ストーカーは、悪臭のある重いガスを用いて作り出されたストーカーです。普通は目に見えず、音も立てないとはいえ、本体を形成するガスがひどい悪臭を放つので、近寄ってくるのがわかります。実体化したときに目に見える姿は、狂ったように血走った目をして、緑色の肌をした裸の魔人です。

【シャドウ・ストーカー】

 シャドウ・ストーカーは、非常に重い黒色のガスを用いて作られたストーカーです。実体化していないときでも、明るい場所ならその黒いガスの色ははっきりと見えます。しかし暗闇などに紛れ込んだときは、ほとんど認識できません。また、相手の影のふりをしながら移動することを得意とします。シャドウ・ストーカーは、手に絞首紐を持った姿で、相手の背後に実体化します。そして、その紐で相手を絞め殺そうとするのです。

【エア・ストーカー】

 エア・ストーカーは、透明なガスから作り出されたストーカーです。そのため、実体化したときもまったく目に見えません。

 どのような姿で実体化するか、当然ながら定かではありません……。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、ギズモ、ガス・ストーカー、シャドウ・ストーカーに分かれます。

【ギズモ】

 古代王国期のストーカーの失敗作で、野生化しています。直径2m程度の不定形の黒いガス状の外見をしていますが、他のストーカーと異なりつねに物理的な影響を受けてしまいます。動物の腐臭を活動源にしており、死体がなければ生きているものを襲います。

【ガス・ストーカー】

 古代王国期に作られたストーカーの一種です。ストーカーは多数の人間の奴隷の精神を古代語魔法でガス化して作り出されたもので、暗殺を目的としていました。悪臭のある重いガスを用いて作られており、悪臭で接近には気づけるでしょう。実体化した際には、血走った目をした緑色の肌の人型をしています。

【シャドウ・ストーカー】

 古代王国期に作られたストーカーの一種です。重く黒い無臭のガスとして作られており、実体化すると赤い目をした黒い肌の人型です。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、夜鬼ナイトストーカーは、影の如き肉体を持った魔神です。暗がりや闇の中に溶け込み、夜に潜んで人々を襲います。





最後に

 今回は「ストーカー」についてまとめました。

 アンデッドのような性質はありますが、どちらかといえば精霊に分類されます。

 とても凶悪なクリーチャーなので、ふとした油断が命取りです。



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