735.事典篇:怪物:ビホルダー、バグベアード
今回は「ビホルダー」「バグベアード」についてまとめました。
『D&D』固有のクリーチャーである「ビホルダー」ですが、その特異な姿や能力のため他のTRPGや小説などにも登場することがあります。
その際名称が「ビホルダー」「バグベアード」のままでは著作権に触れますので、名称と形態を変えてオリジナルの存在としてあなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させましょう。
事典【怪物:ビホルダー、バグベアード】
「ビホルダー」は『D&D』が生み出した怪物です。そのため名称及び形態をそのまま用いると著作権に抵触します。某マンガは『D&D』の世界観で物語を作っていたため、このビホルダーもそのまま描いて発表したのです。しかし後々問題となって単行本では名称と形態を変更して対応することになりました。
そこで『SW』では「バグベアード」という名と、少しビホルダーとは異なる形態を与えることで著作権を回避し、新たに『SW』固有の著作権を持ったモンスターを生み出しました。
そのため、あなたの「剣と魔法のファンタジー」に「ビホルダー」及び「バグベアード」をそのまま登場させることはできません。どうしても似たようなモンスターを出したければ、新たな「名称」と「形態」を創造する以外にないのです。それができればこの個性的なモンスターをあなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させることができます。
ビホルダー(バグベアード)
ビホルダーとは、TRPG『D&D』に登場する怪物です。球状の体に巨大な一つ目と口を持ちます。『D&D』への登場以後、他のファンタジー作品にも多数の類型の(そして名前の異なる)生物が登場しているのです。
直径2〜3メートルほどの球状の体に巨大な一つ目と口を持つモンスター。さらに頭頂には小さな眼のついた触手が10本ほど生えています。手足はなく魔法的な力で地面からわずかに浮遊して移動するのです。
『D&D』では非常に強力なモンスター種族として描かれ、ドラゴンやイリシッド(マインド・フレイヤー)に並ぶプレイヤーキャラクターのライバル的種族です。その強力な存在感からキャンペーンシナリオなどではボス役を飾ることも多い。
とあるマンガに登場したビホルダーは、のちに権利の関係で名称・デザインが変更されています。これにより日本ではビホルダーに強い権利問題が絡むという認識があるのです。そのため『D&D』以外の多くのファンタジー作品においては、ビホルダー(のようなもの)を出演させるときには、名前や一部デザインなどを変更して登場させることが通例となっています。
ただし英語で「ビホルダー(beholder)」は「見つめる者」という意味で英和辞典にさえ載っている一般名詞のため、英語圏では商標登録できず、同様の設定や外見を併せ持った著作権違反を犯さないかぎり問題はないのです。
逆に言えば日本では権利を押さえられているため、「ビホルダー」という名と独特な風貌を用いることはできません。
『ソード・ワールドRPG』においては「バグベアード」と呼ばれる、球状の体に巨大な一つ目を持つ生物が登場します。
他にも「ゲイザー」「アイ・タイラント」「イビルアイ」など様々な別名でビホルダー相当のモンスターが出演しています。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、ビホルダー(見つめる者)を一目見るだけで、その邪悪さと異質さは嫌というほど理解できます。その異形の化け物は攻撃的で、憎悪に満ち、欲が深い。他のクリーチャーすべてを下等な存在と見下し、玩具にするか破壊します。
ビホルダーの球体の体は常に宙に浮いており、牙が並ぶ大きく開いた口の上に膨れた巨大な目玉が一つあります。体というか頭の上には小さな目玉のついた眼柄が冠状に生えており、敵を追尾して向きを変えるのです。眠っている間、中央の目玉は閉じていますが小さな目玉は開いたまま警戒を怠りません。
ビホルダーには敵が多い——少なくとも、すべてのビホルダーはそう信じています。ビホルダーは「他の奴らが私の輝く知性と魔法の力を妬んでいる」と思い込んでおり、その一方で他の下等なクリーチャーどもは粗野で吐き気がすると見下しているのです。周囲に誰もいないときですら、「誰かが私を陥れようと企んでいるのでは」と疑わずにはいられません。
ビホルダーが蔑む「他のクリーチャー」には他のビホルダーも含まれます。どの個体も「自分こそが理想的なビホルダーだ」「自分と少しでも違う存在はビホルダーという種の純粋性を傷つける失敗作なのだ」と信じているのです。そしてビホルダーの姿形は個体差が大きいので、ビホルダー同士の衝突は避けられません。ビホルダーの中には重なり合ったキチン質の甲羅で身を護る者もいれば、滑らかな皮に覆われている者もいます。触手のように蠢く眼柄もあれば、甲殻類のように節のある眼柄もある。肌の色が微妙に違うだけでも、ビホルダー同士が不倶戴天の敵となるには充分なのです。
ビホルダーの中にはよそ者嫌いが高じて恐るべき暴君となる者もいます。この手のビホルダーは孤独に生きず、「目玉の暴君」の呼び名にふさわしい広大な帝国を築き治めるのです。大都市の中や地下に自分の勢力圏を作り上げ、主のために働く弟子たちのネットワークを率いている目玉の暴君もいます。
ビホルダーは他者を自分の領地に入れようとしないため、凍てつく山や荒らし尽くされた遺跡や深い洞窟に引きこもって陰謀を巡らせるのが常です。ビホルダーの住居は自分の分解光線によって掘ったものであり、縦方向に重なった部屋部屋を垂直な通路が結ぶ構造になっています。このような環境であれば、ビホルダー自身は苦もなく移動できる一方で、侵入者が忍び込むのは難しい。侵入者がなんとか入り込めたとしても、ビホルダーは高い天井に浮かんだまま地面の敵を懲らしめられます。
ビホルダーの住居内の各部屋は主と同じくらい奇妙奇天烈で、このクリーチャーの傲慢ぶりを反映しています。部屋を飾るのは主が収めてきた勝利の記念品——恐怖にゆがんだ最期の表情のまま石化した冒険者、他のビホルダーの身体の一部、強敵から奪った魔法のアイテムなどを含む——です。ビホルダーは「己の価値は己が勝ち取ったものによって決まる」と考えており、決して自分の財産から遠ざかろうとはしません。
ビホルダーの住処の中枢は、敵に接近される心配なしに攻撃が行なえるよう、天井の高い大広間になっているのが普通です。
住処では地面がぬるぬるになって移動困難になったり、壁から腕や触手が生えてつかみかかってきたり、実体を持つ表面上に一本眼柄が生えてビホルダーの光線(ランダムに一種類選ぶ)を、このビホルダーが見ることのできる目標一体に放つのです。しかるのちこの眼柄は瞳を閉じて消え失せます。
ビホルダーの目の光線には10の効果がある。
1.魅了光線(判断力のセーヴィング・スロー)
2.麻痺光線(耐久力のセーヴィング・スロー)
3.恐怖光線(判断力のセーヴィング・スロー)
4.減速光線(敏捷力のセーヴィング・スロー)
5.衰弱光線(耐久力のセーヴィング・スロー)
6.念動光線(筋力のセーヴィング・スロー)
7:睡眠光線(判断力のセーヴィング・スロー)
8:石化光線(敏捷力のセーヴィング・スロー)
9:分解光線(敏捷力のセーヴィング・スロー)
10:死の光線(敏捷力のセーヴィング・スロー)
【デス・タイラント】
ごく稀に、眠っているビホルダーの精神が通常の狂気の境界を越え、「われ死を超越せり」と思い込むことがあります。この夢を見ている間にビホルダーの体は変化し、肉が腐り落ちてデス・タイラント(死の暴君)と化すのです。この怪物は生前と同様の知性と魔法を備えていますが、今や死せざる死の力をエネルギー源としています。
デス・タイラントの姿は巨大なしゃれこうべで、虚ろな眼窩に赤い光が燃えています。眼柄はすべて腐り落ちていますが、霊体の目玉が10個頭上に浮かんで四方八方を見つめているのです。
生きたビホルダーであった頃と同様、デス・タイラントは他のクリーチャーたちを力で押さえつけます。そのうえビホルダーの中央の目玉に宿っていた「魔力を消し去る能力」はより邪悪な力に入れ替わっており、デス・タイラントの奴隷も敵も下僕のアンデッドに変化させてしまうのです。
デス・タイラントが作り出すゾンビは必要に応じて使われ不要になれば廃棄されます。このゾンビたちはデス・タイラントの住処の入り口を守っていたり、宝物庫を見張ったりするのです。デス・タイラントはゾンビを囮にして敵を罠におびき寄せたり、戦闘中の弾除けに使ったりします。強力な敵がゾンビに気を取られている隙に、有利な位置に移動して敵を倒す準備を整えるのです。
死せざる死を受け入れたデス・タイラントは大破壊の原動力となります。己の力を増し、安全を確保したいという欲望に突き動かされて人型生物の居住地を襲い、目の光線であらゆるクリーチャーを破壊して、死者の軍勢を作り上げるのです。誰かがこれを止めなければ、デス・タイラントは数週間のうちに都市をまるごと破壊しつくし、その死せる眼をさらなる征服へと向けます。街がひとつ陥落するたびに、デス・タイラントのゾンビ軍団はますます数を増やしてゆくのです。
空気、飲食物、睡眠が不要です。
住処は生きたビホルダーだった頃の住処と変わらないのが普通ですが、死の腐敗の気配が濃くなっています。住処では一辺50フィードの立方体の範囲は霊体の目玉と触手に埋め尽くされたり、すべての壁から霊体の腕やら触手やらが生えてつかみかかったり、50フィート以内の空中に霊体の目一つが開きます。この目はこのデス・タイラントの目の光線(ランダムに一種類を選ぶ)を、このデス・タイラントが見ることのできる目標一体に放つのです(これはエーテル界に影響を及ぼします)。しかるのちこの目は瞳を閉じて消え失せます。
中央の目は150フィートの円錐形に、魔法的な不可視な負のエネルギーを放つのです。この円錐内にいるクリーチャーはヒット・ポイントを回復できません。またこの範囲内で死亡した人型生物は、このタイラントの制御下にあるゾンビになります。死亡した人型生物の次のターンの開始時にアンデッド化するのです(その死体が完全に破壊されている場合を除く)。
目の光線に関してはビホルダーの10種と同じ効果があります。
【スペクテイター】
スペクテイター(観察する者)は魔法の儀式によって異次元から召喚される下級のビホルダーです。この儀式には物質要素としてビホルダーの眼柄が4本消費されます。その結果としてスペクテイターは4本の眼柄を持っており、直径4フィート(約1.2m)の体の中央にある大きな目玉の両脇に二本ずつ生えています。
召喚されたスペクテイターは、召喚者が指定した場所または財宝を101年にわたって護り続け、召喚者以外のいかなる者もその場所に入ったりそのアイテムに手出しすることを許しません(召喚者が別の指示を与えない限りは)。101年が経過する前に護るべきアイテムが盗まれたり破壊された場合、召喚されたスペクテイターは消え失せます。それ以外の場合、スペクテイターは決して持ち場を離れません。
スペクテイターは会話能力を有しますが、普段はもっぱらテレパシーで意思疎通を行ないます。護衛についている間は礼儀正しく振る舞い、誰からどのような命令を受けているのか正直に話すのです。ですが、スペクテイターと少しでも言葉を交わした者は、相手が長年の孤独に苛まれて精神に変調をきたしていることに気づきます。実在しない仮想上の敵を思い浮かべたり、自分のことを「彼」「彼女」「それ」などの三人称で語ったり、召喚者の声を真似て話そうとしたりします。
ビホルダーの例に漏れず、スペクテイターも「自分こそ理想のスペクテイター」と信じており、他のスペクテイターを憎むこと甚だしい。2体のスペクテイターが出会ったなら、死ぬまで戦わずにはおれません。
奉仕を終えたスペクテイターは自由に活動できるようになります。多くの者はそれまで守っていた場所に住み続けるのです(召喚者がすでに死んでいる場合はとくにこの可能性が高い)。奉仕中垣間見えていた狂気のつぼみが目的を失ったいま花開くのです。
スペクテイターの目の光線には4つの効果があります。
1.混乱光線(判断力のセーヴィング・スロー)
2.麻痺光線(耐久力のセーヴィング・スロー)
3.恐怖光線(判断力のセーヴィング・スロー)
4.殺傷光線(耐久力のセーヴィング・スロー)
また、自分が呪文の対象になっている場合セーヴィング・スローに成功すれば、その呪文の対象を代わりに他のクリーチャーが目標へ変更されます。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、古代王国の魔術師が創造した魔獣の中でも、バグベアードはとりわけ奇怪な存在です。直径一メートル半ほどの巨大な目玉で、黒く長い毛に覆われ、どういう原理でか空中に浮かんでいます。いくつかの亜種があるらしく、触覚が生えたもの、短い手足があるものも目撃されています。地下迷宮の中にしかいませんが、何を食べているのか、どうやって繁殖するのか、まったく謎です。
戦いのときには、バグベアードは5種類の光線を使い分けます。光線は一体の目標にのみ影響を与えられます。光線に狙われた者は抵抗ロールに失敗するとまともに影響を被ります。鏡などを用いて反射させてもこの光線は、バグベアード自身には影響を与えません。
1.麻痺光線:6ラウンド麻痺してしまいます。
2.催眠光線:眠ってしまいます。これは自然の眠りです。
3.冷凍光線:瞬間的に凍結して仮死状態になります。精霊魔法の「アイス・コフィン」と同様の処理をします。
4.洗脳光線:バグベアードを味方だと思い込み、仲間を攻撃します。効果は18ラウンド持続します。これは精神に属する魔法として処理されます。
5.金属分解光線:身に着けていた金属製の武器や防具が壊れます。魔法のかかった武器や防具には影響ありません。。この光線に対しては抵抗できません。
6.発射せず。光線を使わずに体当たりしてきます。
TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、
最後に
今回は「怪物:ビホルダー、バグベアード」についてまとめました。
ビホルダーはとても強烈なインパクトがありまた難敵でもあるため、他のTRPGにもなんらかの影響を与えたクリーチャーが生み出されました。
『SW』ではバグベアードと名づけられ、見た目も若干変更して能力も制限して登場させているのです。
あなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させたいと思ったら、「ビホルダー」「バグベアード」という名称を用いず、形態も若干変更してください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます