734.事典篇:不死:ウィル・オ・ウィスプ
今回は「ウィル・オ・ウィスプ」についてまとめました。
作品によっては精霊に分類されますが、ここでは本来の意味である「鬼火」「人魂」からアンデッドに分類しました。
ただし「ウィル・オ・ウィスプ」の名称は特定の個人の名前を含んでいるため、あなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させたい場合は「ウィル・オ・ウィスプ」の名は用いないよう配慮してください。
事典【不死:ウィル・オ・ウィスプ】
ウィル・オ・ウィスプ
ウィル・オ・ウィスプは、世界各地に存在する、鬼火伝承のひとつ。
青白い光を放ち浮遊する球体、あるいは火の玉。イグニス・ファトゥス(愚者火)とも呼ばれます。他にも別名が多数あり、地域や国によってさまざまな呼称があります。夜の湖沼付近や墓場などに出没します。近くを通る旅人の前に現れ、道を迷わせたり、底なし沼に誘い込まれるなど危険な道へと誘うとされるのです。
その正体は、生前罪を犯したために昇天しきれず現世を彷徨う魂、洗礼を受けずに死んだ子供の魂、拠り所を求めて彷徨っている死者の魂、ゴブリンたちや妖精の変身した姿などと言われています。
その名は「ひとつかみの藁のウィリアム」の意。それを裏付ける伝承が次のものです。死後の国へ向かわずに現世を彷徨い続ける、ウィル(ウィリアム)という名の男の魂だといいます。生前は極悪人で、遺恨により殺された後、霊界で聖ペテロに地獄行きを言い渡されそうになったところを、言葉巧みに彼を説得し、再び人間界に生まれ変わるのです。しかし第二の人生もウィルは悪行三昧で、また死んだとき死者の門で、聖ペテロに「お前はもはや天国へ行くことも、地獄へ行くこともまかりならん」と煉獄の中を漂うことになりました。それを見て哀れんだ悪魔が、地獄の劫火から、轟々と燃える石炭のひとつを、ウィルに明かりとして渡しました。このときにウィルは、この石炭の燃えさしを手に入れたのです。そしてその石炭の光は人々に鬼人として恐れられるようになりました。
実態としては、球電(自然現象)という稲妻の一種、あるいは湖沼や地中から噴き出すリン化合物やメタンガスなどに引火したものであるとされています。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、ウィル・オ・ウィスプは邪悪な霞のような光球で、寂しげな場所や戦場に現れます。暗い宿命や闇の魔術に縛られて恐怖や絶望の念を喰らう、アンデッドの一種。
ウィル・オ・ウィスプは遠くからは上下に揺れるランタンの明かりのように見えます。そして彼らはその色を変えたり、完全に明かりを消したりできるのです。彼らは明かりを灯し、希望を持たせます。つまりその明かりについてゆけば安全だとクリーチャーに思わせるのです。
そしてウィル・オ・ウィスプはうかつな獲物の苦しみを喰らい、断末魔の叫びを楽しめるような、底なし沼やモンスターの巣穴、その他危険な場所へと誘い込みます。ウィル・オ・ウィスプの餌食となった邪悪な者は、自分もウィル・オ・ウィスプになることがあるのです。その悲惨な魂が、己の死体の上で、まるでゆらめく炎のように凝り固まります。
ウィル・オ・ウィスプは、強い魔法に満ちた、見捨てられし土地をさまよううちに、苦悶や悲嘆の中で死んだ邪悪な魂です。彼らは沼沢地の泥沼や骨の散らばる戦場、地を這う霧や靄のごとく、悲しみがのしかかり来たる土地で力をつけます。希望も記憶も消え失せた荒廃の地に囚われながら、ウィル・オ・ウィスプは他のクリーチャーを暗い宿命へ誘います。そして、その悲しみを啜るのです。
ウィル・オ・ウィスプはめったに話しません。話すとしてもその声はかすかで、遠く離れた場所からの囁きのように聞こえます。彼らが出没する侘しい場所では、ウィル・オ・ウィスプは同じ場所に住む危険なものたちと共生関係を結ぶことがあります。ハグ、オニ、ブラック・ドラゴンや邪悪なカルト教団員などは、ウィル・オ・ウィスプと手を組んでクリーチャーをおびき寄せ、不意討ちをしかけるのです。邪悪な仲間がクリーチャーを取り囲んで皆殺しにする間、ウィル・オ・ウィスプは犠牲者たちの死の苦悶を飲み干し、その目の中から命の光が消えるさまを見て恍惚に打ち震えるのです。
ウィル・オ・ウィスプは空気、飲食物、睡眠が不要です。
ウィル・オ・ウィスプは明かりを照らす範囲を変えることができます。物体を避けて移動しますが、もし物体の中でターンが終了したらウィル・オ・ウィスプはダメージを受けるのです。
ヒット・ポイントが0でもまだ生きているクリーチャー1体を標的にして目標を殺せたらウィル・オ・ウィスプはヒット・ポイントを回復します。
電撃攻撃ができる。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、沼沢地の近くに住む罠師や農夫はこれらの微かに輝く光球を、ジャック・オ・ランタン、コープス・キャンドル・ウォーキング・ファイアー、パイン・ライト、スプークライト、ラッシュライトなどの独自の名前で呼んでいます。しかし、彼らはみなこの光球が危険な捕食者であり、人を闇の中へ騙し導くものだと理解しているのです。
ウィル・オ・ウィスプは、クリーチャーが怯えたときに放散する強い霊的な放射を喰らう邪悪なクリーチャーであり、騙されやすい旅人を窮地に追い込むことを楽しんでいます。野外の、ウィル・オ・ウィスプがよく現れる場所では、ランタンに見間違えられやすい場所(とくに、本物の信号灯の近くなど)を選び、崖や流砂の上などに不注意な旅人をおびき寄せ、窮地に落とそうとするのです。稀に、簡単に食事にありつくために町の処刑場の近くに住み着いたり、不可視状態になって軍隊のあとを追い、死に逝く人間の恐怖を収穫するものもいます。なぜウィスプの多くが犠牲者が少ない湿地に留まっているのかはよくわかっていません。ウィル・オ・ウィスプが電気ショックの能力を使用するのはひじょうに差し迫った場合のみで、他のクリーチャーや災害によって犠牲者が命を落としている側を漂って食事することを好みます。
ウィル・オ・ウィスプは光の色を自身で選択できますが、ほとんどは黄、白、緑、青です。光の強さを変化させ、模様を作り出せます。ウィスプは犠牲者をより恐れさせるため、光の中にぼんやりとした髑髏のような姿を作り出すことを好むのです。直径1フィート(約30cm)、重量3ポンド(約1.4kg)のほぼ透明なスポンジ状の球体で、体表面のどこからでも光を発せます。ウィル・オ・ウィスプの光はおおよそ松明と同じの明るさです。やり取りのために音声を使えませんが、身体を高速で振動させてしゃべり声を真似られます。
ウィル・オ・ウィスプを知るクリーチャーのほとんどが持つ偏見に反して、実際のウィル・オ・ウィスプは(その思考は完全に異質なものであるが)かなり知的です。彼らはときとして「数珠」と呼ばれる集団を作ることもありますが、起源と同様、その社会性と目的は外部の者にはまったく伺い知れません。しかしウィル・オ・ウィスプはときに適度に怯えた犠牲者を大量に提供できる者と取引をすることが知られています。ウィル・オ・ウィスプは歳をとらず、暴力によって殺されない限り事実上の不死です。そのため、年を経たウィル・オ・ウィスプはとんでもなく古い知識をも集積していると考えられています。ただし、これだけ残酷なクリーチャーが、こちらの質問に協力的に教えてくれる話など、罠でしかないに違いありません。
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、深夜、墓地や荒れ果てた遺跡の上空に集まるウィル・オ・ウィスプは長い間、月明かりの下で踊ろうと集まった死者の魂だと考えられていました。見た目は宙に浮かぶ小さな光る球で、長らく他のアンデッド(亡者)と関連付けられてきたのです。しかし、彼らは実際には、そうした亡者の魂を喰らう魔法生物なのです。おそらくフェッチと関係があり、高い知能と悪意を持った生き物を生み出す未知の魔力によって、小さくまとめられたエネルギーの球体です。
彼らは生き物が死んだときに解き放たれる生命力から、パワーを引き出します。その結果、生き物を誘い出して殺すことにほとんどの時間を費やしているのです。まるでついてこいと誘うように、獲物の上空で踊り、湿地の奥深くや崖の上へと連れていきます。通常の武器でダメージを受けますが、お返しにエネルギーの矢を放ち、当たればダメージを受けます。ウィル・オ・ウィスプが殺されると、そのエネルギーは空中に霧散し、どこへともなく消えていくのです。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、精霊カテゴリです。
ウィル・オー・ウィスプは光の精霊です。本体は直径50センチくらいの青白い光の球で、その明かりは半径5メートルの空間を照らし出します。彼らは精霊たちの中でもとくに不安定な存在であり、またほとんど知能らしきものを持っていません。彼らが狂った精霊として現れる場合には二通りの行動をとります。まず、一つは誰かの前をふわふわと漂い、底なしの沼や森の奥深くへと導くものです。このタイプのウィル・オー・ウィスプは直接襲ってきたりはしません。
もう一つは視界に入ったものに対し、まっすぐにぶつかっていくものです。ウィル・オー・ウィスプの対象となる目標は、精神の働きのあるものです。知性を持たない植物や鉱物、器物などは目標としません。また精神を持たない下級のアンデッドに対しても攻撃は行ないません。しかし、睡眠中の人間は対象となります。ウィル・オー・ウィスプの攻撃は必ず成功します。目標にぶつかったウィル・オー・ウィスプは、あっけなく壊れます。しかしそのとき強力な衝撃波を発します。この衝撃波に対しては鎧は無効で、冒険者レベルのみがダメージを減少できます。
接近戦用の武器(銀や魔法のものである必要はありません)でウィル・オー・ウィスプを破壊できますが、攻撃者自身もウィル・オー・ウィスプの体当たりを受けたものとして、ダメージを受けなければなりません。
ウィル・オー・ウィスプはシェイドと対をなす存在であり、シェイドと接触するとエネルギーを発することなく消滅します。
TRPG『ロードス島戦記RPG』では、精霊カテゴリです。
ウィル・オー・ウィスプは光の精霊で、宙を浮く青白い光球という姿をしています。
TRPG『クリスタニアRPG』では、精霊カテゴリです。
光に宿る精霊。白く輝く球体をしていて、空中を漂いながら周囲を柔らかな光で照らし出すのです。この精霊に触れると激しい衝撃を受け、肉体に傷を負ってしまいます。実体を持たない精霊なので、精神魔法や毒の影響を受けることはありません。
TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、
最後に
今回は「ウィル・オー・ウィスプ」についてまとめました。
アンデッドの一種とする説と、精霊の一種とする説があります。
アンデッドの場合は「鬼火」「霊魂」として描かれ、精霊の場合は明かりを灯す電撃の精霊とされるのです。
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