731.事典篇:不死:スケルトン

 今回は「スケルトン」についてまとめました。

 ギリシャ神話のスパルトイが元出なので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」にも登場させられます。

 骸骨だけの存在が歩きまわるわけですから、魔法の力なしでは現出しません。





事典【不死:スケルトン】


スケルトン

 スケルトンは中世ヨーロッパなど世界各地の伝承に登場する怪物の一つで、人間のように動く骸骨のこと。西洋の伝承の怪物の中でも、一度死んだ者が甦って動き回るものは「アンデッド」と呼ばれており、スケルトンもこのアンデッドの一種とされます。

 中世ヨーロッパの古戦場では亡霊の戦士が現れることがあり、戦場で騎士を倒して鎧を剥ぐと、その中が骸骨だったという話があるのです。この骸骨騎士は、白骨の馬に乗って現れるともいわれ、鎧を身に着けずに骸骨の姿のままで現れるともいわれました。

 15世紀以降の大航海時代に入ると、幽霊船に乗っている白骨死体が動き出し、シミターやカットラスを手にして生者の船を襲うとも、生者の船に幽霊船を体当りさせて沈めるともいわれたのです。船乗りの冒険者たちが全員病死してスケルトンとなり、船自体がスケルトンの操る幽霊船になったともいいます。生者を襲う理由は、自分に血肉がないために生者を憎むとも、供養されずに死んだために生者を妬むともされたのです。

 ギリシャ神話のスパルトイつまり竜の牙から生まれた戦士である竜牙兵(ドラゴン・トゥース・ウォーリア)を元に生み出されたものとされます。魔法によって生み出されて魔法使いが死者を自分の命令に従わせることを条件のうえで甦らせて操ったり、骸骨に霊が憑依したりなどとされているのです。

 腐敗の進行によって有機物が分解され、白骨化した死体(骸骨)が骨格のみで活動するもの(骨に肉片や腱の残滓が付着している場合もある)。肉がなく骨のみであるため、刺突攻撃の効果が薄いとされる事が多い(その場合逆に打撃には弱いとされる)。ゾンビよりも下級モンスターとして扱われる場合と、倒してもすぐさま再生復元する手強い敵として描かれる場合があります。作品によっては高度な剣術や魔法を使うもの、剣などの武器を手にしているもの、ゾンビが燃やされてスケルトンへ変貌するものなども見られます。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、闇の魔法に操られ、骸骨が身を起こします。スケルトンは自分を暮石や古戦場跡から呼び覚ました呪文使いの呼び声に従うのです。死と滅びが充満する土地においては、死霊エネルギーや腐敗的な悪の気配の刺激によってスケルトンが自然発生することもあります。

 スケルトンを目覚めさせる邪悪の力は、骸骨に闇の活力を吹き込み、関節をつなぎ合わせ、散らばった手足を元の位置に戻すのです。このエネルギーはスケルトンに原始的な思考力と行動力をもたらしますが、これは生前の姿の色褪せた模造品にすぎません。アンデッドとなった後のスケルトンに生前とのつながりはになんら残っていないのです。ただしスケルトンを蘇生させれば、憎悪に満ちたアンデッドの霊を祓って肉体と魂を復活させられます。

 ほとんどのスケルトンはヒューマンなどの人型生物の遺骸を操っているものですが、人型生物以外の骨からスケルトンを作ることも可能です。そうして生み出されるスケルトンは特異な形状を備えた恐るべきアンデッド軍団となります。

 呪文で作られたスケルトンは作成者の意志に縛られており、主の命令を一言一句そのまま実行します。どのような結果をもたらす命令に対しても、主人に任務の内容について質問したりはしません。命令を文字通り遂行し、必ず言われたとおりに振る舞うせいで、状況の変化に対応できないこことも多い。スケルトンに読み書きはできず、感情表現や意思疎通の手段としてはうなずいたり手を振ったり指差したりすることしかできません。とはいえ、それなりに複雑な仕事を言いつけることは可能です。

 スケルトンは武器を持ち鎧を着て戦えます。攻城用の投擲機を装填して発射できるのです。攻城用のはしごをよじ登れます。盾を並べて防御陣形を組むことも、煮えたぎった油を敵の頭上に注ぐこともできるのです。ただし、その仕事をどのように行なうのか細かく指示を与えておく必要があります。

 スケルトンは生前のような知性こそ持ち合わせていませんが、まったく知性がないわけではありません。鉄の扉を壊そうと腕が折れるまで叩き続ける代わりに、まずドアノブを回すぐらいはします。それで開かなければ扉を開ける他の手段を探すか、迂回路を探すのです。

 一時的または永久的に主の制御を離れて独立行動しているスケルトンは、生前の自分自身を真似たパントマイムをすることがあります。生きていた頃の習慣的な動作を骨が覚えているのです。鉱夫のスケルトンはツルハシを持って石壁を掘り始めます。衛兵のスケルトンはランダムな戸口に立って番をするのです。ドラゴンのスケルトンは宝の山に寝そべり、馬のスケルトンはもう食べられないのに草を噛みちぎります。舞踏場に放置された貴族のスケルトンは永遠に終わらないダンスを踊り続けるのです。

 生きているクリーチャーに出会ったスケルトンは、自分を動かしている死霊エネルギーに駆り立てられてその生き物を殺そうとします(主人から禁じられている場合を除く)。スケルトンは容赦なく襲いかかり、破壊されるまで戦い続けるのです。スケルトンの自我は気薄であり、自己防御の本能はさらに微弱だからです。

 スケルトンは空気、飲食物、睡眠が不要です。毒は効かず疲れを知りません。

【ウォーホース・スケルトン】

 軍馬のスケルトンで、毒は効かず疲れを知りません。

【ミノタウロス・スケルトン】

 ある目標に向かってまっすぐ突進し、角を突き立てる攻撃をします。

 毒は効かず疲れを知りません。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、スケルトンは邪悪な魔法によって偽りの命を得た動く死者の骨です。ほとんどのスケルトンは精神のない人形ですが、彼らを蘇らせた力によって邪悪な狡猾さを与えられており、武器を振るったり鎧をまとったりできます。

 スケルトンは骨格のある実体クリーチャーならアンデッド以外のどんなものからも生み出せるのです。

 スケルトンには多くの変種があります。燃え尽きることのない炎で骨を燃やし続けているものや、血糊がしたたり自分の骨を組み直すことができるものなどです。この二種の変種は「アニメイト・デッド」で作れますが、作成時の制限に関しては、そのHDが2倍であるかのように計算します。いったん制御下におけば、HDは制御下の上限に関して通常どおりに計算するのです。

【スケルタル・チャンピオン】

 おそらく最も危険なスケルトンの変種はスケルタル・チャンピオンです。このスケルトンは知力と、しばしば生前に得たクラス・レベルを保持しています。スケルタル・チャンピオンを「アニメイト・デッド」で作り出すことはできません。ゴーストが出現するのに似た稀な状況下で現れるか、滅多にない、非常に邪悪な儀式によってのみ出現します。

【ブラッディ・スケルトン】

 ブラッディ・スケルトンは負のエネルギーで一杯のぬらぬらした血糊の層で覆われています。この血糊はスケルトンに自らの傷を治す能力を与えているのです。ヒット・ポイントが0になると破壊されますが、1時間後には1ヒット・ポイントに回復し、以降は高速治癒によって回復を始めます。ブラッディ・スケルトンは、正のエネルギーによって破壊されるか、「ブレス」か「ハロウ」の呪文の効果範囲内でヒット・ポイントが0になるか、残骸に1瓶の聖水を振りかけられた場合に恒久的に破壊されるのです。

【バーニング・スケルトン】

 バーニング・スケルトンは攻撃を命中させた相手に[火炎]ダメージを与える炎のオーラに包まれています。バーニング・スケルトンは破壊されたとき、爆発して炎を撒き散らすのです。バーニング・スケルトンが破壊された時に隣接していたものは[火炎]ダメージを受けます。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、スケルトンは多くの邪悪な魔術師が好む従僕です。ゾンビと同じくひじょうに蘇生が容易ですが、ゾンビとは異なり、数カ月後にバラバラに崩れたりしません。知能は低いが、主には従順に従います。25までの単語からなる短い命令を与えることが可能です。主が死亡すると、蘇生させられたスケルトンは瞬時に分解します。ほとんど昆虫のようなそのぎくしゃくした動きが対戦相手を困惑させるため、戦闘にはそこそこ長け、通常は剣や斧で武装しているのです。ちょっとした魔法でつなぎ合わせただけの骸骨なので、剣や短剣でダメージを与えるのは難しい。鋭利な武器ではスケルトンに1点のダメージしか与えることができません。打撃武器や粉砕武器は通常どおりのダメージを与えます。

【スケルトン・ウォリアー】

 死人使いの中には、より卓越した戦闘技能をスケルトンに教え込むことに成功した者がいます。そうして作られたのがスケルトン・ウォリアーです。これらは通常、頑丈な防具を着て、ブロードソードやバトル・アックスを携えています。

 短い命令は必要ですが、戦闘以外のことはできないので、より特化した命令になるでしょう。特定の場所の見張りを任せるのが普通で、侵入者と遭遇するまでひたすら巡回を続けます。通常のスケルトン同様、スケルトン・ウォリアーも鋭利な武器では1点のダメージしか受けません。鈍器は通常どおりのダメージを与えます。

【ディケイヤー(腐れ)】

 ディケイヤーは不気味な朽ちていくスケルトンで、よく護衛とするため邪悪なネクロマンサーに作り出されます。まるで人間の骸骨が腐った布で包まれて動くように見え、骨は病的な黄色で、眼窩もぽっかりと空いています。この怪物の周りの空気はひどい病と腐敗に満ちているようです。周囲3メートル以内に近づいた者は、1週間ほど後に高熱を発し、それがやがては下記の腐敗の病へと進行します。

 攻撃でディケイヤーは爪を使い、同時にほとんど見えない病気を運ぶ胞子を撒き散らすのです。この汚れた存在と戦った者は全員、必ず悲惨な“腐敗の病”に感染します。それが明らかになるのは1週間ほど先です。そのときまで、被害者は自分が感染したことにまったく気づきません。一週間後、突然ベッドから起き上がれないほどのひどい熱に倒れ、しだいに悪化し、死のすぐそばへと近づいていきます。カビの胞子が肌の上で弾け出すと体は耐え難い痛みに苛まれ、死ぬまで続くのです。

 それまでにすばやい看護を腕利きの癒し手から治療を受けられれば、カビを殺して病気の拡大を食い止めることができるかもしれません。この治療には、とても貴重な特定の薬草が必要です。しかし、被害者はしばしばこれらの薬草が見つかるのを待っている間に命を落とします。誰かが“腐敗の病”で死んだなら、死体を焼いてその灰を撒き散らさなければ24時間後に復活するのです。新たなディケイヤーは最初の感染元の命令に従い、おそらくはそいつの守護をこれからずっと果たそうとするでしょう。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、リビング・スケルトン(生ける骸骨)は近づいてしっかり観察するとわかるのですが、肉と臓器が透けているため、彼らは「|歩く不死者(ウォーキング・アンデッド)」と間違われることがあります。

 彼らはアンデッドに間違われることで、どれほど相手に衝撃を与えるかを知っており、それを自分に有利に活用することもあります。しかし、人々に混じって暮らしたい者は服を身に着け、露わになった部分には色を塗ったり化粧を施したりして、少しでも普通の存在に見せようとします。不幸にも大きく誤解されがちですが、概して朗らかで付き合いやすい種族です。

 リビング・スケルトンの目の構造が、相手を怯えさせる一因です。というのも、彼らがものを見るには、光は単に素通りするのではなく、目の神経束に光を集めなければなりまぜん。その結果、眼球に血管や神経が不気味に浮かび上がってしまうのです。その「美しい骨格」を大いに見てもらえるにせよ、仲間からあまり厄介者扱いされないよう、頭と目の周りにベルトの絵を描いておくのが正しい礼儀だと考えるリビング・スケルトンもいます。

 このように骸骨だけでなく、透明な肉を持つのが『 T&T』の「リビング・スケルトン」です。


 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、リビング・スケルトン(生ける骸骨)はフリッツ・ライバー氏の著作によるものです。人間ですが、肉や内蔵はすべて透明で、骨だけが見えます。忌むべき食人の習慣があります。

 皮や肉が透明で、白ないし骨が透きとおって見えるこの「生ける骸骨」はアンデッドではありません。人肉が好物で、ふだんは人に見られないように都会のスラムなどに潜み、夜、暗闇に紛れながら人を襲います。リビング・スケルトンは武器を用いて戦います。

【リビング・スケルトン(リーダー)】

 リビング・スケルトンの中で、リーダー的な立場にいるものです。外見がさらに恐ろしく見えるほか、習癖などはふつうのリビング・スケルトンとなんら変わりありません。つまりは、人肉が大好物な忌むべきモンスターなのです。

【スケルトン】

 スケルトンは魔法によって骸骨だけが動いている存在です。武器や防具を身に着けていることがあります。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、スケルトンとはその名とおり動く骸骨であり、古代語魔法や暗黒魔法によって作られます。武器は通常、生前使っていたものを使用します。標準的なものは片手用の剣と楯です。ですが、ほとんどの場合、鎧は傷んで使えなくなっているでしょう。肉を持たないという特徴のため、刃の付いた武器ではスケルトンに対してクリティカルによる追加ダメージを与えることはできません。また、知性がないため、精神的な効果をあげる魔法は通用しません。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、主として人間の全身骨格を使って暗黒魔法で創り出されたアンデッドです。



 TRPG『クリスタニアRPG』では、白骨死体から、魔法によって生み出されたアンデッド。その姿は「動く骸骨」そのものです。小型武器や鎧で身を固めて登場する場合が多いが、これは創造主から与えられた物。生み出されたときはなにも装備していません。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、動く骸骨スケルトンはカタカタと音を立てて動き回る骸骨のアンデッドモンスター。ぽっかりと空いた暗い眼窩には生者への憎しみに燃える青白い炎が宿っています。食物を必要としないからか、より強力なアンデッドモンスターの配下として大量に出現することも多い。錆びついた剣や鎧を身に着けており、意外に巧みな剣さばきで襲いかかってきます。

骸骨の弓兵スケルトン・アーチャー

 弓矢を装備した動く骸骨スケルトン。ダンジョンの要所に、文字通りの不寝番として配置されています。その狙いは正確で、距離を取りつつ矢を射かける巧妙さも持ち合わせているのです。こういった武装違いの動く骸骨スケルトンはゲーム時代から多数存在したが、『大災害』を経てさらに種類が増えたといわれています。



 TRPG『この素晴らしい世界に祝福を!TRPG』では、骨だけの姿で動き回る亡骸。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、骸骨スケルトンは、朽ちた骸骨がひとりでに動き出したものです。血肉がないため、切るよりも叩いて砕くほうが良いとされます。

弓骨人スケルトンアーチャー

 幸か不幸か、朽ちずに済んだ弓を携えた骸骨です。近頃流行りの叙事詩のせいか、骸骨は弓を射るものと思っている新人冒険者は多いようです。

盾骨人スケルトンガード

 円盾を掲げた骸骨です。戦人だった頃の残滓があるのか、多少は盾の扱いを覚えています。

飢者髑髏ジャイアントスケルトン

 複数人の骸骨が組み合わさって動き出す、巨人の骨格が如き巨大な怪物です。見かけは怖いですが、生前はよい人だったのでしょうか。今は単なる怪物ですが。





最後に

 今回は「スケルトン」についてまとめました。

『T&T』だけは「透明な肉体」を持っていますが、それ以外はただの骸骨が生前のように活動する存在です。

 スケルトンは自然発生はせず、魔術師によって生み出されます。そのため、魔術師がいない状況でスケルトンが存在することはまずありません。



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