725.事典篇:不死:リッチ
今回は「リッチ」についてまとめました。
古英語で「死体」を意味する語ですが、アンデッド・クリーチャーとして『D&D』が著作権を取得しています。
そのため『SW』『ロードス島』では「ノーライフキング」と呼称します。
あなたの「剣と魔法のファンタジー」に「リッチ」「ノーライフキング」を登場させたい場合は、名称および形態に若干手を加えてください。
事典【不死:リッチ】
リッチ
本来は単に古代英語で「死体」を意味する言葉でした。作品上は生前強力な魔法使いや王だった人物のアンデッドと見なされる例が多い。小説ではCAスミスの『魔術師の帝国』に登場する不死の魔術師がリッチの初出とされ、その後『蛮勇コナン』に登場する魔術師やコナンに剣を授ける古代王の屍もリッチとされます。
スケルトンやマミーに類似していますが別物とわかる存在であり、同時に霊体でもあるため普通の武器では傷ひとつつけられません。作品によっては見ただけ、近寄っただけで弱い人間は命を落とします。いずれの場合も、黒い衣をまとった姿が一般的です。
「ネクロマンサーが死霊魔術に長じて変化したもの」「無限の知識を求める魔道士が永遠の命を目指した成れの果て」などの設定もたびたび見られます。『D&D』では吸血鬼をアンデッドの貴族とするなら、アンデッドの王とも呼べる存在です。究極の目的は神になることであり、より強力になったリッチを「デミリッチ」「デイモスリッチ」と呼びます。ゲームや小説では『ドラゴンランス戦記』のフィスタンダンディラスや、「ウォーハンマーノベル」のドラッケンフェルズがリッチです。後述の「ノーライフキング」の原型。また仙人がリッチの変種と解釈されることも稀にあります。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、リッチ(古語で「死体」の意)は、己を維持する手段として死せざる死を受け入れた、強力なウィザードの死骸です。彼らはいかなる代償を払っても己の力をさらに増そうとしており、自分の邪魔にならぬ限り、生者の行ないには興味を示しません。リッチは企みを巡らし、狂気を抱き、忘れられて久しい知識を、最も恐るべき秘密を求めてやまない。彼らは寿命を恐れる必要がないため、成就に何年、何十年、何百年もかかる計画を立てることもあります。
リッチの姿は人型で骨と皮ばかりに痩せ細り、萎びた肉が骨にぴったりとくっついているのです。眼球はとうに腐って失せ、うつろな眼窩に光の点が燃えています。往々にして、かつての見事な衣や装身具の、時を経て擦り切れ、光失せ、朽ちかけたものを今も身に着けているのです。
一時の気まぐれでリッチになったウィザードなどというものは存在しません。リッチとなる過程がいかなるものかは秘密であり、厳重に守られています。リッチ化を求めるウィザードはフィーンド、悪神、その他の汚らわしい存在と取引せねばなりません。多くの者は、無数のリッチを生み出してきた「不死のデーモン・プリンス」を取引相手とします。ともあれリッチ化の力を握っている者は例外なく、その知識と引き換えに忠誠と奉仕を求めるのです。
リッチは、ウィザードの魂を
経箱の準備が整ったら、リッチになろうとする者は变化の薬を飲みます。それは忌まわしい混合物——毒と、魂を経箱の生贄にされた知性あるクリーチャーの血を混ぜたものです。ウィザードは倒れて死に、魂が経箱に収まるとともにリッチとして蘇ります。ウィザードの魂は永遠に経箱の中にとどまるのです。
リッチは己の肉体と意識を保つ魔法を維持するため、定期的に経箱に魂を捧げなければなりません。リッチは「インプリズンメント」呪文を用いてこれを行ないます。リッチはこの呪文の通常の選択肢から一つ選ぶのではなく、代わりに目標の肉体と魂を魔法によって経箱の中に捕らえるのです。この呪文が機能するためには、経箱がリッチと同じ次元界に存在する必要があります。リッチの経箱は一度に一体のクリーチャーのみを捕らえておけるのです。経箱に対して「ディスペル・マジック」が最上級の呪文として発動されたなら、経箱の中のクリーチャーは解放されます。24時間にわたって経箱に捕らえられていたクリーチャーは吸収され、完全に滅ぼされます。これ以後、神性介入以外の方法でそのクリーチャーを生き返らせることは不可能です。
リッチは経箱に魂を捧げて己の肉体を保持します。これに失敗したリッチはバラバラに崩れ始め、やがてはデミリッチと化すのです。
リッチの肉体が事故や加害によって破壊されたなら、その意志と精神は肉体を離れ、跡には生命のない亡骸だけが残ります。数日の間に、そのリッチの経箱のそばに、経箱から吹き出す輝く煙の中から、新たな肉体が再び形をなします。経箱の破壊は永遠の死の可能性を意味するため、リッチは経箱を人目につかず守り厳しい場所に置くのが普通です。
リッチの経箱を破壊するのは簡単なことではなく、しばしば特別な儀式やアイテムや武器が必要とされます。あらゆる経箱はそれぞれ独特のものであり、個々の経箱を破壊する鍵を見出だすことは、それだけで一つの探索行となりうるのです。
普段はただもっぱら力を求めているリッチも、時には周囲の世界に興味を抱くことがあります。何か大きな出来事に触れて、かつて自分の送っていた人生のことを思い出したときなどは、特にそうです。それ以外のときは、リッチは孤立のうちに存在します。彼らが接触する相手は自分の住処の安全を保つために働かせるクリーチャーだけです。
自分のことを生前の名前で呼び続けるリッチは少数派です。多くは「黒の手」や「忘られし王」といったあだ名を名乗ります。
リッチは呪文や魔法のアイテムを収集します。自分で呪文を使うだけでなく、複数のポーションと巻物、書庫いっぱいの呪文書、一本以上のワンド、ことによると1、2本のスタッフまで持っています。住処に敵が攻めてきたとなれば、リッチはこれらの宝物をためらいなく実戦投入するのです。
リッチは空気、飲食物、睡眠を必要としません。
リッチは生前に好んだ住まいに居続けることもよくあるのです。ぽつんと立った塔、ものに憑かれた廃墟、黒い魔法の学院に。その一方、一部のリッチは秘密の墓所を築き、強力な番人や罠を多数配置します。
リッチの住処に関わるものは何から何まで、そのリッチの鋭敏な精神と邪悪な知恵を反映しているのです。住処を守る魔法の罠や通常の罠もその例に漏れません。墓所の影深いくぼみにはアンデッド、人造クリーチャー、呪縛されたデーモンが潜み、飛び出してきてリッチの仕事を邪魔する勇敢な者どもを殺します。
リッチは負のエネルギーの紐を目標へ絡ませることで、自らのダメージの半分を負わせることができます。
リッチの住処で死んだクリーチャーたちの霊を呼び出して目標1体を攻撃するのです。目標は大きな死霊ダメージを受けます。その後亡霊の群れは消え去るのです。
【デミリッチ】
リッチに与えられた不死性は、そのリッチが経箱に定命の者の魂を与え続けねば維持できません。リッチが命を取るのを怠っていたり、しくじっていたりすれば、リッチの骨は塵となり、ついには髑髏のみが残るのです。これをデミリッチといいます。
デミリッチはリッチの邪悪な生命力の断片を備えるに過ぎませんが、それでも邪魔者に面と向かったときは、この生命力の残滓が空中に残って亡霊じみた姿をとるのです。しかるのち髑髏は恐ろしい叫び声をあげます。その声を聞けば心の弱い者は死に、強いものも恐怖に震えるのです。邪魔者がいなくなったら、髑髏はまた、ゆっくりと地面に戻り空しい平穏な存在を続けます。
自ら進んでデミリッチになろうとするリッチは稀です。なにしろそれは彼らがアンデッドになることで保持しようとした「ありかた」の終わりを意味するのですから。けれど、長い時を経て理性を侵食されたリッチが、古い塚に引き退き、経箱に魂を与え続けるのを忘れてしまうことはあります。かつて知っていた呪文は記憶から消え去り、リッチであった頃の秘術の力はもはや使えません。けれど、髑髏だけの姿となった今も、厄介な恐ろしい敵であることには変わりがないのです。
リッチがデミリッチと成り果てても経箱は生き残ります。経箱が無事である限り、デミリッチを恒久的に滅ぼせません。髑髏は再び形をとり、このクリーチャーは哀れなデミリッチの姿に戻ります。デミリッチに「リッチに戻りたい」と考える精神が残っている場合、経箱に1つの魂を与えるだけで元の力を取り戻せるのです。アンデッドの肉体は作り直され、デミリッチはリッチの形態に戻ります。
デミリッチは空気、飲食物、睡眠を必要としません。デミリッチの存在し続けようとする意思はきわめて大きいため、そのヒット・ポイントはヒット・ダイスに対して常に(平均値ではなく)最大値を取ります。
デミリッチは自分のかつての持ち物、宝物などを、迷宮のような墓所に隠しているのです。モンスターや罠が墓所を守ります。この迷宮の深奥にはデミリッチの骸骨と、他の部位の骨だった塵があるのです。
デミリッチはセーヴィング・スローに成功すれば半分のダメージで済むような効果にさらされた場合、そのセーヴィング・スローに成功すればいっさいダメージを受けず、失敗しても半分のダメージで済みます。
デミリッチはアンデッドを退散させる効果に完全耐性を有します。
デミリッチの絶叫を聞いたクリーチャーはヒット・ポイントが大幅に削られ、よくても次の自分のターンの終了時まで恐怖状態に陥ります。
デミリッチは10フィート以内にいて自分から見えるクリーチャーを最大3体まで目標にします。各目標は死霊ダメージを受け、かつデミリッチがこのダメージぶんのヒット・ポイントを回復します。
デミリッチから30フィート以内にいるクリーチャーは最大ヒット・ポイントが魔法の力で減少します。これにより0となったらそのクリーチャーは死亡するのです。最大ヒット・ポイントの回復は「グレーター・レストレーション」呪文やその他の魔法によって回復可能です。
デミリッチから30フィート以内にいるクリーチャー一体は魔法の力で呪われて攻撃などに不利を被ることがあります。目標自身のターンの終了時ごとに判定で成功すればこの呪いは終わるのです。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、リッチ(古英語で「死体」の意)ほど恐れられるクリーチャーはそうはいません。死霊術の技の頂点に立つリッチは、死を欺くための手段として自分の命を捨て去りアンデッドになることを選んだ呪文の使い手です。これほどまでの高みに至る者の多くは、不滅性の達成のために足を止めませんが、リッチになるという発想は大抵のクリーチャーにとって嫌悪されるものです。リッチとなる過程には、呪文の使い手自身の生命力を抽出し、特別に準備した経箱にそれを封じ込めることが含まれています。呪文の使い手は生を断念するが、捕らわれた命にはその者の死もまた閉じ込められており、経箱が無事である限り、リッチは時の流れを恐れることなく研究と作業を続けられます。
リッチになるための探索は長きに渡ります。呪文の使い手自身の魂を入れる魔法の経箱の作成はひじょうに重要な要素です。リッチにならんとする者はそのほかに自分の魂を容器の中へと転送し、自らの肉体を不死への変成に備えさせる秘密の術を学ばねばならず、どちらも容易なことではありません。この儀式をさらに複雑にするのが、まったく同じ肉体や魂はふたつとない、という事実です。ある呪文の使い手にとって有効な儀式は、別の者には単に殺してしまうか狂気に陥れるかすることになるかもしれません。個々の呪文の使い手の変成のための正確な方法はGMの判断に委ねられるが、金貨数十万枚ぶんの出費、幾度もの命に関わる冒険、幾月も幾年も幾十年もかかる多数のDCの高い技能判定を伴うべきです。
リッチになるにあたって、キャラクターの魂を保管する経箱を作成することは不可欠な過程です。リッチを確実に退治する方法は、その経箱を破壊する以外にありません。経箱を見つけ出して破壊しない限り、リッチは殺されても後で“黄泉がえる”ことができます。
リッチは自分の経箱を自分で作らねばならず、それには〈その他の魔法のアイテム作成〉の特技が必要です。そのキャラクターは呪文を発動できなければならず、術者レベルが11レベル以上でなければなりません。経箱は作成に120,000GPを必要とし、その作成した時点での作成者の術者レベルに等しい術者レベルを持ちます。
リッチの経箱の最も一般的な形態は、封印された金属製の箱の中に、魔法の文句が書かれた羊皮紙が数枚入っているというものです。この箱は超小型サイズで、40HP、硬度20、破壊DC40を有します。
もっとも別の形態の経箱も存在し、たとえば指輪やアミュレット(お守り)などといったアイテムのこともある。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、『D&D』の商標に抵触しないようノーライフ・キングの名で呼ばれています。
ノーライフキングは古代王国の強力なネクロマンサーが、失われた呪文を使って永遠に続く負の力を得た究極のアンデッド、それが「|生命なきものの王(ノーライフキング)」と呼ばれる存在です。ふつうは黒いローブ、フード姿です。生前の能力によって能力値に差が出てきます。もっとも「フォーセリア」には平均をとるほど多数のノーライフキングは存在していませんが……。
何といってもノーライフキングの恐ろしさは、それが強大な魔法力を持っていることでしょう。ノーライフキングは、古代語魔法、暗黒魔法の両方を最高レベル以上で使用します。
その他の特徴は、バンパイアに準じます。「土」の存在についても同様です。
TRPG『ロードス島戦記RPG』では、『D&D』の商標に抵触しないようノーライフ・キングの名で呼ばれています。
ノーライフ・キングは、古代王国期の強力なネクロマンサーが遺失呪文を使って変容した、最強のバンパイアです。フォーセリア全体を見渡しても、ほとんど存在していません。バンパイアの補足情報はすべて適用される。
TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、
最後に
今回は「リッチ」についてまとめました。
「リッチ」という名称は古英語で「死体」を意味するのですが、『D&D』が商標権を取得しているため、他作品がその名を用いることができません。
『SW』『ロードス島』では「ノーライフキング」と呼んでいます。すると「ノーライフキング」という名称が『SW』『ロードス島』の著作権に触れるおそれがあるのです。
同じような存在をあなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させたい場合は、名称を変更してください。
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