716.事典篇:魔獣:スフィンクス

 今回は「スフィンクス」についてまとめました。

「スフィンクス」といえばエジプトのギザ王のピラミッド前に置かれているものを連想すると思います。

 あれに翼を生やした姿がTRPGに出てくる「スフィンクス」です。





事典【魔獣:スフィンクス】


 現在スフィンクスといえばエジプトのピラミッド群を見守る守護者として、巨大な像が設置されています。

 スフィンクスも神話の生物なので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」に登場させてもかまいません。




スフィンクス

 スフィンクスは、エジプト神話やギリシャ神話、メソポタミア神話などに登場する、ライオンの身体と人間の顔を持った神聖な存在あるいは怪物。古典ギリシャ語では「スピンクス」といい、スフィンクスはこの英語読みです。

 本来はエジプト神話の生物ですが、ひじょうに古くからギリシャ神話にも取り入れられていました。

 エジプトのスフィンクスは王家のシンボルで、ギザのピラミッドにある、いわゆるギザの大スフィンクスは王の偉大さを現す神聖な存在です。対してメソポタミア神話やギリシャ神話のスフィンクスは怪物として扱われていました。

 エジプトにおけるスフィンクスは、ネメスと呼ばれる頭巾を付けたファラオ(王)の顔とライオンの体を持つ、神聖な存在です。王者の象徴であるあごひげをつけ、敵を打破する力、あるいは王または神を守護するシンボルとされています。古王国時代にはすでに存在し、神格化したファラオと百獣の王であるライオンを重ね合わせたものと考えられています。スフィンクスの種類には複数あり、男性も女性もいるのです。動物や鶏の頭部を持つものも見受けられます。中王国以降は最高神アモンの聖獣である雄羊の頭部を持つスフィンクスが、神殿の守護者として神殿に置かれたのです。

 メソポタミア神話におけるスフィンクスは、ライオンの身体、人間の女性の顔、ワシの翼を持つ怪物とされました。また、死を見守る存在とする考え方もメソポタミアで生まれたものです。

 ギリシャ神話におけるスピンクスは、ライオンの身体、美しい女性の顔と乳房のある胸、鷲の翼を持つ怪物(一部の絵画では尻尾が蛇になっている姿で表されることも)。テュポーンあるいはオルトロスとキマイラあるいはエキドナとの娘。一説によればテーバイ王ライオスの娘であり(アレクサンドリアのリュシマコス)、オイディプスとは兄弟となります。またウカレゴンの娘とする説も。当初は子どもをさらう怪物であり、また、戦いにおいての死を見守る存在でした。高い知性を持っており、謎解きやゲームを好みます。

 オイディプスの神話によれば、ヘラによってピキオン山に座し、テーバイの住人を苦しめていました。旅人を捕らえて「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足。これは何か」という謎を出し、間違った者を食べていたのです。なお、答えずに引き返すことは可能だったとされます。この謎はムーサに教わったとされているのです。しかしオイディプスに「人間は赤ん坊の時はハイハイで四つ足、成長して二足、老年で杖をつくから三足だ」と答えられ、岩の台座から飛び降り、海に身を投げて死にました。またはオイディプスに退治されたとも。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、スフィンクスは聖なる孤独のうちに神々の秘密と財宝とを守っています。試練を乗り越えられなかった嘆願者や探索者の骨が散らばる巣穴で、スフィンクスは前に進み出た新たな一団を、ただ静かに見つめるのです。豪壮な翼を左右に広げ、黄褐色の獅子の体は波打つ筋肉でたくましい。そして、力強い前足の爪はやすやすと人を真っ二つにするでしょう。

 スフィンクスは神々の財宝——それは忘れ去られた秘密であったり、強力な呪文、アーティファクトや魔法の門であったりします——を求めるものに試練を課し、己の価値を示させます。スフィンクスの試練を受けて立つことを選んだ者は、死を賭してその試練を乗り越えなければなりません。資格ある者だけが生き残れるのです。資格が無かったものはスフィンクスにより滅せられます。

 スフィンクスの中には、自分たちを作り出した神々の位高き司祭である者もいますが、多くは単に敬虔な祈りや神々の直接介入の結果として、定命なる者どもの世界に肉の身をもって顕現した霊です。彼らは眠る必要も食べる必要もなく、休むことなく警護を続けます。あるスフィンクスが他のスフィンクスと関わることはほとんどなく、その神聖な任務以外の生き方も知りません。

 スフィンクスの守る秘密や財宝は彼らに守られつつもなお、神々の庇護の元にあります。そのため、とあるクリーチャーがスフィンクスの試練に失敗したなら、スフィンクスの守っていた品物や知識への道は消え失せてしまうのです。探索者たちは、たとえスフィンクスを襲い討ち倒しても、求める秘密は得られません。そんなことになったなら、守護者としてスフィンクスを配置した神々は探索者たちを己の敵と見なすことでしょう。

 恵み深い神々の中にはときおり、試練に失敗した嘆願者を追い出す力をスフィンクスに与えるものもいます。そうしたスフィンクスは試練に失敗した嘆願者たちを、二度と自分の前に姿を現すことができないよう、遠くへ運んでゆくにとどめるのです。とはいえたいていの場合、試練に失敗した者は、スフィンクスの爪にかかり無残な最期を迎えます。

 定命の存在がスフィンクスと遭遇するのは、多くの場合古代の墓所や廃墟においてです。しかし、スフィンクスには他次元界のさまざまな場所に行けるものもいます。崩れかけた石壁のもとでスフィンクスと話し始めたというのに、突如として人間サイズのゲーム盤の上にいたり、荒れ狂う嵐の中、そそりたつ崖を登っていたりするのです。ときには嘆願者が主なき巣穴を訪れ、そこで異次元の空間からスフィンクスを召喚せねばならないこともあります。スフィンクスがその資格ありと見なした者だけがその本拠地へ脚を踏み入れられるのです。

 スフィンクスの中には、長い年月に疲れたり、純朴な者たちを皆殺しにしたことを悔やんだり、知識を得ようと交渉を試みる嘆願者たちから崇拝されることを夢見たりして、神の命令から外れるものがいます。しかし、このように属性や忠誠心があやふやになったスフィンクスであっても、守る場所は決して去らず、己が価値を認めたクリーチャー以外にその秘密を与えることもありません。

 スフィンクスは古代の寺院、地下墓所、納骨所などに鎮座しています。その中には定命の存在の手に余る、神の秘密や財宝が隠されているのです。

 スフィンクスの住処では時の流れが錯乱しており、若返ったり年老いたり、最大十年前までに行ったり十年後までに行ったりすることがあります。

【アンドロスフィンクス】

 アンドロスフィンクスはライオンの体に人型生物の男性の頭部と鷲の翼を備えています。

 一見したところ不機嫌で覇気がなく、侮辱や否定的見解から会話を切り出します。しかしそのつっけんどんな外見の裏には気高い精神があるのです。彼らは自ら望んで嘘をついたり騙したりしないが、たやすく情報は受け渡しせず、秘密を守るため言葉は可能なかぎり賢明に選びます。

 嘆願者の武勇や勇敢さとを試すのです。そのために彼は成し遂げる探索を課すだけでなく、恐るべきその雄叫びを用います。アンドロスフィンクスの雄叫びは数マイルにわたって響き、近隣のクリーチャーの耳を聾して、恐れさせるほどのものです。

【ギュノスフィンクス】

 キュノスフィンクスは人型生物の女性の頭部と鷲の翼を備えています。多くは堂々として機知に富む女王といった佇まいです。しかし、より野性的なライオンじみた風貌の個体もいます。

 ギュノスフィンクスの目は今を越え、ここを越えて、はるか遠くを見通しており、不可視や魔法のとばりをも見破るのです。その目を覗き込む嘆願者は、いつの間にか自分たちが魔法によって連れ出され、どこか遠く離れた次元界へ追いやられたことに気つくでしょう。そこで難題が待ち受けています。

 ギュノスフィンクスは知識と伝承の歩く図書館です。彼女たちは秘密を学びに来た嘆願者たちに、その機転を試すため謎を投げかけ、パズルを示します。中には自ら嘆願者に対し、財宝や奉仕と引き換えにその秘密を与えると交渉を持ちかけるものもいるのです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、スフィンクスには多くの異なる種が存在しますが、学者たちが“ギュノスフィンクス”(この名は多くのスフィンクスが侮辱であると受け取る)と呼ぶものは賢明で威厳のある、しかし怒らせると恐ろしいクリーチャーです。彼女らに対応する男性形(“アンドロスフィンクス”――ここで挙げられているスフィンクスとはまったく異なるクリーチャー)ほど道徳的ではないが、スフィンクスは意志を決めるにあたって注意深く理路整然としており、自身の冷静な論理と公正さを誇っています。彼らはより弱いスフィンクスの変種を動物とほとんど変わらないものと考えており、それらに対しては気が短い。スフィンクスは謎かけと複雑なジレンマを愛しており、黄金や宝石よりも、奇妙な事実やちょっとした神秘学の知識を尊重します。

 スフィンクスは伝説的な意味での素晴らしい学者、というわけではないが、謎かけへの深い愛情のために幅広い事物に関して深く研究しており、特に彼らが魔法の力を使った際には、彼らはしばしば有用な情報源となるのです。通常は他の種族と喜んで取引し、物質的な財と、情報や目新しく面白い謎とを交換したがります。彼女らがじゅうぶん楽しんでいるなら、神殿、墳墓、その他の重要な場所の優れた番人になります。スフィンクスは礼儀に大きな重きを置きますが、危険なほど気まぐれです。彼女らは利他主義から最新の謎かけを分け与えようとしますが、自分たちの謎にじゅうぶんな注意を払わなかったり有用な洞察を与えなかったりしたものを貪り食うことはなんとも思いません。

 典型的なスフィンクスは体長10フィート(約3m)、体重800ポンド(約360kg)。その翼により彼らは長時間にわたって空に浮かんでいることができますが、うまく飛べるわけではありません。敵と接触するまでに着陸し、強力な爪を使って襲いかかることを好みます。縄張り意識は強いが、攻撃する前に侵入者にじゅうぶん警告を与えようとするのです。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、人間の頭、肩、胸があります。しかし、人間の腕はなく、胴体はライオンです。ほとんどの人間の2倍の賢さを持っています。謎かけにふける悪習があり、魔法は使いません。

 スフィンクスはライオンの胴体に人間の上半身を持つモンスターです。知性は高いのですが、謎かけを挑まれると、つい応じてしまう欠点があります。謎かけはスフィンクスが出した謎を解くか、キャラクターの出した謎をスフィンクスが解くかの形で行なわれます。あるいは双方が謎を出し合い、より多く答えられたほうが勝ちとしてもいいでしょう。

 この謎かけに失敗した場合、スフィンクスは相手のいうことを1つ、無条件に聞かなければなりません。しかし、それが、スフィンクスにとって不可能な場合は無視されます。

【ギリシャ・スフィンクス】

 ギリシャ・スフィンクスは翼と腕を持った種族です。また、必ず女性です。その他の特徴はふつうのスフィンクスと同じです。

 ギリシャ・スフィンクスは空を飛べ、キャラクターを上空に運んだのち落としてダメージを与えるという戦法もとれます。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、スフィンクスは、ライオンの体にワシの翼が生え、美しい人間のような顔をしています。寿命はきわめて長く、多くの知識を蓄えています。古代語魔法を唱えることもできますが、よほどのことがないかぎり、やたらに魔法を用いたり、戦いを挑んでくることはありません。

 スフィンクスは古代王国の魔術師が正しい知識を守護するために作り出した幻獣であるといわれ、失われた古代語魔法の呪文書や、貴重な魔法のアイテムなどを愚か者の手に渡さぬよう守っています。友好的な態度で接した場合、スフィンクスは相手がどの程度の知恵の持ち主かを見極めるために、謎かけを行なってくることもあります。真に賢明で心正しいと認めた者にだけ、スフィンクスは秘密を明かしてくれるのです。





最後に

 今回は「スフィンクス」についてまとめました。

 数多くの神話で語られていますので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」にスフィンクスを登場させることができます。

 エジプトにある大スフィンクス像には翼はありませんが、本来スフィンクスには鷲の翼が生えています。



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