717.事典篇:魔獣:ペガサス
今回は「ペガサス」についてまとめました。
登場するだけで、これは「剣と魔法のファンタジー」なんだと思わせられるのが天馬ペガサスです。
とくにギリシャ神話的な英雄譚には、エルフやドワーフよりも欠かせないかもしれません。
事典【魔獣:ペガサス】
ギリシャ神話的な「剣と魔法のファンタジー」世界を最も演出できるのは、北欧神話由来のエルフやドワーフよりもペガサスかもしれません。空中戦を行なうためには、空飛ぶマントや空飛ぶ靴などがなければ、空を飛べる生物の力を借りることになります。
しかしファンタジー世界において空を飛べる生物で、騎手の言うことを聞く生物は少ないのです。その点ペガサスは聡明であり、きちんと話し合えば人型生物が自分を必要としていると理解してくれます。
また初出はギリシャ神話であり、あなたの「剣と魔法のファンタジー」にも著作権を意識せずに登場させられます。
ペガサス
ペーガソスはギリシャ神話に登場する伝説の生物です。鳥の翼を持ち、空を飛ぶことができる馬とされます。海神ポセイドンとメドゥーサの子で、クリュサオルと兄弟。
ラテン語ではペーガススといい、英語読みペガサスでも知られます。日本語ではペガソス、ペガススと呼ばれるほか、
ポセイドンの子を身籠ったメドゥーサが英雄ペルセウスによって倒された際、ペガサスはクリュサオルとともにメドゥーサの首の傷口から生まれました。その後ペルセウスはヘルメスから与えられた翼のあるサンダルで、エチオピアの上空を飛んでいるときに岩に縛りつけられたアンドロメダを発見したのです(一説にはペガサスに跨っていたともされる)。一方のペガサスは天に上り、ゼウスのもとで雷鳴と雷光を運ぶという名誉ある役割を与えられました。
ペガサスはコリントス出身の英雄ベレロポーンの愛馬になったとも伝えられています。最初ペイレーネの泉に現れるペガサスを捕らえようとして苦労したのです。すると夢にアテナが現れて面繋のついた黄金の轡を授けました。ベレロポーンはこの轡を用いることでようやくペガサスを捕らえることができたのです。ペガサスはポセイドンからベレロポーンに与えられたともされます。そしてベレロポーンはペガサスに騎乗して戦うことで、アマゾンやソリュモイ人の討伐、怪物キマイラを滅ぼすという武勲を立てました。
しかしベレロポーンは次第に増長し、ついにはオリュンポスに昇って神々の集会に加わり、神々がどこに自分の座を持っているのかを確かめようとしたのです。しかしベレロポーンはゼウスの怒りに触れ、驚いたペガサスはベレロポーンを振り落としました。大地に墜落したベレロポーンは足を折り、一人淋しくその生涯を終えたのです。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、翼を持つ白い馬であるペガサスが大空を舞う眺めは、優雅と威厳に満ちています。大地に降り立つのはほんの一瞬、山の泉や澄み切った湖で喉を潤す間だけです。他のクリーチャーのかすかな足音が聞こえるか、ちらりとでも姿が見えただけで、再び雲の上に飛び去ってしまいます。
グリフィン、ヒポグリフ、ワイヴァーンなどと比べて速度に勝り、気性も穏やかなため、ペガサスは速さと信頼性に優れた乗騎として珍重されているのです。ですが、この人見知りする野生の生き物は人型生物と同程度の知能を有するため、普通の動物のように飼い慣らして調教できません。ペガサスに乗りたければ、善属性のクリーチャーが自ら説得するしかありません。ひとたび説得できれば、ペガサスは生涯の相棒となります。
ペガサスは今もこの次元界の大空を羽ばたき、エルフの神々のパンテオン(神格集団)に忠実な乗騎として仕えているのです。エルフの神々は物質界にいる、助けを必要とする者にペガサスを遣わすと言われています。
ペガサスの夫婦は一生をともにし、徒歩では近づきがたい場所に巣を作って子を産み育てます。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ペガサスは、時に善の大義のために仕える、翼のある壮麗な馬です。空飛ぶ乗騎として高く評価されていますが、ペガサスは荒々しく用心深いクリーチャーであり、簡単に手懐けられません。典型的なペガサスは肩高6フィート(約1.8m)、体重1,500ポンド(約680kg)で、翼を広げた幅は20フィート(約6m)。ほとんどのペガサスは純白だが、ときおり通常の馬と同じような色と模様で生まれるものもいる。
その外見に似合わず、ペガサスは人間と同じくらい知的です。そのため、ペガサスを乗騎として訓練しようとする者は、ペガサスは強情で、暴力的でさえあると知る羽目になります。ペガサスは会話こそできませんが、共通語を理解でき、善なる者の仲間になることをひじょうに好みます。ペガサスに乗騎となることを納得させる適切な方法は、交渉、親切な行為、善行によって友好関係を結ぶことです。たいていの場合、ペガサスは善属性のクリーチャーに大して“中立的”であり、中立属性の者には“非友好的”、悪属性の者には“敵対的”です――ペガサスが乗騎となることを承諾するには、〈交渉〉判定やその他の手段によってペガサスの態度を“協力的”にする必要があります。通常の鞍の帯はクリーチャーの翼の動きを妨げるため、ペガサスに乗騎するには特殊な鞍を設置するか、鞍をまったく着けずに騎乗する必要があるのです。ペガサスは騎手を乗せたまま戦闘できますが、騎手も同時に攻撃するには〈騎乗〉判定が必要。訓練済みのペガサスは戦いを恐れず、騎手が“戦闘中に乗騎を操る”ために毎ラウンド〈騎乗〉判定を行なう必要はありません。
ペガサスは卵を生みます。卵は市場で1個2,000GP、仔は1頭3,000GPの価値があるのです。しかし、彼らが知性を持つ善属性のクリーチャーである以上、卵や子供を売ることは奴隷売買となんら変わりなく、善の社会では軽蔑される行ないであり、違法な行為です。
ペガサスはホースと同じ速度で成長します。プロの調教師はペガサス1頭を育てたり訓練するのに1,000GPを要求するのです。そうして訓練されたペガサスは一生の間、善または中立属性の主人に絶対の忠誠をもって仕えます。
ペガサスにとっての軽荷重は300ポンドまで、中荷重は301〜600ポンド、重荷重は601〜900ポンドです。
一部のペガサスには、強力な英雄的名馬の血が濃く流れています。このような優れたペガサスの寿命は人間と同程度であり、“完璧”の飛行機動性、[火炎]への対抗、毒に対する種族ボーナス、石化への完全耐性を持ちます。一部のものは共通語か天上語をいくらか話せます。彼らは普通のホースやペガサスに対する自らの優越性をじゅうぶんに認識しており、騎手を乗せて飛ぶのになんの訓練も必要としないものの、偉大なる英雄以外の者が自らの背に跨ることを認めません。
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、ペガサスは翼を持った魔法の馬で、体色はつねに混じりけのない純白であり、この世界では滅多に見られません。ほとんどは風の精霊界に住んでいますが、ときおり誰にも生活を乱されない、雲より高い辺境の山々に住んでいることもあります。用心深い生物ですが、銀の品を渡すと約束することで善の心を持つものに召喚されることもあります。銀を贈れば、乗り手をどこへでも乗せていってくれるのです。とても強靭で凄まじい速度で飛行できます。知能もきわめて高いが、空の生き物の言葉しか話せません。危険にさらさられたときは、必要に応じて蹄を用いて戦いますが、普通は精霊界や安全な場所へあっという間に帰っていこうとします。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ペガサスは翼の生えた白い馬で、空を飛ぶことができます。野生のペガサスは険しい山の上に棲み、草を食べるためにふもとの草原に降りてきます。ペガサスを生け捕りにするのは困難ですが、飼い慣らすのはそれ以上に困難です。というのも、ペガサスは人間以上に誇り高い動物で、奴隷にされるぐらいなら死を選びます。ただし、真の勇者であると認めた人間なら、ペガサスは自ら進んで背中に乗せてくれます。
TRPG『クリスタニアRPG』には、大きな翼を持った白馬。空中を羽ばたくその姿は、なんとも気高く美しい。伝説ではペガサスは高貴な心を持っており、勇者だけにはその背を許すといわれてます。前脚や後ろ脚で蹴って攻撃を行ないます。通常武器では傷つきません。
最後に
今回は「ペガサス」についてまとめました。
ペガサスが登場するだけで、誰でもあなたの作品が「剣と魔法のファンタジー」であることを理解してくれます。
そして気性も穏やかで、ペガサス自身が乗り手を認めれば、進んで騎乗させてくれるのです。
空飛ぶ魔獣と戦おうとするなら、こちらも空飛ぶクリーチャーに乗っている必要があります。魔法やマジックアイテムで空を飛ぶという選択肢もありますが、ペガサスに跨った英雄の姿は読み手に強く印象づけられるのです。
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