713.事典篇:魔獣:キマイラ
今回は「キマイラ」についてまとめました。
英語読みの「キメラ」のほうがわかりやすいと思います。
さまざまな生き物を結合せて無理やり誕生させたクリーチャーです。
「キメラ細胞」や「キメラ生物」などと読んで使っているケースが多い。
これから数回はそんな「キメラ生物」を順に紹介していきます。
事典【魔獣:キマイラ】
キマイラとは複数の生き物を合成して生み出された怪物全般のことを指します。
このような特性は「キメラ」と呼ぶことが多いのですが、キマイラもやはり複数の生き物の合成によって生み出された怪物です。
キマイラ
キマイラはギリシャ神話に登場する怪物です。ラテン語ではキマエラ、ヨーロッパのいくつかの言語ではキメラと言い、英語ではキメラ、キメイラ、またはカイメラ、フランス語ではシメールと言います。名前の意味は「牝山羊」です。
テュポーンとエキドナの娘。ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持ちます。それぞれの頭を持つとする説もあります。強靭な肉体を持ち、口からは火炎を吐きます。その火炎によってしばしば山を燃え上がらせたのです。リュキアに住み、カーリア王アミソダロスに育てられました。ペガサスに乗る勇者ベレロポーンにより火炎を吐く際に先端に鉛の塊を付けた槍を口に放り込まれ、火炎の熱で解けた鉛で喉を塞がれて窒息死させられたのです(背中に矢を射られて退治されたとする説も)。
元はヒッタイトで神聖視された季節を表す聖獣で、ライオンが春、山羊が夏、蛇が冬を象徴していました。
中世のキリスト教寓意譚では、主に「淫欲」や「悪魔」といった意味付けを持って描かれたのです。
怪物キマイラは生物学の「キメラ」の語源となっています。「異質なものの合成」という意味から「キメラ細胞」「キメラ生物」などの用語が作られたのです。フランケンシュタインをして「キメラ合成生物」などと表現することもあります。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、キマイラが生み出されたのは、定命の者たちが「全デーモン族の王」をこの世界に召喚した後のことです。「全デーモン族の王」は、周りの生き物を見て感心せず、これを恐るべき多頭の怪物に作り変えてました。こうして最初のキマイラが生まれたのです。
キマイラはデーモン同様の冷酷さを備えています。典型的なキメラの姿は、身体の後ろ半分は大きな山羊、前半分は獅子、背中には竜のものに似た皮膜の翼、そしてこれら三つの生き物の頭をすべて備えているのです。獲物の不意を突いて滑空して舞い降り、口から炎を吐きかけたのち着地して襲いかかる、という戦術を好みます。
キマイラは三つの生き物の最悪の部分を併せ持つのです。竜の頭は襲撃し略奪し宝の山を積み上げようとします。獅子の心は狩りをし、縄張りを荒らす強敵を倒そうとするのです。そして山羊の頭ゆえにキマイラは気性が荒く頑強で、戦うときは死ぬまで戦おうとします。
これら三つの性質が合わさった結果、キマイラは広大な土地を己の縄張りと見なすのです。野生の動物を食べて生き、それより強いクリーチャーのことは競争相手と見なして、恥をかかせ打ち負かそうとします。大きな競争相手はドラゴン、グリフィン、マンティコア、ペリュトン、ワイヴァーンなどです。
狩りをするとき、キマイラは骨を折らずに楽しむ方法を考え、弱い生き物が恐れ苦しむさまを大いに喜びます。しばしば獲物をもてあそび、中途で攻撃の手を止めて相手を手負いのまま震えあがらせたうえで、改めて息の根を止めにかかるのです。
キマイラは特に奸智に長けた生き物ではありませんが、竜の肥大した自我を持つゆえに、おせじや贈り物には弱い。旅人は、食べ物と宝物を差し出せば、キマイラに見逃してもらえるかもしれません。悪党は、キマイラにいつも充分な食べ物を与え、キマイラの宝の山をさらに高くしてやれば、キマイラを自分たちのために働かせることができるかもしれないのです。
同時に噛みつき、爪、角の三つの攻撃が行なえ、竜の頭では炎のブレスを吐けます。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、キマイラは原初の悪が産み出した奇怪なモンスターです。腹を空かせたキマイラは、地上でも空でも狩りをします。キマイラのドラゴンの頭はいずれかの悪属性のドラゴン種のもので、対応するブレス攻撃を使用できます。さらに、キマイラの翼は通常、ドラゴンの頭の鱗と一致しているのです。キマイラは話すときは3者の声が重なり合いますが、より強力なクリーチャーにへつらうときを除けば、滅多に自分から話そうとはしません。キマイラは、肩までの体高が5フィート(約1.5m)、体長は10フィート(約3m)に近く、体重は700ポンド(約320kg)。
肉を好むが、必要とあらば植物性のえさで食いつなぐこともできます。ただし、そう強制されれば普段よりも機嫌が悪くなってしまうでしょう。キマイラはその飛行能力によって獲物を運べ、手頃な食料を探して広い範囲で狩りをします。キマイラは愚かで好戦的なため手下を持ちませんが、ときおりコボルドの部族が供物を捧げていることも。逆に言えば、キマイラは哀れなペットを飼う程度の知性と頑強さがあります。そして、キマイラを従順にさせておけるのは、キマイラよりはるかに強力なクリーチャーだけです。キマイラは敬意を持って接してくる人型生物などと対等な協力関係を築くこともあり、乗騎となることに同意することすらあります。雄のボスがグループを率いることや狩りはほとんど雌が行なうことなど、キマイラの群れの構成はライオンと酷似しています。単体でいるキマイラは若い雄か、すぐ近くに幼獣がいる雌です。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、キメラはギリシャ神話上の魔物で、恐ろしいものを集めたものです。ライオンの頭、山羊の胴体、蛇の尻尾、狼の前脚を持っています。キメラは火、または毒を吹きます。洞窟に潜み、羊や女性をさらいに来るときにだけ出てきます。
キメラは主に洞穴に潜んで生きており、ドラゴンと同じように炎や毒を吐く能力を持っています。
なお、このような合成怪物のことを総称してキメラと呼ぶこともあります。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、キマイラは胴体の前部分が黒いライオン、後ろ半分が悪魔の黒山羊です。尻尾は蛇で、背中からは山羊の頭が生えています。きわめて狂暴なことで知られ、よほどの勇者でなければ倒すことは不可能です。幸いにも深い山奥に棲んでいるのと、無理な合成がたたって繁殖力が弱く、数が少ないので、めったに遭遇することはありません。
戦闘のときには、キマイラはライオンの牙と尻尾の蛇の牙で、同時に二つの目標を攻撃できます。同一目標に対して一度に二度攻撃することはできません。蛇の牙には言語中枢を麻痺させる神経性の毒があり、これに冒された者は、一日間はしゃべることも呪文を唱えることもできなくなります。また、背中の黒山羊の首は中程度の暗黒魔法を唱えられるのです。
TRPG『ロードス島戦記RPG』では胴体の前半分が黒いライオン、後ろ半分が黒山羊、そして蛇の尾を持つ暗黒神の下僕と思われる魔獣です。深い山奥などに棲み、繁殖力が低いため、めったに遭遇しません。人間並みの知能を持ち、山羊の頭は暗黒魔法を使いますが、言葉は話さずコミュニケーションを取るのは至難でしょう。
TRPG『クリスタニアRPG』では、巨大な獅子の背中に山羊の頭が生え、蛇の尾を持った魔獣。山羊の頭には人間並みの知能があるが、その性格はきわめて残虐。山羊の頭はダークプリースト魔法を使い、蛇の牙には即効毒があります。
TRPG『グランクレストRPG』では、獅子の頭、山羊の体、そして毒蛇の尾をする魔獣。山を燃え上がらせるほどの炎を吐きます。
最後に
今回は「キマイラ」についてまとめました。
『SW』『ロードス島』『クリスタニア』では竜が混じっていないのですが、暗黒魔法が使えるためそれなりに脅威です。
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