710.事典篇:亜人族:ライカンスロープ

 今回は「ライカンスロープ」についてまとめました。

「ライカンスロープ」と言えばワーウルフ、ワータイガー、ワーベアといったあたりが挙がるでしょう。

 しかし「ライカンスロープ」はギリシャ語で「狼人間」のことであり、それ以外は本来「ライカンスロープ」ではないのです。

 ですが、一般的には「ライカンスロープ」は「獣に变化する人間」の総称のように受け取られています。

 あなたの「剣と魔法のファンタジー」において「ライカンスロープ」をどう扱うかは統一して運用してください。





事典【亜人:ライカンスロープ】


 狼男は獣人(伝説の生物)の一種で、狼または半狼半人の姿に変身したり、狼に憑依されるなどした人間の男性です。同様の女性は狼女で、男女を特定せず狼人間・人狼ともいいます。

 ウェアウルフ、ワーウルフ、ヴァラヴォルフ、ライカンスロープ、リカントロープ、ルー・ガルー、ウルフマンなどとも。これらは語源的に男性を意味する語ですが、男女を問わずに使うことが多い。その起源は東ヨーロッパとされます。「北欧神話」にもウールヴヘジンと呼ばれる狼に由来した戦士がおり、ベルセルク(バーサーカー)と同種と言われ、狼男の伝説にも影響を与えているのです。




ライカンスロープ

 ライカンスロープはギリシャ語のリュカントロポスが語源で、これは狼を意味する「リュコス」と、人間を意味する「アントローポス」から来ています。つまり、直訳すれば「狼人」です。

 月や丸いものを見ると変身するという伝承も一般的ではなく、映画や小説における創作に属します。

 熊もギリシャ神話で女神アルテミス及びその侍女カリストーと熊への変身が結びつけられるなど、変身譚と結びつきの強い動物です。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、数ある呪いの中でも特に古く恐ろしいライカンスロピーの呪いは、最も文明的な人型生物すら野蛮な獣に変化させてしまいます。この呪いを受けた者(=ライカンスロープ)は、本来の姿である人型生物の姿でいる間は呪われる前と変わらなく見えるのです。時の経つにつれ、多くのライカンスロープは動物の姿を匂わせるような特徴を見せるようになっていきます。動物の姿になったライカンスロープは、その動物の強化版に見えるのです。近づいてその目をよく見れば獣にふさわしからぬ知性の光が見え、闇の中では目が赤く光ります。

 邪悪なライカンスロープは庶民の中に隠れており、夜になると(特に満月の晩に)動物の姿を現して恐怖と流血をまき散らします。善良なライカンスロープは世捨て人であり、文明的なクリーチャーの近くにいると落ち着かないため、村や町から離れた大自然の中で独り暮らしている者が多い。

 人型生物がライカンスロピーの呪いを受けるのは、ライカンスロープに傷つけられた場合か、両親の片方または両方がライカンスロープである場合です。「リムーヴ・カース」の呪文は後天的なライカンスロープからこの呪いを取り除くことができます。生まれつきのライカンスロープの呪いを解けるのは「ウィッシュ」だけです。

 中にはこの呪いに抗う者もいて、人型形態でいる間は以前のままの属性と人格を保つことができ、荒れ狂う獣の衝動を己の内深くに押し込めて、それまで通りの生活を送ることができます。ですが満月が昇ると、呪いは抗えぬほど強くなり、獣の姿に——あるいは動物と人型生物を混ぜ合わせたような恐るべき中間形態に変わってしまうのです。月が欠けていけば、内なる獣はふたたび抑えられるようになります。ライカンスロープは獣になっていた間のことを憶えていない場合もあるのです(この呪いを受けたクリーチャーが呪いに気づいていない場合は、とくに憶えていないことが多い)。だがその記憶は、血まみれの夢となってライカンスロープを苦しめることになります。

 この呪いに逆らっても得はないと考え、ライカンスロープとなった自分を受け入れる者もいます。この者たちは時間と経験を重ねる中で己の変身能力の扱いに熟達しており、自由に動物形態や中間形態に変身できるのです。獣の性質を受け入れたライカンスロープのほとんどは、血の餓えに屈し、悪に染まり、弱者を餌食にする隙を窺うようになります。

 また、ヒューマン以外のライカンスロープも存在しえます。

【ワーウルフ】

 ワーウルフ(人狼)は凶暴な捕食者です。人型形態では五感が鋭く、怒りっぽく、生肉を好んで喰らう傾向があります。ウルフ形態は恐るべき肉食獣ですが、中間形態はさらに恐ろしい——毛皮に覆われた筋骨隆々の人型生物の体に、餓えた狼の頭が乗っているのです。中間形態のワーウルフは武器を使えますが、強靭な爪と牙で敵を引き裂くほうを好みます。

 ほとんどのワーウルフは呪いを受けて間もないうちに文明地を離れます。この呪いに抗う者は、友人や家族の元に留まり続けることで訪れる結果を恐れるのです。この呪いを受け入れた者は、己の凶行の露見と処罰を恐れます。

 野外では、ウルフやダイア・ウルフと一緒に群れを作っているのです。

【ワーラット】

 ワーラット(人鼠)は欲深で人目を避ける、ずる賢いライカンスロープです。人型形態のワーラットは引きつったようなやせ形で、体毛は薄く、目はキョロキョロと素早く動きます。人型および中間形態では軽い武器を好み、群れて戦うよりも待ち伏せを仕掛けようとするのです。ラット形態になれば嫌らしい噛みつきが行なえますが、鼠の姿は戦闘用ではなく潜入や逃走のために使いたがります。

 ワーラットの氏族は盗賊ギルドによく似た機能を持っており、彼らが呪いを与えるのは自分たちの氏族に迎え入れたいと思った相手に限られるのです。偶然この呪いを受けた者や、氏族の命令に従わない者は、狩り立てられて殺されます。

 ワーラットの氏族はあらゆる文明の都会に巣食っており、地下室や地下墓地をねぐらにしていることが多い。とりわけ大都市の地下下水道は彼らの狩り場になっていて、日常的にワーラットが目撃されています。ラットやジャイアント・ラットがワーラットと混じり暮らしていることも多い。

【ワーボア】

 ワーボア(人猪)は気性が荒く粗野な暴れん坊です。人型形態のワーボアはずんぐりした筋肉質で、髪は短く硬い。人型形態および中間形態では重い武器を使い、中間形態および動物形態では破壊的な牙の攻撃によって呪いを伝染させます。ワーボアは見境なしに呪いをまき散らすのです。犠牲者が呪いに抗おうとすればするほど、より凶暴で動物的なワーボアが生まれるという事実は、ワーボアを喜ばせます。

 ワーボアは人里離れた森林地帯に小さな家族集団で暮らし、掘っ建て小屋を建てるか洞窟を住まいとするのです。よそ者への警戒心が強いが、オークとは友誼を結ぶことがあります。

【ワータイガー】

 ワータイガー(人虎)は高慢ちきで気難しい性格の、獰猛な狩人にして戦士です。人型形態ではしなやかな筋肉となめらかな肌を持ち、背は高く、身なりが非常に整っています。動物形態および中間形態では見上げるほど大きくなりますが、できることなら洗練された人型形態で戦おうとするのです。同族の数が増えると縄張りや獲物を奪い合う競争相手が増えることになるので、自分の呪いを広げようとはしたがりません。

 ワータイガーは人型生物の文明圏の端のジャングルに住みます。一人または小さな家族集団で生活し、狩りを行なうのです。

【ワーベア】

 ワーベア(人熊)は己の怪物的な性質を抑え暴力的な衝動をはねつけることのできる、強力なライカンスロープです。人型形態のワーベアは大柄な筋肉質で、熊になった時の自分の毛皮と同色の体毛を持ちます。自分が獣の本性に呑まれたとき、近くに無辜(むこ)の民がいたならば何が起こるか知れたものではないと恐れ、人と交わろうとしないのです。

 変身したワーベアは途方もない巨体と化して武器や爪を叩きつけます。熊のように凶暴に戦いますが、獣の姿にあっても、己の呪いが広がらぬよう嚙みつきだけは避けるのです。ワーベアが自分のライカンスロピーを与えるのは選び抜かれた弟子や相棒に限られ、新たなライカンスロープがこの呪いを受け入れて制御できるよう手助けします。

 ワーベアは単独行動のクリーチャーであり、自分の縄張りの守護者としてその地の動植物を守っているのです。ほとんどのワーベアは善属性ですが、他のライカンスロープと同じくらい悪に傾いた者もいます。

【ジャッカルワー】

 ジャッカルワー( 「人間に化けるジャッカル」の意)はありふれたジャッカルがデーモンの力に染まったものであり、大小の街道に出没し、やってくる者を待ち伏せて殺します。

 ジャッカルワーは三つの肉体的形態を持ちます。真の形態では通常のジャッカルと区別がつきません。ヒューマン形態をとることもでき、往々にして骨と皮の姿で、旅人の善意にすがろうとします。旅人がジャッカルワーを迎え入れると、ジャッカルワーはヒューマンと同じほどの大きさの中間形態をとるのです。それはジャッカルの毛皮と頭部を持つが二本足で立って攻撃します。

 デーモン・ロードが、自分に忠実なしもべであるラミアたちのそのまたしもべとして、ジャッカルワーを生み出しました。アビスから手を伸ばしてジャッカルに言葉を話す力を贈り、ヒューマン形態をとる能力を与えました。

 ジャッカルワーは生まれついての嘘つきです。勘のいいクリーチャーなら、ジャッカルワーが真実を語るときには苦しみたじろぐのに気づくかもしれません。

 ジャッカルワーはジャッカルや他のジャッカルワーと一緒に戦うことを好むのです。ジャッカルワーに率いられたジャッカルは、猛々しく忠実な仲間となります。

 ジャッカルワーは主人のラミアのために人型生物をさらってきて、一生奴隷にするか、苦痛に満ちた死を与えるのです。ジャッカルワーの魔法の凝視は敵を気絶状態にし、縛りあげるも引っ張ってゆくも意のままです。また、凝視で強敵の力を奪い、その間に逃げ出すこともあります。

 変身の際、装備または運搬していた装備品は変化しません。死亡したジャッカルワーは真の形態に戻ります。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、ライカンスロープとは、動物や半人半獣の姿に変身する能力を持つ人型生物のことです。先天性ライカンスロープはこの能力を生まれつき持っていて、変身能力を完全に制御できます。後天性ライカンスロープは別のライカンスロープから呪いや病気のようにこの能力をうつされた者たちであり、特に意図せず変身してしまうのです。

 ライカンスロピーに罹患したクリーチャーは後天性ライカンスロープとなるが、次の満月の夜に犠牲者が望まずして動物形態になって自我を喪失するまでは、いかなる症状も見せません。そのキャラクターは次の夜明けまで動物形態を取り続けます。

 ライカンスロープの攻撃を受けてから三日以内にキャラクターがクレリックの「リムーブ・ディジーズ」あるいは「ヒール」呪文を受けられればこの病気を治療できます。それ以外にもトリカブトを一服ぶん服用すると、後天性ライカンスロープはライカンスロピーから回復するための新たな頑健セーヴを行なうことができるのです。

【ワーラット】

 先天性ワーラットは背が低いながら強靭であり、その目は常にあたりを素早くうかがい、頻繁にぴくぴくと神経質に痙攣しています。男性は薄くて不揃いな口ひげを生やしていることが多い。

 ワーラットは人型生物やラットの集団に溶け込みやすい都市部を好みます。その能力により、ワーラットは盗みと密偵に特に長けており、多くの都市の盗賊ギルドがワーラットのメンバーを多数抱えているのです。

【ワーウルフ】

 人間形態では、ワーウルフは普通の人のように見えますが、やや野性的な顔立ちをしていて髪がボサボサに伸びていることも多い。眉毛がつながっている、人差し指が中指よりも長い、手のひらに奇妙なあざがあるなど、これらはすべてワーウルフのしるしだと広く認められています。もちろん、そういった告発のしるしは常に正しいとは限らず、こうした肉体的特徴は普通の人にも見られるのだが、ワーウルフがありふれた問題となっている地域では、こうした特徴は動かぬ証拠となりえます。

 多種多様なライカンスロープの亜種の中で、ワーウルフは最も広く分布し、最も恐れられているのです。ひとり森の小道に出没したり、田舎町の外れにある霧のムア(荒れ丘)をうろつきまわったり、大都市の影に潜んでいたりするワーウルフの話も広く知れ渡っています。ほとんどの共同体でワーウルフは恐れられ軽蔑されるのです。それにはじゅうぶんな理由があります。典型的なワーウルフは、ライカンスロープの野蛮さと獣性をすべて体現しているのですから。善属性のワーウルフがいないわけではないが、そういった者たちはワーウルフの間では間違いなく少数派で、ほとんどのワーウルフは狩りと血の滴る生肉の味に喜びを見出だす悪の殺人者です。

 ウルフが群れを作る動物であるのとまったく同じく、ワーウルフは同族だけで集落にまとまって暮らし、日中は人型生物の、夜は獣の姿をとることで知られています。ワーウルフの村を訪ねる者は一般に、住人たちの後ろ暗い秘密を気づかれずに済むよう、日が暮れる前に街から追い出されるのです。もちろん、群れが客人を「戻らなくても誰も気づかない不幸な客」と判断すればその限りではありませんが。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、人獣は満月が昇る深夜、哀れな一部の人間が否応なく残忍な獣に変身し、周辺を徘徊しながら狂ったように獲物を殺戮し、その肉を食らうことがあります。すなわち獣憑きライカンスロピィと呼ばれる奇病の犠牲者です。

 これは接触性の伝染病であるため、「人狼」などの人獣に噛まれることで感染します。この病気に罹患すると、1時間後には高熱を発し、いかなる行動も起こせません。この段階でベラドンナの小枝を食べれば完治が見込めます。患者はこの植物に含まれる毒によって体力点に2点のダメージを受けるが、病からは回復するでしょう。

 この治療を行なわなければ、病は1時間ほどで第2段階に進行する。熱はさらに上がり、患者の体力点に3点のダメージを与えます。上半身と頭部、腕に体毛が生え始めるのです。顔の特徴は劇的に変化し、「人狼」「人ネズミ」「人ドラ」「人グマ」といった自分を噛んだ獣の顔とそっくりになります。

 人獣は奇妙な二重生活を送ります。日中は普段と変わらない暮らしを送っていますが、日が暮れると自分の意思で変身して狩りに出かけることが可能です。ただし満月の夜には、月が昇ると同時に必ず人獣に変わってしまいます。人獣は獣に変身すると、たいていは元の姿より背が高く、力も強くなるのです。しかしほとんどの場合、血に飢えた獣になるため知能は下がります。以下に紹介するのは代表的な4種の人獣ですが、遠方の地には「人狐」「人鮫」などの珍しい種も存在すると言われています。

人狼ワーウルフ

 人狼は人獣の中で最も一般的であり、北方の大半の地域で遭遇する可能性がありすす。彼らには二種類の変身形態があるのです。ひとつは狼人間で、二本足で歩行し、前足を腕として利用します。もうひとつは本物の狼に変身し、群れをなして四本の足で駆け、狩りを行なうタイプです。満月の夜には、否応なくこの二番目の狼に変身してしまいます。

【人グマ】

 人獣の中でも最大にして最強の人グマは、人間の仲間より本物の熊とともに荒野で暮らすことを好みます。遭遇時にはたいてい1〜6体の普通の熊と一緒にいます。これらの熊は人グマが人間の姿であろうと獣の姿であろうと、彼の命令に従うでしょう。人間の姿のときには、たいていが大柄で動きが鈍く、めったに怒らないが怒らせると危険なタイプです。

【人ドラ】

 人ドラは北方より熱帯地域に多く見かけられ、藪の中で普通の虎とともに暮らしています。人の姿のときであれ虎の姿のときであれ、冒険者と遭遇するときには、通常は最低一体、普通の虎を連れているでしょう。他の人獣とは異なり、人ドラは圧倒的に女性が多いが、だからといってその獰猛性はまったく変わりません。

【人ネズミ】

 人ネズミは「ネズミ男」と肉体的な共通点は多いものの無関係です。人ネズミは都市の地下迷路のような下水道で、しばしば小さな共同体を営んでいます。他の人獣とは異なり、社会性があります。真っ暗な地下の居住区に暮らしているので、本人が望むなら常時、獣の姿でいることが可能です。そのおかげで狭い地下のトンネルを自由に動き回ることができます。嗅覚が鋭く、たとえ下水道の悪臭にさらされていても、真っ暗闇の中で獲物を追跡できるのです。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、獣人(ワーキン、ワークリーチャー)は世界の至るところで、さまざまな種類が見られます。彼らはどんな人型種族からでも生まれる可能性があります。生得の変身能力を備えており、獣と人間(人型種族)両方の姿をとれます。

 獣になると、衣服や武器、その他の所持品は一時的にどこへともなく消え、人型種族の姿に戻ると同時に再び現れます。

 一般的には獣人の姿でいるときの気質は、種類に関わらず、その獣本来の気質に強く影響を受けるのです。獣の性質は人型種族の姿をとっているときでも、本人の振る舞いや態度に影響を与えますが、程度は下がります。ほとんどの獣人の体重(質量)は、おおむね対応する獣の平均的なものになります。したがって、レプラコーンからワーチキンが生まれたり、フェアリーからワーハムスターが生まれたりすることもあります。ワータイガーやワーパンサーは比較的珍しい獣人ですが、オーガーを始めとして、大柄な人間やドワーフから生まれることもあるでしょう。

 獣人は通常の武器によるダメージからは素早く再生するため、まるで不死身のように思われています。戦闘中でさえ即座に治癒するため、そのように見えるのです。魔法や魔法の武器、銀の武器はこの効果を無効とするため、こうした傷については他の種族同様、治療を行なわなければなりません。

 獣人は月齢によって支配されることはなく、変身するのに大がかりな儀式を行なう必要もありませんが、頻繁に変身すると疲労します。長い時間、獣の姿をとりすぎると認識力が弱まり、やがて元の姿に戻る方法を忘れてしまうことがあるのです。

 大きな群れの中にはたまに、歳のせいか本人の意志かは別として、ずっと獣の姿で暮らしているものも何人かいます。

【ワーウルフ】

 ワーウルフは最も一般的で数の多い獣人です。彼らがしばしば、人型種族の知恵を備えた野生の群れとして存在し、狼の兵士との緊密な協力関係を結んでいるからです。大規模な一族が都会や村の外れ、荒野の奥深くに存在しています。人型の姿のときには、まったく人目を惹かないため、正体を明かさず、ごく普通に人々に混じって過ごすことができます。

【|ネズミ人(ラットリング)】

 ネズミ人はネズミとは血縁関係がなく、概して彼らと一緒にされるのを嫌がります。しかし、小柄な体格とその外見からして、勘違いされるのは仕方のないところでしょう。ネズミ人は成長しすぎたネズミのように見えます。細長い頭骨と小さく丸い耳、ビーズのような黒い目をしています。前脚と後脚の先端、鼻面の前半分と毛のない尻尾以外は、短い毛皮に覆われています。肌は黒から灰色、茶色っぽい土色、黄褐色などさまざまな色合いがあります。

 戦闘では冷酷な戦士となり、容赦ない残忍さを発揮します。ネズミ人の魔法使いはずる賢く、他のどんな人型種族にも劣らず手先が器用なため、たいていは素晴らしく有能です。


 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、この世界にはワークリーチャーがたくさんいます。人間の姿のときは、ワークリーチャーはごくふつうです。しかし、獣の姿をとったときは、知性度の半分と器用度のほとんどを代償に、超人的な不死身さを手に入れます。銀で出来た武器は致命的ですが、通常の武器で受けた傷は驚くべき速さで回復します。ワークリーチャーの種類は、よくあるワーウルフ(狼男)、ワータイガー(虎人間)、ワーベア(熊人間)からワーチキン(鶏人間)、ワーフロッグ(虎人間)、さらにはワーハムスターまで、さまざまです。

 ワークリーチャー(ライカンスロープ)は獣に変身する能力を持った人間のことです。変身する動物の種類によって、オオカミ男ならワーウルフ、トラ人間ならワータイガーというふうに呼ばれます。ライカンスロープの変身は月齢に作用され、満月の夜には必ず獣の姿をとることになります。

 ライカンスロープの特徴として、銀の武器でなければ致命的な打撃を与えられないというのがあります。銀や魔法以外の武器で受けた傷は1通常ターンに幸運度の数値ポイントだけ、すみやかに再生してしまいます。あるいは、選択ルールとして、銀以外の武器ではいっさい傷つけられないということにしてもかまいません。

 ライカンスロープは各種ありますが、ここではワーウルフ、ワータイガー、ワーベアの三種類を示すにとどめます。これ以外のものはGMが自作するようにします。

【ワーウルフ】

 ワーウルフは狼に変身するライカンスロープです。

【ワータイガー】

 ワータイガーは虎に変身するライカンスロープです。

【ワーベア】

 ワーベアは熊に変身するライカンスロープです。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ライカンスロープとは人間から獣の姿に変わる能力を持った怪物のことです。人間の姿のときは、冒険者と同じく、魔法を含めたいろいろな技能を習得し、使える可能性もあります。獣の姿のときには知性的な行動はとれず、本能の赴くままに殺戮に走ってしまいます。魔法や技能はいっさい使えません。

 変身は月の満ち欠けに影響を受けます。そうでないときでも、ライカンスロープは自分の意志で獣に変身できます。

 ライカンスロープには周囲にいる同種の獣(ワー・ウルフならウルフ、ワー・ベアならベアなど)を呼び寄せ、操る能力があります。その棲息地域は変身する獣の種類に従います。人の住む街や村で正体を隠し、人間に混ざって生活している者もいるかもしれませんが、そのときには変身を隠すための不自然な行動が現れるでしょう。

 ライカンスロープは一種の伝染病であり、獣の姿のときのライカンスロープに傷を負わされた者は、同種のライカンスロープになってしまう危険があります。

【ワー・ウルフ】

 ワー・ウルフは狼に変身する力を持ったライカンスロープです。

【ワー・ベア】

 ワー・ベアは熊に変身する力を持ったライカンスロープです。ベアと同じく、ベア・ハッグによる攻撃(締めつけ)を行ないます。

【ワー・タイガー】

 ワー・タイガーは虎に変身する力を持ったライカンスロープです。



 TRPG『グランクレストRPG』では、混沌の力を取り込み、野獣や鳥といった人外の動物の力をその身に宿したアーティスト、それがライカンスロープです。

 狼の爪や虎の牙で武装する者、鳥の翼を生やし天空を舞う者、鎧に勝る甲殻で実を守る者など、その能力は模倣する生物に応じて千差万別で、同じスタイルでありながらまるで違う戦い方を見せることも少なくない。また、複数の特性を混成的に発現させ、自然界にあらざる魔獣と化す者もいます。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、鼠人間ラットマンは直立した鼠と人間を掛け合わせたような姿をした亜人間種族の一種。体躯は小柄で、灰色や褐色、黒などの湿ったような滑らかな毛皮に覆われています。自分たちより強かったり数の多い集団を避ける傾向がありますが、いざ戦いになれば疫病を媒介する前歯で果敢に噛み付いてきます。『大災害』前から、洞窟など暗く湿った場所に配置されていましたが、『大災害』後には都市部の下水道などに棲み着く例もあり、身近な驚異として大地人から恐れられているのです。



 TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、人狼ワーウルフは、なんらかの要因によって獣の力を宿した者です。人狼に転じ、鋭い牙と爪で襲いかかってきます。迷信かはったりか、咬まれた者もまた人狼になると言います。





最後に

 今回は「ライカンスロープ」についてまとめました。

「ライカンスロープ」は直訳すると「狼人」のことです。

 しかし熊や虎や猪といった他の獣に化けるものも含めてすべて「ライカンスロープ」と捉えることが、RPGでは標準となっています。

 ヨーロッパの伝承上の存在ですので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」に「ライカンスロープ」を登場させても著作権に触れることはありません。



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